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株式投資の考え方:暴落をチャンスに変えて利益を得るアイデア

株式投資の本道とは少しずれるかもしれませんが、株が安いときに買って高いときに売ることで利益を得ることができます。利幅を大きくするには、まず、できるだけ安くなった時に買うことです。

安くなるパターンについては、「株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する」で整理しました。

この応用例として、2023年に発生した米国金融危機によって下落した銀行株から、利益を得たケースを紹介してみます。

2023年3月10日に米国のシリコンバレー銀行が経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれました。次にニューヨークのシグネチャバンクが破綻、やはりFDICの管理下に。その後、5月1日に米国のファースト・リパブリック銀行も破綻しました。

米国の主要な銀行の株価の動きは、主要24銀行の株価で構成する KBW 銀行株指数(BKX指数)で把握できます。BKX指数は2023年3月1日の終値109.33から3月15日には81.08まで約26%下落しました。

下がったときに買う、という立場からみると、これは絶好のチャンス到来です。しかし、安く買うのは良いとしても肝心の銀行が破綻してしまうと株の価値はゼロになり購入資金が全損になってしまいます。幾ら安く買ったとしても全損になってしまうと致命的失敗です。

損失リスクを下げるために、銀行株をひとつだけ買うのはなく、いくつかの銀行株をパッケージで購入してリスクを分散するというアイデアを考えました。

例えば、5つの銀行株をパッケージとして購入します。仮に、その中のひとつの銀行が破綻してしまった場合、元本の5分の1が失われてしまいます。その場合でも残りの4行の株価が購入時から売却時までに25%上昇すれば、すくなくとも元本は回収できます。

BKX指数は金融危機前から26%下落しました。危機が収束して指数が元に戻るとすると株価は74%に下落した状態から100%に上昇することになります。この場合の上昇率は、100/74=1.35、すなわち35%です。なので仮に5行中1行が破綻しても若干の利益を得ることができるでしょう。

凡そ、このような計算を前提に、米国の金融危機の状況、FRBの対応状況、銀行の株価の動きなどを半年ほどリサーチ。最終的に2023年10月20日に5つの銀行株をパッケージとして買い付けました。

その後、約1年経過。本日(11月8日)までに5つの銀行の株を全部売却しました。成果は次の表にまとめたとおりです。12万4千ドルの投資で4万8千ドルほどの総リターンを得ました。投資額に対する利益率は39%です。

保有日数を加味して利益率を年率に換算すると概ね60%近くになります。売買益・配当は税込みです。

なお、この5銀行の選択にあたっては、株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法で説明した基準で銘柄を選定しています。すなわち、米国の主要株式インデックスであるS&P500に採用されている銀行をリストアップして、その中から、利益率が高く、配当利回りが高く、時価総額が比較的多いなどの基準で銀行を選択しました。

参考のためにBKX指数のチャートを示します。結果論ですが、株式を買い付けた2023年10月20日は銀行株の株価が金融危機後の底値に近く、その後急速に上昇しています。BKX指数は金融危機から1年程度で危機前の水準に回復しました。

なお、日本の平成金融危機をはじめ、さまざまな金融危機に際して、各国の金融監督当局がどのように活動したかについてのドキュメンタリーがいろいろあります。これらを読むと金融システムは危機に対してかなり脆弱だという印象を受けます。つまり、金融危機に対して、当局が対応策を一歩間違えると金融システムが破綻してしまう可能性がある、ということです。

そう考えると、ここで紹介したやり方がうまくいったのは幸運だったのかもしれません。




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株式投資の考え方:日本株投資と米国株投資の相違点を考える

1年ほど前に、主にデジタル化(DX化)の観点で、日本株と米国株の投資を比較すると米国株の方が個人投資家(中小企業の資産運用投資家を含む)にとって好都合になっていると説明しました。
日本に残っている「紙と電子の間」のベルリンの壁を壊せ」(2023年9月22日)

この時は投資家から見た株式市場のDXの遅れという観点だったので、今回、改めて少し幅広い観点で考え直してみます。

前回の要約

個人投資家にとって好都合な点を具体的に挙げると次の通りです。
(1) 米国株は1株から買い付けできるが、日本株は原則100株からとなり投資単位が大きい。
(2) 米国株は四半期毎(3か月に1回)の配当が多いが、日本株は半期毎の配当が主であり小さな銘柄では1年一回の配当である。
(3) 配当の権利確定日から配当が支払われるまでの日数でみると米国株は概ね30日程度であるが、日本株は90日程度かかる。
(4) 日本株は3月決算が圧倒的に多数で、12月決算と合わせると決算期が集中している。また、その結果、配当支払い月も集中している。しかし、米国株の配当支払い月は分散している。

