カテゴリー別アーカイブ: コラム

会社紹介動画 公開のお知らせ

突然ですが、2025年1月30日現在、アンテナハウスは40歳と5か月を迎えています。

去年の晩秋に、お客様からおめでとうメールをいただいて初めて、「そういえば…」といった感じで会社設立40年を自覚しました。
自覚した時期が遅かったので、Webサイトのヘッダー左のロゴ隣に、細やかに「40th」画像を追加してアピールしています。

さて、40年前なので、設立は1984年。
ジブリの名作「風の谷のナウシカ」が映画館で初めて上映された年です。(確か)

この時代、一般家庭では黒電話とブラウン管テレビが根強く活躍中で、ワープロ専用機すら全盛期ではありませんでした。
社会も週休1日制でした(休日は日曜日だけ)。

そんな時代からみると、世は本当に大きく変化しました。

ところで、アンテナハウスの理念は「A Data Usability Company」で、これまでのキャッチコピーは「PDF、組版と文書変換のアンテナハウス」です。(社長に訊くと、実は後付けだそう。)

このキャッチコピーは、現在のアンテナハウスをよく表しているといえます。
ただ、アンテナハウスは『データ有効活用のためのコンピュータソフトの企画、開発、販売』をする会社です。
確かに「PDF」や「組版」に強い会社ですが、それだけではありません。

そういうわけで、40周年というノリと勢いを使って、社員総会(2024年11月)で新しいキャッチコピーを社員全員で考えました。

新キャッチコピー
「文書変換を自在に、可能性を無限に!」

意味:当社のソフトウェアは、文書変換にとどまらず、データ活用の新たな可能性を世界まで広げ、柔軟に変換できる技術はまさに『自在に』と言えます。設立40年を迎えたアンテナハウスは、常に技術を進化させ、顧客のニーズに応えながら、これからも無限の可能性を広げていきます。

キャッチコピーに合わせて名刺も刷新しました。(10年ぶりです笑)

そして2025年1月29日、会社案内ページに、アンテナハウスを3分で紹介する動画を作成、公開しました。 ⇒ 会社案内

文書変換を自在に、可能性を無限に!

クリックで会社案内ページにジャンプします

それ以前にも、採用向けの動画は作っていましたが、会社全体について紹介する動画はまだでしたので、これからいろんなところで紹介できればと考えています。
Webサイトのヘッダーにあるロゴ上のキャッチコピーも入れ替え済みです。

「文書変換を自在に、可能性を無限に!」

世間のニーズに合った文書変換を実現するため、これからも邁進していきます!

既存のお客様におかれましては、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
これからアンテナハウスを知ろうとしてくださる方には、これからどうぞよろしくお願い申し上げます。




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マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーオンプレミスとクラウド

初回(マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究)、前回(マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーエンドユーザライセンスを契約主体でブレークダウンする)の説明の中で、「ソフトウエア製品」、「オンプレミス」、「クラウド」という言葉がでてきました。

これまで、言葉の意味を詳しく説明することなく使ってきましたが、今日は、その言葉の意味について考えてみます。

コンピュータというと、物理的に見えるハードウェアを思い浮かべることが多いと思います。コンピュータはハードウェアだけでは役に立たず、ハードウェアの上でプログラムが動くことで情報処理が行われます。プログラムの集合を抽象的にソフトウェアといいます。

所定の機能を実現するプログラムの集合体を、製品の形態でユーザーに提供するものが「ソフトウエア製品」です。

ソフトウェア製品はコンピュータ上で動作します。ハードウェア上で基本ソフトウェアであるOSが動き、さらにOSの上でアプリケーション・ソフトウェアが動くという階層になっています。OSもソフトウェア製品です。

デスクトップ製品とサーバー製品

コンピュータの使用形態としては、主に単独またはネットワークの端末として使う場合と、コンピュータをネットワークにつなげて、その機能をネットワーク経由で多数の端末から使用する場合があります。前者を「デスクトップ」、後者を「サーバー」といいます。この場合、ノートPCを端末として使う場合もデスクトップに分類されます。

