日別アーカイブ: 2012年9月24日

インド系文字の組版

AH Formatter では、現在インド系の文字として、ヒンディ語などを表現するためのデヴァナガリ文字(Devanagari)をサポートしています。しかし、インド国内では、数多くの言語が話されているので、Devanagari だけでは足りません。
インド政府が定めている公用語はヒンディ語で、英語が準公用語となっています。また、各地方には指定言語が定められており、それらはその地方での公用語となっています。詳しくは Wikipedia などを参照してください。

インド近辺において、各公用語(指定言語)の実際の話者の概数は以下のとおりです。(Wikipediaなどより)

言語 スクリプト 母語話者数
ヒンディ語 Devanagari 4億9000万人
マラティ語 Devanagari 6800万人
マイティリ語 Devanagari 2400万人
シンド語 Devanagari 2136万人
ネパール語 Devanagari 1600万人
コンカニ語 Devanagari 750万人
ドグリ語 Devanagari 200万人
ボド語 Devanagari 154万人
サンスクリット語 Devanagari 1万人
ベンガル語 Bengali 2億2000万人
アッサム語 Bengali 2000万人
マニプリ語 Bengali 250万人
タミル語 Tamil 7400万人
テルグ語 Telugu 7000万人
パンジャブ語 Gurmukhi 6100万人
グジャラト語 Gujarati 4600万人
マラヤラム語 Malayalam 3600万人
カンナダ語 Kannada 3500万人
オリヤ語 Oriya 3200万人
サンタル語 Ol Chiki 605万人
ウルドゥ語 Arabic 6100万人
カシミル語 Arabic 460万人

AH Formatter は、言語をサポートするというより、スクリプトをサポートします。Devanagari と Arabic はサポート済みですので、あと 9スクリプトサポートすればよさそうです。

インドで発行されている紙幣はヒンディ語と英語で書かれていますが、裏面には、15の言語で金額が表記されています。これらは、次の言語、スクリプトで、公用語(指定言語)に含まれるスクリプトのうち、Ol Chiki 以外がすべて含まれています。

紙幣 アッサム語 Bengali
ベンガル語 Bengali
グジャラト語 Gujarati
カンナダ語 Kannada
カシミル語 Arabic
コンカニ語 Devanagari
マラヤラム語 Malayalam
マラティ語 Devanagari
ネパール語 Devanagari
オリヤ語 Oriya
パンジャブ語 Gurmukhi
サンスクリット語 Devanagari
タミル語 Tamil
テルグ語 Telugu
ウルドゥ語 Arabic

さて、デヴァナガリ文字(Devanagari)の構造を少しだけ紹介しましょう。
Devanagari は、母音と子音を組み合わせて表現します。そして、上部の横棒(シローレーカと呼ばれます)で文字が繋がっているのが特徴です。
ひとつの子音字は、「ka」のように a音を含んでいるので、ア行の文字は単独で表現します。「ki」や「ku」などは「ka」と母音を組み合わせて表現します。

「ka」は、 です。
「kaa」はこれに母音「aa」 を組み合わせて、का となります。日本語のア行はこれに近いそうです。
「ki」は母音「i」ि を組み合わせて、कि となります。おもしろいことに、「i」音は、子音の後ではなくて前に付くのです。「ku」は母音「u」 を組み合わせて、कु となります。これは、子音の下に付きます。
「ka」でなくて、「k」と発音させたいときがあります。これは、子音から「a」を取り除く文字 を付加します。

だいたいこんな程度の知識で、日本語を Devanagari で表現してみることができます。(町田和彦:書いて覚えるヒンディー語の文字 より)

鹿児島
ka g oo sh i m aa
ि
कगोशिमा
東京
t oo k y oo
तोक्यो
学校
ga k k oo
गक्को

来月 10/22 に Formatterのユーザー会「FormatterClub」が催されます。そこで、インド系文字組版に関する発表も行なわれる予定です。参加費無料ですので、ご興味のある方はお申し込みください。

FormatterClub定例会「文字組版の最先端」
今回のFormatterClub定例会では、縦組など文字の方向指定など、綺麗に文字組版するためのマークアップ方法のほか、V6.1(出荷準備中)の新要素、インドの文字組版、MathMLを使った高品質数式組版のご紹介、さらには現在開発中のAHReaderを使って電子文書レイアウトの可能性についてご説明いたします。