カテゴリー別アーカイブ: PDF活用

PDF/A-3 PDFの新しい目的

PDF/A-3(DIS、以下単にPDF/A-3とします)仕様のIntroductionに、PDFを他のファイルフォーマットのコンテナとして機能できるようにすることが新しい目的である、との記載があります。この部分について、今回は見ていきます。
PDFファイル内にPDFやその他のファイルを格納する埋め込みファイル(Embedded Fil)と呼ばれる機能があります。Acrobat 8で「PDFパッケージ」、Acrobat 9以降で「PDF ポートフォリオ」呼ばれるようになった機能なども、これを用いて実装されています。PDF/A-2の仕様では、埋め込み可能なファイルをPDF/A-1あるいはPDF/A-2形式のファイルに限定していました。
PDF/A-3では、この制限がなくなり、任意の形式のファイルを埋め込むことを認めるように変更されています。
ただし、いくつかの要件が追加されています。
まず、埋め込みファイルがどのようなものであるかを説明するテキストを記載する必要があります。次に埋め込みファイルを記述するデータ内にAFRelaitionshipという、新しいキーを追加しています(PDF/A-1,2 ではベースとなるPDFの仕様に対して使用可能なキーを制限するような形で仕様を定めていましたが、PDF/A-3では、ベースのPDFの仕様では定義されていないキーが使われるようになっています)。
このAFRelationshipは、埋め込みファイルとPDF本文(全体であったり、PDF内の一部であったりします)との関係を指定するもです。
PDF/A-3の仕様で、AFRelationshipに設定する値の例がいくつか記載されています。
・ワープロファイルからPDFを作成し、元のワープロファイルをPDF内に埋め込む場合は”Source”と記載し、PDFのオリジナルデータ(Source File)であることを示す。
・PDF内に数式部分があり、この数式を補足するためにMathMLのデータをPDFに埋め込む場合は”Supplement”と記載し、PDF内のデータの補足データであることを示します。
・PDF内のチャートが存在し、このチャートのデータをCSVで埋め込んでおく場合、”Data”と記載し、チャートの元データであることを示します。
(”Source”,”Data”,”Supplement”の他に、代替え表現用の”Alternative”,それら以外の場合の”Undefined”が定義されています)
また、このほかに、上記の説明で、埋め込みファイルがPDFファイル全体に対するものであったり(上記のワープロの例)、PDF内の一部に対するものであったり(上記の数式の例)することを示すために、PDF内の各種データに埋め込みデータと対応付けをするためのキー(AF)が追加されています。
PDF/A-3は、このような機能の追加により、PDF/A-2を各種ファイルのコンテナとして使用できるように拡張したものとなります。




瞬簡PDF 作成 2024
ドラッグ&ドロップでPDF作成


アウトライナー
PDFを解析して しおり・目次を自動生成

続・PDF/Aとは― PDF/A-3について

以前、国際標準化機構(ISO)が制定している国際標準 ISO 19005 のパート1、パート2 である PDF/A-1、PDF/A-2についてその概要を記載しました。
今回(および次回)はその続編である PDF/A-3についてまとめてみたいと思います。
PDF/A-1 はISO 19005 パート1として2005年に、PDF/A-2は ISO 19005パート2として2011年に制定されています。これに対して、パート3は、現時点ではDIS(Draft International Standard/国際規格案)というステータスで、まだ審議中のものです。審議中ではありますが、ISO ストアで 仕様書が販売されていますので、このレベルで記載してみたいと思います。
まず、タイトルからですが、PDF/A-2は、「Use of ISO 32000-1(PDF/A-2)」 でしたが、PDF/A-3(DIS)では、「Use of ISO 32000-1 with support for embedded files(PDF/A-3)」となっています。
前回記載しましたように、PDF/Aは PDFの特定のバージョンをベースとして、その機能に対して、使用範囲を制限し、長期保存に適した形(視覚的な外観、およびドキュメントの論理構造、意味などを継続して維持すること)にするものでした。PDF/A-1、PDF/A-2がベースとするPDF仕様はそれぞれ、PDF 1.4、ISO 32000-1 となっていました。PDF/A-3はタイトルからもわかりますように、PDF/A-2同様にISO 32000-1をベースとしています。変更点は埋め込みファイル関連のようです。
PDF/A-2とPDF/A-3の仕様書をざっと比較してみますと、どちらにも、Embedded filesという項がありますが、この項の記載内容が変更され、PDF/A-3では補遺部分に PDF/A-2には無かったAnnex E(informative) Associate Filesという項目が追加されています。この部分を除くと、ISO 32000-1をベースとして、 a,b,およびuの3種類の準拠レベルを定めている点など、PDF/A-3はPDF/A-2とほぼ同様です。
次回は、この変更部分についてまとめてみます。




HTML on Word
WebページをWordで作る!


瞬簡PDF 変換 2024
PDFをOffice文書へ高精度変換
Pages: Prev 1 2 3 ... 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19