日別アーカイブ: 2013年9月17日

PDF/UA(ISO 14289-1)について(終)

PDF/UAの紹介の最後になります。

ここまで、ファイルフォーマットの要件、リーダの要件を記載しましたが、最後はAT(Assistive Technology:支援技術)の要件になります。

このATにはPDF/UAを使用するスクリーンリーダや、音声入力をサポートするデバイス、キーボード入力を容易にする装置、点字に変換して印刷するソフトウェアなど広範なソフトウェア、ハードウェアが含まれます。

ATに求めら得る要件とは、大きくは下記となります。

  • この仕様に定められた構造型、属性、値をユーザが好む方法で利用、表示できること、論理構造ツリーに属さないアーティファクトを処理する機能があること。
  • 準拠リーダが複数の表現方法で表示する場合、ATはユーザの選択する方法でその表現にアクセスすることを可能としなければならない。
    (この複数の表現方法とは、PDFのオプショナルコンテントあるいはレイヤーなどと呼ばれる機能を使用した表現方法のことです)
  • ナビゲーション機能として、以下をサポートする必要があります。
    • PageLabel数値ツリーを用いてナビゲーションする機能
    • 構造階層を用いてナビゲーションする機能
    • ドキュメントのアウトライン(Adobe Readerのしおり)を用いてナビゲーションする機能
    • ユーザ指定に応じたズーム機能

PageLabelとは、たとえば、目次部分は小文字のアラビア数字、本文はローマ数字といったページ番号を持つ文書がありますが、PDFでそのような表現をする機能です。ナビゲーションに、このPageLabelや、文書の章・項といった論理構造の階層情報を使用する機能が必要とされます。

ATの要件については、あまり詳細なことは定められていません。

以上、PDF/UAの紹介となりますが、フォーマットの要件部分で、関連仕様に W3Cの Web Content Accessibility Guidelines(WCAG) 2.0 があることを記載しました。
これまで説明したPDF/UAファイルの作成、使用の双方に必要とされる要件は、PDFファイルをW3Cの勧告であるWCAGに沿って利用するために必要とされるPDFの機能の使用方法となります。

PDF/UAの理解には、WCAG 2.0 (およびその関連ドキュメント)で解説される内容を理解する必要があります。
WCAGのW3Cの勧告は下記にありますので、興味のある方は参照ください。
http://www.w3.org/TR/2008/REC-WCAG20-20081211/
(日本語訳)
http://www.jsa.or.jp/stdz/instac/commitee-acc/W3C-WCAG/WCAG20/




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