タグ別アーカイブ: ICCプロファイル

PDFの色指定(5)CIEベースカラースペース

PDFにおけるCIEベースカラースペースは初回に紹介したように次の4つです。

  • CalGray
  • CalRGB
  • Lab
  • ICCBased

デバイスカラーベースと異なり、出力デバイスに依らず色を指定できます。出力時の処理では内部でXYZの3値による表現に変換され、このXYZがデバイスカラースペースに変換されます。そこからはデバイスカラースペースと同様に処理されます。

CalGrayはグレースペースの要素Aを用います。Aは0.0~1.0の値を取ります。値AをMatrix Aを使用しLMNの3値にデコードします。このLMNをそのままXYZとして使用します。
このMatrix Aを構成する値が、CalGrayに辞書型で格納される、CIEXYZに基づく白の基準値WhitePointと、黒の基準値BlackPointの3つの数値からなる配列と、輝度補正に使うGammaです。WhitePoint以外はオプションで、指定しなければ既定値を使用します。白と黒の基準値は、それぞれdiffuse white point、diffuse black pointと呼ばれるものです。

CalRGBでは入力値が増えます。CalRGBにに格納する辞書型は、GammaがRGBに対応する3値の配列になる他、Matrixというキーで3×3の行列が格納でき、XYZへ変換するときに補正値として用います。

PDFにおけるCIEベースカラースペースでのLabは正しくはCIE LABの方です。辞書型WhitePoint、BlackPointと、Rangeというa*、b*をそれぞれの最大値、最小値で指定する4つの数値の配列を格納しています。

最後にICCBasedカラースペースについてです。ICCカラープロファイルをストリーム型として格納できます。
追加として、サポートしていないデータがあった場合などに代替される設定名の配列Alternateや、ICCプロファイルで記述されているCoulor Componentの数Nを辞書型で格納します。PDF1.7ではICC. 1:2004-10に対応しています。

デバイス依存の色指定を、comformingなPDF writerは、機械的にCIEベースカラースペースに変換するよう要求できるとあります。

ISO 32000-1:2008にはこれらの詳細が数式・図表付きで記述されています。

参考

ISO 32000に準拠するPDFってどんなもの?


PDFの色指定について
デバイスカラースペース
PDFの色指定について(2)
色とは何か
PDFの色指定 (3)CIE1931 CIELuv CIELAB
CIEカラースペース
PDFの色指定(4)
ICCプロファイル



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PDFの色指定(4) ICCプロファイル

前回、CIE1931、CIELAB、CIELUVについて触れました。
これらを活用し、様々なデバイスで色について統一的にマネジメントするための仕組みがICCプロファイルです。

International Color Consortium(ICC)[1]は、コンピュータやデジタルカメラ、スキャナ、プリンタなどのデバイス上で統一して色の管理を行うための標準化団体です。ベンダー8社を中心に1993年に設立されました。

ICCプロファイルは基準となるカラースペースの定義と、それに基づく設定の記述によって構成されています。基準となるカラースペースはプロファイル接続空間(PCS)と呼ばれます。これは、CIEXYZやCIELABによるカラースペースに制限を加え、プロファイルに使用しやすいようにしたものです。PCSという共通のカラースペースがあることで、あるデバイスでの色の記述を、そのデバイスのプロファイルを使いPCSの色表現に変換し、それを別のデバイスプロファイルを使って別のデバイス上での色の記述に変換できます。またICCプロファイルには、色の記述をPCSでの色表現に変換するための共通のインターフェースという役割があります。
このインターフェースは、先に挙げたPCSとPCSに色の記述を変換する設定の書式を厳密に定めたもので、構造としては、ヘッダ部、タグのテーブル、タグに紐付いたデータで構成されます。変換アルゴリズムなどの実装については定めていません。

PCSからデバイスの色に変換する際に、そのままではデバイスで対応できない色が含まれる場合があります。そのときに対応していない色をどの色にマッピングするかを定める「レンダリングインテント」と呼ばれるものをICCプロファイルに用意できます。

caption: PCS

ICCプロファイルは、デバイスによって幾つかの種類に分けられます。主に次の3つです。

  • スキャナ、デジタルカメラなどのための入力プロファイル
  •  ディスプレイなどでの表示のためのディスプレイプロファイル
  •  プリンタなどのための出力プロファイル

他の種類もあります。

  • 画像形式での流通のためのカラースペースコンバージョンプロファイル
  • 特定の色のための命名色プロファイル
  • 追加の補正情報を埋め込むためのアブストラクトプロファイル

さらに、プロファイルを組み合わせて1つにした、デバイスリンクプロファイルがあります。

相互に色を変換するための共通の書式であるICCプロファイルについて概要を説明しました。
次回はようやく、PDFのCIEベースカラースペースについての回になる予定です。

[1] http://www.color.org/abouticc.xalter

PDFの色指定について
PDFの色指定の概要・デバイスカラースペース
PDFの色指定について(2)
色とは何か
PDFの色指定 (3)CIE1931 CIELuv CIELAB
CIEカラースペース
PDEの色指定(5)CIEベースカラースペース
PDFのCIEベースカラースペース格納形式と使用のされ方の概略



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