デスクトップ製品は一度に一人のユーザーが一台のコンピュータ上で使うものです。マイクロソフト製品ではWindows 11はデスクトップOS、Microsoft Officeはデスクトップ・アプリケーション製品です。

サーバー用の製品は多くのユーザーが共同で利用できるようになっています。OS製品ではWindows Serverなど、サーバー用のアプリケーション製品ではSQL Serverなどがあります。

オンプレミスとは

ハードウェアを、企業・公共機関・その他の団体が管理する事業所に設置し、そこにあるコンピュータでソフトウェアを動作させて、組織に所属するエンドユーザーが使用することを「オンプレミス」(で使用)といいます。

ハードウェアを自前のデータセンターに置き、エンドユーザーがネットワーク経由でアプリケーション・ソフトを使用することも「オンプレミス」です。

さらに進んで、外部のデータセンターにハードウェアやソフトウェアの管理をアウトソーシングする運用も「オンプレミス」になります。

「ソフトウェア製品」のライセンス契約は、歴史的にオンプレミスを前提にしてきたので、オンプレミスと親和性が高くなっています。

クラウドとは

クラウド(またはクラウドコンピューティング)という言葉は比較的新しく、その意味も確定していないようです。単にインターネットに接続したデータセンターを意味する場合もあるかもしれません。しかし、ここではさらに進んで、ハードウェアやソフトウェアなどのコンピュータ資源を共有し、ユーザーの要求や利用状況に応じて、資源の割り当てをダイナミックに変更できる仕組みをもつデータセンターをクラウドということにします。

クラウドは、ハードウェアを特定の組織・団体向けに提供する専用ホスト(専用物理サーバー)型と、ハードウェアやソフトウェア資源を多数の個人・組織・団体が共有するマルチテナント型に分けられます。マルチテナント型をパブリック・クラウドということもあります。

【注】マイクロソフトのWebページでは、マルチテナントとパブリッククラウドという言葉が使われています。この使い分けの基準は不明確なため、ここではおなじと解釈しています。

「ソフトウェア製品」を、ここでいうクラウドで使用する場合、ライセンス(使用権)を共有し、その割り当てもダイナミックに変動する可能性があります。そうすると、オンプレミスを前提とするライセンスの考え方を、そのままクラウドに適用できないだろうことは容易に予想できます。




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マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーエンドユーザライセンスを契約主体でブレークダウンする

前回(マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究)に続いて、エンドユーザライセンスについてブレークダウンしてみます。

エンドユーザーライセンスの契約主体は一般企業・公共機関・学校などの組織・団体向けと個人・家庭向けに分けられます。なお、組織・団体向けと個人・家庭向けは名目的な分類であり、組織・団体のユーザーが個人・家庭向けライセンスを使用、あるいはその逆も問題はないと考えられます。

組織・団体向け

組織・団体向けは、主にマイクロソフトのパートナーを経由して販売されます。クラウドサービスは月単位の購入もできますが、オンプレミスは1~3年単位での契約になるようです。

【参照先】一般企業および公共機関向けライセンス契約の比較(マイクロソフトWeb)

組織・団体向けはボリュームライセンスとそれ以外に分けられます。

組織・団体向け:ボリュームライセンス

ボリュームライセンスの詳細は「ボリュームライセンス契約」で規定されるようです。また、ボリュームライセンスサービスセンターでライセンスの管理を行います。

【参照先】ボリューム ライセンス サービス センター (マイクロソフトWeb)

