カテゴリー別アーカイブ: 構造化文書

XMLエディタで始めるリッチなMarkdown入門?

Markdown記法とその派生は様々にあり、使用される場面もブログポストの原稿であったり、
Wiki記法(この記事ではHTMLへ変換される簡易記法、と考えてください)の1つであったりするので、「Markdownドキュメント」といっただけではどんな文書なのかはよくわかりません。「Markdown記法を使用して書かれている箇所があるドキュメント」くらいにはいえるのかもしれませんが。とはいえ、基本的な記法については共通しています。なので一度基本を覚えてしまえばその部分は他の派生へも通じ、その学習コストを下げることができます。

さて本題です。
「Markdownは分からないが手元にリッチなXMLエディタがある」そんなことはないでしょうか。

XML技術を駆使するDITAというドキュメントのアーキテクチャがあります。
いきなり導入するにはなかなか重量級な仕様と哲学があるので、
OASISのDITA CommitteeのSub Committeで、DITAやXMLを未だ使っていない層に向けたLightweight DITA(LwDITA)というものが考案されています[1]。
LwDITAはDITAの複雑な仕様から基本的なものを抽出し、XML、HTML5、Markdown(派生)の3つの形式でほぼ同じ表現力の記述を可能にしたものです。
特にHTML5、Markdownの形式(HDITA、MDITA)は、XML離れが激しい層へのアプローチ手法として考案された側面があり、XMLに触れなくともある程度のDITA体験が可能になっています。MDITAは単体ではGitHub Flavored Markdown(GFM)のサブセットのように扱えるので、GFMに対応したアプリケーションである程度執筆・編集のサポートが受けられます。

一方Oxygen[2]やXMetaL[3]といった、DITAをサポートするXMLエディタも
LwDITAもサポートし始めています。既にDITAのパワーをXMLエディタでフル活用されている方にはLwDITAの表現力は物足りないかもしれません。とはいえ、せっかくサポートされている機能です。もし手元に既にMarkdown対応のXMLエディタがあれば、試しに使ってみてはどうでしょうか。

参考資料

  1. [1] OASIS Lightweight DITA SubCommitteeのページ https://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=dita-lightweight-dita
  2. [2] アンテナハウスの Oxygen情報ページ https://www.antenna.co.jp/oxygen/
  3. [3] アンテナハウスの XMetaL情報ページ https://www.antenna.co.jp/xmetal/

DITA/XML Service Antenna House

関連記事

  1. MDITA(LwDITA uses Markdown)の書き方
  2. DITAとしてのMDITA
  3. Markdown DITAとMDITA
  4. MDITAをDITAに変換する



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XMetaLの保守契約更新手続きが止まっています

現在XMetaLの保守契約更新手続きが止まっています。原因はライセンス発行元のジャストシステム(カナダ)が新型コロナウィルス蔓延の影響で業務を停止しているからです。

この時代、ソフトウェアの開発会社が完全に業務を停止するというのもどうかと思うのですが、テレワークの準備をすることもできないくらい急な話だったのかもしれません。
更新手続きは止まっていますが、XMetaLの使用自体は引き続き行えますのでご安心ください。業務が再開され次第手続きに入らせていただきます。

なおoXygenの方は平時と同じように更新手続きを行っています。




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[AH Formatter V7.0 の新機能] BPIL による行分割

2020年2月20日にリリースされた『AH Formatter V7.0』の新機能、今回は行分割についてご紹介します。

『AH Formatter V7.0』では行分割を Knuth-Plass の Breaking Paragraphs into Lines(以降、BPIL)のアルゴリズムに従って行う方法を導入しました。BPIL は、主に欧文組版のためのアルゴリズムで、ブロック全体のバランスを考慮して分割位置を決定します。

