カテゴリー別アーカイブ: Office活用

月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(59)もう一つのスタイルー表スタイル

Microsoft Wordではリボンの「挿入」で表を新規に作成できます。

表スタイルギャラリー

作成済みの表を編集するには、編集画面で作成済の表を選択して表示される「テーブルデザイン」と「テーブルレイアウト」メニューを使います(図上)。

「テーブルデザイン」を選択すると表のデザインを編集するリボンが表示されます。表全体、行、セルを選択してから、リボンのメニューを使って上下左右の罫線の種類を設定したり、背景色を指定したりなど、自由度が高いデザインができます。

「テーブルデザイン」には「表のスタイル」というグループがあります(図下)。「表のスタイル」には予め罫線の線種・色、背景色の組み合わせパターンがギャラリーとして登録されています。
ギャラリーに登録されているパターンはグループに分かれています。一番先頭行はモノクロ・スタイルパターン7種類で、「標準の表」というグループ名が付いていて、それぞれの名前は次のようになっています。

ギャラリーには、ほかに「グリッドテーブル」グループ7列×7行=49種類、「表(一覧)」グループ7列×7行=49種類が登録されています。「標準の表」グループと合わせて105種類となります。

さらに、ギャラリーの下のメニューで各スタイルを変更したり、新しいスタイルを作成して名前をつけて登録できます。

スタイルの適用

Wordのリボン「ホーム」のスタイルグループにテキストに対する推奨スタイルのギャラリーが用意されています。このスタイルギャラリーの下に「スタイルの適用」というメニューがあります。

「スタイルの適用」メニューでは、文書で指定できるすべてのスタイル名を表示することができます。表スタイルに分類されるものは、先頭に表のアイコンが付いています。

表のスタイルを選択すると、そのスタイルを適用した表を直接作成できます(次図)。

組み込み表スタイルは247種類

「スタイルの適用」メニューには文書で指定できるすべてのスタイル名を表示することができます。自分で作成したカスタムスタイルも表示されます。

一覧の中から、表スタイルに分類されるものをピックアップしてリストにしたのが次のPDFです。
List-Table-Style
Microsoft Word 2021では、驚くことに組み込み表スタイルは全部で247種類もあります。

残念なことに、私自身はこれまでWordの組み込み表スタイルを使った経験はほとんどありません。これらの表スタイルはどの程度活用されているのでしょうか?

【前回】(58)Word文書内の箇条書きをチェックしてみると

◆シリーズ総目次:Microsoft Wordのスタイル探索




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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(58)Word文書内の箇条書きをチェックしてみると

Microsoft Wordでマニュアルなどの長文文書を制作するときの課題の一つにスタイルの統一があります。スタイルには、書き方(書記方法)、レイアウト、および文書構造(見出しスタイルなど)といった側面があり、多面的です。

書記方法の統一については意識している方も多く、日ごろから行われています。文書をPDFとして配布するにはレイアウトスタイルの統一も重要です。文書構造はWord文書をHTMLに変換してWebページ化するときに重要になります。PDF出力とHTML変換では別の配慮が必要です(参考資料)。

PDF作成時のレイアウトスタイルの統一、HTML変換のための文書構造統一は、原稿を執筆する際に、Wordのスタイル機能を活用することによって解決できます。

今日は、現在開発中の当社製品新バージョンのマニュアル(Wordで制作中の草稿です)をチェックしていたところ、箇条書き(行頭記号付き箇条書き、以下同様)に予想外のパターンがあることを見つけました。箇条書きのレイアウトスタイルの統一という課題の参考資料としてご紹介します。

箇条書き指定箇所のスタイルの具体例

次の図は本マニュアル中に登場する箇条書きの例です。表示で下書きモードを選択することにより、各段落に適用されているスタイルを左余白に表示しています。

上の図でケース1がデフォルトです。次の操作と結果をデフォルトとして想定しています。
1. Wordの箇条書きを設定する一番シンプルな方法は、①本文段落上にカーソルを置いて、②リボン「ホーム」の段落グループの「箇条書き」をクリックする
2. 段落に「標準」スタイルが適用されているときは、段落スタイルは「リスト段落」となる
3. 箇条書きの記号は左揃えで左インデント0(印刷領域左端に寄せて配置)、箇条書きの項目の文字先頭までデフォルトのタブ幅が取られる
4. 箇条書きの行頭記号は、レベル1では●(Wingdingsフォントの108)になる
5.箇条項目の上にカーソルを置き、段落グループの「インデントを増やす」をクリックすると、当該項目の左インデントが増加し、レベルが増える。レベルに応じて行頭記号が変化する

