自社製品ソフトウェア・プログラムに対する署名の実施とその適用拡大について

インターネットが普及してさまざまなことが便利になった半面、インターネットのマイナスの側面の一つとして、情報セキュリティリスクが非常に大きくなりました。とくにインターネットでの情報のやりとりは無料が原則なのですが、結局、それが情報の質の低下をもたらすという結果になってしまっているようです。

インターネットを経由して、情報を入手し、利用するときは、入手したその情報が真に信頼できるものなのかを自分自身で確認しなければなりません。Windowsには、そのための仕組みとして「Microsoft Defender SmartScreen」が用意されています。これは主にダウンロードするWebサイトの評価やダウンロードしたプログラムの評価を行って、悪意のあるデータがパソコンに取り込まれることを防ごうとするものです。

コードサイニング

当社が販売しているようなソフトウェア製品の場合、ユーザーは、ダウンロードなどで入手したプログラムを自分のパソコンにインストールする前に、真に信頼できるかどうかを確認する必要があります。誰が開発したプログラムがなのか、配布されてから改竄されていないかどうかを確認できるようにするために、プログラムへの電子署名(コードサイニングという)が使われます。これはプログラムの配布元が、自己の証明書を使ってプログラムに電子署名するものです。

Windows側の防衛の仕組みとコードサイニングを組み合わせることで、ダウンロードしたプログラムの配布データとしての信頼性を高め、また信頼できるプログラムを選別してスムーズにインストールできるようになっています。

電子証明書発行時には、証明書を発行する認証局が、発行申請者を審査します。コードサイニング証明書には、通常の証明書とEV証明書があります。EV証明書は発行時の審査基準が通常の証明書より厳しくなっています。

前置きが長くなりましたが、アンテナハウスは2018年7月より「EVコードサイニング証明書」を使用して当社が提供するソフトウエア(インストーラ、アプリケーション、ドライバ、ソフトウエアプログラム)に電子署名を実施しております。

配布するプログラムにEVコードサイニングを行うと次のメリットがあります。

  • コードが改ざんされていないことを証明できる
  • プログラムの配布元を確認できる
  • ダウンロードやインストール時に、Microsoft Defender SmartScreen の警告メッセージを回避できる

最近はさらにWindows側のセキュリティ基準が厳しくなって、製品を構成する部品(Windows版ではDLL)ファイル一つ一つに署名が必要になってきています。そこで、現在、自社製品のWindows版の、原則としてすべての、部品ファイルにEVコードサイニング証明書による電子署名を施すよう準備しています。

電子署名の確認

Windowsでプログラムに署名がされているかどうかはファイルのプロパティで確認できます。次の図の左は、電子署名がなされていないプログラムのプロパティダイアログです。それに対して右は電子署名されたプログラムのプロパティです。電子署名されていると「デジタル署名」というタブが追加されていることがわかります。

「デジタル署名」タブを表示すると、署名の一覧が表示されます。

リストを選択して、署名の詳細をみることができます。

こうして、プログラムの配布元の情報や配布されてから改竄されていないことを確認できることになります。

詳細記事

「EVコードサイニング証明書」を使用したデジタル署名について

参考資料

1.Microsoft Defender SmartScreenのページ(Microsoft)
2. EV証明書 (Extended Validation 証明書)とは




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株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか

2024年8月5日は日本株の投資家にとっては受難の日でした。

日経平均(225)は、8月5日 1日だけで4,451円(前日比12.4%の下げ)という歴史的な暴落を記録しました。それから1週間経過、まだ砂塵が収まらない状態ですが、この機会に株価の暴落に対して投資家がどのように対処するべきかを考えてみました。

まず、株式に投資する人は「良い会社の株価は、長い目で見れば、必ず上がる」ということを信じる必要があります。逆に、そのことを信じない人は、個別投資だろうがインデックス投資だろうが、そもそも株式投資をしてはいけません。

しかし、株価はかなり大きく変動します。これは歴史を振り返ってみればすぐにわかることです。例えば、近いところでは、2020年の2月頃から4月にかけて起きた新型コロナウィルス感染症パンデミックでは20%程度暴落しました。それ以外にも21世紀に入ってから、既に数回の暴落が起きています。

こうしたことを考えれば、株価が暴落したときどう対処するべきかは、日ごろから考えておかないといけないことと言えます。

さて、現在、1,000万円(評価額=取得額とします)の株を保有しているとします。明日、20%下落してしまったとしたらどうしたら良いでしょうか?