BPIL については過去のブログで詳しく触れていますので、こちらもご覧ください。
Breaking Paragraphs into Lines

例えば、『AH Formatter』の従来の行分割では次のように組版されます。
従来の行分割の例

BPIL で組版すると以下のような結果になります。
BPILの行分割の例

全体のバランスが考慮され行末のアキの幅がより均等になります。
※ 行末のアキの幅を分かりやすくするため、あえて justify していません。

BPIL が機能するのは既定値でオプション設定ファイルの bpil で指定されている言語 “Latn Grek Cyrl” または axf:line-break=”bpil” が設定されているブロックです。制御はオプション設定ファイルなどで行え、もちろん従来の行分割になるよう機能を無効にすることも可能です。詳しくは行分割をご覧ください。

新しい行分割アルゴリズムが導入された『AH Formatter V7.0』を非是お試しください。

この記事の画像は公開サンプルを用いたものとなります。実際のデータは公開サンプルのページよりダウンロードいただけます。

評価版は以下よりお申し込みいただけます。
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[AH Formatter V7.0 の新機能] エラー行指定ジャンプ機能のご紹介

AH Formatter V7.0 で追加された機能のひとつに、組版時エラーが出た際、ワンクリックで簡単にエディタを起動し、エラーが出た箇所を容易に修正するための機能があります。AH Formatter V7.0 で、エラーログにファイルパスへのリンクが追加されました。
エラーログの例

この機能の使用前には少し準備が必要です。
GUI の [組版メニュー]-[その他設定]-外部エディタのタブの、行指定時コマンドライン引数という項目を調整します。
その他設定ダイアログ

この項目で外部エディタに指定されたエディタで行指定して起動するオプションを指定します。%1 がオープンするファイル名、%line が行番号となります。

上記で行指定パラメータを指定した状態で、エラーログの青色のファイルパスのリンクをクリックすると、指定したエディタを起動し、エラーのある行にジャンプします。このように自動的にエラーのある行から編集を開始することができるため、エラーの位置を検索する手間が省けるようになりました。

詳しくは、ヘルプの「ログウィンドウ」と「外部エディタ」をご覧ください。

ドキュメントの修正がさらに容易になった AH Formatter V7.0 を是非ご活用ください。






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AH Formatter V7.0 の新機能確認サンプル

先月 2020年2月20日に XML/HTML 自動組版ソフトのベストセラー『AH Formatter』をバージョンアップした『AH Formatter V7.0』を公開しました。この『AH Formatter V7.0』の新機能をご確認いただくためのサンプルは、「サンプルFO集」ページに掲載しています。ここには、XSL-FO の基本仕様と『AH Formatter』の拡張機能を使用したサンプルFO を豊富にご用意していますので、是非ご活用ください。

『AH Formatter V7.0』で追加された機能は、「V7.0 の新しい機能」に列挙しています。『AH Formatter V7.0』では、欧文組版における行分割処理の改良、BIDI処理の改良、GUI の改良、ドロップキャップ、PDF 2.0 出力、PDF/X-4p 出力、Adobe Fonts や WebP への対応など盛りだくさんです。自動組版にご興味ございましたら、是非評価版をお試しください。

評価版は以下のページよりお申し込みいただけます。
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【SODEC2020春】第29回ソフトウェア&アプリ開発展 に出展【2020/03/23追記 開催延期のお知らせ】


2020年4月8日(水)〜10日(金)に東京ビッグサイトにて開催予定でした「第29回 Japan IT Week春」は、開催延期となりました。

「第29回Japan IT Week春」開催延期のご連絡 – Japan IT Week 事務局
以上2020/03/23追記


2020年4月8日から開催される「第29回 ソフトウェア&アプリ開発展【SODEC2020春】」にアンテナハウス株式会社は出展致します。

例年は5月開催のところですが、オリンピックの関係で開催時期が1か月早まりました。
今年は春の訪れも早いようなので、いつもより少しだけ厚着でと出展の準備をしてきましたが、ご存じのような事態となっています。
「自粛」「辞退」と気持ちは揺れるところですが、ひと月先は誰にも予測できない状況であれば、
予定通りの開催を前提に粛々と準備を進めるだけと決め、出展のご案内をいたします。

