カテゴリー別アーカイブ: コラム

『AWSなどでMicrosoft製品(SPLAライセンス)が使えなくなる!?』ってホント??

2023年8月18日付けのIIJのエンタープライズIT Columns(JJI-ITCと略記)に、『AWSなどでMicrosoft製品(SPLAライセンス)が使えなくなる!? 』という記事が掲載されています。

だいぶ前の記事なのですが、「2025年9月30日以降、AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウドを利用しているサービス提供事業者は、Microsoft製品(SPLAライセンス)の持ち込みができなくなる」とあるので、本当だとすると、結構インパクトが大きそうです。

現時点で1年半ほど先の話ですが、弊社でも関係するクラウドサービスを提供しているため調査を始めています。

マイクソロソフトのWebページで関連する情報を探すと、次の記事が見つかりました。
クラウドへのワークロードとライセンスの導入を容易にする、新たなライセンス特典(2022年9月12日)

この中の「アウトソーシングに関するSPLAプログラムのアップデート」と見出しのついた段落がJJI-ITCの記事で言っている内容に該当するようです。

この記事は次の元記事(英語)の翻訳とされています。
New licensing benefits make bringing workloads and licenses to partners’ clouds easier (2022年8月29日:元の記事を読むにはブラウザで言語を英語にする必要があります。)

この記事を読むと、マイクロソフトのSPLA(Services Provider Licensing Agreements)は、データセンターを運営する事業者とユーザーの間の契約を想定していた。しかし、マネージド・サービス・プロバイダーが、SPLA契約でマイクロソフト製品のライセンスを購入して、他社のデータセンターでサービスを行うようになった。これを元の意図に沿って正したいということのようです。

そこで、リストに該当するプロバイダーの上にSPLAを持ち込むことができないようにするという措置を講じるということです。

リストに該当するプロバイダーとは次のとおりです。
Alibaba, AWS (Amazon Web Service), Google, Microsoft およびサービスの一部としてこの4つのプロバイダを使ってアウトソースサービスを提供しているプロバイダ

英文の記事中で掲げられている対応策は
現在マイクロソフト製品をSPLAで利用しているパートナーは、2025年9月までに上記のリストに該当するプロバイダーから移行するか、上記のリストに該当するプロバイダーからライセンスをSPLAとは別に直接取得しなければならない
とされています。

この記事を読んで、よく行くTOHOの映画館で映画上映前にいつも出る「当館以外で購入された飲食物の持ち込みはご遠慮ください」という無粋な告知を思い浮かべてしまいました。

館内で販売されているやや高めの飲食物を買って楽しむか、上映中に飲食すること自体を諦めるか、どっちかの選択が必要になるということですかね。

もしかすると、弊社の『Office Server Document Converter』の出番がありますか?

【ご注意】本記事の詳細はさらに調査中です。(当社の主体の記事ではなく、解釈なので)誤っている可能性もありますのでご注意ください。




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米国国債の利回り変化と国債価格の値動きを調べてみた

一般には、金利が上がると債券の価格は下がると言われている。では、金利のうごきと債券価格の動きは定量的にどのような関係になっているのだろうか。

債券運用の本を読んでみたところ、次のような説明があった。ここでは単純化するために利息(クーポン)の付かない割引債(ゼロクーポン債)の場合について示す。

割引債の価格(P)と複利最終利回り(r)には次の関係がなりたつ。

P=100/((1+r)^n) (n:残存年数)

これは価格Pの割引債を満期まで(n年)保有すると100で償還される。そのときの複利計算の利回りがrとなるということを表す式なので、割引債がデフォルトしない限り必ず成り立つ一種の定義式である。

上式の両辺をrで微分すると次のようになる。

dP/dr=-100n/((1+r)^(n+1))=-nP/(1+r)

これは次のように置き換えられる。

dP/P=-(n/(1+r))*dr

この式は残存n年の割引債の価格変化率(dP/P)は複利最終利回りの変化幅(dr)に対して、n/(1+r) 倍した値になるということを表している。

現在の米国30年国債の利回りは概ね4%強になっている。なので残存期間30年の米国割引国債を買って保有したとき、利回りが1%下落すると、価格は28%ほど上昇するということになる。