Wordでは、上記のデフォルト以外の操作でも箇条書きを指定できます。操作方法の違いのため、箇条書き指定箇所にスタイルの相違がでてしまうことがあります。

デフォルトとの相違点と想定発生原因

ケース2~ケース6はデフォルトと異なります。どのような編集操作をしているのでしょうか? Wordの機能と合わせて調べてみました。自分で編集した文書でないので推測も交りますが、結果は次のようになります。

ケース2
レベル1の箇条書きの行頭文字が異なります。この行頭文字は、MS PゴシックのU+30FB(カタナカ中点)です。
レベル2の行頭文字は、Wingdingsフォントの216で、これはデフォルトです。

ケース3
箇条項目の段落スタイルに「標準」と「リスト段落」が混在しています。
行頭文字の位置に6.3ミリのインデントがあります。
箇条項目の行頭文字(●)がデフォルトより小さくなっています。これはWingdings2フォントの黒丸でしょう。●はいろいろありますが、フォントによって大きさが違うので注意が必要です。

ケース4
箇条項目の段落スタイルがすべて「標準」で、それ以外はケース3と同じです。Word 2007以降では、「標準」スタイルの段落に「箇条書き」を設定すると、「リスト段落」スタイルに変わるので、箇条項目の段落スタイルを「標準」にはできないはずです。一体、どういう操作を行ったのでしょうか。(なお、Word2003と同じ設定になるオプションを指定するとできます。)

ケース5
箇条項目の段落スタイルが「標準(Web)」になっています。段落スタイルに「標準(Web)」という組み込みスタイルを指定してから、「箇条書き」を設定するとこのようになります。

ケース6
箇条書きの段落スタイルに「リスト段落」と「標準(Web)」が混在しています。「箇条書き」を設定する前の段落スタイルが項目によって異なる状態だったのでしょうか?

問題点

ここに挙げたケース2~6の中でPDFを配布する上で問題になるのは、文字の種類(記号の字形)と揃え位置が異なる、ケース2~4でしょう。箇条項目にどのような段落スタイルが適用されているかはPDFを作る上で、今回のケースでは問題になりません。ただし、場合によっては問題になるかもしれません。

『HTML on Word』でHTMLに変換するときは、現在のところ、問題はありません。

Wordの段落スタイルを使用するメリットの一つは、段落スタイルによるレイアウトの統一管理にあります。例えば、レイアウトを一括して変更するなどの操作ができることです。そうした操作をすると設定されているスタイルの相違が問題として顕在化する可能性があります。

ここに挙げたケースは、Wordで箇条書きを設定した時に生じる段落スタイル設定の氷山の一角と思われます。想定外の誤りを避けるには予め編集ガイドを作成して、担当者に渡すなどの対策が必要かもしれません。

参考資料

Word文書とHTMLの構造の違いによる変換時の留意事項

【前回】(57)Wordのリンクスタイルとは? その挙動を理解する
【次回】(59)もう一つのスタイルー表スタイル

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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(57)Wordのリンクスタイルとは? その挙動を理解する

以前に連載(53)組込スタイルの種類と継承関係で、Wordに組み込まれているスタイルの一覧を調べました。そのとき、組込スタイルの種類には、①段落スタイル、②文字スタイル、③リンクスタイルがあると説明しました。この中で、リンクスタイルはどのようなものかわかりにくいと思います。そこで、実際に使用して動作を確認してみましょう。

スタイルの種類は、Wordの編集画面の「スタイル」ウインドウで確認できます。次の図で赤枠で囲ったのがリンクスタイルです。ここでは、見出しスタイル、表題、副題がリンクスタイルに分類されています。組込スタイルのうちリンクスタイルは、全部で40種類あります。

リンクスタイルの設定の仕方

段落の上にカーソルを置いた状態で、リンクスタイルを適用すると段落全体に適用されます。次の図[1]の一番上の「WordからHTMLファイルに出力」という見出し2の行がその適用例です。