契約の種類として次の名前がリストされています。すでに新規契約は終了しているものもあります。

  • Microsoft Enterprise 契約および Microsoft Enterprise Subscription 加入契約ー500ユーザーまたは500デバイス以上の一般企業向けで、組織全体でオンプレミスまたはクラウドサービスを導入する場合が対象となるようです。
  • マイクロソフト 製品/サービス契約 (MPSA)ーユーザー数/デバイス数が250以上で、オンプレミスまたはクラウドサービスを必要数購入するとされています。
  • Microsoft Open Licenseー2022年1月以降は新規購入停止となっています。
    【参照先】Microsoft Open License プログラムの変更点 2020年12月17日(マイクロソフトWeb)
  • Microsoft Open Value および Microsoft Open Value Subscriptionーユーザー/デバイス数が3~499の組織向けで、オンプレミスまたはクラウドサービスを必要数購入するとされています。

組織・団体向け:ボリュームライセンス以外

  • Microsoft Cloud 契約 (MCA)ークラウドサービスプロバイダー(CSP)からオンプレミスまたはクラウドサービスを購入できます。
  • Microsoft Online Subscription 契約 (MOSA)ークラウドサービスAzureのサブスクリプション契約です。販売は直販となっています。
    【参照先】マイクロソフト オンライン サブスクリプション契約(マイクロソフトWeb)

個人・家庭向け

月単位のサブスクリプション契約で提供されるMicrosoft 365サービス、および永続ライセンスのMicrosoft Office製品があります。Office製品の提供方法は小売店やダウンロードなどで売られるフルパッケージ版とパソコンを購入したときにバンドルされるOEMライセンス版があります。

  • Microsoft 365 (旧Office 365)Personal、同Family
  • 小売りフルパッケージ(FPP)版(POSA カード版 / ダウンロード版)
  • OEM版

【参照先】Microsoft 365 (マイクロソフトWeb)
     Office 製品 POSA カード版 / ダウンロード版(マイクロソフトWeb)

その他

その他には、無料のサービスであるMicrosoft 365 for the web (旧称 Office Online) などがあります。




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マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究

ここではマイクロソフトのライセンスについて調査して整理してみます。なお、この記事はマイクロソフトの公開情報を解釈・考察したものです。マイクロソフトの公式情報ではないので、解釈の誤りを含んでいる可能性があることを予めお断りします。

まず、ここでいうライセンスとはなんでしょうか?

一般的にソフトウエア製品は、それを開発者した組織が著作権を保有しています。そして著作権者として製品やサービスの使用を許諾する仕組みになります。マイクロソフトの製品ライセンスはこうした枠組みによる、著作権者と利用者の間のソフトウエア利用契約にあたります。契約の内容はソフトウェアライセンス条項として提示されています。

最近は、製品ではなくクラウドサービスが増えています。クラウドサービスは、マイクロソフトにユーザーのアカウントを登録し、そのアカウントを通じてサービスやソフトウェア製品の機能を利用するものです。サービスの種類は多岐にわたり、利用条件も複雑になります。サービス規約の一部に「ソフトウェアライセンス」が含まれています。具体的には「Microsoft サービス規約」に規定されています。

【参照先】Microsoft サービス規約(マイクロソフトWeb)

サービス利用契約をライセンスと呼ぶのは若干違和感がありますが、特に区別する必要がないときは両者を一括して、製品/サービスライセンスと呼ぶことにします。

製品/サービスライセンスの目的

製品/サービスライセンスは、それを取得する主体と目的の観点から次のように分類できます。
1.エンドユーザライセンス
2.サービスプロバイダライセンス
3.その他

エンドユーザライセンスは、個人・企業・団体が自ら使用することを目的として契約・許諾するものです。エンドユーザライセンスでは、ライセンス所有者=利用者となり、ライセンス所有者が第三者にソフトウェアを利用させることは基本的にできません。但し、実務上は第三者かどうかの判断が難しい場合があるでしょう。エンドユーザライセンスはオンプレミスとクラウドサービスの両方が対象になっています。オンプレミスとクラウドサービスの詳細については、次の参照先で検討しています。

【参照先】マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーオンプレミスとクラウド(本ブログ 1月24日)

サービスプロバイダーとは、「Web ホスティング、ホスティングアプリケーション、メッセージング、コラボレーション、プラットフォーム インフラストラクチャなど、ホスティング型のソフトウェアやサービスをエンドユーザーに提供する企業」とされています。