その後、1年を経過しましたが、この事情はほとんど変わっていません。

上の項目は、個人投資家の観点、特に配当に偏りすぎなので、もう少し大局的な観点で考えて補足します。

決算締め日から決算報告までのスピード

日本企業も米国企業も四半期毎に決算報告をすることは同じですが、決算報告までのスピードが違います。直近では9月末(四半期)決算報告が予定されています。

これについては、米国企業は、10月中旬から始まり、概ね11月初旬には終わるようです。対して、日本企業の発表は、10月下旬から11月中旬が多いようです。

日本企業の決算発表は米国企業よりも1週間から2週間程度遅いのではないでしょうか。

為替レートの影響

日本株投資と米国株投資の大きな違いは為替レートの影響の相違です。

日本居住者が米国株直接投資をするには、円をドルに替える必要があり、買付時と売却時の円・ドルの為替レート変動の影響を受けます。米国企業のドルベースの株価自体は、円・ドルの為替レートには大きな影響を受けないようです。この影響は投資対象企業によらず一律になります。こうして、米国株投資では資金のドル・円転換時の為替レートを考えるだけで済みます。

日本株は円・ドル為替レートの影響は企業毎に異なります。つまり、円高になると輸入企業は増益、輸出企業は減益方向になります。つまり、株価への影響が企業毎に異なるので、判断が難しくなります。また、株価変動にドル・円為替レートが影響するので、変動が大きくなるようです。

この項は具体的なところはまだ分析できていませんので、あくまで予想です。

産業構造の違い

もっと本質的な相違として、日米の一番大きな相違点は産業構造の違いがあります。次のような相違があります。
・米国にはグローバルなビッグテック企業がある。
・新しいビジネスモデルで大きく成長する企業がある。
・地場のエネルギー資源会社(石油と天然ガス採掘)が多い。
・米国市場に上場している海外本社の会社が多い。特にカナダの会社など。
産業構造の違いは投資判断ではかなり大きな要因ですが、詳しくは今後の課題としたいと思います。

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初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例
8回目:8回目:株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する(前回)




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株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する

株式投資においては、まず、投資対象銘柄を安く購入することが大事です。そのためには株価が大きく下がったときにチャンスです。しかし、下がった株価がもとに戻り、さらに上がらないと売買の利益を得られません。そのため、株価が再び回復するかどうか、それまでどの位の期間がかかるか、投資資金をそれまで維持できるかを見通してから買う必要があります。

株価が下がったときは、下がった原因を見極めることが第一歩でしょう。下がる原因はその時々によって異なっているわけですが、下げの現象はいくつかのパターンにわけることができます。過去の同じようなパターンで株価がどのように動いたか、どのように回復したかを知っていると未来を予想する手掛かりをえられます。

次に大きく下げるパターンを簡単に整理してみましょう。

主要な銘柄の株価が一斉に下がる

日本市場なら、東証プライム登録銘柄の大部分の株価が一斉に値下がりするような状態です。この典型例は2024年8月5日株価暴落のような事態です。このときは、7月31日に日銀が政策金利を0.25%程度に引き上げたのをきっかけとする円高と米国の景気見通しの不安などが重なって暴落したとみられています。

このほか、近いところでは、2020年2月~3月のコロナショック(新型コロナウィルス感染症パンデミック発生)による株価の下落、2015年8月のチャイナ・ショックによる下落、2008年9月のリーマンショック(2008年9月15日リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけとする金融危機)による株価下落など歴史に残る下落があります。

こうした、歴史に残るような大きな下落以外にも、中央銀行の利上げ、景気先行きへの不安あるいは戦争の勃発などで株価が一斉に下落することがあります。

こうした過去の下落はいずれも回復していますが、回復に要する期間はそれぞれ異なっています。過去のチャートを研究して頭にいれておくことである程度の判断基準が得られます。

同一業界の銘柄の株価が一斉に下がる

最近の一つの例として、2024年10月4日、日本郵船、商船三井、川崎汽船の株価がそれぞれ前日終値比で516円(9%)、329円(6%)、223円(10%)急落したことが挙げられます。これに関しては、米国港湾ストの終結で上昇期待が剥落したということのようです。これは将来の業績への思惑から下げたケースにあたりそうです。