極端なケースとして、(1)何もしない場合と、(2)下がったところで売却(損切)するケースを比較してみましょう。先に、株価は必ず上がると言いましたが、ここで仮に株価が2年後に元に戻ったとしましょう。

1000⇒800⇒1000と変化するという想定ですが、この場合、下落率は20%、下落からの上昇率は25%ということになります。

(1)何もしない場合

今日の評価額:1,000万円
明日の評価額: 800万円
株価が2年後に回復したとして2年後の評価額:1,000万円

結果:2年後にはチャラになります。

(2)下がったところで売却して損切する

今日の評価額:1,000万円
売却した現金: 800万円(売却損:200万円)
明日の評価額:  0万円
株価が2年後に回復したとして、2年後の評価額:0万円(売却損:200万円)

売却しないで保持するケース(1)では2年後に株価がもとにもどればチャラになります。なお、2年間で配当金を得ることができれば、その分投資成績がプラスになります。つまり株価が暴落して、元に戻るのを待つとき、配当がかなり重要な利益源になるということです。

一方、売却するケース(2)では、売却した時点で損失が確定します。但し、損失が確定する代わりに800万円の自由に使える資金が確保できるので、それを2年間で125%を超えるリターンを得られるような新しい投資先を見付けることができれば(1)のケースよりも良い投資成果を生み出せる可能性もあります。現金化して何もしないのが最悪で200万円の損失で終わってしまいます。

保有している株が暴落する前に、それを察知して、暴落する前に売却して現金化しておくことができれば理想的です。しかし、神様でもない限り、それはなかなか困難です。そこで株式投資家は、保有している株が暴落したときどう対処するかを常にシミュレーションして考えておく必要があります。

連載

初回:株式投資の考え方:株価の暴落にどう対処するか(本記事)
2回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落から学べること
3回目:株式投資の考え方:2024年8月の株価暴落はどのように起きたのか?
4回目:株式投資の考え方:良い会社とはどのような会社か、投資先候補銘柄の選定法
5回目:株式投資の考え方:いつ買い・いつ売るか
6回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法
7回目:株式投資の考え方:投資成績の評価方法ー実例




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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(4)

日本語組版では、縦組みの表のコマ(セル)の配置に関しては、次のようになります。

(1) 表の右上に表の原点を置く
(2) 隣り合う縦罫線で囲まれた領域を表の行、隣り合う横罫線で囲まれた領域を表の列とする
(3) 表の列(カラム)の進行方向は上から下へ、行の進行方向は右から左へ進む

『日本語文書の組版方法 JIS X4051:2004』(平成16年3月20日改正、日本規格協会発行)11.2 表の全体の処理 2) 縦書きの場合
『日本語組版処理の要件(日本語版)W3C 技術ノート 2012年4月3日』 4.4.2 表の全体の組方向

しかし、Microsoft Wordの表作成機能では、このようなレイアウトの表を作成することができません。

見かけ上、似たような表を作成する方法は、ページを縦書きとし、表の各セル中の文字の方向を縦書きとする方法ですが、これは原点が左上で表の行と列の進行方向がそれぞれ上から下、左から右なので、いろいろ不都合がおきます。詳しくは次のページをご参照ください:

Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(1)

一方、ページを横組みとして、文字を左90度回転を指定すると、表全体が左90度回転した状態で、日本語組版では、縦組みの表のコマ(セル)の配置の規定に似たレイアウトができます。詳しくは次のページをご参照ください:

Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)

しかし、上の設定では、Microsoft Wordのページ設定自体は横書きです。Wordの編集画面では文字が横倒しになった状態で表示されます。紙に印刷したり、PDFを作成したうえで、紙を回転すれば縦書きになります。

しかし、表が正立した状態で、柱をページの上部におき、ノンブルをページの下部におくといったことはできません。

これはアメリカ生まれのMicrosoft Wordの限界といえるかもしれません。




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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(3)