サービスプロバイダーが、マイクロソフトのソフトウェアをホスティング型サービスでエンドユーザーに提供する場合、サービスプロバイダライセンス契約(SPLA)が必要になります。

サービスプロバイダーはSPLAによりマイクロソフト製品を、そのプロバイダーのクラウドサービスの一部として提供できることになります。

【参照先】サービス プロバイダー様向けライセンス プログラム: SPLA (マイクロソフトWeb)

なお、エンドユーザーライセンスのサーバーにアクセスできるのは、ユーザー企業の従業員またはオンサイトの契約業者など、あくまでライセンス所有者のために限られます。このような要件を満たさない外部ユーザーによる自身のためのアクセスを提供するとホスティングとみなされ、SPLAライセンスを取得する必要があります。(次の参照先の「エクスターナル コネクタ (EC) と SPLA の比較」のQAによる)

【参照先】製品ライセンスについてよく寄せられるご質問(マイクロソフトWeb上のPDF)

その他には、レンタル権(Rental Rights)ライセンスが含まれます。オフィス機器のレンタル、ビジネス/サービスセンター、インターネットカフェ、ホテルや空港の設置PC、政府機関の共有アクセスにはレンタル権が必要とされています。

また、パッケージ ソフトウェア開発企業様けライセンスとして「ISV Royalty プログラム」も用意されています。

【次回】
マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーエンドユーザライセンスを契約主体でブレークダウンする




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2024年度アンテナハウス社員総会を開催しました

2024年11月13~15日に、2024年度アンテナハウス社員総会を開催しました。

アンテナハウスでは年に1回、全社員参加の社員総会を開催しています。
主な目的は、「社員全員参加の経営を目指すこと」、そして「会社の現状と目標を共有すること」です。

社員総会は3日にわたって開催され、そのうち2日間は海外の社員を含めたオンラインでの開催、最終日となる3日目は現地とオンラインのハイブリッドでの開催となりました。
社員総会の開催は3支店の持ち回りで担当しており、今年は名古屋支店が担当して、豊橋の会場で開催されました。

2024年度アンテナハウス社員総会

2024年度アンテナハウス社員総会会場 ホテルアソシア豊橋にて

社員総会では、各グループのリーダーから2024年現状の報告と、来期の計画発表があります。
また、毎年恒例のアイデアコンテストも行われました。
新しい製品・サービス・業務改善などの提案を社員が行うもので、社員投票の結果、最優秀提案や優秀提案に選ばれたアイデアには賞金が進呈されます。

さらに今年はアンテナハウス創立40周年ということで、新たなキャッチコピーを決めるコンテストも開催されました。事前に社員からの公募、投票を経て上位入賞されたキャッチコピーについてのプレゼン、最終投票が行われ、決定したキャッチコピーが発表されました。
新たなキャッチコピーについては後日発表になりますので楽しみにしていてください。

会社案内ページに、キャッチコピーとともにアンテナハウスを3分で紹介する動画を作成、公開しました。ぜひご覧ください!(2025年2月4日追記)
会社案内

総会終了後は懇親会が開催され、美味しい食事とともに、仕事のこともそれ以外のことも含めて仕事仲間で語り合い、とても充実した会となりました。
社員総会は、なかなか顔を合わせる機会がない社員同士が集まることのできる貴重な機会です。
またここから1年を頑張っていこう、と最後は一本締めで締めくくりました。

最後に、社長からのメッセージを少しおすそ分けします。

「棚からぼた餅」ということわざがありますが、そこから社長がオリジナルでアレンジした言葉で「ぼた餅は床に落ちる前につかめ」というものです。

棚からぼた餅とは、
「思いがけない好運を得ること、労せずしてよいものを得ることのたとえ。」(出典:デジタル大辞泉(小学館))