式の導出過程を振り返れば分かるとおり、上の関係は理論的なものだ。

実際には国債の価格は市場の需給関係で決まっていると言われている。自然界ではニュートンの万有引力の法則が成り立つとしても、魑魅魍魎が支配する証券業界で、こんな理論的関係が、あたかも万有引力の法則のように働くものなのだろうか。

俄かには信じがたいので、早速、楽天証券で米国30年ストリップ国債(残存期間25年3カ月)を少額だけ購入して実際の値動きを調べてみた。

1.楽天証券では評価額は毎日当日夕方の17時頃にわかる。
2.また別にQuick情報で米国30年国債の利回りを調べる。米国30年国債の利回り(終値)は翌日の朝にわかる。

1月16日から2月8日までのデータは次のとおりであった。

この結果を見ると、前日に国債利回りが上がっているときは、ストリップ国債の楽天の評価価格が下がり、逆に利回りが下がっているときは、ストリップ国債の評価価格が上がっている。

国債利回りの変化(drに相当)をx軸に、ストリップ国債の価格の変化率(dP/Pに相当。Pは前日の価格、dPは前日からの価格変化)をy軸にとって分布図にすると次のようになる。

Excelで回帰分析して、次の関係式を得た。xとyは1日ずれている。

y=-0.241x+0.001

これによると、利回りが1%下がると、価格は概ね24%アップする、という関係になる。

概ね、理論どおりの関係が成り立っているようだ。

実際には、前日の米国30年国債の利回り終値を見て、楽天証券が評価価格を計算しているのかもしれない。もし、そうなら観測値がほぼ直線上に並ぶはずなのだが。

「債券の価格と利回りはコインの裏表の関係にある。しかし、主従関係からみれば価格が主」という説明もあるが、債券の価格決定過程はブラックボックスなので、真実はわからない。

参考資料:『債券運用と投資戦略』(金融財政事情研究会)




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DeepLによるHTML翻訳でタグが正しく取り扱われるか?

日本語の文章を英語に翻訳するためにツールとして、機械翻訳がかなりいいレベルまで来ているのは周知のとおりです。では、HTMLでタグ付けされたWebページの翻訳にも機械翻訳を使えるでしょうか?

HTMLファイル機械翻訳の課題

日本語HTMLファイルは大きくわけるとテキストコンテンツと画像やマークアップ(タグなど)から構成されます。

タグにはいろいろな種類があります[注1]。メタ情報を表すタグ、見出し、段落、箇条書き、表などのブロックの区別を表すタグ、強調、アンダーライン、上付き・下付きなどテキストの意味合いを表すインラインタグ、リンクや画像を埋め込むタグ、などです。

WebページのレイアウトはCSSで指定します。このため多くのタグに、CSSによるレイアウトを制御するための属性が付加されます。また、HTMLファイル内にはブラウザで表示する際のダイナミックな動作を表現するためにJavaScriptが埋め込まれます。このためHTMLファイルは、コンテントのテキストと比べてかなり複雑になり、通常はマークアップ作業に多大な時間がかかります。

機械翻訳のシステムでHTMLファイルを日本語から英語に翻訳するとき、(1)テキストコンテンツの翻訳の品質に関わる課題と、(2)タグの扱いが適切かどうかという課題があります。

タグの扱いについての要件

ここでは、主にタグの取り扱いを考えてみます。まず、タグの扱いは基本的には次の条件を満たす必要があります。

1.タグ自体は翻訳せず、タグのツリー構造は保持されなければならない。つまりタグの順序が変更されないこと。開始タグと終了タグの対が保持されること。タグの親子関係(入れ子関係)が崩れないことなどが満たされること。
2.開始タグには属性と属性値が付随することがあります。属性は翻訳せず、属性値は多くの場合、翻訳しない方が望ましいが、翻訳してほしいこともある。

日本語のHTMLファイルを機械翻訳した結果、タグのツリー構造が壊れてしまったり、マークアップが不適切になってしまうと、機械翻訳の出力として得られたHTMLファイルのタグ付けを修正する作業が必要になります。もし、タグの構造が完全に破壊されてしまうと、プレーンテキストにゼロからタグ付け作業をする方が手間が少ないということになります。

特に、インラインタグは翻訳テキスト中に混在するのでタグのツリー構造を維持するのが難しい場合がありそうです。そこで機械翻訳システムがテキストコンテントとタグを分離してうまく扱えるかどうかは詳しく調べてみる必要があります。

機械翻訳のHTMLファイル形式サポート

機械翻訳システムによってはタグでマークアップしたテキストを翻訳対象にできないことがあります。ここで使用するDeepLは、Free版ではHTML形式ファイルを扱えません。一方、Pro版とAPI版がHTMLファイル形式を翻訳対象としてサポートしています。

Which file formats can I translate?

