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ジャーナルのアーカイブのためのDTDの比較検討

ハーバード大学の電子ジャーナルアーカイブプロジェクトの調査報告 (E-JOURNAL ARCHIVE DTD FEASIBILITY STUDY)を一読した。
http://www.diglib.org/preserve/hadtdfs.pdf
この調査は、昨日話題としたNLM DTDの開発にあたって、標準的なアーカイブDTDが設計できるかどうかを検討するために行なったもので、Elsevier, Blackwell, BioOne, Nature, HighWireなど10出版社が作っているジャーナルのためのDTDとそのDTDによってマークアップしたジャーナルの記事のサンプルを集めて比較検討したものである。
 
いささか古いが、実証的な内容であり、XMLのDTDを設計したり運用したりする際には大変参考になる。また、コンテンツとスタイルの分離における生成コンテンツの扱いについても考えさせられる。
重要と感じた点をいくつか紹介する。(なお、レポートの本文中でSGMLと書かれている点を以下ではXMLと言い換えている。)
(1)XMLでは形式よりも意味でコンテンツにマークアップすることで、形式指示と構造情報を分離する。この際、どこまで分離するかで方針が分かれる。具体的には定型語句、カウンター(章番号、節番号、図番号など)、ラベル(箇条書きの記号など)、句読点などの扱いである。もし、これらを形式として内容から分離し、スタイルシートで生成するならば、XMLインスタンスをスタイルシート抜きで配布すると、最終の見栄えが分からなくなる。これに対して、定型語句などをXMLインスタンスに残しておけば、スタイルシートを一緒に配布しなくても良くなる。
(2)10社のDTDの中でWileyのものがもっとも複雑で、基本要素250個、表7個、数式7個(数式はTeXで記述しており、これをラップするXML要素が7個)の合計264要素で、簡単なDTDは100~130個である。実際のサンプル記事での要素の使用率は50%程度以下であった。その要素の1/4から半分が前付けの中で使われている。記事にしめる前付けの分量は少ないが要素の利用は前付けに集中している。
各社のジャーナル記事では次のような項目が様々に表現されており、ジャーナル記事をアーカイブするためのXMLではその内容の保持を検討する必要がある。
(1)定型文と生成テキスト ― 例)図のキャプションにおける番号、引用のテキスト
(2)論文のヘッダと前付け ― 表題、著者(姓と名の分離、順序)、著者の所属とリンク、付随する著者の参照情報、要約、脚注、略称と定義、著作権
(3)その他の前付け ― 記事の履歴(受付日など)、キーワード
(4)メタデータ要素 ― 出版社の名前・住所、ジャーナルのタイトル・略称・ID・ISSN・Coden、出版に関するもの(巻・号・番号・先頭ページ・最終ページ・発行日・価格)、記事の識別のためのメタデータ、記事のメタデータ(タイトル・記事の種類・図の数・表の数・数式の数・参照の数・ページ数・ワード数・言語)、スポンサー、目次情報(見出し・トピック・主題)、DTD情報(DTD名、バージョン)
(5)記事のヘッダー
(6)本文要素 ― 節見出し、リスト、テキストボックス、図、図の著作権、整形済みテキスト、Q&A
(7)オブジェクト配置 ― 固定またはフロート
(8)後付け ― 謝辞、付録、参考、用語、査読者の注、履歴
(9)参考文献
(10)表
(11)数式
この調査はNLM DTDを設計する前、すなわち様々なジャーナル出版社がばらばらにジャーナル用DTDを設計して利用していた時期のものであり、NLMができた現在では、統一化が進んでいるのだろう。
最後のほうに、Wileyが、ジャーナルの記事をSGML化するにあたって、データの妥当性をどのように確保するかについていろいろと行なった対策が紹介されている。マークアップの基準をつくるだけでなく、日々のデータ作成においてその基準に準拠させるために苦労していたようだ。


NLM DTD, JATS, XSL-FO Stylesheetsについてのメモ

欧米における学術情報誌(ジャーナル:Journal)の分野では、NML DTDと呼ばれる文書形式の採用が広がっているようだ。
 
NLM DTDの歴史に関しては、2011年3月の東京 J-STAGE3 説明会におけるBruce D. Rosenblum 氏の講演要旨を読むとよく分かる。
http://info.jstage.jst.go.jp/society/meeting/110309/meeting_110309_6.pdf
 