という意味がありますが、思いがけない好運は、そう簡単に得られるものではありません。
いくら棚からぼた餅が落ちてきたとしても、床に落ちてしまっては食べられないように、好運も気づかないうちに見落としてしまっては生かすことができません。
ぼた餅(好運)は落ちてきた一瞬のタイミングでしっかりとつかみ取ること、そのためには好運の気配を逃さないことが重要、という教えです。

日々、ぼーっと過ごすのではなく、いつぼた餅が落ちてきてもつかめるように、常にアンテナを張って過ごしていきたいですね。




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株式投資の考え方:暴落をチャンスに変えて利益を得るアイデア

株式投資の本道とは少しずれるかもしれませんが、株が安いときに買って高いときに売ることで利益を得ることができます。利幅を大きくするには、まず、できるだけ安くなった時に買うことです。

安くなるパターンについては、「株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する」で整理しました。

この応用例として、2023年に発生した米国金融危機によって下落した銀行株から、利益を得たケースを紹介してみます。

2023年3月10日に米国のシリコンバレー銀行が経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれました。次にニューヨークのシグネチャバンクが破綻、やはりFDICの管理下に。その後、5月1日に米国のファースト・リパブリック銀行も破綻しました。

米国の主要な銀行の株価の動きは、主要24銀行の株価で構成する KBW 銀行株指数(BKX指数)で把握できます。BKX指数は2023年3月1日の終値109.33から3月15日には81.08まで約26%下落しました。

下がったときに買う、という立場からみると、これは絶好のチャンス到来です。しかし、安く買うのは良いとしても肝心の銀行が破綻してしまうと株の価値はゼロになり購入資金が全損になってしまいます。幾ら安く買ったとしても全損になってしまうと致命的失敗です。

損失リスクを下げるために、銀行株をひとつだけ買うのはなく、いくつかの銀行株をパッケージで購入してリスクを分散するというアイデアを考えました。

例えば、5つの銀行株をパッケージとして購入します。仮に、その中のひとつの銀行が破綻してしまった場合、元本の5分の1が失われてしまいます。その場合でも残りの4行の株価が購入時から売却時までに25%上昇すれば、すくなくとも元本は回収できます。

BKX指数は金融危機前から26%下落しました。危機が収束して指数が元に戻るとすると株価は74%に下落した状態から100%に上昇することになります。この場合の上昇率は、100/74=1.35、すなわち35%です。なので仮に5行中1行が破綻しても若干の利益を得ることができるでしょう。

凡そ、このような計算を前提に、米国の金融危機の状況、FRBの対応状況、銀行の株価の動きなどを半年ほどリサーチ。最終的に2023年10月20日に5つの銀行株をパッケージとして買い付けました。

その後、約1年経過。本日(11月8日)までに5つの銀行の株を全部売却しました。成果は次の表にまとめたとおりです。12万4千ドルの投資で4万8千ドルほどの総リターンを得ました。投資額に対する利益率は39%です。

保有日数を加味して利益率を年率に換算すると概ね60%近くになります。売買益・配当は税込みです。

なお、この5銀行の選択にあたっては、株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法で説明した基準で銘柄を選定しています。すなわち、米国の主要株式インデックスであるS&P500に採用されている銀行をリストアップして、その中から、利益率が高く、配当利回りが高く、時価総額が比較的多いなどの基準で銀行を選択しました。

参考のためにBKX指数のチャートを示します。結果論ですが、株式を買い付けた2023年10月20日は銀行株の株価が金融危機後の底値に近く、その後急速に上昇しています。BKX指数は金融危機から1年程度で危機前の水準に回復しました。

なお、日本の平成金融危機をはじめ、さまざまな金融危機に際して、各国の金融監督当局がどのように活動したかについてのドキュメンタリーがいろいろあります。これらを読むと金融システムは危機に対してかなり脆弱だという印象を受けます。つまり、金融危機に対して、当局が対応策を一歩間違えると金融システムが破綻してしまう可能性がある、ということです。

そう考えると、ここで紹介したやり方がうまくいったのは幸運だったのかもしれません。




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株式投資の考え方:日本株投資と米国株投資の相違点を考える