世界の海運株急落 米港湾スト終結で運賃上昇期待が剝落

このほか、最近(10月初旬)は、中東情勢の悪化で原油の価格が上がっています。これに連動して、米国市場の石油・天然ガス採取会社の株価が上がっています(下がったケースではないのですが…)。しかし、10月中旬には原油価格の下落で米国エネルギー企業の株価が若干下がっています。

業界の主導的企業が業績見通しを引き下げたことで業界全体の株価が下がることもあります。この例として、10月15日夜ASML(業界最大の半導体製造装置メーカ)の第3四半期決算が事前に漏れ、年間売上高見通しが期待外れになったため、株価が16%下落した。26年ぶりの大幅下落だそうです。この影響で他の半導体製造装置メーカの株価も大きく落ちています。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は5%強の下落となりました。

半導体製造装置の中国への輸出規制強化で、半導体製造装置メーカーの売上が変化し、株価が変動しています。これは地政学的な要因による株価変動になります。但し、政府の規制の場合は、強化されると回避策が働いて需給が変化するためか、規制強化が常に売上減になるといった関係が生まれるとは限らないようです。

個別株が下がる

個別株が下落する原因は、業績の悪化または悪化の予想により下げる場合と、業績とは直接連動しない、株式の需給関係に大別できます。

業績の悪化には、次のような項目があります。
・通期決算または四半期決算で赤字になる
・通期の決算または四半期決算が当初の目標を下回る
・利益の見通しが減益になる
・利益の見通しが下方修正される
・配当が減る(減配)

このような情報は、四半期決算短信などの企業の開示情報から得られるので、開示情報を確認しておく必要があります。一般的には業績の悪化もしくは悪化予想で当該企業の株価は下がることが多いのですが、事前予想によっては、上がることもあります。また、決算発表に際して、業績が下がっても配当を増やして株価を維持するといった対策も見られます。このように業績悪化が直ちに株価下落につながらないこともあるので注意が必要です。

特に、収益の悪化の原因が企業のビジネスモデルの劣化のような構造的要因にあると考えられる場合、業績回復には長い時間がかかるので株の購入は見送るべきでしょう。

業績の悪化が株価の需給の悪化を引き起こすほか、次のように業績の悪化と直接連動しない下落要因もあります。
・企業が新規の株式を売り出すことで需給関係が悪化
・大口株主が株を売却する(需給関係が悪化)
・証券会社が企業の投資判断を引き下げる

例えば、大規模な資産運用ファンドのマネージャが、投資先企業の業績を予想し、株価がピークを付けたと判断して、保有株を売却することがあります。この場合は、業績の悪化が公開になっているわけではないので、一般投資家には原因がわかりにくいものです。株価が原因不明で下がったときは、出来高を確認すると良いでしょう。

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初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例

前回(株式投資の考え方:投資成績の評価方法)は、株式投資の成績評価方法について弊社で行っている考え方を示しました。

考え方だけでは抽象的で分かりにくいので実際の例を紹介します。以下は、弊社で取得・保有している「積水ハウス」の例です。あくまで評価方法を考えるために取り上げているものです。

取引の履歴

初回買付は2022年6月17日で、1万株を取得し、金額は手数料込みで23,143,307円、一株あたり2,314.33円となります。
2023年8月17日に4,000株を売却しました。売却価格から取得原価を差し引いて2,166,398円の売却益がでました。
2023年10月4日に5,000株を取得して、累計保有株数が11,000株、取得額の残高は27,937,683円となっています。
この間、中間配当と期末配当を受け取り、配当金の累計金額は2,394,000円となりました。(いずれも税額控除前の金額です)。

評価

保有期間は9月25日までで832日。
売却と買付で残高が増減していますが、平均保有残高は24,638,616円となります。

2024年9月25日昼時点の「積水ハウス」の株価は、3,963.0円なので、評価額は43,593,000円となります。

9月25日時点での実現トータルリターン(実現トータル損益)は4,560,398円。
これに評価益を加えたトータルリターン(評価込みトータル損益)は20,215,715円となります。

平均残高で割って損益率を計算すると、実現18.5%、評価込み82.0%となります。これは保有期間832日に対する損益率なので、年率に換算すると年率実現利益率8.1%、評価込みでは年率で36.0%となります。

保有している銘柄についてこのような評価値を計算し、一覧表にして、パフォーマンスの悪い銘柄をカットしていくなどの措置を行うと良いでしょう。

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3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例(本記事)




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株式投資の考え方:投資成績の評価方法

株式投資に限らず、自分が行った投資判断が正しかったのかどうかを確認して、間違っていた場合は、それなりに軌道修正をする必要があります。そのためには、判断の根拠とするための評価データが必要です。

