AH Formatter では、現在インド系の文字として、ヒンディ語などを表現するためのデヴァナガリ文字(Devanagari)をサポートしています。しかし、インド国内では、数多くの言語が話されているので、Devanagari だけでは足りません。
インド政府が定めている公用語はヒンディ語で、英語が準公用語となっています。また、各地方には指定言語が定められており、それらはその地方での公用語となっています。詳しくは Wikipedia などを参照してください。
インド近辺において、各公用語(指定言語)の実際の話者の概数は以下のとおりです。(Wikipediaなどより)
言語 | スクリプト | 母語話者数 |
---|---|---|
ヒンディ語 | Devanagari | 4億9000万人 |
マラティ語 | Devanagari | 6800万人 |
マイティリ語 | Devanagari | 2400万人 |
シンド語 | Devanagari | 2136万人 |
ネパール語 | Devanagari | 1600万人 |
コンカニ語 | Devanagari | 750万人 |
ドグリ語 | Devanagari | 200万人 |
ボド語 | Devanagari | 154万人 |
サンスクリット語 | Devanagari | 1万人 |
ベンガル語 | Bengali | 2億2000万人 |
アッサム語 | Bengali | 2000万人 |
マニプリ語 | Bengali | 250万人 |
タミル語 | Tamil | 7400万人 |
テルグ語 | Telugu | 7000万人 |
パンジャブ語 | Gurmukhi | 6100万人 |
グジャラト語 | Gujarati | 4600万人 |
マラヤラム語 | Malayalam | 3600万人 |
カンナダ語 | Kannada | 3500万人 |
オリヤ語 | Oriya | 3200万人 |
サンタル語 | Ol Chiki | 605万人 |
ウルドゥ語 | Arabic | 6100万人 |
カシミル語 | Arabic | 460万人 |
AH Formatter は、言語をサポートするというより、スクリプトをサポートします。Devanagari と Arabic はサポート済みですので、あと 9スクリプトサポートすればよさそうです。
インドで発行されている紙幣はヒンディ語と英語で書かれていますが、裏面には、15の言語で金額が表記されています。これらは、次の言語、スクリプトで、公用語(指定言語)に含まれるスクリプトのうち、Ol Chiki 以外がすべて含まれています。
さて、デヴァナガリ文字(Devanagari)の構造を少しだけ紹介しましょう。
Devanagari は、母音と子音を組み合わせて表現します。そして、上部の横棒(シローレーカと呼ばれます)で文字が繋がっているのが特徴です。
ひとつの子音字は、「ka」のように a音を含んでいるので、ア行の文字は単独で表現します。「ki」や「ku」などは「ka」と母音を組み合わせて表現します。
「ka」は、क です。
「kaa」はこれに母音「aa」ा を組み合わせて、का となります。日本語のア行はこれに近いそうです。
「ki」は母音「i」ि を組み合わせて、कि となります。おもしろいことに、「i」音は、子音の後ではなくて前に付くのです。「ku」は母音「u」ु を組み合わせて、कु となります。これは、子音の下に付きます。
「ka」でなくて、「k」と発音させたいときがあります。これは、子音から「a」を取り除く文字 ् を付加します。
だいたいこんな程度の知識で、日本語を Devanagari で表現してみることができます。(町田和彦:書いて覚えるヒンディー語の文字 より)
鹿児島 |
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कगोशिमा | ||||||||||||||
東京 |
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तोक्यो | ||||||||||||||
学校 |
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गक्को |
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