月別アーカイブ: 2026年8月

新連載:AIを利用するソリューション作成(6)『Cursor』を用いたコーディング

『PDF Tool API』活用術その2.『Cursor』を用いたコーディングの補足説明です。

『Cursor』とは何か
Cursorは、Microsoftの「VS Code(Visual Studio Code)」をベースにして作られた、AIを使ってプログラム(コード)を書くための専用エディタです。開発したのは2022年に設立されたAnysphere社(米国・カリフォルニア州)です。

VS Codeの操作性、設定、拡張機能を引き継ぎながら、最先端のAI機能を使ってプログラムを書くことができます。VS Codeは既にデファクトのコードエディタとして普及しているので、VS Codeを使い慣れたユーザーは、新たな操作を学ばなくてもすぐに使い始めることができるというメリットがあります。

GitHub Copilotのような、既存のAIとエディタの組み合わせは「エディタにAIの窓口を後付けした」のに対して、Cursorは「AIがコードを書く前提で再設計されたエディタ」にあたります。単に一つのファイルを編集するだけではなく、大きなプログラムのプロジェクト全体のディレクトリ構造や関連ファイルをAIが、自動で読み込み、プロジェクト全体の文脈に合わせた提案をするようになっているのが特徴です。

Cursorの使用料金体系
Cursorの料金体系はかなり複雑です。以下は、2026年8月28日時点の概要です。

まず、契約方式が月額か年額かがあります。次に使用できる機能によって、ホビー、個人(Pro、Pro Plus、Ultra)、チーム(Standard、Premium)、企業カスタムのグレードに分かれています。ホビーで使える機能が最少、企業カスタムは最多です。例えば、個人のPro料金は月額20ドルとなります。

契約金額に応じて月あたりに使用可能なトークンが割当られます(クレジットトークン)。AIモデルにリクエストを送信して、結果を受け取るとクレジットトークンを消費することになります。

消費するトークンの計算方法は、Cursorのモデルと料金にあり、計算式は次のようになっています。

消費額=(入力トークン数×入力単価)+(出力トークン数×出力単価)+(キャッシュ読み取りトークン数×キャッシュ単価)+(キャッシュ書き込みトークン数×キャッシュ単価)

「Cursorのモデルと料金」では入力/出力/キャッシュ読み書きの単価は、100万トークンあたりのドルで示されていますが、選択するAIモデルによってかなり異なります。

月単位で割り当てられたクレジットトークンをすべて消費してしまうと、上位のグレードにアップするか、追加の料金を払うことになります。

AIモデルと料金
AIモデルはCursorモデルと、サードパーティモデルに分かれており、Cursorモデルには、Cursor Grok 4.6、Grok 4.5、Composer 2.5が含まれます。サードパーティモデルとしては、Anthropic、OpenAI、Googleなどの主要モデルから選択できます。

Cursorモデルの単価でみると、Composer 2.5が一番安く設定されています。これはCursor社が開発したAIモデルのようです。

サードパーティのモデルは高いものから安いものまで幅が広くなっています。全体的に出力料金が一番高くなります。

参考のため、AIモデルの平均値でみるとClaude系(Claude Opus 4.7 (fast mode)が異常に高いので平均から除外)13モデル平均が$21ドル、GPT系17モデルの平均が11ドル強、Gemini系8モデルの平均が8ドルとなっています。

各社で随分と差がありますが、これはAIモデルの性能によるのか、人気なのか、それとも提供元の価格に対する考え方の相違なのか? 興味はありますが、分かりません。

いずれにしても、このように複雑な料金体系になると安いのか高いのか、なかなか判断が付きにくいところです。使ってみて実績情報を収集して判断するしかないかもしれません。

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新連載:AIを利用するソリューション作成(5)Wordで編集した文書をWordPressでパブリッシュするソリューション




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新連載:AIを利用するソリューション作成(5)Wordで編集した文書をWordPressでパブリッシュするソリューション

新連載:AIを利用するソリューション作成(3)AIを使って製品開発のアイデアを詰めるで、ソリューションのアイデア検討をGeminiを使って行い、コーディング用AIとしてCursorを使用する開発のことを紹介しました。

AIに相談して企画を考え、AIに開発させた、本ソリューションの概要を、次のWebページで紹介致しています。さすがに、Webページは人間が制作したものですが・・・
活用例:REST API1を使ってWordPressへ自動ポスト

WordPressにWord(docx)文書を取り込むには、ここで紹介したREST APIを使う方法(以下、アンテナハウス方式)以外に、「Mammoth .docx converter」というプラグインを使う方法があります。

アンテナハウス方式とMammoth .docx converterの違いをGeminiにまとめさせました。(但し、Geminiの回答には、妥当と思えない推測や誤りが含まれていたので、可能な範囲で不適切な箇所を修正しています。)