Microsoft Wordには段落罫線罫線タブという機能があり、これを使って表のようなレイアウトのページを作成できます。

具体的な例として、次のように項目がならんだ文書を罫線で区切った表の形式にしてみます。

1.表形式にする文書の例

2.横組みの表形式を作成する
(1)表形式にしたい範囲を選択し、「ホーム」タブの「罫線」のメニューで「枠線」をクリックします。

(2)これにより、次のように各行(この例では一行が一段落)に枠線が設定されます。

(3)次に表形式にしたい範囲を選択し、「ホーム」の「段落」ダイアログを表示します。

(4)「段落」ダイアログの左下にある「タブ設定」ボタンをクリックします。

(5)「タブとリーダー」ダイアログが開くので、タブの種類として「罫線」を選択します。罫線を設定したい位置を文字数単位で指定します。

(5)OKをクリックすると、次のように、指定した位置に縦罫線が設定され、表の体裁になります。

3.縦組みの表形式に変更する

こうして作成した表は横組みのレイアウトです。これを「レイアウト」タブの「文字列の方向」メニューで「縦書き」を指定すると、次のような縦組みの表形式に変更できます。

4,まとめ

段落罫線と罫線タブで作成した表は、紙面上に、テキストを配置した上で、縦横の罫線を引いたという状態です。このため行と列方向にセルを配置する形式の表構造をもっているわけではないので、一部の段落に文字を追加したりするとレイアウトが崩れてしまうなどの問題があります。

あくまで、簡易的な表レイアウトと考えるのが良いでしょう。

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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)
Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(3)

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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)

Microsoft Wordには文書内(文書全体、またはセクション単位、またはテキストボックス内)で文字の方向をさまざまに切り替える機能があります。指定できる方向は、「レイアウト」タブの「文字列の方向」メニューの縦書きと横書きのオプションで確認できます(次の図)。

そこで、横書きの文書を作成した上で、文字の向きを「左90度回転」指定すると、見かけ上は縦書き文書のページを左90度回転したレイアウトになります。

このような文書に表を挿入すると、本文(表外)の行の進行方向と表の行の進行方向が一致、また本文の文字の進行方向(左から右)と表のカラムの進行方向(左から右)が一致します。

表のセルに文字を入力していき、表の高さが大きくなってページの区切りを超えた場合、ページを跨る表ができます。

また、このようにして作成したdocx文書を『HTML on Word』でdocxからHTMLに変換した上で、HTMLにCSSで縦書きを設定してブラウザで縦書き表示すると次のようになります。

前回(Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(1))の設定方法と比較すると、

(1) 長所としては、本文の文字の流れと表の行・カラムの流れが一致した縦書き文書になり、本文と表で文字や行の進行方向に矛盾がなくなります。この結果、表が大きくなってページの範囲を超えたときは、ページを跨る表ができます。
(2) 欠点としては、Wordの編集画面では文字が回転してしまっているので、編集しにくい点があげられます。

(2)の欠点を回避するには、Wordで文書を編集するときには横書き文書として編集、印刷したりPDFを作成するときに、「レイアウト」タブの「文字列の方向」メニューで、「横書き(左90度回転)」を指定することが考えられます。

なお、細かいことですが、横書きと縦書きでは数字(アラビア数字⇔漢数字)など数字の書記方法が異なるなどの相違があるので、予め縦書きを想定した書記方法を適用しておくなどの配慮が必要です。次の例をご参照ください。

〇横書きではアラビア数字

〇縦書きでは漢数字

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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(1)

Microsoft Wordで縦組みの文書を作成するには、「レイアウト」タブの「文字列の方向」で「縦書き」を指定します(次の図)。

そうしますと、Wordの編集画面で文字を入力するときの文字の進行方向が縦方向になります。文字だけの文書であれば、これで問題ないのですが、縦組の表を作成しようとすると困ります。

Wordで表を作成するには、「挿入」タブで「表」を挿入しますが、これで挿入される表は横組みの表です。すなわち、①表の行が上から下に進み、②表のカラムは左から右に進みます。

そして、表のセルの中の文字は横書き設定となります。

Wordには表のセル内の文字の方向を切り替えるメニューがあります。

そこで、文字列の方向を切り替えると、セルの中を縦書きに設定できます。

この機能で各セルを縦書きにして、一見、和文の縦書き表に見えるような表を作成できます。
日本の歴史書などに登場する年表はこのような形式です。日本の歴史年表のような和文の縦組みの表は、表の行が縦に作られ、行の進行方向は右から左に、表のカラムは横に並び、カラムの進行方向は上から下です。

ところが、Wordの表挿入をして、セル内の文字を縦方向に設定した表では、表の行が上から下に進み、表のカラムは左から右に進んでいます(次の図)。

この表は、縦組みの表に見えますが、表としての行・列構造は横書きなのです。そこで、例えば、次の図のように右端のセルにテキストを入力していくとセルの幅が広がって、右から2列目と3列目のセルが左に移動します。