段落の中のテキストを選択して、リンクスタイルを適用する時は、「スタイル」ウィンドウの下にある「リンクされたスタイルを使用不可にする」のチェック有無で機能が変わります

デフォルトの状態ではチェックがありません(次図赤枠)。このとき、次のように動作します。
(1) 段落のテキストの一部を選択した状態(図①)で、リンクスタイル(この例では「見出し2」)を適用する(図②)と、選択範囲のみにそのスタイルが適用(図③)されます。この例では、元の段落は「標準」スタイルで、部分的に「見出し2」スタイルを適用した後も、この段落は「標準」スタイルのままです。これを仮に「インライン」設定と呼ぶことにします。

(2)「リンクされたスタイルを使用不可にする」にチェックが入った状態で(2)と同じ操作をしてみます。段落のテキストの一部を選択して(次図①)、リンクスタイルを適用する(次図②)と、段落全体にそのスタイルが適用(次図③)されます。段落全体が「見出し2」となります。これを仮に「ブロック」設定と呼ぶことにします。

このようにリンクスタイルの設定状態には「インライン」と「ブロック」の2種類の設定方法があります。

インライン設定の挙動

インライン設定ではリンクスタイルは文字スタイルとして働き、ブロック設定では段落スタイルとして働いているようです。インライン設定の扱いについて、もう少し試してみましょう。

例1. 段落の罫線と背景色
見出し2のスタイルを変更して、①文字の色をダイダイ色に変更、②上下に罫線を設定、③背景色を設定します。「罫線と網掛け」ダイアログでは罫線と背景色の設定対象は段落となっています。

スタイルの変更を適用した後の編集画面は次のようになります。見出し2をブロック設定した段落は期待通りです。しかし、インライン設定した部分は、文字の色と背景色だけが変更され、罫線は適用されていません。

罫線の設定対象が段落になっていますが、背景色は文字単位に適用されるようです。「罫線と網かけ」ダイアログの表示が、実際の動作と異なっているのかもしれません。

例2. 「標準」スタイルを変更してみると・・・
標準スタイルの文字サイズを18ポイント、背景色を水色に変更してみます。すると、インライン設定のある段落は次図のように変わります。

これをみると「見出し2」をインライン設定した範囲は、標準スタイルの変更が反映されていません。「見出し2」スタイルのインライン設定状態が優先されていることがわかります。

インライン設定と文字スタイルは同じ?

リンクスタイルのインライン設定は、文字スタイルに似た挙動になっているようです。しかし、リンクスタイルのインライン設定の挙動は文字スタイルと完全に同じではありません。例えば、段落の一部テキストに①「斜体」スタイルを指定し、②斜体スタイルを変更すると、テキストの周りに罫線を引くことができます(次図)。

文字スタイルを変更するときの「罫線と網掛け」ダイアログでは設定対象が文字になっています[2]


[1] Word編集画面の「表示」を下書きモードにして、左余白にスタイル名を表示しています。
[2] これは、リンクスタイルのインライン設定と文字スタイルの相違というよりも、Wordの編集ダイアログの都合上でそうなっているのかもしれません。

【前回】(56)Wordで索引を作成するー数多くの索引項目を効率的に登録する三つの方法
【次回】(58)Word文書内の箇条書きをチェックしてみると

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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(56)Wordで索引を作成するー数多くの索引項目を効率的に登録する三つの方法

前回は本文中に索引項目を登録する基本的な操作を説明しました。冊子本のボリュームが多いときには索引項目の数が多くなります。そこで、次に数多い索引項目を効率的に登録する三つの方法を紹介します。

1. キーボードショートカットを使う
2. 蛍光ペン検索とキーボードショートカットの合わせ技
3. 索引自動登録機能を使う

1. キーボードショートカットを使う

索引登録項目が多いときは、キーボードショートカットを使うと効率的です。

索引登録ダイアログを開くには、リボン「参考資料」の「索引登録」をクリックする代わりに、キーボードで[ALT]+[Shift]+[X]キーを同時に押す方法(キーボードショートカット)が使えます。このキーボードショートカットは索引登録ダイアログが開いている状態では、索引項目を索引登録ダイアログに取り込みます。例えば次の図のように、①索引のフォームが空白の状態で、②編集画面で索引項目を選択、③選択した項目を[ALT]+[Shift]+[X]キーで索引フォームに取り込みます。

