日別アーカイブ: 2020年11月10日

「PDFは編集できない」って? ちょっとちょっと政府CIOの皆さん、その認識はぜひ改めていただきたい。

菅内閣目玉の政策として「デジタル庁」があります。デジタル庁は現在準備室が発足し、来年(2021年)の発足を予定しているようです。IT技術をつかってデジタル化を図るには、共通化やポータル化が必須なので、強い権限をもつデジタル庁を作るのは適切な考え方でしょう。

ところで、これに関連し、政府CIOポータルに「デジタル・ガバメント実行計画」というページがあります。

デジタル・ガバメント実行計画

全文(PDF)

この資料、PDFファイルで全215ページなのですが、検索すると、その中にPDFについて言及している箇所が2か所あります。

◎1か所目(p.56)

「(d)編集可能な電子ファイルによる申請書様式の提供
利用者が行政手続を行う際の利便性向上のため、当該行政手続に係る情報をWebサイト等で容易に入手でき、かつ、Webサイトの入力フォームを利用して直接申請書の作成を可能とする又は申請書様式の電子ファイルをPDF などの編集不可な形式ではなく、編集可能な形式の電子ファイルで入手可能とする。」

◎2か所目(p.75)

「また、業務上使用する文書等について、デジタルデータで作成された文書であっても、文書交換を行う際には紙媒体や PDFファイルなどの編集等が困難な形で流通しているなど、業務が非効率になっている場合がある。また、各府省のWebサイトで公開されている資料についても、編集が不可な状態のものや、資料のステータス(日付、会議名、担当府省等)が不明なものも散見される。」

これを読むと、PDFは編集不可、あるいは編集困難とされています。どうやら、デジタル政府では、申請書などはPDFファイルで用紙を配布するのはやめて、Webサイトの入力フォームを推薦したいようです。

では、実際のところ、PDFファイルは編集できない・編集困難なのでしょうか? 次のような事情を考えると、「デジタル・ガバメント実行計画」のPDFファイルに関する記述は、現在では適切ではないと思われます。

PDFは編集できるという事実
第一に、現在市場には、非常に多様なPDF編集ソフトが流通しています。有名どころは某A社製品ですが、アンテナハウスでも『瞬簡PDF編集』を販売しています。

第二に、アンテナハウスの『瞬簡PDF 書けまっせ』のように、PDFを紙のように見立てて、PDFファイルの上に文字を重ねて書きこむ(追記)ソフトも増えています。

第三に、PDFで申請用紙を作る形式として、PDFフォームがあります。PDFフォームを使えば、特別なツールを使わなくても、PDFフォームに文字を書きこむことができます。「PDFフォームとはなにか? 申請のデジタル化にPDFフォームの活用を期待する

Webフォームも良いですが、Webフォームはサーバーサイドの用意も必要であり、大きな開発工数や保守工数がかかります。また、専門家でないと多様なフォームを作るのは難しいので、非常に多岐にわたる形式のフォームを誰でも簡単に作成して配布するのはWebフォームでは難しいと考えられます。PDFをもっと活用する方が効率的でしょう。

ぜひ、政府CIOの方々には認識を改めていただきたいものです。


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