投資信託では、トータルリターンで評価することが多いようです。トータルリターンとは、インカムゲイン(投資信託の売買損益)とキャピタルゲイン(分配金)を合計したものです。

株式投資の評価もトータルリターンで評価するのが良いでしょう。株式投資でのトータルリターンは、株式売買の損益と配当金を合わせたもので計算します。

売買損益や配当金は税込みで計算するか、源泉税を控除したあとの金額で計算するか、といった選択肢があります。

さらに、評価損益を加味した金額で計算するか、といった選択の余地があります。

当社の資産運用では次のように評価しています。

1.確定トータルリターン(確定トータル損益)
=税込売買損益+税込受取配当金合計値

2.評価込みトータルリターン(評価込みトータル損益)
=税込売買損益+税込受取配当金合計値+評価損益額
=確定トータルリターン+評価損益額

※全売却済の株式では評価損益額はゼロになります。

資産が増えているか減っているかは、これで分かります。しかし、確定トータルリターンも評価込みトータルリターンも、売買しないままで年月を経過すると配当金が積み上がって大きくなります。これでは、効率性の評価ができません。

そこで、投資効率を評価するために、保有期間中平均購入残高で割って、収益率とし、更に、保有期間(年換算)で割って、年率のトータルリターンを計算します。

3.確定トータルリターン(確定トータル損益)(年率)
=(確定トータルリターン/保有期間中平均購入残高)/保有期間(年数)

4.評価込みトータルリターン(評価込みトータル損益)(年率)
=(評価込みトータルリターン/保有期間中平均購入残高)/保有期間(年数)

こうした数字を使って、投資がうまくいっているのか、うまくいっていないかを把握します。

うまくいっていない場合は、対応策を考えます。

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株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか

前回(株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法)は、投資先候補銘柄の選定法について、弊社の投資先選択に際して採用している考え方を紹介しました。

さて、ではこうして選択した投資先の銘柄をいつ買い・いつ売ったら良いのでしょうか? 株式の売買での利益(源泉税控除前)は、売値から買値を引いた差額(さらにそこから証券会社に払う手数料を引いた金額)なので、できるだけ安い値段で買い、できるだけ高い値段で売るのが良いことには異論の余地がありません。

できるだけ安い値段=最安値、できるだけ高い値段=最高値とすると、最安値で買い、最高値で売ることが理想ということです。しかし、これを実現するのは不可能です。それどころか、最安値、最高値を確定することもほとんどできません。なぜなら、これは期間の取り方に依存し、今日は最安値だったとしても、明日はさらに安くなるかもしれないからです。つまり未来まで予想しないと最安値は決まらないため、最安値で買うというのは不可能となります。同様に、最高値で売ることも不可能となります。

ということなので、売り買いのベストタイミングを確定することは何人にもできません。

株の売り買いの方法についていろんな本を読んだり、自分でもいろいろなやり方を試みているのですが、上のような理由からか、なかなか決定打といえるものは見いだせません。

科学であれば、ある人が発表した実験結果は、他の人が同じ方法で再現できるはずです。しかし、株の売り買いは他人の方法を本などで読んで真似してもなかなかうまくいきません。そうすると株の売買というのは科学ではなく、芸術の領域なのかもしれません。

そういってしまうと、話は終わりなのですが、昨日(9月12日)みずほ証券の中村克彦氏の講演を聞きにいったところ、氏曰く「順張りでは資産を増やせない。逆張りの発想が良い。新型コロナショックや8月5日大暴落のような機会に買うべきだ」とのことでした。これは私もほぼ同意見です。

新型コロナショックや8月5日大暴落のような日経平均が20%ほども下落する危機はめったにありません。このため、大暴落のタイミングを狙うだけでは、継続的に利益を上げるのは難しいでしょう。しかし、個別銘柄が(赤字決算以外で)大きく下げたタイミングを狙って買う、逆張りの買い方は比較的うまくいくようです(赤字決算で下げたときに買ってはいけません)。

大きな下げのチャンスに向けて計画を立てて、資金を貯めてじっくり待ち、チャンスが来たらぱくっと食べる。これが良いのではないでしょうか。そのためにはいつも多少お腹を空かせている必要もあります。

安く買うことができれば、あとは何時売っても利益がでます。利は仕入れにあり。商売は仕入れが重要なのです。

ところで、米国の陸軍レンジャー隊には「どんな計画も敵との交戦には生き延びられない。」という教えがあるそうです[1]。戦いは臨機応変、柔軟な対応が必須ということのようです。