DeepLによる日本語HTMLファイルの英語への翻訳例

そこで、今回、DeepLでHTMLを翻訳したときタグが正しく扱われるかを調べてみました。翻訳の対象としたのは、Formatter V7.4(開発中)の日本語HTMLマニュアル(XSL/CSS拡張)です。

Formatterのマニュアルは、日本語と英語版のWebヘルプとして作成されています。V7.3(現行バージョン)についてはこちらからご覧いただけます。現在、翻訳は社内の専門スタッフが行っており、機械翻訳は使っていません。
Antenna House Formatter V7 日本語版マニュアル
Antenna House Formatter V7 日本語版マニュアル・XSL/CSS拡張
Antenna House Formatter V7 英語版マニュアル
Antenna House Formatter V7 英語版マニュアル・XSL/CSS Extensions

DeepL翻訳結果・第一印象

日本語のHTMLをDeepLで英語に翻訳翻訳した結果はいちおうHTMLなのでブラウザで表示できます。最初に、翻訳元の日本語HTMLファイルと、DeepLで翻訳した英語HTMLファイルのブラウザ表示を比較してみます。

1)目次部分

翻訳元日本語目次(左)、翻訳結果の目次(右)

2)見出し、本文や表

見出し、本文(太字)、リンク、表

3)表と箇条書き

表と箇条書き

こうしてみますと、ブラウザで表示して比較できるレベルでタグが付いているようです。ただし、ブラウザはHTMLファイルのタグが正しくなくても表示できるように作られているので、ブラウザで表示できるからと言って、タグが完全に適切に付けられているとは言い切れません。

また、翻訳された内容を詳しく見ると、細かい点に問題が見つかります。

では、HTMLタグがどの程度まで適切に設定されているでしょうか? これを確認するにはHTMLファイルのタグを詳細にチェックする作業が必要になります。そこで、次回は、DeepLのHTML翻訳結果のタグ付けについて詳細に検討してみることにします。

[注1]
HTMLのタグの種類やタグ付けの規則については次の標準仕様で規定されています。
HTML Living Standard




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骨抜き加速? 電子取引データ保存制度

令和5年11月17日 国税庁のWebサイトの制度のパンフレット等

新しいちらし「システム導入が難しくても大丈夫!!令和6年1月からの電子取引データの保存方法」(PDF)が掲載されました。

2024年1月から施行される電子取引データ保存制度への対応策が、国税庁のパンフレットにしては優しく表現されています。

制度が易しくなったのかな? と思いつつ読んでみると、このパンフレットに記載されている内容は、本ブログで紹介したことと同じです。但し、国税庁のちらしの方が分かりやすい印象はあります。

電子帳簿保存法の電子取引データ保存は、なにしろ、準拠する要件項目の組み合わせが多いので、条件の組み合わせを間違えないようにしつつ、説明を分かりやすくするのが難しい制度です。

これまでの説明はちょっと難しすぎたかな~? ちなみに、前回・前々回のブログへのリンクは次のようになります。

前回 2024年1月からの電子取引データ保存方策検討:検索要件対応で選択肢を細分すると・・・
前々回 電子取引データ保存要件の中で、複雑なパズル並みに理解し難いのが検索要件だ

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日本に残っている「紙と電子の間」のベルリンの壁を壊せ

1989年11月にベルリンの壁が崩壊してから既に34年近くなる。ベルリンの壁は東西冷戦の時代に東と西を分断する象徴だった。その壁が崩壊して東西の主に経済的な融合、グローバル化が急速に進展して世界が今のようになった。ベルリンの壁と聞いて、そういう歴史の経過を実感をもって思い浮かべることができる人は少数派かもしれない。

