月別アーカイブ: 2008年9月

オフィス退去時の原状回復についてのメモ

アンテナハウスは、11月に本社を移転する予定です。移転先につきましては、別途、ご案内する予定ですが、新オフィスを探して、契約をする過程で気が付いたことがありますので、皆様のご参考になればと思い、ここにメモとしてご紹介します。
以前(6年前)にオフィスビルを探した時は、あまり無かったように記憶していますが、今回、オフィスビルを探している過程で、契約更新料と、解約時の敷金償却がゼロの条件で、募集をかけている物件が目立つようになってきました。正確な割合を出しているわけではないですが、かなり目立ちました。
実は、今回、そういう物件2件と契約を締結しました。この時、もう一つ気が付いたのですが、そうした物件は退去時の原状回復の特約条項にいづれも明確に「借主が室内をリフォームすること」(用語が適切でないかもしれませんが)を記載しています。
以前、何回かビルの契約を結んだときとはかなり違っているようです。
どうも、これは、原状回復特約について、最高裁判所が平成17年12月16日に出した判決が影響を与えているのではないかと思います。
この判決の要旨は、次の通りです。
「賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには、賃借人が補修費を負担することになる上記損耗の範囲につき、賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか、賃貸人が、口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識して、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」。(判例タイムズ No.1200 p.127より引用)。
少し解説しますと、一般的に、賃貸借契約の賃料には通常使用することによる損耗を含んでいると考えられています。従って、退去時の原状回復には、通常損耗の回復義務はないと考えられています。これに対して、賃借人が負担する項目を契約時に特約で決める訳ですが、この特約については契約時の明確な合意が必要であるという趣旨の最高裁判決が出たわけです。
いままで、原状回復特約については退去時の争いの焦点になることが多かったのですが、大抵は途中で和解してしまうことが多かったようです。
最高裁まで争って判断を求めたケースとして、かなり画期的だと思います。恐らく、この最高裁の判決が、私の経験したオフィスビルの賃貸借条件の変化の原因ではないだろうかと、思います。
そうしますと、裁判をすることにも社会的な意義があるのだな、と思い当たった次第です。




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ソフトウエアは国産が良いのか?

PDF関係の競合製品を見ていますと、ときどき、「純国産」ということをアピールしている製品があります。
PDFで純国産と言いますと、次のようなメリットが考えられます。
1.PDFは印刷に直結します。印刷の世界では、日本語処理、日本語組版ということが必要であり、これは日本語に精通していないとなかなか実現できない。

国産だと、日本語を知っている開発者が開発しているので、日本語処理や組版に優れている。
2.国産の場合、開発拠点が日本にあることで、きめ細かいユーザニーズへの対応、障害対応など、かゆいところに手が届くきめ細かいサービスを提供できる。
実際に「純国産」を訴求する場合、上の2つの項目の優位性を訴えていることが多いように思います。それ以前に、ナショナリズムという心情に訴えようというレベルの低い意図があるかもしれませんが、それは論外とします。
「純国産」に1.2.項の優位性が本当にあるのでしょうか?これは、ユーザの皆さんも、ソフトウエアを作成するメーカも良く考えないといけない問題だと思います。
私の感想を申し上げますと、
1.項は、標準の進展の問題、情報収集力、言語能力、などの問題であり、中小のソフトウエア・ベンダには、まだ存在すると思いますが、大手ソフトウエア・ベンダには問題ではなく、また趨勢としては徐々になくなっていくように思います。つまり、マイクロソフトやアドビのような会社にとっては、「純国産」など考えたこともない話だと思います。
2.項は経営システムの作り方の問題であって、「純国産」だから云々という話ではないと思います。ユーザのニーズや問題に、どれだけ的確に、迅速に対応できる経営システムを作るか、ということであり、経営者が対処すべき問題です。
さらに申し上げるならば、今後、どこの国のソフトウエア・ベンダにとっても、国際展開が必須であって、それができなければ生き残れないだろうと思います。ソフトウエア・ベンダは「純国産」という考え方を捨て去らないと生き残れないと考えています。




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PDF Viewer SDK 2.0

PDF Viewer SDK についてのご案内を改訂しました。
Antenna House PDF Viewer SDK
PDF Viewer SDKは、弊社の大半の製品に組み込まれています。
XSL FormatterのようなPDFにあまり関係ないと思われる製品でさえも、PDF Viewer SDKを組み込んでいます。Formatterをお持ちの方は、FormatterのGUIにPDFをドラッグ&ドロップしてみてください。PDFが表示されるはずです。
20080925.PNG
※上の図は、AH Formatter V5でPDFを表示したところです。
先日、PDF Viewer のOEM先も増えてきました。一番大きなところでは、某コンビニの店内で使用する専用端末(Windows Embedded)にも採用されています。
今後もPDF Viewerの重要度は上がっても下がることはないだろうと思います。




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「神々のWeb 3.0」 次世代のWebはどうなるか?