NLM DTDの開発はずっと米国医学図書館(National Library of Medicine) で行なわれてきたが、近年、プロジェクトが米国情報標準化機構(NISO)に移ることになったようだ。
これに際して、NLMの最終版としてV3.0が2008年にリリースされた。当初はV3.0をNISOに移管する予定だったが多くのコメントが寄せられたので、整理してV3.1を開発したうえで、NISOに移すことになった。
 
NLM DTD V3.1は、JATS(Journal Article Tag Suite)という名前に変更して、2011年3月に「試行用ドラフト標準」としてリリースされた。
 
6ヶ月のレビュー期間後、寄せられたコメントに対処する。その後NISOで投票を行い、JATS1.0 となる予定とのことである。
http://jats.nlm.nih.gov/about.html
 
NML DTDで作成されたジャーナルをAntenna House Formatterを使って自動組版して印刷している団体はNLMのほかに米国の大学、出版社に沢山あるとのことだ。
 
このためのXSL-FOスタイルシートの初歩的なものが、NLMのWebページで公開されておりだれでも入手できる。
http://dtd.nlm.nih.gov/tools/tools.html
ftp://ftp.ncbi.nih.gov/pub/archive_dtd/tools/
 
FTPサイトにあるJournalPublishing-XSL-FO.zipがそれである。
このスタイルシートは、Antenna House のXSL Formatter V2.5.2003.613をベースとして開発されており、MathMLを組版する機能を使っている。MathML以外は、アンテナハウス拡張を使っていないので、他のXSL-FOプロセサでも使えるとある。
 
このスタイルシートをベースとしてNML DTDの様々な機能をもっと活用したスタイルシートを作ることができるし、これによってカスタマイズ市場も生まれるのだろう。
 
公開されているドキュメントは、2006年にFormatter V3.3で組版されている。
随分古い・・・ 2006年という日付に化石を感じてしまう。
アンテナハウスFormatter V6のリリースにより、組版機能は大幅に強化される。
ちょうど、NMLもJATSとして一新される。この機会に、AH Formatterの新しい組版機能を利用して、ジャーナル組版分野における市場開拓を進めたいところだ。


カナダのニューブランズウィック州、新しい規制サイトのPDF配布にAH Formatter V5.3を採用

カナダのニューブランズウィック州は、このほど新しい法律と規制(Acts and regulations)のWebサイトを公開しました。
 
http://laws.gnb.ca/
このWebサイトには、法律・規制が表題のアルファベット順に並んでおり、各法律はPDFとHTMLで公開されています。
 
Brunswick.png
 
PDFをクリックしますと法令のPDFが表示されます。各法令は、目次から始まって、各条例がすべて、英語とフランス語が左右に併記される形となっています。
 
BrunswickActs.png
 
PDFのプロパティを見ます。図のように「AH Formatter V5.3」を使っていることが分かります。
 
BrunswickPDF.png
 
カナダは、SGMLの頃からマークアップ言語の利用が盛んで、カナダの政府・州レベルの様々な機関でXMLを利用したシステムが沢山あります。この利用例に限らず、AH Formatterのユーザも多くなっています。