9月21日岸田首相が、ニューヨークで演説して、海外資産運用業の日本市場参入を呼び掛けたというニュースが流れた。これを伝える各社のニュースを読んで、日本国民のためを考えて、日本で株式などによる資産運用を増やすために、もっと他にやることがあるだろうと感じた。

ご承知のように株式による資産運用の方法を大きく分けるとインデックス投資と個別株投資がある。そして運用によって益を得る方法を大きく分けると売買による収益(キャピタルゲイン)と配当による収益(インカムゲイン)がある。インデックス投資は資産を少しずつ増やすには良いが配当収益にはあまり重きがない。それに対して個別株投資は銘柄選択が難しいが、配当収益を得られるというメリットが大きい。ざっくり考えると、例えば、年金生活者などにとっては個別株投資で得られる株式配当を生活費の足しにするというやり方があっているのではないだろうか。一旦買い取った株式を死ぬまで保有すると考えたら、評価額の上下に一喜一憂する必要もないのだから。

少しばかり前置きが長くなったが、このような観点で、日本株と米国株で、主に配当重視の個別株投資を行ってみた結果、米国株の方が日本株よりも遥かに株主にとって有利になっていると感じた。

例えば、次のような点である。
(1) 米国株は1株から買い付けできるが、日本株は原則100株からとなり投資単位が大きい。
(2) 米国株は四半期毎(3か月に1回)の配当が多いが、日本株は半期毎の配当が主であり小さな銘柄では1年一回の配当である。
(3) 配当の権利確定日から配当が支払われるまでの日数でみると米国株は概ね30日程度であるが、日本株は90日程度かかる。
(4) 日本株は3月決算が圧倒的に多数で、12月決算と合わせると決算期が集中しており、その結果、配当支払い月も集中している。しかし、米国株の配当支払い月はかなり分散しているようだ。そこで、米国株を組み合わせることで毎月のコンスタントな配当収入の流れを作れるだろう(2023/10/11追記)。

なぜ、そのようなことになっているのか? これは恐らく日米の投資に関する規制の違いによるのではないかと思われる。これについては専門家の意見を聞いてみたいところだ。

昔、まだデジタルによる配信がなかった時代には、株式配当の受け取り用書類は郵便で送られてきたようだ。現代は株式の売り買いもネットでデジタルで行う時代である。ところが驚いたことに、日本株では株主総会招集通知はもとより、株式配当計算書が毎回郵便で送られてくる。株主総会は1年一回だが、株式配当計算書を毎回郵便で送付するのでは、株主数が増え、さらに配当回数が増えたらコストが膨大になることは容易に想像できる。また書面を作成して、印刷・送付するのに要する日数もかかる。株式配当計算や振込はコンピュータを使って実施すれば低コストで瞬時にできるはずである。ところが日本はいまだに書面なのである。

なぜ、デジタル化をさっさとやらないのか? デジタル化すればコストをそれほど増やすことなく一株株主の獲得も可能だろう。

2023年度の決算から、上場企業については株主総会招集通知のWeb化が義務付けられるようだが、このように、従来書面で行っていた手続きを、デジタル化にするには法規制が大きな壁になっているようだ。

銀行などの案内を見ても、書面の手続きとデジタルの手続きの間の壁が非常に複雑で大きいということを感じる。

岸田首相は、ニューヨークで富裕層向けの演説をする前に、日本の市民株主がもっと手軽に株を売買し、配当所得を享受できるようにするべきではないだろうか?

そのためにはまず書面とデジタルの間にあるベルリンの壁をぶち壊すことだろう。

ちなみに、ベルリンの壁の建設を担当したのはホーネッカーとされている。ホーネッカーは1989年にベルリンの壁が崩壊するまで東ドイツの権力者としての地位にとどまった。ベルリンの壁は東ドイツの発展を妨げ、ホーネッカーにとっては自ら構築した壁によって権力が維持されたのである。翻って、日本の紙と電子の壁は誰によって作られ、誰のために存在するのだろうか? 

関連情報:DX時代に逆行する電子帳簿保存法は、そろそろ、いさぎよく廃止するべきではないでしょうか? 
前回:2024年1月からの電子取引データ保存方策検討:検索要件対応で選択肢を細分すると・・・

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2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(2)保存しなければならない書類は?