① 「1冊のマニュアル(複数ページ)」か「1本のブログ記事」か
•アンテナハウス方式はマニュアル特化: 数百ページある1冊のWordマニュアルを「Docx to HTML」で章や節ごとにHTMLファイルへ自動分割し、それをPython等のスクリプトがWordPressへ一括登録します。同時に「親・子・孫」の階層や並び順(menu_order)まで組み上げ、「1冊の本をまるごとWebサイト化」します。
•Mammoth方式は単発記事型: WordPressの投稿画面にあるボタンからWordファイルを選び、その記事の本文欄にHTMLとして展開します。あくまで「Wordで書いた原稿をエディタにコピペする代わり」の機能です。1つのWordファイルを複数ページに分割して階層構造を作るものではありません。

② 「完全自動化(パイプライン)」か「手作業」か
•アンテナハウス方式: 手元のWordが更新されたら、コマンド一発でWordPress側へ自動デプロイ(上書き同期)できます。WordPressの管理画面にログインしてポチポチ作業する必要がありません。
•Mammoth方式: 記事を更新するたびに、WordPressの管理画面にログインし、対象の記事を開き、ファイルを選び直して「挿入」ボタンを押し、下書きを保存・公開するという手作業が発生します。

提案時の使い分け・棲み分け
クライアントから「Mammothのような無料プラグインで取り込むのと何が違うの?」と聞かれた際は、以下のように説明すると非常に明快です。
「Mammothプラグイン」は、ブログライターがWordで書いた1本の記事をWordPressにコピペする手間を省くための補助ツールです。

対して「アンテナハウス+REST APIソリューション」は、Wordで書かれた分厚い1冊のマニュアルを、章立てや目次、URL階層を維持したまま、ボタン一つでWeb取扱説明書サイトとして丸ごと構築・自動更新するための『出版・運用システム』です。

単発のオウンドメディア記事ならMammothで十分ですが、「目次付きの体系的なWebマニュアル」を継続的に運用・改訂していく用途においては、Docx to HTML+REST APIの自動化方式が便利でしょう。

企画、開発だけではなく、宣伝もAIで行うということになると人間の出番がかなり減りそうです。しかし、誤りが多いので100%AI任せにもできません。

本ソリューションを8月27日CDシンポジウムで紹介致します。
『マニュアルは、Wordで書いて、WPで配る』セッション時間 8月27日(水)14:30-15:30(26-SP11 アンテナハウス(株))

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新連載:AIを利用するソリューション作成(4)自然言語処理のローカルAIを使い、PDFから名前を捜して墨消し

7月17日に公開した『PDF Tool API』活用術その1.BERTを組み合わせた名前墨消しについて、入門者向けに解説を補足します。

このページでは、アンテナハウスの「PDF Tool API」の機能の一つである、PDFの墨消しのプログラムにAIを利用する例を紹介しています。

通常の墨消しでは対象となる名前を予め用意します。これに対し、本ページで紹介している応用例の特徴は、墨消しの対象となる名前の候補を、墨消し対象PDFから抽出したテキストの中から、AIを使って自動的に抽出することにあります。

テキストの中から名前を認識するのに使用しているのが、「jurabi/bert-ner-japanese」という長い名前のAIです。この名前は本AIモデルがオープンソースとして公開されている保管場所(Hugging Face)における識別名にあたります。次の単語を組み合わせたものです。

jurabi:このAIモデルを作成・公開した開発者のアカウント名(会社名)
bert:モデルの仕組み
ner:固有表現抽出
japanese:日本語対応

次に専門用語を簡単に説明します。

BERTはGoogleが開発した自然言語処理AIで、テキストの解析・分類を行うモデル(判別型)です。GoogleのGeminiのような生成AI(文章をつくり出す)モデル(生成型)とは別のジャンルになります。

NER(固有表現抽出)は、文章の中から人名、地名など特定カテゴリの固有キーワードを自動で検出・抽出することを意味します。

jurabi/bert-ner-japaneseは、東北大学の乾研究室(現:東北大学 自然言語処理グループ)が、Hugging Faceで公開した、cl-tohoku/bert-base-japanese-v2をチューニングしたものです。東北大学が公開しているのは、Wikipedia(日本語)のテキスト全文をもちいて事前学習したモデルで、そのままでは特定のタスクに使えません。jurabi/bert-ner-japaneseは追加学習により、入力された文章から以下の8種類の固有表現を自動で特定・タグ付けできます。
・人名
・法人名(企業、団体など)
・政治的組織名(政府機関、政党、国際機関など)
・その他の組織名(スポーツチーム、劇団など)
・地名
・施設名(建物、駅、空港など)
・製品名(商品名、書籍、映画、ブランド名など)
・イベント名(祭り、会議、スポーツ大会など

判別型モデルの主な用途はデータの分類・見分けです。生成型モデルと比較して、計算に要するコストが比較的小さく、軽量・高速です。そこで、手元のPCで動かすことができます。

クラウド上の大規模データセンターで動かす必要がないので、機密情報を外部に出したくないといったセキュリティ上の制限がある場合でも適用できる、といった特徴があります。

外部に漏洩してはこまる機密情報を墨消ししたいので、クラウド上の大規模データセンターではなく、手元のPCで処理できるAIモデルを使っています。

なお、「『PDF Tool API』活用術その1.BERTを組み合わせた名前墨消し」で紹介しているサンプル・プログラムの作成には Microsoft Copilot を使用しています。

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