AIについて考える場合、まず、目的としてのAIと手段としてのAIを分けて考えるのが良いのではないでしょうか。
目的としてのAIとは、AIによって直接的に売上を稼ぐこと、言い換えると、AI関連事業です。AIモデルの開発やAIモデルを使うサービス事業だけではなく、関連事業にはAI活用コンサル、AI向きのプロセッサ、半導体、データセンター、および電力インフラなどの事業なども含まれます。このためにはAI事業で売上を稼ぐための長期的戦略が必要でしょう。
手段としてのAIとは、AIを既存のビジネスに活用したり、人間の知識をAIで補完したり、AIによって人間の知的活動を支援することにより、従来業務の効率化、生産性の向上などに活用することになります。場合によっては、会社の業務の再編成も考えられます。本連載の「AIを利用するソリューション作成」は、こちらの手段としてのAI、つまりAIの活用を検討することを中心とします。
AIの活用で、一番、手っ取り早いのは分からないことがあったら、AIに聞いて教えてもらうことです。但し、いろいろな質問を重ねていくと、AIは何でも知っているかのように回答するけれども、突っ込みを入れていくと直ぐに正反対の結論になることがあります。つまり、人間とは違ってAiの回答は論理的一貫性が保たれず、あまり信頼性がありません。
AIをビジネスの手段として活用する場合、まず、第一にこのことを頭に入れておく必要があります。
最近のGemini (3.5 Flashモデル)とのQ&Aから分かりやすい例を紹介してみましょう。
—ここからGeminiとのQ&A—
以下は、某電力会社の 2019年発行の30年社債(額面利率:0.874%)の市場価格が、2026年6月下旬時点で約50%に下落しているという事実を背景とするQ&Aです。Q1, Q2は私の質問、A1, A2は各質問に対するGeminiの回答です。
–ここまで–
このQ&Aの例は、Geminiは、質問に対して、一見もっともらしい回答をしますが、少し突っ込みを入れただけで、回答の趣旨が180度反転しています。
GeminiとのQ&Aを繰り返していくと、このような回答の180度反転は珍しくありません。ですので、Geminiの回答をそのまま受け入れるのは危険です。Geminiに限らず、AIの回答はある程度の知識と判断力を持って評価しなければ使えないでしょう。
数年前に読んだ解説書では、生成AIは文章を確率的に生成していく仕組みであると説明されていました。この数年で、生成AIの回答内容は非常に進化して賢くなったように見えます。しかし、いろいろQ&Aを繰り返した印象として、やはりまだ文章を確率的に生成しているに過ぎず、知能はない、と感じます。AIをビジネスで活用するにはこのような認識が必須と思われます。