計画をたてていてもいざ暴落になったらうまく対処できないということのないように。日ごろからの資金の備えと心の鍛錬が重要です。

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[1] 『AI覇権 4つの戦場』(ポール・シャーレ著、早川書房、2024年5月25日発行)




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株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法

初回(株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか)に、「良い会社の株価は、長い目で見れば、必ず上がる」と言いましたが、では良い会社とはどのような会社でしょうか。

最近読んでいる為替取引の教科書に株式と為替の違いとして「株式は資産と考えられるが、為替は資産ではない」という意味の説明があり「なるほど」と思いました。

株の資産価値とは

良い会社の基本は、保有している間に資産価値が増えるという観点で考えると分かりやすいでしょう。では株式の資産価値とはどういうことでしょうか。

会社法によって株式会社は貸借対照表を作成・公開することが義務付けられています。簡単にいうと、貸借対照表の資産総額から負債総額を引いた純資産がその会社の全体としての資産価値を表すと考えられます。会社全体の資産価値を会社が発行している株式の数で割ると「一株あたり純資産」を計算できます。

純資産は、税引後利益から、配当、自社株買いや役員報酬などを引いた残りを毎年積み上げたものです。株数は発行済み総株数から自社株数を引いたものなので、新しく株を発行すれば増え、自社株を取得すれば減ります。

ざっくり言うと、毎年の一株あたり利益から一株あたり配当を引いた残りの分だけ一株あたり純資産が増えることになります。

保有する株式数に一株あたり純資産をかけた額が、保有株の資産価値を表す目安となります。こうした考え方は、会社のオーナーとしての資産価値判断に近いといえます。

上場会社は、「一株あたり純資産」とは別に一株あたりの「取引価格」が市場で決まります。株主にとっては保有する株の資産価値を、その取引価格×保有株数によって評価できます。

最近は、上場会社の株価は株価純資産倍率(PBR: Price Book Ratio、株価÷一株あたり純資産額)が1以上であるべきだ、などと強調されています。つまり、取引価格である株価は一株あたり純資産額より高くあるべきだという考えです。

このように評価する基準は一つではないのですが、何にしても株式は交換価値と保有価値をもつ資産であるといえます。

良い会社とは

さて、当社では上場株式による資産の運用を行っています。資産運用にあたり、まず良い会社を選んで投資候補銘柄リストを作成します。

ここで良い会社と考える条件を大雑把にまとめると次のとおりです。

1.常に利益を出し続けていること
利益の基準としては原則として経常利益を用います。そして売上高に対する経常利益率が10%以上であることが望ましいとしています。毎年しっかり利益を出すとそれが積み重なって、純資産が確実に増えていきます。これにより資産価値が大きくなるわけです。また、原則として過去10年間は赤字を出していないことを条件とします。赤字を出す会社は、会社として社会に存在を認められていないと考えます。赤字を出し続ける会社は投資先としてふさわしくありません。

2.成長していること
売上や利益が年々増えていること。売上や利益が減少傾向にある会社は選ばないようにします。

3.毎年配当を出していること
配当利回り(年間配当÷株価(%))は4%以上あるのが望ましい。
配当性向(配当÷一株あたり利益(%))は高くないことが望ましい。
特別配当は毎年の配当とは考えられない(減配される可能性がある)ので含めない。
但し、株価は高くなったり、安くなったりするのに加えて、配当も半期単位で増減する可能性があるので配当利回りもかなり変動します。リストアップする時は、配当利回りの許容範囲を広くしておく方が良いでしょう。
会社は配当を出さずに、それを再投資に回す方が良いという考え方もあります。しかし、株主の立場からは、仮にインフレ率2.5%の状態で5年間株を保有すると、投資資金が12.5%も目減りしてしまいます。インフレ率を上回る配当があれば投資資金の目減りを心配することなく長期保有できます。

4.株価が割高でないこと
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio、株価を一株あたり利益で割った数字)が概ね15以下であること。但し、PERは分母が一株あたり利益という動きやすい値です。このため減益になると分母が小さくなる結果、PERが大きくなるなど変動が大きくなります。また、一株利益を実績値とするか予想値とするかでも変わります。こうしたことを鑑みると15という数字は絶対ではなく、一つの目安と考えます。