また、索引登録ダイアログの「登録」ボタンをマウスでクリックする代わりにキーボードで、[ALT]+[M]キーを同時に押すか、[Enter]キーを押す方法が使えます(上図の右のように「登録」ボタンが有効な状態になっているときのみ)。

キーボードショートカットを使って連続登録する手順は次のようになります。最初の索引項目登録で索引登録ダイアログを開き、二つ目からはダイアログを開いたまま登録します。
① 編集画面上で索引項目を選択する
② [ALT]+[Shift]+[X]キーで索引登録ダイアログを開く。選択された索引項目が索引登録ダイアログに取り込まれる
③ 取り込まれた索引項目の内容を確認して、[ALT]+[M]キーで登録する。
④ 索引登録ダイアログを開いたまま、編集画面上で次の索引項目を選択する
⑤ [ALT]+[Shift]+[X]キーで索引登録ダイアログに索引項目を取り込む
⑥ 取り込まれた索引項目の内容索引項目を確認して、[ALT]+[M]キーで登録する
⑦ ④~⑥を繰り返す

2. 蛍光ペン検索とキーボードショートカットの合わせ技

前項では、編集画面上で次の索引項目をひとつずつ指定しました。その代わりに索引項目をあらかじめ蛍光ペンで指定しておき、蛍光ペンを順番に検索しながら索引登録することもできます。蛍光ペンの検索は、「置換と置換」ダイアログを開き、検索条件「書式」の「蛍光ペン」を指定します。

また、初回の検索条件で検索した後は、「置換と置換」ダイアログを閉じても、キーボードショートカット[Ctrl]+[PageDown]を使って、同一条件で次の検索ができます。
*[PageDown]キーが[Fn]+[↓]に割り当てられているときは、[Ctrl]+ [Fn]+[↓]

蛍光ペンの検索を使うと、前項④の「索引登録ダイアログを開いたまま編集画面から次の索引項目を選択」する操作を「索引登録ダイアログを開いたまま編集画面で、次の蛍光ペンを検索して、索引項目を選択する操作」で代替ができます。

蛍光ペン検索とキーボードショートカットの合わせ技の具体的な操作手順は次のようになります。
① 索引項目をあらかじめ蛍光ペンで指定しておく
② リボン「ホーム」から「置換と置換」ダイアログを開き、検索条件「書式」の「蛍光ペン」を指定し、蛍光ペンを1回検索して検索ボックスを閉じる
③ [ALT]+[Shift]+[X]キーで索引登録ダイアログを開く。②の検索でヒットした蛍光ペンの索引項目が索引登録ダイアログに取り込まれる
④ 取り込まれた索引項目の内容を確認して、[ALT]+[M]キーで登録する
⑤ [Ctrl]+[Tab]キーでカーソルを登録ダイアログから本文に移す
⑥ [Ctrl]+[PageDown]キーで次の蛍光ペンを検索する
⑦ [ALT]+[Shift]+[X]キーで索引登録ダイアログに索引項目を取り込む
⑧ 取り込まれた索引項目の内容を確認して、[ALT]+[M]キーで登録する
⑨ ⑤から⑧の操作を繰り返す
⑩ 全索引項目の索引登録が済んだら、索引項目の蛍光ペンをすべて削除する

この技をつかうと、最初に、蛍光ペンで索引項目を指定しておくと、ほぼキーボード操作のみで連続的に索引登録ができます。ただし、操作には慣れが必要です。もし、うまくいかないときは索引登録ダイアログの「登録」ボタンの状態を確認すると良いでしょう。

「登録」ボタンが有効(図の左)のとき、[ALT]+[M]キーで索引項目の登録ができます。また、[Ctrl]+[Tab]キーで制御を編集画面に移動したとき、「登録」ボタンが無効(図の右)となり、[Ctrl]+[PageDown]キーで蛍光ペンの検索ができます。

上記の手順では、⑥で「登録」ボタンが無効になり、⑦で「登録」ボタンが有効となっています。

3. 索引自動登録機能を使う

索引ダイアログ(リボン「参考資料」の「索引の挿入」で開く)の自動索引登録ボタン(図)で索引項目を一括登録できます。

このためには「一括登録」用索引項目の表形式データ(データファイル)を用意しておきます。データファイルの形式の例は次のように、一列目が索引項目、二列目にXEフィールドの内容です。