自炊の方法をもうちょっと考えてみる

最近は書籍、雑誌、コミックなどをスキャンして、パソコンやタブレットPCなどで見るための電子データを作成するという行為を指して「自炊」と表現して、ホームページやブログ、PC系雑誌でよく見かけます。
DSCN0243a.jpg
※注:タブレットPCの画面はぼかし処理をしています。
インターネット上の電子書籍販売もずいぶん増えて来ましたが、まだ読みたい本が電子化されてないとか、サービスごとにアプリを切り替えて読んだり管理しなければいけないとか、不便な点も残っています。そして何より、既に持っている本を何とか片付けたいと思っている人も多いのではないのでしょうか。
しかし、いざ本の電子化を行おうと思うと、裁断機にドキュメントスキャナと、結構出費が多く躊躇してしまいます。
大量の本の電子化には向きませんが、少ない出費で本の電子化をするなら、入門として安価なフラットベットスキャナ(読み取り面に紙を置いて一枚ずつ読み取る方式のスキャナ)を利用するのはいかがでしょうか。
うまくセッティングができるのであれば、コミック程度ならデジカメでも読み取りできそうです。(実際、台にデジカメのようなものがついた読み取り機材も、製品として発売されているようです。)
私のように「持っているスキャナが古くてPDF作成ソフトがついてない」場合は、読み取った画像を「瞬簡PDF4」でPDF変換すれば、お手軽に「自炊」できると思います。
さて、もう少し本格的に自炊してみようと考えた場合、、、、
本をスキャンする場合は、どのようなファイル形式が適しているでしょうか。やはり複数のページをひとつにまとめられるとか、ファイルを圧縮できるとか、スマートフォンやタブレットPCで読むときに便利とかでPDFを選びます。
スキャナーによっては読み込んだ画像データをひとつのPDFにまとめて出力してくれる便利なものもあります。
そう、「読むとき」には断然PDFが便利です。しかし、「スキャンして保管するとき」はどうでしょうか。
一度読んだらもう読まないようなものなら、その端末にあわせた読み取り設定をして、直接PDFにして読むのもよいかもしれませんが、将来どんな端末で読むかわからない、先々読んだり参照する必要があるなどを考えると、比較的きれいに読める画像品質で、JPEGのような画像形式で保管しておいて、読む端末が変わったらその都度端末に適当な画像の圧縮や加工をして、PDFにするのが良いのではないでしょうか。
(スキャンし終わった本を処分してしまったら、もう一度読み込むことはできなくなります。)
昨日も紹介しましたが、「瞬簡PDF4」からはJPEGなどの画像形式のファイルから直接PDFを作成する場合、画像解像度や画質などの圧縮設定ができるようになりました。
あらかじめ、読む端末に適当な圧縮を設定して登録しておけば、必要な時にすぐにPDFに変換して読むことができます。
しかも、複数のファイルを一括変換してひとつのPDFに束ねて出力できるので、その都度のPDF変換も簡単です。
瞬簡PDF4:「作成」画面
[瞬簡PDF4:「作成」画面]
(※書籍などには著作権があります。複製の可否については十分注意し、許可されている範囲内で行ってください。)
もし、電子化したい本で、技術書、参考書、医学書など頻繁に参照したい場合は、透明テキスト付きPDFを作成できる「瞬簡/リッチテキストPDF6.1」がお勧めです。
画像の文字になっている箇所をOCR(文字認識)処理して、その文字をPDFに埋め込むため、スキャンした画像データでも、PDFの全文検索ができます。