5.人気があり、売買し易いこと
株式投資は人気投票であると言われます。人気がある株は買われやすく需給から株価が上がりやすくなります。人気があるかどうかは、日本株であれば日経平均など有力な株価指標に採用されているかどうかで判断します。米国の株であれば、S&P500に採用されている銘柄を優先するわけです。また、流通している株数が少ないと、売り買いしようとするときに値段が付かないことがあります。また、自分の売り買いだけで、株価が動いてしまうことがあります。時価総額が大きい銘柄が売買しやすいと言えます。

評価の観点を分類すると1,2は会社の業績評価、3は長期保有し易いこと、4、5は株を売買する観点からの評価になります。こうした多角的観点で評価します。

会社の業績は経済環境のような外部環境、経営体制、新製品の売れ行きなどで変化します。そこで、四半期毎の決算発表などを参考にして、投資候補銘柄リストを随時更新していきます。

最後に、ここで説明した考え方は、かなり保守的、つまりなにかあっても大きな損失にならないという方針に基づくものであることを補足しておきます。

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初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法(本記事)
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?

前回(株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること)は、日経平均の変化を、夜間の変化と日中の変化に分解してみました。

その結果、通常時は夜間の変化と日中の変化の関連性(相関)は小さい。しかし、8月2日と8月5日は、夜間に大きく下落し、日中にさらにその下落幅が大幅に拡大した結果暴落となったことが分かりました。

夜間取引は日経平均先物取引(シカゴ市場や大阪市場)になります。この夜間取引には米国市場の取引が影響を与えているかもしれません。そこで、視野を少し広げて、ダウ平均、S&P500、NASDAQという米国市場を代表する3つのインデックスと日経平均の動きがどのように関係しているかを調べてみます。

最初に、日経平均と米国の3つのインデックスについて、6月6日から8月16日までの50営業日の基本統計量を確認すると、次のようになります。

範囲/平均値27.8%6.6%8.8%13.9%

日経平均 ダウ平均 S&P 500 NASDAQ
平均値 38,715.42 39,616.43 5,464.18 17,585.50
標準偏差 2,090.39 724.93 106.555 593.72
最小 31,458.42 38,589.16 5,186.33 16,195.806
最大 42,224.02 41,198.08 5,667.2 18,647.448
範囲 10,765.6 2,608.92 480.87 2451.642

※数値絶対値の単位:日経平均は円、米国インデックスはドル。以下、同様です。

ざっと見ると日経平均は他のインデックスと比べてかなり変動幅が大きくなっています。これは範囲(最高値と最安値の幅)を平均株価で割ってみると分かります。

この50営業日の間で、日経平均は平均値の上下に27.8%も変動しています。それに対してダウ平均が6.6%、S&P500が8.8%と小さく、NASDAQでも13.9%で変動幅は日経平均の半分でした。

次にこの4つのインデックスの動きを比較してみます。それぞれの変動範囲が異なるので、各インデックスの毎日の株価を偏差値に換算してからチャートに表してみます。(このチャートは各株価インデックスを平均からの偏差値に換算したものなので、変動の大きさの絶対値を表していません。ご注意ください。)

この図をみると、ダウ平均は、他のインデックスとはかなり異なる動きをしています。それに対して、他の3種のインデックスは比較的似た動きをしています。

そこでこの4つのインデックスの相関係数を求めてみると次の表のとおりです。

日経平均 ダウ平均 S&P 500 NASDAQ
日経平均 1
ダウ平均 0.22 1
S&P 500 0.84 0.51 1
NASDAQ 0.91 0.22 0.94 1

日経平均とNASDAQの動きがかなり似ています。米国株同士ではS&P500とNASDAQの動きが似ていますが、これはS&P500の中にNASDAQの有力銘柄が含まれているので自然です。

一方、日経平均とダウ平均は、この期間で見る限り、あまり連動していません。

上の表は日経平均と同じ日付の米国インッデクスとの相関を調べたものです。時差を加味すると日経平均の動きが米国株に影響を与えているかという観点で見ていることになります。そこで、米国株の動きが日経平均に影響を与えているかという観点で見るため、1日前、2日前の米国株インデックスと日経平均の相関も調べてみました。

ダウ平均 S&P 500 NASDAQ
同日 0.22 0.84 0.91
1日前 0.14 0.81 0.89
2日前 0.01 0.70 0.82

この表からは、日経平均と同日の米国株インデックスの相関が最大で、日経平均と前日の米国株インデックスの相関は少し小さく、日経平均と前々日の米国株インデックスの相関はさらに小さくなっています。このことから、この分析期間中は米国株インデックスが日経平均の下落の影響受けて下落した傾向もあると言えるでしょう。