自動索引登録ボタンをクリックすると「ファイルを開く」ダイアログが表示されるので、あらかじめ用意したデータファイルを呼び出します。すると、Wordが表の一列目に記載されている索引項目を文書中で検索して、ヒットした箇所にXEフィールドが挿入するという処理を行います。

自動登録の索引登録では、文書中の索引項目を全文検索するのと同じ数の索引箇所が登録されます。重要でない箇所まで端から索引登録されてしまう欠点があるため、使える索引用語が限られそうです。

【前回】(55)Wordで索引を作成するー基本操作、Wordの索引の問題点とその解決策
【次回】(57)Wordのリンクスタイルとは? その挙動を理解する

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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(55)Wordで索引を作成するー基本操作、Wordの索引の問題点とその解決策

マニュアルや書籍のような冊子本には、通常、索引が用意されています。今回は、Wordによる索引作成操作の基本を説明し、Wordによる索引作成の問題点について考えてみます。

索引とは

索引は、冊子本の内容を探すためのキーワード(索引項目)と、その索引項目が本文に現れるページ番号をリストアップしたページです。次の図は索引の例です。

上の索引ページを見ると、例えば「相互参照」という項目があり、そこに60と85という数字が付随しています。これは「相互参照」という項目は60ページと85ページに出てくることを意味しています。

冊子本文の85ページを開くと、次のように相互参照という用語がでています。

この例で示したように、用語がどこにでてきたのか分からないときでも、索引を使うとそのページを簡単に探すことができます。

次にMicrosoft Wordによる索引作成の基本を説明します。

索引作成では、①文書の本文中に索引項目を登録する作業を行い、すべての索引項目の登録が終わったら、②索引ページを作成します。

本文中に索引項目を登録

編集画面上で索引項目を登録するには、リボン「参考資料」の「索引登録」をクリックして表示される索引登録ダイアログを使います。

索引項目を選択(図①)して、「索引登録」ボタン(図②)をクリックすると、索引用語と読みが入力されたダイアログ(図③)が開きます。

このまま索引項目を登録するなら、ダイアログ下部の「登録」ボタンをクリックします。するとカーソルの位置に索引項目が挿入されます。

索引項目が文書中に挿入されると、その設定内容が、画面上に索引項目フィールド(XEフィールド)(図①)として表示されます。XEフィールドを非表示にするには、リボン「ホーム」の段落グループにある「編集記号の表示/非表示」(図②)をクリックします。

索引ページの作成

本文中の索引項目の登録が一通り終わったら、索引ページを作成します。

索引ページの作成は、リボン「参考資料」の「索引の挿入」ボタン(次の図①)をクリックします。すると索引登録ダイアログ(図②)が表示されるので、必要ならオプションを選択して「OK」をクリックします。

Wordの索引の問題点

このように、索引項目の設定から、索引ページ作成までの基本操作は簡単です。ただし、Microsoft Wordで作成できる索引は、紙に印刷して製本した冊子用であり、もはや時代遅れになっているという問題があります。

索引ページの索引項目には、本文でその索引項目が現れるページ番号が表示されます。紙で印刷・製本して冊子本としていた時代にはそれで良かったのです。

しかし、現在は、Wordで作成した本の出版媒体は、PDFやWebページが中心になっています。PDFにはリンク(リンク注釈)という機能[1]があります。リンクを使えば索引項目のページ番号をクリックして本文で索引項目が現れるページとその位置に直接ジャンプできます。

またWebページではもはやページ番号はありません。索引項目にリンクを設定しておき、索引項目のリンクをクリックしたら、ブラウザは本文で索引項目が現れる位置を表示するのが普通です。

PDFやWebページは、索引の代わりに全文検索があれば良いとお考えの方も多いかもしれません。しかし、全文検索ではヒットする箇所が多すぎるので、索引を使いたいという要望も多いのではないでしょうか。

しかし、Microsoft Wordでは出力したPDFやWebページの索引から本文の索引項目へのリンクを設定できません

そこで、当社のOSDC(PDF)、Docx to HTML/HTML on Wordの最新版で、Wordの索引の弱点である索引ページから本文へのリンクを、独自解析により自動的に設定する機能を用意しました。

次回以降、Microsoft Wordの索引作成機能について詳しく説明すると同時に、OSDC(PDF)、Docx to HTML/HTML on Wordによる問題解決について紹介いたします。

