日別アーカイブ: 2017年8月28日

第145回 国税庁 新QA(一問一答)のポイント解説(4)

作成者:アンテナハウス株式会社 益田康夫
資 格:上級 文書情報管理士、簿記3級、行政書士
本ブログの記載内容は、公開日時点での法令等に基づいています。
その後の法令改定により要件が変わる可能性がありますので、最新の法令などをご確認下さい。

 第145回 国税庁 新QA(一問一答)のポイント解説(4)

★本問48は受領者視点で何をどこまでやれば、その後の照合やタイムスタンプはどうすれば良いのか?が明確になったものです。本問の発表以前では、受領者から経理に回付して経理A(スキャン担当)さんと経理Bさん(照合とタイムスタンプ)が相互牽制が必要とされていた過剰な解釈が不要となった画期的なものとなります。★タイムスタンプの先打ちも認める規定がありますので、自信を持った各社の運用規程を作成してください。

問48 妻と2人で事業を営んでいる個人事業者ですが、「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」とは、具体的にどのように体制を整備すればよいのでしょうか。

 

【回答】

「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」は、紙段階で行われる改ざん等を防止することができるよう、相互けんせいが機能する事務処理の体制とする必要があります。
具体的な体制については事務処理体制や事業規模等を踏まえ、個々に検討していく必要がありますが、2人でけんせいを機能させる体制としては、次のような体制が考えられます。
① 「受領等する事務」と「紙段階で改ざんが行われていないか確認し入力する事務」を別々の者が行う体制
② 受領者等がスキャニングを行い、受領者等以外の者が全件について同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(紙段階及び電磁的記録上で改ざんが行われていないか確認)することをいいます。以下同じです。)した上でタイムスタンプを付す体制
③ 受領者等が署名の上スキャニングしタイムスタンプを付した後、受領者等以外の者が電磁的記録の記録事項の確認(必要に応じて同等確認し紙段階及び電磁的記録上で改ざんが行われていないか確認)を行う体制

Aさん                     Bさん
----------------------------------------
①受領等                  改ざんチェック(方法は任意)、スキャン、タイムスタンプ
②受領等、スキャン   改ざんチェック(全件について同等確認)、タイムスタンプ
③受領等、署名、        改ざんチェック(必要に応じて同等確認)
スキャン、 タイムスタンプ
---------------------------------------
(注) タイムスタンプを付す時期については、それぞれ次のとおりとなります。
① Bがスキャンし、正しく読み取れたか確認した都度
② Bが同等確認した都度(Aがスキャンした際に付すことでも可)
③ Aが受領等後3日以内

【解説】

規則第3条第5項第4号イの「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」とは、具体的には、紙段階で行われる改ざん等を防止することができるよう、各事務に関する職責をそれぞれ別の者にさせるなど、明確な事務分掌の下に相互にけんせいが機能する事務処理の体制がとられていることが必要とされるものです

事業規模の小さな事業者にとっては、1人で全ての事務を行うことが可能な場合もありますが、1人で全ての事務を行うこととなると、紙段階で行われる改ざん等を防止するためのチェック機能が働かないことから、この要件を満たさないこととなります。

具体的な体制については事務処理体制や事業規模等を踏まえ、個々に検討していく必要がありますが、2人でけんせいを機能させるためには、受領者等以外の者が「紙段階で改ざんが行われていないか確認する事務(受領者等がスキャニングする場合は電磁的記録上で改ざんが行われていないか確認する事務を含む。)」を行う体制を整備することが必要です。

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