今年も目玉は「PDF技術」。
PDFの作成から閲覧や加工・編集、そしてPDFの再利用を目的としたツールをご紹介いたします。
PDFは様々なドキュメントから変換して閲覧できることで普及してきましたが、それだけではありません。
くっつけたり離したり、書き込んだり取り出したりとお望み通りの加工・編集が可能です。
こんなことが出来ないかなとか、出来たらいいなといったご要望があればご相談に乗ります。
また、もうひとつの目玉として、ドキュメント作成の「省力化による働き方改革」を目的とした「自動組版」の提案です。
XMLなどの構造化文書の作成や大量の文書変換などのお手伝いをいたします。
ぜひともアンテナハウスブースへお立ち寄りください。

■ ご紹介製品

  • PDF Tool API
    ページ結合・分割、しおり・注釈編集などのPDF 加工機能を行うAPIです。
    ブラウザからの呼び出しで利用できるデモを会場で実施します。
  • AH Formatter
    今年20周年を迎え、2月に新バージョンを発売したXML自動組版エンジンのパイオニアです。
    日本語組版など多くの拡張機能により商品レベルの書籍組版ができます。
    また、多言語のドキュメントを大量に高速処理することで、組版の省力化を実現します。
  • Office Server Document Converter
    Microsoft Officeがインストールされていない環境でも、Word/Excel/PowerPoint等の文書をPDFや各種画像ファイルへダイレクト変換するライブラリです。
    パブリッククラウドでオフィス文書の変換を検討している皆さん、ライセンス問題はこれで解決です。
  • PDF Driver
    GDI 型の仮想プリンタドライバと、これを制御する付属APIのセット製品です。
  • PDF Server
    サーバ上で画像データやMSOffice文書からPDFを生成し、イントラネットで配信したり、各種グループウェアへ自動登録を行う開発不要のサーバソリューションです。
  • PDF Viewer SDK
    PDFの表示と編集の専用アプリケーション開発用ライブラリです。

■ 展示会詳細とアンテナハウスブース

会期: 2020年4月8日(水)~4月10日(金)
10:00~18:00(10日のみ17:00終了)
場所: 東京ビッグサイト 西展示棟
★アンテナハウスブース: 西 9-31

さて、新型コロナウイルス関連肺炎について、主催事務局ではWHO(世界保健機関)および厚生労働省のガイドラインに沿って対策を実施します。

3月3日現在予定している会期中の対策は、以下の通りとなります。

  • 出展社及び来場者に対してマスク着用のお願い
  • 全入口ゲートに手指消毒液を設置
  • 全入口ゲートでサーモグラフィーによる体温測定を実施
    37.5度以上の場合、問診票への記入を実施し、医師または看護師との面談の上、入場をお断りする場合がございます。
  • 咳エチケットと頻繁な手洗いを奨励する看板の設置
  • セミナー会場の入口を常時開放し、換気を実施
  • 医師・看護師の常駐および救護室の設置

予断を許さない状況ですが、皆様のご来場をお待ちいたします。




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Antenna House Formatter V7.0 リリースのお知らせ

2020年2月20日に XML/HTML 自動組版ソフトのベストセラー『AH Formatter』をバージョンアップした『AH Formatter V7.0』を公開しました。

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『AH Formatter V7.0』では、欧文組版における行分割処理の改良、BIDI処理の改良、GUI の改良、
ドロップキャップ・PDF 2.0 出力・PDF/X-4p 出力・Adobe Fonts・WebP への対応など
盛りだくさんです。

詳しくは「ニュースリリース」に記載しておりますので、是非ご覧ください。
 
 




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2/7のXMLパブリッシング交流会に参加してきました

2020年2月7日、先週の金曜日に開催されたXMLパブリッシング交流会『ウェブ出版と日本語組版の未来』に参加してきました。アンテナハウスもブースを出展していた、page2020のイベントの1つという位置付けでした。

会場到着

会場は池袋サンシャインシティの文化会館7F会議室。最近の技術書典の会場として2F、3Fには来たことがあったので、まあ結構ギリギリの到着でも大丈夫かと高を括っていたのですが、素直にエスカレータを登っていたらスポーツジムに着いてしまい、慌ててエレベータを探しました。

