アンテナハウスのもう一つの組版エンジン OSDC: Office Server Document Converterの生まれについて。いま初めて明かされる秘話。

アンテナハウスが世界に誇るXML組版エンジンといえばAH Formatter。2000年に発売以来20年目となる熟年ソフトウェアです。

AH Formatter

AH Formatterとは少し趣が違いますが、OSDC(Office Server Document Converter)はMicrosoft Office互換の組版エンジンとして、2005年に発売以来、順調に売り上げを増やしています。

OSDC(Office Server Document Converter)

実はこの二つは内部では技術をかなり共有しており、兄弟と言えます。当初はAH FormatterをMicrosoft Officeに対応させて特殊化した組版エンジンがOSDCである、といっても過言ではなかったくらいです。

実際のところ、2005年にリリースした最初のバージョンでは、Wordの文書をAH Formatterで組版していたのです。

サーバベース・コンバータ V1.0を出荷開始

このときは、Word:doc/docx⇒WordProcessingML⇒XSL-FO⇒AH Formatterで組版⇒PDFというパスになっていたと記憶しています。WordProcessingMLをFOにしてPDFにするスタイルシートはAH Formatter V4に内蔵していたものを使っていたはずです。

WordML変換

もちろん、このようなやり方ではWordのレイアウトの再現性が低いので、その後、OSDCは自力でdoc/docxを解読して、組版結果のレイアウトがWordのレイアウトと互換になるような、独自の組版エンジンとして作り直しています。

さらに、2016年09月30日発売のServer Based Converter V6.0 R1 (Ver.6.0.R1)から、Microsoft Word(docx)変換エンジンを全面的に作り直し、レイアウトの再現性を大幅に改善しました。

なので、現在のOSDCのWord組版エンジンは3世代目にあたります。

このあたりの経緯を知っている人は少ないし、すでに私の記憶も曖昧になりつつありますので、この機会に書き残しておきます。AH FormatterとOSDCは成長するにつれて、だんだん距離が離れていますが、なんとかOSDCにはAH Formatterの後を追って海外に雄飛してほしいものです。