Web 2.0という言葉を提唱したのは、Tim O’Reilly氏だそうだ。本書によるとO’Reilly氏は、次世代のWebは現在のシステムを超えるものになるはずなので、それはWeb3.0とは呼ばない(p.352)と述べているようだ。
なので、Web3.0という言葉は、安直な二番煎じそのものだが、本のタイトルの安直さと比べて、本書の内容は、最新の情報を取材を通じて整理しているという点で大変に充実している。
最新情報は、2008年7月頃まで盛り込まれているが、一番興味深かったのは、音楽や映像の配信を中心とする第3章。
コンテンツがインターネットを通じて、無料で配信される時代という現実に対して、著作権を盾に訴訟しまくる旧勢力と、無料配信は不可避との認識の下に、それをどうやって収益化するかということを考える新勢力。
新勢力の収入源としては、広告頼みというところが多い中、アーティスト達が、インターネット経由での音楽配信はPR手段として位置づけて、ライブチケットやキャラクタグッズでお金を稼ぐことにウエイトを移しているということろが面白い。
CDプレスとプロモーション活動を中核とする音楽出版社の時代は、インターネットによるマルチコピー流通にとって代わられつつあるのは確かである。
これは音楽だけではなく、記述された情報の多くもそういう方向をたどるものと思われる。音楽におけるCDに相当するのは紙への印刷である。では、音楽ファイルの形式に相当するのは、PDFかHTMLか?
それが問題。
「神々のWeb3.0」
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ページメディアは、電灯の時代の行灯か?

電気が一般につかわれるようになり、夜間の照明器具は、欧米ではランプから、日本では行灯から電灯に変わりました。
今では、行灯やランプは誰も使っていません。この時代に、行灯やランプを売ろうとする人は頭がおかしいのではないかと思われるでしょう。
いままで長いこと、情報の伝達・配信手段として紙が使われてきました。PDFは紙を電子化したもので、紙の延長です。
これに対して、ご存知のように現在はWebによる情報の配信、交換が隆盛となっています。Webの表現手段はHTML。つまり、HTML隆盛の時代といっても良いでしょう。
HTMLは、Hyper Text Markup Languageの略。その名の通り、分散したコンピュータに存在する情報をリンクを使ってナビゲートするもので、紙とは全く違うものであることは自明です。
こう考えますと、HTMLをページメディア(紙やPDF)に出力しようとするのは、電灯の時代に行灯を売ろうとするようなもの、と言えなくもないようです。極論ですが。
電灯と違って、HTMLがページメディアに取って代わるには、まだ20年位の時間が掛かると思います。




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「書けまっせ!!PDF3」のユーザ事例ご紹介

「書けまっせ!!PDF3」のユーザ事例のご紹介ページが出来上がりました。
https://www.antenna.co.jp/kpd/casetop.html

これらの事例は弊社の担当者が、直接、ユーザの方にお話を伺ってまとめたものです。ちょっと我田引水のところが目立つと思われるかもしれませんが、「書けまっせ!!PDF3」が実際の現場でどのように使われているかの一端をご理解いただくことができると思います。
「書けまっせ!!PDF3」は、PDFを編集するというよりは、PDFを台紙=様式が印刷された用紙と見立てて、その用紙に、「簡単に文字や図形を記入できるように」というコンセプトを製品化したものです。
別の言葉で言いますと、「紙に鉛筆で書く代わりに、PDFにキーボードで書く」ということを実現しようとしています。
ユーザの活用事例を見ますと、このコンセプトが市場に受け入れられたことを実感できて嬉しいです。
数量的にも、アンテナハウス・ブランド分だけで1万本を突破しましたし、お客様からのフィードバックからはまだまだ行けそうです。
デスクトップ・アプリケーション冬の時代かと思いましたが、そんなことはなく、新しい商品を創造する余地はまだまだ大きいと感じています。