そんなこんなで本当にギリギリの時間に会場に到着すると、席は前方から後方まで割と満遍無く埋まっていました。こくちーずでの申込数上限は80人で、終了後に確認したら登録者数は57人となっていましたね。

以下、スライドや発表に解釈を加えて記述している箇所がありますが、発表者の方の意図に沿えているか分からない箇所もございます。ご了承、ご指摘ください。

木田泰夫氏『JLReqタスクフォース』

Keynote for iCloud上の資料となるので、環境によってはご覧になれないかもしれません。FireFoxやSafariなら見られる筈です。

JLReq Task Force Chairmanの木田氏による、「W3C 日本語組版の処理要件」とその周辺の話となります。

原型としてはJIS X 4051:2004の「日本語文書の組版方法」となり、これを国際的な文書にまとめ直したもの、というのがJLReqの概要となります。

しかし、JLReqはJIS X 4051の単純な移植に留まらない、ということを発表を聴いて改めて意識させられました。

まず、非日本語話者にも要件を伝えるということから、JIS X 4051よりも詳細にその背景や用語の解説や図示が行われているということ。「ルビとはなにか」という説明が、ルビ文化が無い人のために必要になるといった例が挙げられました。

また、世界に向けて日本語組版における要件を発信したJLReqは、様々な言語における要件をまとめていく活動の先駆けとなりました。総称すると「xLReq」とでも言うべきこの活動は、世界が協力し多言語組版を実現していく上での重要なファクターとも言えそうです。

業界的な意味でも、W3Cの専門家と言語の専門家を繋ぐ架け橋としてxLReqがあるということでした。

JLReqTFとしても活動は続けられています。これは公開された活動で、GitHub上にインターフェースがあります。英語での意見投稿はハードルが高いと感じている方も、日本語で投稿した内容をJLReqのチームが拾い上げ、翻訳を行ってくれるとのことなので、積極的な参加を呼びかけておられました。

まず、JLReqの2版に向けた内容のアップデート。これは1版にドラスティックに変更が走るといった類のことではなく、

  •  正誤表の反映
  •  英語での記述の表現をより良くする、
  •  曖昧だった箇所の詳細化(ルビなど)
  •  参照文書としての完成度の向上

といった内容だそうです。

次に、JLReqの機能を滿たすようなCSSが定義されているか、あればその動作の検証の諸々と、そのドキュメント化までを行っているそうです。事前にキーワードとして挙げられていた「gap analysis」ですね。スライドの表にその例示があります。要件があっても実際にそれを実現できる仕組みがないとどうしようもないので、こういった調査を行ってくださっていることに頭の下がる思いです。GitHubで課題、意見の吸上げを行っているので、その整理自体も重要な仕事ということでした。

結びとして、「未来に向けて」という題で幾つかのお話をされました。

紙面とデジタルテキストとの違いということを軸に話されていたものの、多くは組版そのものが持っていた問題のうち、今まで人が都度なんとかしており、また完成したものが紙面など固定されたものであったために表に出ていなかったもの、という印象でした。

人間が監督するものと完全に自動で組版するものとの課題の例として、縦書きで左ルビの行と右ルビの行が隣り合うときの行間制御の例など(大抵は人間が位置をずらすことで対処)、画面サイズで文字の配置が変わる場合などに確かに考えねばならないものです。

また、世界で使われるということは、これまでの和文と欧文の高々2つの関係の独自の世界から、「多言語のうちの1つとしての日本語」ということを意識した要求にしていく必要がある、ということも「xLReq」、そしてインターネットとWebブラウザが登場してより顕在化した事柄ではないでしょうか。

そして、そもそも紙面上での組版の時代でも、媒体の事情に合わせて組版要件が変化していったということも、言われてみればその通りであるのに、見落としがちであった視点であったと思います。パラグラフマーク「¶」が、飾りではなく紙の値段が現在よりも高かったときに段落区切りを余白以外の手法で表していた、という例示がありました。

