間があいてしまいましたが、以前のPDF/UAの紹介の続きになります。
PDF/UA(ISO 14289-1)について
PDF/UA(ISO 14289-1)について(2)
今回は、PDF/UAのリーダ側の要件をまとめてみます。
全体としては、ISO 32000-1:2008で定義されているドキュメントの論理構造とアーティファクトを処理する能力を持つこと、および、ATとのインターフェース機能を持つこと、とあります。
AT(Assistive Technologies:W3CのWCAG2.0の邦訳では「支援技術」という用語が使用されていました。)とのインターフェース機能とは、
- 構造タグのタイプ、属性、およびキーの値に対するアクセスの提供およびオプショナルコンテントグループの可視状態を考慮した表示能力
- アーティファクトをATが利用できるようにすること
- ユーザインタフェースが存在する場合、それをATが利用できるようにすること
とあります。
(ここの「アーティファクト」ですが、PDFではドキュメントの著者によるオリジナルのコンテント(リアルコンテント)以外の、ページ付けやレイアウトのために生成されたオブジェクトをアーティファクトと呼んでいます)
以下、PDFの各オブジェクトに対して個別に記載されている要件となります。
- テキスト
-
・論理的な読み込み順番をATデバイスが利用可能であること
・文字コードを適切に処理する能力があること
・自然言語、およびその変更をATデバイスが利用可能であること - 表
- 表のセルが空である場合、その情報をATデバイスが利用可能であること
- オプショナルコンテント
-
オプショナルコンテントを含む場合、複数の表現が選択可能となることがあるが、すべてのオプショナルコンテントを表示する手段を提供し、オプショナルコンテントコンフィギュレーション辞書の階層を表示する手段を提供すること
(このようなドキュメントの例として、多言語ドキュメントで、オプショナルコンテントを使用して、各言語別の表現をサポートしているようなドキュメントがあります) - 添付ファイルと埋め込みファイル
-
- 構造ツリーに存在していない添付ファイルを利用可能とすること
- 埋め込みファイルの名称を表示するためにメカニズムを提供すること
- デジタル署名
- デジタル署名されていることをユーザに報告し、デジタル署名の証明書属性と有効性の状態を提示できること
- アクション
- アクションがドキュメントの可視状態を変更する場合、ATがその変更を利用できること
- メタデータ
- ドキュメントのCatalog辞書のMetadataストリームにおけるすべての要素をATが利用できること
- ナビゲーション
- 論理階層構造やしおりを使用してナビゲートする機能を持つこと
- 注釈
- 各注釈の代替え記述をATデバイスに利用可能とすること
- フォーム
- ウィジェット注釈のテキスト記述をATデバイスに利用可能とすること
- マルチメディア
- 動的にではなくユーザの要求に応じて再生すること
PDF/UAの読み手にはこれらの機能が必要とされています。