参考資料

[1] PDFにおけるリンクの仕組み、設定方法、サンプルとブラウザのPDFリンクサポート状況
[2] Office Server Document Converter (OSDC)
[3] Docx to HTML
[4] HTML on Word

【前回】(54)Wordの段落番号のレイアウト
【次回】(56)Wordで索引を作成するー数多くの索引項目を効率的に登録する三つの方法

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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(54)Wordの段落番号のレイアウト

4年近く前、本連載の19回目「Microsoft Wordスタイル探索(19)―Wordで箇条書きのレイアウトパターンを指定する方法(続き)」(以下、前回といいます)で段落番号の配置についての探索結果を報告しました。

前回のおさらい

今回、段落番号の配置をもう少し掘り下げてみます。まず、前回、右クリックメニューの「リストのインデントの調整」で①番号の配置、②インデントの設定例を示しました。このときの設定例は次のとおりでした。

番号の配置で、本文領域左端から箇条番号の左端の距離を設定し、インデントで本文領域左端から箇条内容の開始位置までの距離を設定します。
上部のルーラーに表示されている値は文字数です。7.4㎜は2文字に相当しています。
この設定では本文領域左端から段落番号まで2文字分の空きを確保し、さらに2文字分空けて段落本文を開始しています。

番号の揃え方の設定変更

Wordの段落番号ライブラリでは、ダイアログの下部に「新しい番号書式の定義」メニューがあり、番号の配置を変更できます。


前回は、この設定の説明を省略していましたが、段落番号の配置を左揃えとしていました。

次に段落番号の配置を右揃えに変更してみます。

すると次のように番号の配置で入力した値は、本文領域左端から段落番号の右側までの距離となります。段落番号と段落本文の間に2文字分の空きが確保されます。

段落番号の幅が変化するとき

次に段落番号自体の幅が変化するときの例を示します。ここでは段落番号は本文領域の左端に揃え、段落の本文は本文領域の左端から4㎜の位置に揃える設定としています。

段落番号の幅が4㎜に収まる番号と、4㎜を超える番号があります。4㎜を超えるとき、段落本文の開始位置は本文領域の左端よりもだいぶ右側に飛んでしまいます。

調べてみると、この位置は本文領域の左端から4文字目に相当しています。これは、段落のタブ設定ダイアログで既定値の文字数に設定されている値になっています。

リストのインデントの意味

こうしてみると、リストの「インデント」4㎜は、段落番号と段落本文の間に入力されているタブ文字のタブストップ位置として扱われていることが分かります。段落番号の幅が4㎜を超えるとき、タブ文字の位置がタブストップ位置を超えてしまうため、タブ文字の作用で段落開始位置が、次のタブストップの位置に進んでしまうようです。

なお、段落番号を右寄せに設定すると、段落番号の幅が変化することによる本文開始位置の乱れはなくなります。

【前回】(53)組込スタイルの種類と継承関係
【次回】(55)Wordで索引を作成するー基本操作、Wordの索引の問題点とその解決策

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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(53)組込スタイルの種類と継承関係

前回(Microsoft Wordスタイル探索(52)段落に連続番号を振る方法(スタイルの継承に注意する))は、スタイルの継承について簡単に説明しました。

今回は、基本に立ち返って、Microsoft Wordの組込スタイルの全貌とその設定の継承関係について調べてみます。今回の調査結果は前回と同じく、Microsoft Office 2021に含まれているWord 2021で調べたものです。

Word 2021に組み込まれているスタイルを一覧表にしたのが、次のPDFです。
Word 2021に組み込まれているスタイルの一覧表(PDF)

スタイルの数と種類

まとめると次の表のとおりです。全部で122個の組込スタイルがあり、そのうち推奨スタイルが16個あります。

総数

122

種類

段落スタイル

53

文字スタイル

29

リンクスタイル

40

推奨スタイル

16

段落スタイル、文字スタイルの説明は省略します。リンクスタイルは段落スタイルとしても使え、段落の一部を選択して設定すると文字スタイルとしても使えます。スタイルウインドウで「リンクされたスタイルを使用不可にする」にチェックした状態で、段落の一部文字列に設定すると段落全体に設定されます(すなわち、段落スタイルの指定となります)。