冊子の持っていた優位性の消失というのも興味深い話でした。ページを捲ることでのランダムアクセス(巻物はシーケンシャルですね)、これはデジタルテキストであればリンク機能で事足ります。新技術が登場するときに旧来の技術・表現を模倣するという視点での「デジタルテキストでの組版とその処理要件」は、どこに自分の立ち位置を合わせるかを考える上で重要なものだと感じました。

そして、参加者からの質問タイム。

「禁則処理や和欧文間のアキがJIS X 4051から引き継いでいるが、この要件を変更する議論はあるのか?」というもの。例えば「四分アキが適当な箇所と適当で無い箇所」といった具合ですね。「Tシャツ」という日本語としての単語の「T」と「シ」のアキが四分だと広すぎる、というような例が挙げられていました。

返答として、議論は行われているということでした。

関連して、和語の単語区切りのアイデアといったものも示されました。Webブラウザ表示では、日本語でも行末が不揃いであることもかなり受け入れられてきているので、今後そういった表現に関しての要件が必要になってくることも納得ですね。

「もっと皆さんに試してみてほしい」という言葉も印象的でした。

最後にされた「JLReqは今後『Rule』になるのか」という質問に対して「要件であり、複数あって良いものである」という姿勢が示されていました。その前にされたアキの変更議論なども含めての回答になっており、大変充実した内容でした。

田嶋淳氏『日本語組版に関連する CSS 規格の策定状況について』

https://speakerdeck.com/juntajima/ri-ben-yu-zu-ban-niguan-lian-surucssgui-ge-falsece-ding-zhuang-kuang-nituite

W3Cの作業草案(Working Draft)から勧告(Recommendation)に至る流れの解説の後、それに則って進められている本題のCSS規格の話へ移ります。

勧告候補まで行っても、状況によっては差し戻しされ議論に戻ることもあるというのは随時チェックする程でない身としてはショックがありました。

最新の仕様を追うならDraftを見ることになりますが、何せ草案なので揺れて怖いという話。

「CSS3」という呼称がCSS2.1までのバージョニングの話とは違うということは

不勉強であまり意識したことがありませんでした。CSS2.1に入っていた仕様をレベル3とし、各モジュールに分けて進行状況をレベルで表すということです。

各Webブラウザでの仕様の実装状況のチェック方法など、初学者に嬉しい内容のスライドとなっていました。

JLReqの発表でもあった、要件と対応するCSSのモジュールに関しても、そのモジュールを勧告まで持っていくには別のレイヤでの議論がある、ということでした。「行どり」のためのモジュールは2つほどあったけれどどちらもポシャってしまった話からも、その難しさが察せられます。

より高度なルビ機能の実装に向けたWebブラウザの動向という例も挙げられていました。FireFoxのみ両側ルビに対応を始めたものの、他ブラウザは行っていないといったズレがあるということでした。

定まっていない仕様が定まると、どのような場合に嬉しいのかということで、

text-spacingが規格化されれば、ぶら下げインデントでの約物の表示挙動が統一されたりする、といった例が挙げられていました。

自動縦中横のアイデアなど、どう実装するのか難しそうな話題もあるようです。

また、ルビと圏点を同時に使った場合の挙動といった、議論が定まっていないものもあります。ところで、Antenna House Formatterではルビと圏点の同時使用に対応しており、挙動としてはルビ文字の上に、親文字に対応する圏点を表示します。ルビ文字に合わせた圏点は行えません。

村上真雄氏『ウェブ出版と日本語組版の未来とCSS組版Vivliostyle』

https://vivliostyle.github.io/vivliostyle.js/viewer/vivliostyle-viewer.html#b=/vivliostyle_doc/ja/events/page2020xpub/&spread=false&renderAllPages=true

発表スライドもVivlioStyle製です。

紙とWebでの出版コンテンツの違いについてから始まりました。

どちらかというとページメディアとスクロールメディアの違いについてと言えなくもない内容でしたが、「CSSの表現力によってコンテンツの表現力が変わる」という主張は恐らくVivlioStyleの開発陣の情熱の起点となるものではないかと感じました。

