企業ユーザーにとってMicrosoft Windows 10のサポートが2025年10月25日に終了することが大きなイベントになっています。この件、Microsoft(日本法人)のWebページには次の案内があります。
Windows 10、Windows 8.1、Windows 7 のサポート終了について
このページでWindows 10の項をクリックすると画面に次のメッセージがでかでかと表示されます(2025年4月16日確認)。
メインストリームサポートと延長サポート
しかし、よく考えると不思議です。というのは、他のWebページにWindows 10のサポートポリシーについて次のような記載があります。
「マイクロソフトの製品は発売後、最低 5 年間のメインストリーム サポートと最低 5 年間の延長サポート (合計最低 10 年間) が提供されます。」
出典:2025 年 10 月 14 日に Windows 10 のサポートを終了します[1]
また、昔のニュースですが、次のような記事もあります。
「Windows 10のメインストリームのサポート期間が2020年10月13日まで、延長サポート期間が2025年10月14日までというのは、2015年7月のWindows 10リリース時点で決定されていた。」
Windows 10は2025年にサポート終了?(2021年6月14日)
この記事はMicrosoftの公式ページではないので、あくまで解釈です。
こうした情報をみるとWindows 10のサポートには、「メインストリームサポート」と「延長サポート」という二つの段階があるということになります。そうすると、いまは、「メインストリームサポート」中なのか、「延長サポート」中なのか、どちらなんだろうという疑問が生まれるわけです。
MicrosoftのWebページの説明では、「メインストリームサポート」は最低5年なので、現在が「メインストリームサポート」であっても矛盾はしません。その場合、「延長サポート」期間はなしで、いきなりサポート終了ということになります。
ライフサイクルのモダンポリシーと固定ポリシー
一体、どうなっているのでしょう? もう少し調べると、Microsoftのライフサイクルポリシーには、モダンポリシーと固定ポリシーというのがあります。
出典:モダン ポリシーと固定ポリシーに関するお知らせ
モダン ライフサイクル ポリシーは、もともとWebサービスのライフサイクルポリシーであって、所定の条件を満たす場合に、サポートが継続され、製品がなくなるときのサポート終了は12か月前にアナウンスされることになっています。
「Modern Lifecycle Policy は、継続的に保守およびサポートされる製品およびサービスをカバーします。 このポリシーでは、次の条件を満たす場合に製品またはサービスのサポートが継続されます。
・・・中略・・・
モダン ライフサイクル ポリシーが適用される製品では、Microsoftは、・・・中略・・・、後継の製品またはサービスを提供せずにサポートを終了する場合、少なくとも 12 か月前に通知します。」
出典:Modern Lifecycle ポリシー
どうやら、モダン ポリシーではメインストリームサポートと延長サポートという区別がなくなって、リリースバージョン毎にサポート期間が決まっているようです。
そして「Windows 10 Home and Pro は、モダン ライフサイクル ポリシーに従います。」ということになっています[2]。
出典:Windows 10 Home and Pro
そして、このWebページによると、「現在のバージョンである 22H2 は Windows 10 の最終バージョンで、このサポートが2024年10月25日で終了」ということのようです。
10月15日以降、Windows 10はどうなる?
サポート終了後、Windows 10を使い続けることもでき、セキュリティが気になる向きにはESUが提供されるようです
「2025 年 10 月 14 日にサポートが終了した後も Windows 10 を引き続き使用することを選択した個人のコンシューマーまたは組織の場合は、有料の拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) に PC を登録できます。 ESU プログラムを使用すると、PC はサポート終了後も、重要なセキュリティ更新プログラム (Microsoft Security Response Center の定義に従って) を継続的に受信できるようになります。」
出典:ライフサイクルに関する FAQ – 拡張セキュリティ更新プログラム
また、「既存の LTSC リリースでは、特定のライフサイクルに基づいて、その日以降も引き続き更新プログラムが受信されます。」ともあります。
出典:Windows 10 Home and Pro
なので、Windows10のサポートが完全に消滅するわけでもないようです。
注:考察
[1] Microsoft Webページのスクリーンショット(2025/4/17)
[2] 上の「マイクロソフトの製品は発売後、最低 5 年間のメインストリーム サポートと最低 5 年間の延長サポート (合計最低 10 年間) が提供されます。」という文言とモダンポリシーは論理的に両立せず、破綻していると考えられます。最初の疑問で書いたように、モダンポリシーでは「最低 5 年間の延長サポート」を保証できないためです。上のスナップショットで見る限り、Windows 11はサポート開始=発売と仮定すると「最低 5 年間のメインストリーム サポート」さえも保証されていないことになります。「Windows 10は、リリースされた当初は固定ポリシーで、途中からモダンポリシーに変更されたようで、Webページの情報が一部古いまま残っている結果、矛盾が生じているのではないか、と推察します。
なお、Windows 10 Long-Term Servicing チャネルは、固定ポリシーのままのようです。
出典:Windows 10 クライアントおよび Windows Server 半期チャネル ライフサイクル ポリシーの更新プログラム