DITAは、主に米国で企業のマニュアル制作のデファクトスタンダードになっています。欧州は少し遅れており、日本はさらに遅れているようです。遅れているということは、いずれ日本でも同じような波が来る、ということが予想できます。
DITA IA(DITA インフォーメーション・アーキテクト)とは?
DITAはドキュメントをコンポーネント化して、コンポーネントを組み立てることで、1冊の冊子、製品Webサイトなどの多種類の成果物を作ります。コンポーネントのマルチ利用を進めるには、最初に適切な設計をする必要があります。さらに、これを自動化するために各種のツールを使います。
DITAを実践するには、ドキュメントの構成、ライティング(書き方)、システムの準備といった全体の仕組みをうまく用意する必要があります。すると仕組みを設計する作業が重要になりそうなことが予想できます。仕組みはアーキテクチャーであり、それを設計するのはアーキテクトです。DITA インフォーメーション・アーキテクト、略して、DITA IAはDITAの新しい仕組みを設計する人といえます。
では、もう少し具体的にはどんな仕事をするのでしょうか?
DITA入門教科書『DITA 101』にみるDITA IA
『DITA 101』というDITA入門教科書には、「DITAの計画」という章があります[1]。DITAは協調オーサリングであり、いきなりスタートするのではなくて最初に計画が重要と説いてます。そして、新しい仕事を含めて次のような役割が必要になるといいます。
・コンテンツ・コーディネーター
・情報アーキテクト
・DITAテクノロジスト
・執筆者
・コンテンツ所有者
・編集者
このうち、最初の三つの職種は、DITAで必要になる新しい職種です。あとの三つの職種は、従来もありましたがDITAの導入で役割が変わるといいます。情報アーキテクトがDITA IAに相当します。
情報アーキテクトは、「情報制作物モデル、要素モデル、メタデータ、再利用の戦略を築き上げ、DITAの適切な特殊化を決定することに責任をもちます。また、執筆者とユーザーの両方のために情報検索を設計することに責任をもちます」(同書 p.61)
[1] Rockley, Ann. et al, DITAコンソーシアムジャパン訳『DITA 101』株式会社エスアイビー・アクセス 2011年8月発行 pp. 55 – 65