電子書籍の形態として普及が進むEPUB3の話題も当然深く拘わってきます。EPUB3.0の仕様に縦書き機能が入ったことでも話題になりましたね。これも、W3CにおけるCSS標準化の進みによるもの、JLReqが貢献した1例といえます。

そして提示された「EPUBはウェブ出版といえるか」という疑問に対し、村上さんとしては現状そうではない、という立場のようです。

Web Publications」というそのものズバリなW3C Working Groupの存在と、それが現状停滞してしまっていること。この試みをそのまま形にする筈であったEPUB4.0も現状ではどうなるか分からない、とのこと。

また、メタデータの付与をJSON-LD形式で行うPublication Manifestについての言及もありました。こちらは勧告候補。

通常のWebページにSchema.orgに沿ったJSON-LDを付与することも聞くようになってきましたし、Webを志向する上ではそういった流れなのかもしれませんね。

各Webブラウザが機能を実装するにはとても時間がかかります。CSS Paged Media関連など、通常のWebページを表示するためのWebブラウザとしては後回しになりがちなCSS仕様もあります。一方で「標準化」のためには、いち早くその仕様を実装し、検証し、フィードバックを行うことも必要です。

CSSでの機能標準化をより強く進め、同じソースからCSSによって複数のレイアウトを実現し、印刷、EPUB、Web出版を1つのラインに載せたいという情熱を感じました。

「ここから本題です」と村上氏が発言し、会場に笑いが。確かにまだVivlioStyleの話が全然出ていませんでした。

商用のCSS組版ソフトウェアについても言及。弊社の「Antenna House CSS Formatter」の名前も上がりました。

VivlioStyleはオープンソースのJavaScriptプログラムで、EPUB Adaptive Layoutの機能やPaged Mediaなどの、Webブラウザが対応できていない機能をJavaScriptによって補完するものになります。大きなトピックとして、2019年からJavaScriptからTypeScriptに移行しました。

個人的にはVivlioStyle Flavored Markdownの話が聞きたかったのですが、デモもそこそこに時間終了となってしまいました。デモでは、同じHTMLソースからCSSの設定変更のみでレイアウトを大きく変更する例などを駆け足で紹介していました。

小形克宏氏『CSS組版とVivliostyleの未来』

https://www.slideshare.net/ogwata_1959/cssvivliostyle-227189333

VivlioStyleの沿革から。スライド外の情報としては、もともとInDesignのレイアウトをWebで実現したかったのがEPUB Adaptive Layoutの思想だったということで、驚きました。

開発の活発さをコミットログから見ると、会社時代と法人化以後を比較してもあまり衰えていない様子が表示されました。開発に参加してくれているメンバーなどにアンケートを取ったところ、「VivlioStyleの開発に加わると最新仕様の実装ができる」というところに魅力を感じている方が多いとコアメンバーが驚いたとか。ちなみに、コアメンバーがそのあたりに無自覚的だったことに会場から驚きの声が上がっていました。

開発者会議を現在月1度ほどの頻度で行っており、濃密な場となっているそうです。

そして、これからも開発を継続していくために、現在法人としてのVivlioStyleに欠けている、開発者支援のための費用など用意していくために、VivlioStyleを利用したサービスを構想中ということで、「VivlioStyle Pub」の構想が紹介されました。

VivlioStyleを利用したオンラインエディタ「Viola」を元に、「ブラウザで原稿執筆可能」「PDF/X-1a出力可能」「(独自仕様の)Markdown原稿をサポート」を目玉にサービスを行っていくというもののようです。VivlioStyle Pubとしては技術同人誌出版などを当面のターゲットとし、印刷所との連携などまで持っていくつもりとか。

VivlioStyle開発メンバーでもあるspring-raining氏のCSS組版・パブリッシング交流会でのViolaの発表が去年の6月ごろだったことを考えると、こういったプロジェクトでの歯車が噛み合う瞬間の速度というものの凄まじさを感じずにはいられません。同じく去年のCSS組版・パブリッシング交流会で課題として挙げられていたPDFの規格問題もGhostScriptでのアウトラインフォント埋め込みを実装したメンバーがVivlioStyle開発メンバーに参加したということです。