スタイルの設定の基準

表の右端「基準」の列は、各スタイルを作成するときに基準とされているスタイルです。次の図に、「見出し1」スタイルの基準の例を示します。

設定内容が他のスタイルに依存していないのは、「標準」、「行間詰め」、「段落フォント」、「マクロ文字列」の四つだけです。ほとんどのスタイルが他のスタイルに基づいて設定されています。

文字スタイルはすべて「段落フォント」を基準としています。段落スタイル、リンクスタイルはほとんどが「標準」スタイルを基準としています。一部のリンクスタイルのみ、他のリンクスタイルを基準としています。例えば、「本文字下げ」スタイルは「本文」スタイルを基準にしています。

「標準」スタイルを継承しているスタイルが多いことから、「標準」の設定を変更すると他の広汎なスタイルの設定が影響を受けることが予想されます。

標準スタイルの設定変更で影響を受けるスタイル

「標準」スタイル内容は文書の「既定の設定」で設定されています。スタイルウィンドウ「スタイルの管理」ダイアログの「既定の設定」にあります。現在のフォントサイズは10.5ポイント、フォントカラーは「自動」となっています。

「標準」スタイルのフォントサイズを8ポイント、フォントカラーを赤に変更してみます。すると次の図のようになります。

フォントサイズについては、「見出し1」~「見出し3」、「表題」、「副題」などは変化しません。しかし、「見出し4」~「見出し9」、「斜体」、「強調斜体」、「強調斜体2」、「強調太字」などのフォントサイズは影響を受けて変化します。
フォントカラーについては、「見出し1」~「見出し9」、「副題」、「斜体」、「強調斜体2」は変化しません。しかし、「表題」、「強調斜体」、「強調文字」などは赤に変わります。

もう少し詳しく調べてみると「標準」の設定を変更した場合、フォントサイズやフォントカラーが「標準」スタイルとは別の値として設定済になっているときは影響を受けず、設定されていなかったり、「自動」に設定されているときは、「標準」の設定値変更の影響をうけているようです。

「標準」と同じ段落スタイルだけでなく、文字スタイルやリンクスタイルも影響を受けています。

【前回】(52)段落に連続番号を振る方法(スタイルの継承に注意する)
【次回】(54)Wordの段落番号のレイアウト
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月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(52)段落に連続番号を振る方法(スタイルの継承に注意する)

Microsoft Wordの段落番号は、段落の行頭に連続した番号を自動的に設定する機能です。段落番号は公式文書で段落を参照するのに用いられることが多いようです。

今回は、Wordで長文を作成するとき、特定スタイルの段落に連続する段落番号を付けたり、段落によって段落番号の形式を使い分けたりするにはどうしたら良いかを調べてみました。以下、Microsoft Office 2021に含まれているWordで調べた結果を簡単に整理します。

段落番号は段落スタイルと関係なく設定もできますが、特定スタイルの段落に一貫した番号を付けると文書中で一貫した段落番号形式を設定できます。

スタイルの継承

複数の段落番号形式を使い分けるには、まず、スタイルの継承について理解する必要があります。スタイルの継承とは、Wordで新しいスタイルを作成するときに基準にするスタイルを引き継いでいくことです。例えば、次のダイアログは「本文」スタイルを規準にして新しいスタイルを作成しようとしているところです。

ここで新しい段落スタイルとして「スタイル1」を作成すると、「スタイル1」には「本文」に設定されている段落書式が継承されます。

Wordの段落スタイルの基本は「標準」スタイルです。そして、さまざまな段落スタイルは「標準」スタイルをベースとして継承関係をツリーで表すことができます。

サンプルとして次のような段落スタイルの継承関係をもつ文書を作成してみました。

矢印は継承関係を表し、左側のスタイルをもとに右側のスタイルを作成しています。

段落番号の設定

段落に段落番号を設定するには、Wordの編集画面で、段落を選択した上で、リボン「ホーム」の段落書式セクションにある「段落番号」メニューを使います。次は「新しいスタイル2」を指定した段落を選択して、イ)、ロ)、ハ)形式の段落番号を設定しました。

この段階では、ここで選択した段落のみに段落番号が設定されます。この形式の段落番号を文書全体に適用するには、スタイルに関係付ける必要があります。このためには、「新しいスタイル2」を指定した段落を選択した状態で、「スタイルギャラリー」で「新しいスタイル2」を右クリックします。表示されるメニューで「選択箇所と一致するように新しいスタイル2を更新する」を実行します。