更にテキストの分量を増やしていくと、一番左側のカラムがページの境界をはみ出して見えなくなってしまいます。表がページの区切りで改ページして次のページに跨りません。

これは、Microsoft Wordでは表がページを跨るときのページ分割は行単位で行われるようになっており、カラム単位ではページ分割が行われないためです。

また、HTMLに変換してブラウザで縦書き表示してみると論理構造は横書きであることがよくわかります。このdocx文書を『HTML on Word』でHTMLに変換します。変換したHTMLをブラウザで縦組み表示するために、HTMLのbodyタグに次の設定をします。

<body style="writing-mode: vertical-rl;">

ブラウザで表示すると、次のようにセルの位置がWordの画面の表と異なってしまいます。

では、明日はこの問題を解決する方法を調べてみましょう。縦書きWord文書をHTMLに変換することはめったにないので、困る人がすくないかもしれませんが。お楽しみに。

次回は:Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(2)

【注】『HTML on Word』は、アンテナハウスが開発したdocx文書をHTMLに変換するツールです。詳しくは次のWebページをご覧ください。https://www.antenna.co.jp/xhw/

なお、WordのHTML形式保存機能を使用してHTMLを作成し、そのHTMLをブラウザで縦組み表示する設定をしても同じ現象が起きます。

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Microsoft Wordで縦組みの表を作る方法について考えてみよう(3)

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無料のPDF編集ツールはどの程度使えるか―無料とは名ばかりのAdobe Acrobat Web

昨日検討したSmallpdf(無料のPDF編集ツールはどの程度使えるか―Smallpdfは無料で使える?)と類似した無料PDFツールにAdobe Acrobat Webがあります。

Adobe Acrobat Webは、WebブラウザでアップロードしたPDFやOffice文書などに対して、編集・変換処理を行うWebサービスです。トップページは次のように、機能がメニューとして用意されています。

メニューにリストされている機能を一覧表に整理すると次のようになります。

分類 機能リスト 概要説明
変換 PDFをWordに変換 PDFをMicrosoft Wordファイルに変換
PDFをExcelに変換 PDFをMicrosoft Excelファイルに変換
PDFをPPTに変換 PDFをMicrosoft PowerPointファイルに変換
PDFをJPGに変換 PDFをJPGその他の画像ファイルに変換
WordをPDFに変換 Microsoft WordファイルをPDFに変換
ExcelをPDFに変換 Microsoft ExcelファイルをPDFに変換
PPTをPDFに変換 Microsoft PowerPointファイルをPDFに変換
JPGをPDFに変換 JPGやその他の画像ファイルをPDFに変換
PNGをPDFに変換 PNGやその他の画像ファイルをPDFに変換
PDF変換ツール ファイルとPDFを変換
編集 PDFを編集 テキストボックス、コメント、ハイライトなどを追加
PDFを結合 複数のファイルをひとつのPDFに結合
PDFを分割 ファイルを複数のPDFに分割
PDFをトリミング ページコンテンツをトリミング、余白を調整、ページサイズを変更
PDFのページを削除 PDFからページを削除
PDFのページを回転 ページを左右に回転
ページの順序を入れ替える PDFのページの並び順を変更
PDFのページを抽出 選択したページで新しいPDFを作成
PDFにページを追加 PDFにページを挿入
PDFにページ番号を追加 PDFにページ番号を追加
ファイルサイズをコンパクトに PDFを圧縮 PDFのサイズを縮小して、簡単に共有
署名と保護 入力と署名 フォームに入力して署名を追加
電子サインを依頼 オンラインですばやく文書を送信して電子サインを依頼
PDFを保護 パスワードを設定してPDFを保護

「オンラインでAdobe Acrobatを活用」というキャッチから、デスクトップ製品であるAcrobatの機能をオンラインで使えるようにしたものという印象を受けます。しかし、メニューをざっと見たところではPDFとOffice同士の変換が充実しています。

Acrobat Webは実際に無料でどこまで使えるか。試してみると、最初の1回目はログインしないでも使えますが、2回目に使おうとするとログインが要求されます。さらに次は有料版の7日間試用の申込となり、支払い方法としてクレジットカードまたはPayPalの登録を要求されます。