1年ほど前に、主にデジタル化(DX化)の観点で、日本株と米国株の投資を比較すると米国株の方が個人投資家(中小企業の資産運用投資家を含む)にとって好都合になっていると説明しました。
日本に残っている「紙と電子の間」のベルリンの壁を壊せ」(2023年9月22日)

この時は投資家から見た株式市場のDXの遅れという観点だったので、今回、改めて少し幅広い観点で考え直してみます。

前回の要約

個人投資家にとって好都合な点を具体的に挙げると次の通りです。
(1) 米国株は1株から買い付けできるが、日本株は原則100株からとなり投資単位が大きい。
(2) 米国株は四半期毎(3か月に1回)の配当が多いが、日本株は半期毎の配当が主であり小さな銘柄では1年一回の配当である。
(3) 配当の権利確定日から配当が支払われるまでの日数でみると米国株は概ね30日程度であるが、日本株は90日程度かかる。
(4) 日本株は3月決算が圧倒的に多数で、12月決算と合わせると決算期が集中している。また、その結果、配当支払い月も集中している。しかし、米国株の配当支払い月は分散している。

その後、1年を経過しましたが、この事情はほとんど変わっていません。

上の項目は、個人投資家の観点、特に配当に偏りすぎなので、もう少し大局的な観点で考えて補足します。

決算締め日から決算報告までのスピード

日本企業も米国企業も四半期毎に決算報告をすることは同じですが、決算報告までのスピードが違います。直近では9月末(四半期)決算報告が予定されています。

これについては、米国企業は、10月中旬から始まり、概ね11月初旬には終わるようです。対して、日本企業の発表は、10月下旬から11月中旬が多いようです。

日本企業の決算発表は米国企業よりも1週間から2週間程度遅いのではないでしょうか。

為替レートの影響

日本株投資と米国株投資の大きな違いは為替レートの影響の相違です。

日本居住者が米国株直接投資をするには、円をドルに替える必要があり、買付時と売却時の円・ドルの為替レート変動の影響を受けます。米国企業のドルベースの株価自体は、円・ドルの為替レートには大きな影響を受けないようです。この影響は投資対象企業によらず一律になります。こうして、米国株投資では資金のドル・円転換時の為替レートを考えるだけで済みます。

日本株は円・ドル為替レートの影響は企業毎に異なります。つまり、円高になると輸入企業は増益、輸出企業は減益方向になります。つまり、株価への影響が企業毎に異なるので、判断が難しくなります。また、株価変動にドル・円為替レートが影響するので、変動が大きくなるようです。

この項は具体的なところはまだ分析できていませんので、あくまで予想です。

産業構造の違い

もっと本質的な相違として、日米の一番大きな相違点は産業構造の違いがあります。次のような相違があります。
・米国にはグローバルなビッグテック企業がある。
・新しいビジネスモデルで大きく成長する企業がある。
・地場のエネルギー資源会社(石油と天然ガス採掘)が多い。
・米国市場に上場している海外本社の会社が多い。特にカナダの会社など。
産業構造の違いは投資判断ではかなり大きな要因ですが、詳しくは今後の課題としたいと思います。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例
8回目:8回目:株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する(前回)




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株式投資の考え方:株価はなぜ下がるか、そのパターンを分類する

株式投資においては、まず、投資対象銘柄を安く購入することが大事です。そのためには株価が大きく下がったときにチャンスです。しかし、下がった株価がもとに戻り、さらに上がらないと売買の利益を得られません。そのため、株価が再び回復するかどうか、それまでどの位の期間がかかるか、投資資金をそれまで維持できるかを見通してから買う必要があります。

株価が下がったときは、下がった原因を見極めることが第一歩でしょう。下がる原因はその時々によって異なっているわけですが、下げの現象はいくつかのパターンにわけることができます。過去の同じようなパターンで株価がどのように動いたか、どのように回復したかを知っていると未来を予想する手掛かりをえられます。