2024年1月1日から法人税と所得税(源泉税を除く)に関連する取引をインターネットなどで行った場合、その取引データをデジタルで保存することが改めて義務化されます。

前回は、保存義務が課される主体者は誰か、について示しました。今回は、保存義務の対象となる取引データには、どのようなものがあるか、具体的に示されている情報をまとめます。

以下は、国税庁が公開している一問一答から、保存しなければならない書類として挙げられているものをピックアップした項目です。

・取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合のその取引情報(問1)

・「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項(問2)

・電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メール本文、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイル(問3)

・取引情報(請求書や領収書等に通常記載される日付、取引先、金額等の情報)に係るデータを保存(問4)

・事業に関連するクレジットカードの利用明細データを受領した場合のように、個々の取引を集約した取引書類のデータを授受した場合には、クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当することから、その電磁的記録の保存が必要です。また、その利用明細データに含まれている個々の取引についても、請求書・領収書等データ(取引情報)を電磁的に授受している場合には、クレジットカードの利用明細データ等とは別に、その保存が必要となります。(問4)

・クラウドサービスを利用して取引先から請求書等を受領した場合の、取引当事者双方で共有する請求書などのデータ(問6)

・スマホアプリを利用して決済した際に、アプリ提供事業者から受領する利用明細に係る内容(問6)

・インターネットバンキングを利用した振り込みの電磁的記録については、金融機関の窓口で振込等を行ったとした場合に受領する書面の記載事項(振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等)が記載されたデータ(電磁的記録)であり、そのデータ(又は画面)をダウンロードする又は印刷機能等によってPDFファイルを作成するなどの方法によって保存してください。(問9)

・従業員が会社の経費等を立て替えた場合において、その従業員が支払先から電子データで受領した領収書(問10)

・書面と電子データで取引情報を受領する場合、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、書面及び電子データの両方を保存する(問14)

・EDI取引で授受した電子取引の取引情報として保存すべきデータは、EDI取引で実際に授受したデータそのものに限定されておらず、当該EDI取引で授受したデータについて、その取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集されたデータにより保存することも可能(問36)

・一つの取引に関して、異なる取引条件等に応じた複数の見積金額が記録された見積書データを授受した場合、検索機能における記録項目である「取引金額」については、課税期間において自社で一貫して規則性を持っている限り、見積書データに記録されている見積金額のうちいずれの見積金額を用いても差し支えない(問50)

・所得税法上、一定の雑所得に係る請求書・領収書等(現金預金取引等関係書類)(問68)

国税庁の、電子取引データ保存に関する一問一答に登場する、デジタル保存を要する電子取引データは上のとおりです。実際のビジネスの現場では多種多様な書類がデジタル化されて取り交わされているので、どのようなものをデジタルで保存しておく必要があるかはその都度注意深く決めていく必要がありそうです。

ところで、先日、法人用スマホの機種変更を行いました。機種変更には月々の支払額(変更)や機種変更手数料が記載されているので、法人税法上は手続きした記録の保存が必要になるものと考えられます。で、お店の担当者から、このデータをデジタルでお渡ししましょうか? それとも印刷してお渡ししましょうか? と問われたので印刷したものをもらったのです。手続き自体はタブレット上でのチェックとサインで完了したので、この場合、2024年からは電子データで入手して保存しないと電子取引データ保存義務違反になるのでしょうかね? 

このように記載内容が同一の取引情報であっても、書面とデジタルを別物と考え、法的な取り扱いを別にする、というところが個人的に電子帳簿保存法が天下の愚法であると考える所以です。

前回:2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(1)保存しなければならないのは誰?
次回:財務省・国税庁の電子取引データ保存要件は石ころに金メッキして保存せよというようなものではないか?

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2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(1)保存しなければならないのは誰?