2回目からは「無料で始める」というボタンを押しても、サブスクリプションの登録ページ(下図)が表示されるなど、どこまでが無料なのかが分かりにくい仕組みになっています。

調べてみるとヘルプページに次のようなQ&Aがありました。

Q 無料ツールは何回使用できますか。
A Adobe ID を使用して Acrobat web 版または Acrobat ブラウザー拡張機能にログインしない場合は、1 件の無料トランザクションの実行と、作成されたファイルの 1 回のダウンロードのみ可能になります。ログインしないと試せないツールもいくつかあります。

Adobe ID でログインすると、ファイルの入力、署名、共有、コメント追加を無料で行うことができます。ログイン時に他のプレミアムツールを試す場合、無料のユーザーには次の制限が適用されます。

他のプレミアムツールを試す場合は、30 日ごとに 1 件の無料トランザクションを繰り返し実行できます。例えば、任意の日に初めてログインし、「PDF を Word に変換」ツールを使用した場合、現在の 30 日間で 1 件の無料トランザクションを使用したことになります。15 日後に「PDF を圧縮」ツールにアクセスした場合、現在の 30 日間で無料トランザクションを既に消費しているため、このツールは使用できません。もう一度プレミアムツールを無料で使用するには、30 日間が終了するまでお待ちいただく必要があります。

電子サインを依頼するトランザクションには、追加の制限が適用される場合があります。

無料の上限に達すると、オンラインで通知されます。

(2024/5/22ヘルプページより引用)

整理すると
1.ログインしないで使えるのは1回だけ(但し、すべての機能が使えるわけではない)
2.ログインするとファイルの入力、署名、共有、コメント追加を無料で使える
3. それ以外の機能は、無料だと30日に1回だけ使える

この説明によると、ログインすれば、PDF編集機能のうちコメント機能は無料で使えるようです。しかし、試した範囲ではGoogleアカウントでログインしようとすると「Something went wrong」というメッセージが表示されてログインができませんでした。

ということでAcrobat Webを実際に無料で使えたのは1回のみでした。Acrobat Webの無料とは名ばかりと言わざるを得ませんね。

弊社の有償ツールとの比較

結局、Acrobat Webを実用的に使いたいならば、Acrobat Proの有料サブスクライブ契約するしかなさそうです。Acrobat Proは弊社製品で比較するならば『瞬簡PDF統合版』が機能的には一番近くなります。

契約体系が全く異なっているので価格は比較しにくいですが、次の表のとおり、5か月を超えて使用する予定があるなら『瞬簡PDF統合版』の方がお安くなります。

Acrobat Pro 瞬簡PDF統合版
シングルライセンス
契約方式 サブスクリプション 永続ライセンス
月々プラン 税込3,380円 パッケージ版
税込15,950円
ダウンロード版
税込14,190円
価格は値引きなし標準価格
値引きが適用されとさらにお安くなります。
年間プラン 税込23,760円
2年間使用 税込47,520円
3年間使用 税込71,280円

Acrobat Webは「無料」と銘打たれていても、無料で実用的に使うのはまず無理でしょう。本質的にサブスクリプションへの誘い込み手段に過ぎないものに「無料」と銘打つのはマーケティング手段として悪質というべきでしょう。

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無料のPDF編集ツールはどの程度使えるか―Smallpdfは無料で使える?

Copilotに聞いてみました。

質問
無料のPDF編集ツールはどんなものがありますか

回答
もちろんです!PDFを編集するための無料のツールがいくつかあります。以下はいくつかのオプションです。

Smallpdf:
オンラインで直接使える無料のPDFエディターです。
テキストの編集や画像の追加、図形やハイライトの挿入などが簡単に行えます
<以下、略>

Copilotに限らず、無料のPDF編集ツ―ルとしてSmallpdfがよく挙げられます。Smallpdfは結構人気があるようです。そこでSmallpdfってどんなものなのかちょっと調べてみました。