次に大きく下げるパターンを簡単に整理してみましょう。

主要な銘柄の株価が一斉に下がる

日本市場なら、東証プライム登録銘柄の大部分の株価が一斉に値下がりするような状態です。この典型例は2024年8月5日株価暴落のような事態です。このときは、7月31日に日銀が政策金利を0.25%程度に引き上げたのをきっかけとする円高と米国の景気見通しの不安などが重なって暴落したとみられています。

このほか、近いところでは、2020年2月~3月のコロナショック(新型コロナウィルス感染症パンデミック発生)による株価の下落、2015年8月のチャイナ・ショックによる下落、2008年9月のリーマンショック(2008年9月15日リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけとする金融危機)による株価下落など歴史に残る下落があります。

こうした、歴史に残るような大きな下落以外にも、中央銀行の利上げ、景気先行きへの不安あるいは戦争の勃発などで株価が一斉に下落することがあります。

こうした過去の下落はいずれも回復していますが、回復に要する期間はそれぞれ異なっています。過去のチャートを研究して頭にいれておくことである程度の判断基準が得られます。

同一業界の銘柄の株価が一斉に下がる

最近の一つの例として、2024年10月4日、日本郵船、商船三井、川崎汽船の株価がそれぞれ前日終値比で516円(9%)、329円(6%)、223円(10%)急落したことが挙げられます。これに関しては、米国港湾ストの終結で上昇期待が剥落したということのようです。これは将来の業績への思惑から下げたケースにあたりそうです。

世界の海運株急落 米港湾スト終結で運賃上昇期待が剝落

このほか、最近(10月初旬)は、中東情勢の悪化で原油の価格が上がっています。これに連動して、米国市場の石油・天然ガス採取会社の株価が上がっています(下がったケースではないのですが…)。しかし、10月中旬には原油価格の下落で米国エネルギー企業の株価が若干下がっています。

業界の主導的企業が業績見通しを引き下げたことで業界全体の株価が下がることもあります。この例として、10月15日夜ASML(業界最大の半導体製造装置メーカ)の第3四半期決算が事前に漏れ、年間売上高見通しが期待外れになったため、株価が16%下落した。26年ぶりの大幅下落だそうです。この影響で他の半導体製造装置メーカの株価も大きく落ちています。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は5%強の下落となりました。

半導体製造装置の中国への輸出規制強化で、半導体製造装置メーカーの売上が変化し、株価が変動しています。これは地政学的な要因による株価変動になります。但し、政府の規制の場合は、強化されると回避策が働いて需給が変化するためか、規制強化が常に売上減になるといった関係が生まれるとは限らないようです。

個別株が下がる

個別株が下落する原因は、業績の悪化または悪化の予想により下げる場合と、業績とは直接連動しない、株式の需給関係に大別できます。

業績の悪化には、次のような項目があります。
・通期決算または四半期決算で赤字になる
・通期の決算または四半期決算が当初の目標を下回る
・利益の見通しが減益になる
・利益の見通しが下方修正される
・配当が減る(減配)

このような情報は、四半期決算短信などの企業の開示情報から得られるので、開示情報を確認しておく必要があります。一般的には業績の悪化もしくは悪化予想で当該企業の株価は下がることが多いのですが、事前予想によっては、上がることもあります。また、決算発表に際して、業績が下がっても配当を増やして株価を維持するといった対策も見られます。このように業績悪化が直ちに株価下落につながらないこともあるので注意が必要です。

特に、収益の悪化の原因が企業のビジネスモデルの劣化のような構造的要因にあると考えられる場合、業績回復には長い時間がかかるので株の購入は見送るべきでしょう。

業績の悪化が株価の需給の悪化を引き起こすほか、次のように業績の悪化と直接連動しない下落要因もあります。
・企業が新規の株式を売り出すことで需給関係が悪化
・大口株主が株を売却する(需給関係が悪化)
・証券会社が企業の投資判断を引き下げる

例えば、大規模な資産運用ファンドのマネージャが、投資先企業の業績を予想し、株価がピークを付けたと判断して、保有株を売却することがあります。この場合は、業績の悪化が公開になっているわけではないので、一般投資家には原因がわかりにくいものです。株価が原因不明で下がったときは、出来高を確認すると良いでしょう。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例