株価の動きのまとめ

さて、この50営業日の株価の動きと上で調べた結果から考えられることをまとめてみます。

1.8月16日までの50営業日では、日経平均とNASDAQの変動は似通った動きをした。
2.変動の幅ではNASDAQより日経平均が2倍程度大きかった。
3.NASDAQは7月10日に最高値を付けてその後下落を始めた。一方、日経平均は7月11日に最高値を付けて下落を始めた。日経平均の動きがNASDAQに1日遅れていることから、この時点では日経平均はNASDAQの下げを追随しているようです。
4.両者は7月最終週まで下落傾向にあったが、7月31日に日銀が利上げを発表した時点では一旦少し上がった。
5.翌8月1日から日経平均は3日連続で合計7,643.40円下げ(7月31日終値の約20%の下げにあたる)。この間NASDAQも3日連続で合計1,399.32円の下げとなった。これは7月31日終値の約8%の下げにあたるのでNASDAQの動きは日経平均に同調したが変動幅ははるかに小さかった。
6.日経平均は8月5日に31,458.42円で底となり、その後、8月16日までで5,255.16円上げた。NASDAQは8月7日の16,195.806ドルが底となり、その後、8月16日までで1,435.914ドル上げて、既に7月31日の株価を上回った。

ダウ平均はNASDAQとは異なる動きをしています。恐らく、投資資金の一部がNASDAQ銘柄からダウ銘柄に移動しているのでしょう。

なお、いうまでもないことですが、日米株価の相関が高いことは因果関係があることを示しているわけではありません。日米両方の市場で投資活動を行っているグローバル投資家が日米両方の市場で同じような売り買いをしているためでしょう。

こうしてみると、8月1日からの株価の下げは株価だけをみるだけでは原因が分かりません。恐らく、7月11日のNASDAQ急落以降の下げのダメージに加えて、日銀利上げによる円高ショックが8月5日の暴落の原因なのでしょう。特に日本株については、為替レートの変動が大きい影響を与えているようです。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?(本記事)
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること

前回(株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか)は、株価の暴落を事前に察知できず暴落に巻き込まれてしまったときは、なにもしないで株価がもとに戻るのを待つのが良い選択になるかもしれない、と書きました。

このようなことがいえるのは自己の(余裕)資金で現物株を保有していることが前提になります。

信用取引をしているときはそういうわけにはいきません。信用取引には、①清算期限があるのでのんびり待てない、②資金を借りるコストがかかる、③保有している株価が大幅に値下がりしたときは追加の信用取引保証金が必要になる、といった問題があります。

従って、信用取引をしている場合は、起きている事態を見極めて迅速に手を打たなければなりません。

では、株価が下がるかどうか、上がるかどうかをできるだけ早く見極めるにはどうしたら良いでしょうか。ここでは2024年8月5日の暴落を中心とする日経(225銘柄)平均株価の最近の動きを分析して何が学べるかを考えてみます。まとめるには少し気が早いかもしれませんが・・・

日経平均株価の毎日の動きは次のように表すことができます。

(当日の)終値の前営業日の終値からの変化
=(当日の)始値の前営業日からの変化+(当日の)日中の変化
=夜間の変化+日中の変化

日経平均が上がった、下がったというのは、終値の変化をいいます。上の式では「(当日の)終値の前営業日の終値からの変化」にあたります。

終値の変化は、上の式のように夜間の変化と日中の変化に分解できます。図で示すと次のようになります。

この3つの日経平均株価はどんな関係があるのでしょうか。2024年6月7日から2024年8月16日までの49営業日について調べてみます。

2024年6月6日の終値は38,703.51円、8月16日の終値は38,062.67円です。6月7日から8月16日の49営業日で終値が640.84円下げており、1営業日あたり13.08円の下げとなっています。

この49日間の日経平均株価の変化の基本統計量を計算すると次の表のとおりです。

夜間の変化 日中の変化 終値の変化
平均値 -23.209 10.130 -13.078
標準偏差 339.331 795.883 997.103
最小 -682.160 -3,790.940 -4,451.280
最大 618.910 2,598.130 3,217.040

夜間の変化と日中の変化を比較すると、夜間の変化の標準偏差より、日中の変化の標準偏差の方が倍以上になっているので、主な変化は日中に起きていることがわかります。最小値、最大値(の絶対値)も日中の方が大きくなっています。日中の日本市場の参加者が多いことからこれは自然な傾向です。

8月5日は最大の下げとなった日ですが、660.34円(1.8%)下げて始まり、日中の下げ幅が3,790.94円、終値4,451.28円(12.4%)の下げとなりました。

