PDF/UA(ISO 14289-1)について

みなさん、こんばんは。
前回に続けて、 ISO 14289-1 規格についてです。今回はこの規格の仕様書(2012年7月25日初版、2012年8月1日修正版)の内容を見てみます。
この規格に関連する仕様として、ベースとなる ISO 32000-1 のほかに、W3Cの Web Content Accessibility Guidelines(WCAG) 2.0が記載されています。
仕様書ではPDF/UAファイルのバージョンの識別方法、準拠レベル、ファイルフォーマットに関する要件が記載されます。(このあたりはPDF/A、PDF/X などのファイルと同様の構成です)。準拠レベルは PDF/A-1では Lebel A,Level Bの2種類が定義されていましたが、PDF/UAにはこのようなレベルはありません。
続けて、この規格に準拠するリーダ(Conforming Reader)に対する要件が記載されます。
ファイルフォーマットに関する要件は主にPDF/UAファイルの作成者(書き手)側に対する要件ですが、こちらは、PDF/UAファイルが持つアクセシビリティ機能を利用可能とするためにリーダ(読み手)に必要とされる要件が提示されます。
最後にATに対する要件が定義されます。ATとは、障害をもつ人によって使用され、代替えのコントロールや表示を提供したり、有効な機能の使用方法や情報を提供するソフトウェアあるいはハードウェアといった定義がされています。準拠リーダと統合可能と記載されています。
ファイルフォーマットの要件の主な規定は、ドキュメントをその構造に沿って解釈できるように、タグ付けされていることにあります。このタグの使用方法、論理構造の表現などについて、テキスト、画像、表、リストなどの各項目についての規定が説明されています(元のISO 32000-1に定義されているPDFのタグ付を理解していないとこのあたりは難しいかもしれません。稿を改めて説明してみたいと思います)。
フォントの埋め込みもPDF/A,PDF/Xと同様に必須とされています。一方、注釈やアクションについては、印刷時の再現性等を求めるための規格ではありませんので、用法に制限がありますが、完全に禁止とはなっていません。この部分はリーダ側の要件とも関係してきます。
リーダ側の要件については、後日、説明いたします。
■ご参考:アンテナハウスPDF資料室