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Webでのオーダーページの操作性の悪さに閉口

Webブラウザから電報を出そうとして、いろいろ苦労してます。
○苦労した点
・正しい住所を入れたはずなのに、住所が間違っていると言われて、住所をWebで何度も検索して確認。
・電報のレイアウト確認。WYSIWYGでないため、文字を入力して、次のステップでレイアウトを確認してまた戻る。改行と空白でレイアウト調整。
・途中でブラウザのボタンの押し間違えて、ブラウザが終了してしまい、またゼロからやり直し。
・最後まで言ったところ、今度は、クレジットカードのWebパスワードがわからず往生。結局中断。
クレジットカードのWebパスワードが分からないので、クレジットカード会社のWebページでパスワードを設定し直し。
パスワードの設定し直しを何回やっても、「一定の時間が過ぎたので無効です。やり直してください」となる。これを4回繰り返し、超高速にやったはずなのに同じメッセージがでる。JavaScriptの初期化のエラーでもあるかと思い、ブラウザを再起動しても同じ。
でも、新しいパスワードでちゃんとクレジットカードのWebページにログインできてます。どうやら、「一定の時間が過ぎたので無効です。やり直してください」のメッセージが誤って表示されているようだ。Webページのバグじゃない?
というわけで、始めてから1時間半経過して、まだ、電報1通を出すことができません。
WebブラウザがOS代わりというのも良いが、これじゃ、専用アプリがずっと良い。人間のオペレータの方がもっと良い。
Webブラウザベースのアプリケーションの操作性上の最大の問題は、「戻る」ボタンなどのブラウザのメニューとの整合性。ブラウザのボタンを誤って押してブラウザが終了してしまうことが良くあります。こういった問題がある限り、ブラウザがOSにはならないように思います。




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ソフトウエア販売戦略 — 何をタダにしてどう儲けるか

Joel on Software ストラテジーレターV
http://japanese.joelonsoftware.com/Articles/StrategyLetterV.html
を一読。なかなか面白いですね。
1.製品には補完財と代替財がある。
2.当該製品の補完財が安くなれば製品が売れる。
3.スマートな企業は、補完財をコモディティ化する。
ということ。
○感想
補完財と代替財というと言葉としては分かりやすいですが、実際の世界は入り組んでいて、なにが補完財でなにが代替財か分からないこともしばしばあるように思います。
インターネットではソフトウエアの配布コストが小さいので、安易に、ソフトウエアの無償配布作戦やオープンソース作戦を主張されがちです。
当社製品の競争相手にも無償化作戦を取っている会社がありますが、間違って、代替財をコモディティ化する戦略をとってしまったら、これは、自社製品の市場価格を自ら下げてしまうこと。その結果利益がでなくなりますので、これは自殺行為といえるでしょう。
自社製品にとって、何が補完財で、何が代替財かを深く考えないといけません。
補完財を狭く、厳密に定義するほうが、リスクは少ないと思います。




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AH Formatter V5.0 W3C CSS What’s newで紹介される

AH Formatter V5.0、W3CのCSSワーキング・グループのページで紹介されました。
http://www.w3.org/Style/CSS/
Antenna House released Antenna House Formatter Preview Version, a formatter that supports CSS 2.1, CSS3 Paged Media, GCPM, Multi-column, Vertical Text, etc. for XML and (X)HTML documents. Also supports SVG, MathML, and XSL-FO. (Windows, free technology preview version)
ところで、昨日・今日と麹町税務署の税務調査がありました。大体3年に一回ありますが、今年のテーマは海外取引ということで、海外関係の取引を根堀葉堀聞かれました。それは良いですが、W3Cの会費は、寄付じゃなくて、ほんとにビジネスにメリットがあるのか?その理由を説明できる資料を出せ、と言われて説明に難儀しました。寄付のつもりはないのですが。
でも良く考えてみると、TBLを教祖とあがめた宗教団体に入っているようなものかもしれない。すると寄付と解釈するのあながち的外れでもないかも。




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X-over Dev Con 2008 でAH Formatter V5.0によるCSS組版の講演

本日(9月4日)は、いよいよ2008年のX-over Development Conferenceの開催初日です。
長年開発してきたAH Formatter V5.0ですが、このConferenceでの発表を一つの目処にしようということで、この数ヶ月開発陣には頑張ってもらいました。
8月にはプレビュー版を公開しようとしていたのですが、昨日も書きましたように、ぎりぎりの前夜10時過ぎのプレビュー版公開となってしまいました。会場では、昨夜の10時までは待っていたのだけれど残念。という熱心な方もいて感激です。
開演5分ほど前の会場の様子です。
200809041425002.jpg
ご覧のようにかなり席が埋まっていて一安心です。昨年は、台風でやや出足が悪かったのか、それともXSL-FOはもう新しい話ではなためか、空席が目立ちました。今年の受講者は昨年よりは大分多いという印象です。
講演の内容は、CSSで作成した組版例を使って、主にCSS3+AH Formatter V5.0でできる機能の説明でした。
200809041506000.jpg
実際のところ私も詳しい技術的な話を聞くのは初めてでしたが、説明は良く分かりました。やはり、CSSの方がXSL-FOよりはかなりとっつきやすい、と改めて感じました。
こちらに、セミナーでの講演資料を公開しています。ぜひ、ご覧になっていただきたいと思います。
CSSによる組版のページ




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