次は、この3つの株価の変化の相関係数を調べてみます。

夜間の変化 日中の変化 終値の変化
夜間の変化 1
日中の変化 0.45 1
終値の変化 0.70 0.95 1

ここから、夜間の変化と日中の変化の関連性は比較的小さく、日中の変化と終値の変化の関連性が比較的高いことが分かります。

次に、夜間の変化を横軸に、日中の変化と終値の変化を縦軸にとって日々の株価の変化をプロットしてみました。

これを見ると、夜間に概ね600円程度の上げまたは下げがあった場合、日中にその上げと下げをさらに拡大する方向に動き、結果として終値の上げと下げが、夜間の上げと下げよりもかなり増幅されたことがわかります。

夜間の下げが大きかった8月2日と8月5日、夜間の上げが大きかった8月6日と16日を除いて、3つの株価の変化の相関係数を計算してみました。

夜間の変化 日中の変化 終値の変化
夜間の変化 1
日中の変化 0.069 1
終値の変化 0.65 0.80 1

この結果からわかることは、平常の期間においては、夜間の上げ・下げと日中の上げ・下げはあまり関係がないようだということです。

前のグラフと合わせると、夜間の上げ・下げが非常に大きい場合にのみ日中の上げ・下げは夜間の上げ・下げを増幅する方向に動くようです。

日経平均先物の株価の動きから、日経平均始値をある程度予想できます。従って、信用取引をしているときは、先物株価の動きから日中の株価の動きを早めに察知して、リスクを小さくするための対策ができるかもしれません。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること(本記事)
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか

2024年8月5日は日本株の投資家にとっては受難の日でした。

日経平均(225)は、8月5日 1日だけで4,451円(前日比12.4%の下げ)という歴史的な暴落を記録しました。それから1週間経過、まだ砂塵が収まらない状態ですが、この機会に株価の暴落に対して投資家がどのように対処するべきかを考えてみました。

まず、株式に投資する人は「良い会社の株価は、長い目で見れば、必ず上がる」ということを信じる必要があります。逆に、そのことを信じない人は、個別投資だろうがインデックス投資だろうが、そもそも株式投資をしてはいけません。

しかし、株価はかなり大きく変動します。これは歴史を振り返ってみればすぐにわかることです。例えば、近いところでは、2020年の2月頃から4月にかけて起きた新型コロナウィルス感染症パンデミックでは20%程度暴落しました。それ以外にも21世紀に入ってから、既に数回の暴落が起きています。

こうしたことを考えれば、株価が暴落したときどう対処するべきかは、日ごろから考えておかないといけないことと言えます。

さて、現在、1,000万円(評価額=取得額とします)の株を保有しているとします。明日、20%下落してしまったとしたらどうしたら良いでしょうか?

極端なケースとして、(1)何もしない場合と、(2)下がったところで売却(損切)するケースを比較してみましょう。先に、株価は必ず上がると言いましたが、ここで仮に株価が2年後に元に戻ったとしましょう。

1000⇒800⇒1000と変化するという想定ですが、この場合、下落率は20%、下落からの上昇率は25%ということになります。

(1)何もしない場合

今日の評価額:1,000万円
明日の評価額: 800万円
株価が2年後に回復したとして2年後の評価額:1,000万円

結果:2年後にはチャラになります。

(2)下がったところで売却して損切する

今日の評価額:1,000万円
売却した現金: 800万円(売却損:200万円)
明日の評価額:  0万円
株価が2年後に回復したとして、2年後の評価額:0万円(売却損:200万円)

売却しないで保持するケース(1)では2年後に株価がもとにもどればチャラになります。なお、2年間で配当金を得ることができれば、その分投資成績がプラスになります。つまり株価が暴落して、元に戻るのを待つとき、配当がかなり重要な利益源になるということです。

一方、売却するケース(2)では、売却した時点で損失が確定します。但し、損失が確定する代わりに800万円の自由に使える資金が確保できるので、それを2年間で125%を超えるリターンを得られるような新しい投資先を見付けることができれば(1)のケースよりも良い投資成果を生み出せる可能性もあります。現金化して何もしないのが最悪で200万円の損失で終わってしまいます。

保有している株が暴落する前に、それを察知して、暴落する前に売却して現金化しておくことができれば理想的です。しかし、神様でもない限り、それはなかなか困難です。そこで株式投資家は、保有している株が暴落したときどう対処するかを常にシミュレーションして考えておく必要があります。

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初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか(本記事)
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
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