2022年1月より施行電子帳簿保存法の第7条で、所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は電子取引を行った場合、その取引に関する電磁的記録(デジタルデータ)を保存することが義務付けられています。2021年12月まではデジタルデータを書面に出力して、書面で保存しても良かったのです。但し、その準備が間に合わない向きが多いため2023年12月までは宥恕措置として、引き続き書面で保存することができるようになっています。しかし、2024年1月からは宥恕措置が廃止されデジタルデータ保存が必須になります。

この経過・事情の詳細については、これまでのブログを参照してください。
1.DX時代に逆行する電子帳簿保存法は、そろそろ、いさぎよく廃止するべきではないでしょうか?
2.電子帳簿保存法・電子取引データ保存で目にあまる迷走を続ける財務省
3.電子取引データの保存、宥恕措置終了後の2024年(令和6年)1月1日からはどうなる?
4.2024年1月からの電子取引データ保存方法がどうなるか? 財務省令(施行規則)を読んでみる

個人的には電子帳簿保存法は本質的なところで設計を間違えている日本希代の愚法(という言葉があれば)と断言して差し支えないと考えています。そうは言っても日本国の法律になってしまっている以上、善良なる国民としてはこれを守らざるを得ません。ということで、これからデジタルデータ保存の検討を始める保存義務者であるという想定のもとに、どのように準備を進めると良いかを考えてみます。

誰が対象か

最初に、「保存義務者」とは誰か? を検討します。

電子帳簿保存法の第2条4項には保存義務者が次のように定義されています。
保存義務者 国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいう。

ところが、第7条では、「所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。」となっています。

つまり、電子取引のデジタルデータ保存では、所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者に限定されているわけです。ご承知のとおり、国税にはこれ以外に様々な種類があり、特に大きなものでは消費税があります。消費税に係る証憑は必ずしもデジタル保存する必要がないことになります。なぜ消費税が除外されているのは謎です。

法人税の課税対象は、普通法人、一般社団法人等又は人格のない社団等などの法人で電子取引データの保存義務者となります。個人事業主は、所得税の課税対象者なので、電子取引データのやはり保存義務者です。

では例えば、本職会社員で、副業をしている人、個人の不動産を貸したり、フリマで販売したり、あるいは株式投資やFXなどの投資活動を行っている人はどうなるでしょうか? 

これについては、国税庁から出ている電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 (PDFファイル/773KB)
【令和6年1月1日以後の取扱いに関するもの】
に次のようなQ&Aがあります。

質問(問68)
私は、勤務先から支払われている給与のほか、副業として行っている講演・原稿執筆から得ている雑所得を有しています。これらの雑所得を生ずる活動については、相手方等との一切のやりとりを電子メール・ウェブサイト上で行っていますが、法第7条の規定に基づき、その取引情報に係る電子データを保存しなければなりませんか。

回答
所得税法上、ある年の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額について、前々年の金額が300万円を超える場合には、その業務に関してやりとりした請求書・領収書等(以下「現金預金取引等関係書類」といいます。)を保存する必要があります。
副業として行っている講演・原稿執筆等は、ここでいう雑所得を生ずべき業務に該当することから、その業務に関する現金預金取引等関係書類の保存義務があるため、それを電子データで授受した場合には、法第7条の規定に基づいて当該電子データを保存する必要があります。

前々年の収入金額が300万円を超えるという閾値が設定されていますが、電子取引データの保存義務があるようです。このように、電子取引データ保存義務が課せられるのは法人だけでありません。個人事業主(開業届を出している)や事業主ではない個人も対象になるようです。

他人事では済まされない人も多いのではないでしょうか。

前回:2024年1月からの電子取引データ保存方法がどうなるか? 財務省令(施行規則)を読んでみる
次回:2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(2)保存しなければならない書類は?

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2024年1月からの電子取引データ保存方法がどうなるか? 財務省令(施行規則)を読んでみる

電子帳簿保存法の第7条で、電子取引を行なったとき、電子取引データをデジタルで保存しなければならないことになっています。その保存方法については財務省令で定めることになっており、2024年1月以降の保存方法は、2024年1月1日より施行される財務省令によります。

この財務省令(「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」)(以下、施行規則)を読んで、電子取引データ保存方法について整理してみます。

電子取引データ保存については施行規則の第4条に規定されています。第4条には1~3の3項があります。

2項は用語の意義を規定しているものなので省略すると、第4条の主な内容は1項と3項になります。このうち、1項が電子取引データの保存要件に関する規定で、いわば本筋と言えます。これに対して、3項は本筋の要件を満たせないときのこと(猶予措置)を規定しているという枠組みのようです。

