今回は、PDF/A仕様に完全準拠となる準拠レベルAファイルの作成方法を紹介します。
前回記載しましたように、準拠レベルAでは元のドキュメントの論理構造を格納する必要があります。このため、仮想プリンタドライバでは準拠レベルA対応のファイルは作成できませんでした。
Microsoft Office のWord,Excel,PowerPointなどのPDF出力機能では、Officeのドキュメント内の情報から、準拠レベルAに対応したPDF/Aファイルを作成することができます。
- ●Microsoft Office
- Microsoft Office 2010/2013のWord、Excel、PowerPointなどでは、直接PDFを作成することができます。このダイアログ内で「ISO 19005-1に準拠(PDF/A)」というチェックボックスがあり、これを指定することで、PDF/A-1ファイルが作成されます。
明確な記載を見つけることができませんでしたが、「アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ」チェックボックスをチェックするとPDF/A-1a、チェックをはずすとPDF/A-1bファイルとなるようです。
- ●Microsoft用PDFMaker
- アドビシステムズのAcrobat XIをインストールすると、Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointなどにPDFMakerというPDF作成用のアドインプログラムが組み込まれます。これを使用すると、仮想プリンタドライバのAdobe PDFでは作成できなかった準拠レベルA対応のPDF/Aファイルを作成することができます。
こちらでは、PDF/A-2a、PDF/A-2b、PDF/A-3a、PDF/A-3bも作成可能になっています。PDFMakerには「ソースファイルを添付」として、元のWord文書をPDF内に格納する指定があります。以前紹介しましたように、PDF/A-3では、ファイル内に他形式のファイルの格納を認めており、PDF/A-3選択時には、このチェックボックスを指定して、元文書をPDF/Aファイルに添付することができます(PDF/A-1では添付ファイルは禁止、PDF/A-2ではPDF/A以外の添付ファイルは禁止されているため、このチェックボックスはグレーアウトし、指定することができません)。この箇所が、PDF/A-2とPDF/A-3の大きな違いと言えます。
当社製品では以下の製品がPDF/A-1aの出力をサポートしています。
・Antenna House Formatter V6
今回紹介した製品にはレベルUの出力を指定できるものがありません。レベルUはレベルBの仕様に、出力される文字とUnicodeの対応付けをPDF内に格納することを追加したものですが、仮想プリンタドライバ、Officeなどからの直接出力のいずれの場合でも、レベルBを指定しても、この対応付けはPDF内に含めて出力されています。
以上、PDF/Aファイルの作成方法をいくつかまとめてみました。