すると、「新しいスタイル2」にイ)、ロ)、ハ)形式の段落番号が関係付けられて、文書全体で「新しいスタイル2」が設定された段落に連続番号が付与されます。

次に、「新しいスタイル2」の親にあたる「新しいスタイル1」を指定した段落に①、②、③という形式の番号を設定すると次のようになります。

このようにすると段落スタイル毎に、段落番号の形式を使い分けることができます。

注意点として、継承関係を表すツリーの下位にあたる段落スタイルに先に段落番号の形式を設定する必要があります。これと逆に上位の段落スタイルに段落番号の形式を設定すると、下位のスタイルまで上位の段落番号形式が継承されてしまいます。

【前回】(51)インデント関係コマンド(続き)
【次回】(53)組込スタイルの種類と継承関係
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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(4)

日本語組版では、縦組みの表のコマ(セル)の配置に関しては、次のようになります。

(1) 表の右上に表の原点を置く
(2) 隣り合う縦罫線で囲まれた領域を表の行、隣り合う横罫線で囲まれた領域を表の列とする
(3) 表の列(カラム)の進行方向は上から下へ、行の進行方向は右から左へ進む

『日本語文書の組版方法 JIS X4051:2004』(平成16年3月20日改正、日本規格協会発行)11.2 表の全体の処理 2) 縦書きの場合
『日本語組版処理の要件(日本語版)W3C 技術ノート 2012年4月3日』 4.4.2 表の全体の組方向

しかし、Microsoft Wordの表作成機能では、このようなレイアウトの表を作成することができません。

見かけ上、似たような表を作成する方法は、ページを縦書きとし、表の各セル中の文字の方向を縦書きとする方法ですが、これは原点が左上で表の行と列の進行方向がそれぞれ上から下、左から右なので、いろいろ不都合がおきます。詳しくは次のページをご参照ください:

Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(1)

一方、ページを横組みとして、文字を左90度回転を指定すると、表全体が左90度回転した状態で、日本語組版では、縦組みの表のコマ(セル)の配置の規定に似たレイアウトができます。詳しくは次のページをご参照ください:

Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)

しかし、上の設定では、Microsoft Wordのページ設定自体は横書きです。Wordの編集画面では文字が横倒しになった状態で表示されます。紙に印刷したり、PDFを作成したうえで、紙を回転すれば縦書きになります。

しかし、表が正立した状態で、柱をページの上部におき、ノンブルをページの下部におくといったことはできません。

これはアメリカ生まれのMicrosoft Wordの限界といえるかもしれません。




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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(3)

Microsoft Wordには段落罫線罫線タブという機能があり、これを使って表のようなレイアウトのページを作成できます。

具体的な例として、次のように項目がならんだ文書を罫線で区切った表の形式にしてみます。

1.表形式にする文書の例

2.横組みの表形式を作成する
(1)表形式にしたい範囲を選択し、「ホーム」タブの「罫線」のメニューで「枠線」をクリックします。

(2)これにより、次のように各行(この例では一行が一段落)に枠線が設定されます。

(3)次に表形式にしたい範囲を選択し、「ホーム」の「段落」ダイアログを表示します。

(4)「段落」ダイアログの左下にある「タブ設定」ボタンをクリックします。

(5)「タブとリーダー」ダイアログが開くので、タブの種類として「罫線」を選択します。罫線を設定したい位置を文字数単位で指定します。

(5)OKをクリックすると、次のように、指定した位置に縦罫線が設定され、表の体裁になります。

3.縦組みの表形式に変更する

こうして作成した表は横組みのレイアウトです。これを「レイアウト」タブの「文字列の方向」メニューで「縦書き」を指定すると、次のような縦組みの表形式に変更できます。

4,まとめ

段落罫線と罫線タブで作成した表は、紙面上に、テキストを配置した上で、縦横の罫線を引いたという状態です。このため行と列方向にセルを配置する形式の表構造をもっているわけではないので、一部の段落に文字を追加したりするとレイアウトが崩れてしまうなどの問題があります。

あくまで、簡易的な表レイアウトと考えるのが良いでしょう。

関連情報

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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(1)
Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)
Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(3)

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