それぞれについてできるだけ簡単にまとめてみます。なお、以下の説明は分かりやすくするためかなり大雑把にまとめていることに注意してください。

1項 保存の要件について

原則として、次の(1)~(6)が保存の要件とされています。
※例えば、「電子帳簿保存法第7条 詳細」にも具体的な解説がありますのでご参照ください。
(1) 保存場所:取引情報の授受が書面で行われたとした場合に保存するべき場所
(2) 保存期間:取引情報の授受が書面で行われたとした場合に保存するべき期間
(3) 保存のための措置:次のa~dのいずれかを行う。
a. 電子取引データにタイムスタンプを打ってから取引データを授受する
b. 取引データを授受してから速やかにタイムスタンプを打つか、業務処理規程で定めた期間を経過した後速やかにタイムスタンプを打つ
c. 訂正削除できないか、訂正削除の事実・内容を確認できるシステムを使用して授受及び保存を行う
d. 電子取引データの訂正・削除を防止する事務処理規程を定めて運用する
(4) コンピュータシステムと説明書を備え付けて、画面と書面に整然と速やかに出力できるようにする
(5) 検索要件:次の検索要件を満たすことができるようにすること
a. 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先を検索条件として設定できること
b. 日付または金額の範囲指定で検索できること
c. 二つ以上の任意の項目を組み合わせて検索できること
(6) (システム開発を他者に委託しているとき)システムの概要を記載した書類を備える

検索要件については例外があります。
例外1:税務調査の際に電子取引データの提示・提出要求に応じるようにしているなら、(5) 検索要件のb. c は不要。
例外2:さらに基準期間の売上高が5,000万円以下、または電子取引データを日付けと取引先毎に出力した書面を提示・提出に応じて、かつデジタルデータの提示に応じることができるなら、(5) 検索要件は不要。

保存要件の緩和措置
2023年12月までの施行規則では、タイムスタンプを打つときの電子取引データを保存する者や直接監督する者の情報を確認できる必要がありましたが、2024年1月からは不要になります。また、例外2の基準期間売上高は2023年までは1000万円以下ですが、2024年1月から5000万円となります。例外2の「または」以降は2024年1月から新設されます。

3項 保存の要件を満たせないとき(猶予措置)

3項(猶予措置)の全文を引用すると次のようになります。

法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したとき、又は納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録及び当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、当該事情が生じなかったとした場合又は当該理由がなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない。

猶予措置の引用文中アンダーラインを施した箇所は2024年1月1日からの施行規則で追加されたものです。本筋で電子取引データの保存要件について規程しているにも関わらず、猶予措置では規程に関わらずに保存できるということなので、矛盾しているように見えます。猶予措置の前提として税務署長が相応の理由があると認めることも、恣意的な印象があります。このあたりはもう少し調べてみたいところです。

なお、第3項でも電子取引データの提示・提出が必要とされているので、電子取引データの保存が不要になるということはありません。

Webを検索すると2024年1月から「電磁的記録の電子保存義務化の経過措置として整備されていた「宥恕措置」が、恒久的なものとして制度化された」といった解説も見られます。しかし、この理解は誤りと思われます。つまり、宥恕措置では書面による保存を認めていたのに対し、2024年1月からの猶予措置では「電磁的記録及び当該電磁的記録を出力することにより作成した書面」の提示となっているので、デジタルデータと書面の両方を提示する必要があります。つまり書面の保存のみでは認められなくなります。

最後の「ただし」以降は何を意味しているのか理解しにくい文で不気味です。いまのところ、これに関する解釈を見つけることができていません。

前回:電子取引データの保存、宥恕措置終了後の2024年(令和6年)1月1日からはどうなる?
次回:2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(1)

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電子取引データの保存、宥恕措置終了後の2024年(令和6年)1月1日からはどうなる?

前回は、「電子帳簿保存法・電子取引データ保存で目にあまる迷走を続ける財務省」として、法律で2022年1月から電子取引データをすべてデジタル保存することが法律で義務付けられたのにも関わらず、実際には2022年1月から2023年12月まで宥恕措置として書面保存ができるようになったことを説明しました。

この宥恕措置は2023年12月で終了します。では、2024年1月からはどうなるでしょうか?

