ここではマイクロソフトのライセンスについて調査して整理してみます。なお、この記事はマイクロソフトの公開情報を解釈・考察したものです。マイクロソフトの公式情報ではないので、解釈の誤りを含んでいる可能性があることを予めお断りします。
まず、ここでいうライセンスとはなんでしょうか?
一般的にソフトウエア製品は、それを開発者した組織が著作権を保有しています。そして著作権者として製品やサービスの使用を許諾する仕組みになります。マイクロソフトの製品ライセンスはこうした枠組みによる、著作権者と利用者の間のソフトウエア利用契約にあたります。契約の内容はソフトウェアライセンス条項として提示されています。
最近は、製品ではなくクラウドサービスが増えています。クラウドサービスは、マイクロソフトにユーザーのアカウントを登録し、そのアカウントを通じてサービスやソフトウェア製品の機能を利用するものです。サービスの種類は多岐にわたり、利用条件も複雑になります。サービス規約の一部に「ソフトウェアライセンス」が含まれています。具体的には「Microsoft サービス規約」に規定されています。
【参照先】Microsoft サービス規約(マイクロソフトWeb)
サービス利用契約をライセンスと呼ぶのは若干違和感がありますが、特に区別する必要がないときは両者を一括して、製品/サービスライセンスと呼ぶことにします。
製品/サービスライセンスの目的
製品/サービスライセンスは、それを取得する主体と目的の観点から次のように分類できます。
1.エンドユーザライセンス
2.サービスプロバイダライセンス
3.その他
エンドユーザライセンスは、個人・企業・団体が自ら使用することを目的として契約・許諾するものです。エンドユーザライセンスでは、ライセンス所有者=利用者となり、ライセンス所有者が第三者にソフトウェアを利用させることは基本的にできません。但し、実務上は第三者かどうかの判断が難しい場合があるでしょう。エンドユーザライセンスはオンプレミスとクラウドサービスの両方が対象になっています。オンプレミスとクラウドサービスの詳細については、次の参照先で検討しています。
【参照先】マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーオンプレミスとクラウド(本ブログ 1月24日)
サービスプロバイダーとは、「Web ホスティング、ホスティングアプリケーション、メッセージング、コラボレーション、プラットフォーム インフラストラクチャなど、ホスティング型のソフトウェアやサービスをエンドユーザーに提供する企業」とされています。
サービスプロバイダーが、マイクロソフトのソフトウェアをホスティング型サービスでエンドユーザーに提供する場合、サービスプロバイダライセンス契約(SPLA)が必要になります。
サービスプロバイダーはSPLAによりマイクロソフト製品を、そのプロバイダーのクラウドサービスの一部として提供できることになります。
【参照先】サービス プロバイダー様向けライセンス プログラム: SPLA (マイクロソフトWeb)
なお、エンドユーザーライセンスのサーバーにアクセスできるのは、ユーザー企業の従業員またはオンサイトの契約業者など、あくまでライセンス所有者のために限られます。このような要件を満たさない外部ユーザーによる自身のためのアクセスを提供するとホスティングとみなされ、SPLAライセンスを取得する必要があります。(次の参照先の「エクスターナル コネクタ (EC) と SPLA の比較」のQAによる)
【参照先】製品ライセンスについてよく寄せられるご質問(マイクロソフトWeb上のPDF)
その他には、レンタル権(Rental Rights)ライセンスが含まれます。オフィス機器のレンタル、ビジネス/サービスセンター、インターネットカフェ、ホテルや空港の設置PC、政府機関の共有アクセスにはレンタル権が必要とされています。
また、パッケージ ソフトウェア開発企業様けライセンスとして「ISV Royalty プログラム」も用意されています。
【次回】
マイクロソフト製品/サービスライセンスの研究ーエンドユーザライセンスを契約主体でブレークダウンする