前回(株式投資の考え方:投資成績の評価方法)は、株式投資の成績評価方法について弊社で行っている考え方を示しました。

考え方だけでは抽象的で分かりにくいので実際の例を紹介します。以下は、弊社で取得・保有している「積水ハウス」の例です。あくまで評価方法を考えるために取り上げているものです。

取引の履歴

初回買付は2022年6月17日で、1万株を取得し、金額は手数料込みで23,143,307円、一株あたり2,314.33円となります。
2023年8月17日に4,000株を売却しました。売却価格から取得原価を差し引いて2,166,398円の売却益がでました。
2023年10月4日に5,000株を取得して、累計保有株数が11,000株、取得額の残高は27,937,683円となっています。
この間、中間配当と期末配当を受け取り、配当金の累計金額は2,394,000円となりました。(いずれも税額控除前の金額です)。

評価

保有期間は9月25日までで832日。
売却と買付で残高が増減していますが、平均保有残高は24,638,616円となります。

2024年9月25日昼時点の「積水ハウス」の株価は、3,963.0円なので、評価額は43,593,000円となります。

9月25日時点での実現トータルリターン(実現トータル損益)は4,560,398円。
これに評価益を加えたトータルリターン(評価込みトータル損益)は20,215,715円となります。

平均残高で割って損益率を計算すると、実現18.5%、評価込み82.0%となります。これは保有期間832日に対する損益率なので、年率に換算すると年率実現利益率8.1%、評価込みでは年率で36.0%となります。

保有している銘柄についてこのような評価値を計算し、一覧表にして、パフォーマンスの悪い銘柄を売却していくなどの措置を行うと良いでしょう。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例(本記事)




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株式投資の考え方:投資成績の評価方法

株式投資に限らず、自分が行った投資判断が正しかったのかどうかを確認して、間違っていた場合は、それなりに軌道修正をする必要があります。そのためには、判断の根拠とするための評価データが必要です。

投資信託では、トータルリターンで評価することが多いようです。トータルリターンとは、キャピタルゲイン(投資信託の売買損益)とインカムゲイン(分配金)を合計したものです。

株式投資の評価もトータルリターンで評価するのが良いでしょう。株式投資でのトータルリターンは、株式売買の損益と配当金を合わせたもので計算できます。

売買損益や配当金は税込みで計算するか、源泉税を控除したあとの金額で計算するか、といった選択肢があります。

さらに、評価損益を加味した金額で計算するか、といった選択の余地があります。

当社の資産運用では次のように評価しています。

1.確定トータルリターン(確定トータル損益)
=税込売買損益+税込受取配当金合計値

2.評価込みトータルリターン(評価込みトータル損益)
=税込売買損益+税込受取配当金合計値+評価損益額
=確定トータルリターン+評価損益額

※全売却済の株式では評価損益額はゼロになります。

資産が増えているか減っているかは、これで分かります。しかし、確定トータルリターンも評価込みトータルリターンも、売買しないままで年月を経過すると配当金が積み上がって大きくなります。これでは、効率性の評価ができません。

そこで、投資効率を評価するために、保有期間中平均購入残高で割って、収益率とし、更に、保有期間(年換算)で割って、一年あたりのトータルリターンを計算します。

3.確定トータルリターン(確定トータル損益)(年率)
=(確定トータルリターン/保有期間中平均購入残高)/保有期間(年数)

4.評価込みトータルリターン(評価込みトータル損益)(年率)
=(評価込みトータルリターン/保有期間中平均購入残高)/保有期間(年数)

こうした数字を使って、投資がうまくいっているのか、うまくいっていないかを把握します。

うまくいっていない場合は、対応策を考えます。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法(本記事)
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例

注)2025年2月4日読み直して、インカムゲインとキャピタルゲインを逆に書いていたことに気が付き、訂正しました。失礼しました。




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