これについては、2022年(令和4年)12月23日に閣議決定された2023年度(令和5年)税制改正大綱に次のような方針が出されています。

令和5年度税制改正の大綱(pp.82-83)

(3)電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。以下同じ。)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次の見直しを行う。
① 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次の措置を講ずる。
イ 保存義務者が国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てを不要とする措置について、対象者を次のとおりとする。
(イ)その判定期間における売上高が 5,000 万円以下(現行:1,000 万円以下)である保存義務者
(ロ)その電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者
ロ 電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件を廃止する。
② 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由がある保存義務者に対する猶予措置として、申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。
③ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用する。
(4)その他所要の措置を講ずる。

この方針に基づいて、財務省令が改正されて2023年(令和5年)3月31日に、新しい財務省令が公布されています。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令
新旧対照表(PDF)
新財務省令(Web)

このように手続きは粛々と進められています。新財務省令は2024年(令和6年)1月1日より施行になるので、来年からの電子取引データ保存は新財務省令に沿って行うことになります。

新財務省令に沿う電子取引データ保存の要件については、別途整理する予定ですが、このように短期間で、分かりにくい方針転換が行われるため、納税者である民間企業の立場から見るとシステム投資の計画を立てにくい状態となっています。

前回:電子帳簿保存法・電子取引データ保存で目にあまる迷走を続ける財務省
次回:2024年1月からの電子取引データ保存方法がどうなるか? 財務省令(施行規則)を読んでみる

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電子帳簿保存法・電子取引データ保存で目にあまる迷走を続ける財務省

先日は、「DX時代に逆行する電子帳簿保存法は、そろそろ、いさぎよく廃止するべきではないでしょうか?」と主張しました。この記事をお読みになっても、なぜ廃止するべきと主張するのか理解できないかもしれません。

そこで、今回は電子取引データ保存を例として、財務省の迷走をご紹介します。

例えば、アマゾンや楽天などのECサイトで、会社で使う物品を購入したとします。そうすると請求書または領収書をPDF形式で入手して、それによって経理処理をすることになるでしょう。

このPDF形式の証憑は電子帳簿保存法で保存義務が課せられます。該当する条文は、当初は第10条でしたが、2021年3月に電子帳簿保存法が改定されてからは第7条となります。

第10条は次のようになっていました。

第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

つまり、PDFを出力した書面を保存すればよく、デジタルデータは保存する必要はなかったのです。ところが、2021年3月改正の第7条では次のようになりました。

第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

そして、財務省令で保存のための要件が定められ、2022年1月より施行するとされていました。つまり、2022年1月からは書面にプリントして保存するのではなく、財務省令の要件を満たした上で、デジタルデータのまま保存しなければならないことになったわけです。

こうした状況を予想して、アンテナハウスは、2021年春から財務省令で定める要件を満たす電子取引データ保存専用の製品開発に急いで取り組みました。これは『電子取引Save』という製品名で2021年秋から発売するとともに、2022年1月から『電子取引Save』を用いて、自社でも電子取引データ保存を運用することとしました。

『電子取引Save』のWebページ
『電子取引Save』発売のお知らせ

ところが、2021年秋の税制改正大綱策定で雲行きが怪しくなりはじめました。そして最終的には2021年12月27日に財務省令が改定され、2022年1月から2024年12月31日まで次のような宥恕措置が施行されることとなりました。

電子取引データの出力書面等による保存措置の廃止(令和3年度税制改正)に関する宥恕措置について(財務省のWebページへのリンク)

一言でいえば、間に合わない事業者が多いので引き続き書面による保存を可能にするということです。

こうして、折角、新製品を開発してリリースしたにも関わらず、肝心かなめの財務省が腰砕け、真面目に取り組んだ国民は梯子を外されたということになりました。でも間に合わないというのは言い訳に過ぎないのです。実際に弊社は2022年1月より『電子取引Save』を使って電子取引データを保存しているわけですから。

こうして財務省の方針が一転してから約2年、2023年12月で宥恕措置の期限が切れることになります。さて次回は2022年から2023年の経過で迷走の第2幕、2024年1月からの保存がどうなるかをみたいと考えています。

参考資料)
見積書、注文書、請求書、領収書をPDFとして作成し、Webダウンロード配信や電子メールによる送受信をしたときの保存義務について(更新日: 2021/11/3)

前回:DX時代に逆行する電子帳簿保存法は、そろそろ、いさぎよく廃止するべきではないでしょうか?
次回:電子取引データの保存、宥恕措置終了後の2024年(令和6年)1月1日からはどうなる?

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