CSSの未だ定まっていない仕様も、それを実際に実装し、フィードバックしていくシステムを調えていくこともまた重要で、どんな立場からでもその立場なりにできることがあるということを強く印象づけるXMLパブリッシング交流会となりました。



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page2020へ出展

からまで開催される「page2020」 にアンテナハウスは今年も出展いたします。

バリアブル印刷や印刷物制作業務の効率化でのAH Formatter、PDF Tool APIの利用方法等を中心にDBとの連携、PDFを作成するだけではなく、今あるPDFの再利用をテーマにご紹介いたします。また、PDF 変換などを行う各種システムコンポーネント製品など、企業内のシステム構築のための様々な支援ツールを、システム開発者、システム・インテグレータ向けにご紹介いたします。

また、弊社ブースへお越しいただき、お名刺の交換をさせていただいた方には、『PDF CookBook 簡易版』をご提供いたします。

■ ご紹介製品

AH Formatter

XSL-FO を忠実に実装し、日本語組版など多くの拡張機能で商品レベルの書籍組版ができます。

PDF Tool API

ページ結合・分割、しおり・注釈編集などのPDF加工機能を提供するAPIです。
ブラウザからの呼び出しでの利用方法をデモします。

Office Server Document Converter

Microsoft Officeがインストールされていない環境でも、Word/Excel/PowerPoint等の文書をPDF/SVG/TIFF/JPEG/PNG/TIFF/INX/XPS ファイルへダイレクトに変換するライブラリです。

その他

PDFをOffice文書やXMLデータに変換、PDF内の画像を抽出する各種ライブラリをご紹介します。

ご来場される際には、是非とも弊社ブースへお立ち寄りください。

■ 展示会詳細とアンテナハウスブース

「page2020」

 日時: 2020年2月5日(水)~7日(金)
会場: サンシャインコンベンションセンター
住所: 東京都豊島区東池袋3丁目1
ブースNO: D-28
イベント詳細ページ: https://page.jagat.or.jp/

〒103-0004
東京都中央区東日本橋2-1-6 東日本橋藤和ビル5F
アンテナハウス株式会社
◆ご購入に関するお問い合わせ(祝日を除く月~金曜日9:30~18:00)
TEL : 03-5829-9021
FAX : 03-5829-9023
E-mail: sis@antenna.co.jp
URL : https://www.antenna.co.jp/




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[書籍紹介] MathML 数式組版入門 英語版の販売開始

この度、2019年11月12日に「MathML 数式組版入門」の英語版「An Introduction to MathML Typesetting」の販売を開始いたしました。

AH Formatter

Amazon.com より販売中となっています。
An Introduction to MathML Typesetting

こちらの書籍「An Introduction to MathML Typesetting」は 2017年8月に発売した「MathML 数式組版入門」をベースにしたもので、海外の皆さんにも幅広く利用していただこうと翻訳に着手し販売に至りました。翻訳にあたっては海外の皆さんにご理解いただけるよう表現の全般的な見直しも行いました。

MathMLとは?と思われた方、これまで当ブログで MathML について紹介した記事を以下にまとめていますので、是非ご覧ください!
[AH Formatter] MathML への取り組み

日本語版の「MathML 数式組版入門」の販売も継続しております。
書籍は次の販売店よりお買い求めいただけます。
販売店:
Amazon.co.jp
三省堂書店
楽天ブックス
honto

「MathML 数式組版入門」は全文を PDF形式で無料公開していますので、ご活用ください。
MathML 数式組版入門(PDF形式)
 
 
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本書や MathML の組版に使用した『AH Formatter』は以下のページより評価版をお申し込みいただけます。こちらも合わせてお試しください。
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『AH Formatter』についてお問い合わせがございましたら sis@antenna.co.jp 宛てにご連絡ください。




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