Web 2.0という言葉を提唱したのは、Tim O’Reilly氏だそうだ。本書によるとO’Reilly氏は、次世代のWebは現在のシステムを超えるものになるはずなので、それはWeb3.0とは呼ばない(p.352)と述べているようだ。
なので、Web3.0という言葉は、安直な二番煎じそのものだが、本のタイトルの安直さと比べて、本書の内容は、最新の情報を取材を通じて整理しているという点で大変に充実している。
最新情報は、2008年7月頃まで盛り込まれているが、一番興味深かったのは、音楽や映像の配信を中心とする第3章。
コンテンツがインターネットを通じて、無料で配信される時代という現実に対して、著作権を盾に訴訟しまくる旧勢力と、無料配信は不可避との認識の下に、それをどうやって収益化するかということを考える新勢力。
新勢力の収入源としては、広告頼みというところが多い中、アーティスト達が、インターネット経由での音楽配信はPR手段として位置づけて、ライブチケットやキャラクタグッズでお金を稼ぐことにウエイトを移しているということろが面白い。
CDプレスとプロモーション活動を中核とする音楽出版社の時代は、インターネットによるマルチコピー流通にとって代わられつつあるのは確かである。
これは音楽だけではなく、記述された情報の多くもそういう方向をたどるものと思われる。音楽におけるCDに相当するのは紙への印刷である。では、音楽ファイルの形式に相当するのは、PDFかHTMLか?
それが問題。
○「神々のWeb3.0」
○音楽ファイル形式