まず、Webページです。Smallpdfのトップページはこちらです:
https://smallpdf.com/jp

画面右上で「ログイン」すると次のような画面になります。

メニューにリストされている機能を一覧表に整理すると次のようになります。

分類 機能リスト 概要説明
変換&圧縮 PDF 圧縮 PDFのサイズを縮小
PDFコンバーター Word、Excel、ppt、および画像ファイルがPDFに変換されます。PDFファイルは選択されたファイルタイプに変換されます。
PDFスキャナー PDFをモバイルでスキャン
整理 PDF 結合 PDFドキュメントをマージ
PDF 分割 ページずつ分割したり、特定のページを切り取って新しいPDFファイルを作成
PDFを回転 回転するページを選んだり、すべてのページを一度に回転
PDFページを削除 PDFからページを削除
PDFページの抽出 1つのPDFとしてページを抽出できます。また、選んだページごとに個別のPDFを作成することも
表示&編集 PDF編集 テキストや画像、ハイライト、描画の追加やドキュメントの整理
PDF注釈 注釈が追加されたPDFを透かしなしでエクスポートし、さまざまなファイル形式に変換したり、圧縮
PDFリーダー 自由に解析、編集、共有、印刷
ページ番号を付ける 各ページのヘッダーまたはフッターに自由にページ番号を付ける
AI PDF要約 50MBのファイルサイズと50,000ワードの文字数を上限に、PDFドキュメントをお好きな数だけ要約
PDFから変換 PDF Word 変換 PDFをワードファイルに変換
PDF Excel 変換 PDFファイルをExcelスプレッドシートにすばやく変換。OCRも可能
PDF PPT 変換 PDFをPPTファイルに変換
PDF JPEG 変換 「全てのページを変換」または「画像を1枚ずつ抽出」
PDFに変換 Word PDF 変換 DOCとDOCXを数秒以内にPDFに保存
Excel PDF 変換 xls/xlsxファイルをPDFに自動変換
PPT PDF 変換 PPT も新しい PPTX フォーマットもどちらも変換
JPEG PDF 変換 文字のサイズ、ページの向き、ページ余白を自由に調整
PDF OCR OCRなら、選択可能なテキストを含む検索可能なPDFを作成
署名&セキュリティ EサインPDF 署名と署名者を検証するためのLTV(長期検証)タイムスタンプが付与
PDF ロック解除 PDFからパスワードを解除
PDFを保護 PDFにパスワードを追加
PDFをフラット化する 内容がドキュメントに恒久的に埋め込まれる

ざっくりみると、PDF編集ツールとしてはかなり機能が充実しているように見えます。もう少し詳細なところは後ほどチェックすることにして、「価格」を見てみましょう。

価格には次の4つのメニューがあります。
①無料
②プロ(月額1,013円)
③チーム(月額825円)
④ビジネス(カスタム価格)

プロとチームは、それぞれ、7日間のトライアル期間があります。トライアル期間を開始するにあたっては、クレジットカード情報の登録が必要で、7日間の試用が終わると課金されることになります。

有償ツールのトライアル期間は無料ツールには含めないとすると、「①無料」でどこまで使えるかがチェックポイントとなります。実際に使ってみると、多くのメニューは確かに無料で使えますが、しかし、重要な制限があります。

1.無料で使用するとき「ダウンロード」の制限があります。今回試した範囲では二つのPDFファイルを作成してダウンロードできました。しかし、三つ目をダウンロードしようとしたら、もう1日の制限容量を超えてしまったということで、次の画面のメッセージがでてダウンロードできません。1日にたった2ファイルしかダウンロードできないのでは、少なくとも仕事には使えないでしょう。

2.メニューでは一通りの機能があるように見えます。しかし「PDF編集」の中の「テキストや画像、ハイライト、描画の追加」をみると、ほぼ注釈の編集機能です。PDF本文編集では、本文への「テキスト」の追加機能があります。これを使おうとすると、次のダイアログが表示されます。


どうやら、これはSmallpdf proの機能のため「無料」では使えないようです。

Smallpdfツールは機能がかなり充実していて魅力的を感じる点もあるサービスです。

しかし、上記の1、2の制約を考えると「無料のPDF編集ツール」かもしれませんが、Smallpdfを「無料で実用に使える」とは言えないでしょう。無料はPR効果を狙った宣伝用語に過ぎないといえそうです。

弊社の有償ツールとの比較

結局、PDF編集を実用的に使いこなそうとするならば、有料のSmallpdf Proを契約するしかなさそうです。Smallpdf Proは、弊社製品で比較するならば『瞬簡PDF統合版』が機能的には一番近くなります。

契約体系が全く異なっているので価格は比較しにくいですが、次の表のとおり、1年と少しを超えて使用する予定があるなら『瞬簡PDF統合版』の方がお安くなります。

無料という宣伝文句に踊らされないようにしっかり比較してみましょう。

Smallpdf pro 瞬簡PDF統合版
シングルライセンス
契約方式 サブスクリプション 永続ライセンス
月間利用料 非課税(?)1,013円 パッケージ版
税込15,950円
ダウンロード版
税込14,190円

