月別アーカイブ: 2025年5月

月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(58)Word文書内の箇条書きをチェックしてみると

Microsoft Wordでマニュアルなどの長文文書を制作するときの課題の一つにスタイルの統一があります。スタイルのうち書記方法の統一は普通に行われます。この他、PDFとして配布するにはレイアウトスタイルの統一も重要です。

今日は、現在開発中の当社製品新バージョンのマニュアル(Wordで制作中の草稿です)をチェックしていたところ、箇条書き(行頭記号付き箇条書き、以下同様)に予想外のパターンがあることを見つけたので参考としてご紹介します。

箇条書き指定箇所の段落スタイルパターンの具体例

次の図は本マニュアル中に登場する箇条書きの例です。表示で下書きモードを選択することにより、段落に適用されているスタイルを左余白に表示しています。

いろいろなパターンが見られます。

上の図でケース1がデフォルトです。次の操作と結果をデフォルトとして想定しています。
1. Wordの箇条書きを設定する一番シンプルな方法は、①本文段落上にカーソルを置いて、②リボン「ホーム」の段落グループの「箇条書き」をクリックします。
2. 段落に「標準」あるいは「本文」スタイルが適用されているときは、段落スタイルは「リスト段落」となります。
3.箇条書きの記号は左揃え(印刷領域に左端より)、箇条書きの項目の文字先頭までデフォルトのタブ幅が取られます。
4. 箇条書きの行頭記号は、デフォルトでは●(Wingdingsフォントの108)になります。

デフォルトとの相違点と想定発生原因

ケース2~ケース6はデフォルトとは異なります。どのような編集操作をしているのでしょうか? Wordの機能と合わせて調べてみました。自分で編集した文書でないので推測も交りますが、結果は次のようになります。

ケース2
レベル1の箇条書きの行頭文字が異なります。この行頭文字は、MS PゴシックのU+30FB(カタナカ中点)です。
レベル2の行頭文字は、Wingdingsフォントの216で、これはデフォルトです。

ケース3
箇条項目の段落スタイルに「標準」と「リスト段落」が混在しています。
行頭文字の位置に6.3ミリのインデントがあります。
箇条項目の行頭文字(●)がデフォルトより小さくなっています。これはWingdings2フォントの黒丸でしょう。●はいろいろありますが、フォントによって大きさが違うので注意が必要です。

ケース4
箇条項目の段落スタイルがすべて「標準」で、それ以外はケース3と同じです。本来、Word 2007 以降では、「箇条書き」を設定すると、「標準」スタイルの段落は「リスト段落」スタイルに変わります。最近のWordでは、普通、箇条項目の段落スタイルを「標準」にはできないはずです。一体、どうやったのでしょうか。(なお、Word2003と同じ設定になるオプションを指定すると再現できます。)

ケース5
箇条項目の段落スタイルが「標準(Web)」になっています。段落スタイルに「標準(Web)」という組み込みスタイルを指定してから、「箇条書き」を設定するとこのようになります。

ケース6
箇条書きの段落スタイルに「リスト段落」と「標準(Web)」が混在しています。「箇条書き」を設定する前の段落スタイルが項目によって異なる状態だったのでしょうか?

問題点

ここに挙げたケース2~6の中でPDFを配布する上で問題になるのは、文字の種類と揃え位置が異なる、ケース2~4でしょう。箇条項目にどのような段落スタイルが適用されているかはPDFを作る上では問題になりません。

『HTML on Word』でHTMLに変換するときは、現在のところ、問題はありません。

Wordの段落スタイルを使用するメリットの一つは、段落スタイルによるレイアウトの統一管理にあります。例えば、レイアウトを一括して変更するなどの操作ができることです。そうした操作をすると設定されているスタイルの相違という問題が顕在化する可能性があります。

ここに挙げたケースは、Wordで箇条書きを設定した時に生じる段落スタイル設定の氷山の一角と思われます。想定外の誤りを避けるには予め編集ガイドを作成して、担当者に渡すなどの対策が必要かもしれません。

【前回】(57)Wordのリンクスタイルとは? その挙動を理解する

◆シリーズ総目次:Microsoft Wordのスタイル探索




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