価格は値引きなし標準価格
値引きが適用されとさらにお安くなります。
1年間使用 非課税(?)12,150円
2年間使用 非課税(?)24,300円
3年間使用 非課税(?)36,450円

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【ご注意】Microsoft Copilotの回答は、ときどき、お頭が空っぽなオーム並みのことがあります

生成AIが注目されているので、Windows 11に付属しているCopilot無償版(プレビュー)に、いくつかPDF関係の質問をしてどんな回答が得られるか、どの程度役に立つのだろうかと少しばかり試してみました。

幾つか試してみたところ、質問の内容によっては参照元Webページの要約をまとめていることが明らかなケースがときどきあります。

この場合、参照元のWebページが誤っていると、Copilotはその内容の真偽を判断することなく、オーム返しに誤った回答をしています

例えば、

質問:フォント埋め込みの方法を教えてください。

Copilotの回答:

PDFファイルにフォントを埋め込む方法は、Adobe Acrobat Reader DCを使用して行うことができます。以下にWindowsとMacの両方の方法をご紹介します。

Windows(Adobe Acrobat Reader DCを使用)
Adobe Acrobat Reader DCを開きます。
(以下、省略)

この回答の中では、Acrobat Reader DCでPDFを表示して、そのPDFを「Adobe PDF」ドライバで印刷して新しいPDFを作る方法を説明しています。

これでは、Adobe Acrobat のプリンタドライバで新しくPDFを作り直しているのであって、Adobe Acrobat Reader でフォントを埋め込むとは到底言えないでしょう。

しかも「設定」の説明も誤っています。

Copilotが、このような本質的に誤った回答をしている原因は、この回答で参照しているWebページの内容が誤っていることにあるようです。

Copilotが、この回答で参照しているWebページは次の二つです。

[1] https://office-hack.com/pdf/font-embedding/
[2] https://pdf.wondershare.jp/pdf-edit/font-embed.html

この[1]には「Adobe Acrobat Reader DCでPDFにフォントを埋め込む方法」という説明文があり、Copilotはこの説明文をほぼそのままオーム返しに、自分自身の回答としています。今回の場合、かなり「引用」に近い状態です。

ここで大きな問題は、[1]の内容がまるでデタラメということです。結果的に、Copilotの回答もデタラメになっています。

本来は、Copilotは自分自身が蓄積した知識を使って、Webページの内容の真偽を判断し、情報の取捨選択をしたうえで、正しい情報のみを整理しないといけないはずです。しかし、現時点では、収集した情報の真偽の判断ができていないようです。

ある情報の真偽を判断するのは人間にとっても難しいものです。人間の場合は、例えば実際に行動して、その失敗から学んで正しい知識を身に着けていく場合も多いでしょう。しかし、CopilotのようなAIが、自らの行動の結果に基づいて学ぶということは簡単ではないかもしれませんね。




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Google検索、PDF編集は「無料」にハックされているか?

昨日「Google 検索、劣化してない?」で、検索結果について「上位に来る記事は『無料』というキーワードがちりばめられたものばかり。無料というキーワードがないと記事としても認められないのだろうか?」とお話しました。この点をもう少し詳しくみてみます。

Googleで「PDF編集」というキーワードで検索し、ヒットしたページのタイトルとURLを上位から10位まで並べると次のようになります。(スポンサーとマークされたページは除外しています。)

タイトル URL
【無料】PDFの編集やコメントの追加 | Adobe Acrobat https://www.adobe.com/jp/acrobat/
online/pdf-editor.html
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PDFは編集できるの?どうやって編集するの? https://www.antenna.co.jp/pdf/reference/
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PDF 編集 – 簡単、オンライン、無料 https://tools.pdf24.org/ja/edit-pdf

こうしてみると、上位10本の記事のなかで6本のタイトルに「無料」という言葉が含まれています。

「PDF編集」をGoogleで検索した結果は「無料」にハックされている、と言えるかもしれません。

ハックとは「システムで許容されているが、その設計者は意図も予想もしていなかったこと。」(『ハッキング思考 強者はいかにしてルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか』(ブルース・シュナイアー著、日経BP発行、2023年10月16日))

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