デジカメ画像をPDFにしてスマートフォン用フォトアルバム

瞬簡PDF4」をご利用いただいているお客様は、やはり仕事の文書をPDFに変換することが主な用途でしょうか。
でも、せっかくですのでこんな活用方法はいかがでしょうか。
「デジカメ画像をPDFに変換してフォトアルバムを作る。」
なにを今更?ってタイトルですね。10年くらい前にPDFが浸透し始めた頃にこんな提案もよく見かけました。
当時は「これは面白い!」と思いましたが実際には試してみただけで終わってしまいました。
しかし、時は流れて環境が大きく変わりました。デジタルカメラが一般的になり、はじめは違和感があったパソコンで写真を見ることも普通のことになってきたと思います。(昔、私はデジカメで撮った写真をほとんどプリンターで印刷して見ていました。)
最近ではiPhoneやAndoroidケータイなどのスマートフォン、iPadのようなタブレットPCで写真を見る方も多いのではないでしょうか。
スマートフォンでPDFアルバムを見る
さてここで、デジカメ写真ならパソコンでもスマートフォンでも、そのまま見れるからPDFにする必要はあるのか?と、疑問をもたれるでしょう。
皆さんは撮ったデジカメ写真を家族や友達に配布するときはどのようにしていますでしょうか。また、スマートフォンやタブレットPCで見るときは?
最近ではインターネット上の写真共有サービスが普及してきて、これを活用される方もいるかと思います。でも、プライベートな写真をインターネットのサービスで共有するのに抵抗があったり、見る側は印刷したいとか、沢山の写真をダウンロードして保存したいとか欲求が出てきて、そのような場合の使い勝手はどうでしょうか。
こんなときは複数の写真をひとつのPDFファイルにまとめて渡したほうが手っ取り早いですね。
スマートフォンやタブレットPCで見る場合も、写真データのパソコンとの同期が面倒なので、ひとつのファイルにしてDropboxのようなデータストレージ型クラウドサービスに送って、そこからダウンロードしたほうが扱いやすいかもしれません。
「瞬簡PDF」では複数の画像ファイルも一括でPDFに変換して、さらに結合機能でひとつのPDFとして出力ができます。
瞬簡PDF4でPDFフォトアルバムを作る
また、「瞬簡PDF3」までは画像ファイルから直接PDFにする場合に、画像の圧縮設定ができませんでしたが、「瞬簡PDF4」からは画像解像度や画質などの圧縮設定ができるようになりました。
瞬簡PDF4:「変換設定」画面:圧縮
[瞬簡PDF4:「変換設定」画面:圧縮]
プリンターで印刷する場合は画質がきれいな設定に。スマートフォンやタブレットPCで見る場合は用紙サイズを小さくしたり、解像度を落とすことで、出力するPDFのサイズを小さくして、クラウドサービスへのアップロードやスマートフォンなどの端末にダウンロードしやすいファイルを作成できます。
また、「出力オプション」を使ってPDF作成時にPDFにパスワードによるセキュリティを設定したり、フッターに日付を入れたりすることもできます。
もしDropboxをご利用されているならば、出力先フォルダーにDropboxの同期フォルダーを指定しておくと、PDF変換からDropboxへのアップロードがシームレスにおこなえます。
ワンポイント!
瞬簡PDF4のPDF作成時の変換設定で、プルダウンメニューから「画質優先」や「ファイルサイズ優先」を選択してPDF変換すると、画像はJPEG2000形式でPDFに埋め込まれます。このJPEG2000形式は現在のiPhoneやiPadなどのiOS端末で表示できません。
「変換設定」の「一般」で「PDFのバージョン」プルダウンメニューを「PDF1.4(Adobe Acrobat 5.x以上に対応)」にしてください。PDF1.4以下を選択すると画像はJPEG形式で埋め込まれ、iOSの端末でも表示可能です。
瞬簡PDF4:「変換設定」画面:一般:PDFのバージョン
[瞬簡PDF4:「変換設定」画面:一般]


PDFにページ番号をつけたり透かしをつける便利な機能

今回は「瞬簡PDF4」で新しく追加された機能のなかで、知っていると「これは使えそう!」な設定をご紹介します。
1.)まずは「透かし」機能
この機能では文字や画像を透かしとしてPDFに埋め込みます。透かしを設定すると「社外秘」とか「サンプル」とか文書の前面などに表示することができ、この文書の扱いについて閲覧者に伝えることができます。
透かしを設定したPDFを表示したところ
[透かしを設定したPDFを表示したところ]
透かしの設定もあらかじめいくつかの初期設定を登録してありますので、選んで実行するだけで透かしをPDFにつけることができます。
ただし、最初に登録してある設定ではちょっと利用用途に合わないといった場合、ご自分で文字を編集したり、画像を作成してオリジナルの透かしを利用することができます。
この時、(秘)のように丸で囲った文字や、スタンプのような四角い枠で囲った文字を入れたい場合、画像透かしを利用する必要がありますが、画像作成ソフトがない場合や、画像の余白部分が透明にならないなど、思ったような透かしが入れられないことがあります。
こんなときは画像の変わりにPDFを透かしとして埋め込むと簡単です。

  1. Wordなどで図を書いて枠線の色を設定して塗りつぶしは「なし」にします。テキストボックスを挿入してテキストボックスの塗りつぶしも「なし」にします。
    Wordで透かしの元データを作成
    [Wordで透かしの元データを作成]
  2. ファイルを一旦保存して、「瞬簡PDF4」の作成機能でPDFを作成します。この時設定は「標準設定:フォント埋め込み」あたりがよいと思います。
  3. 一旦、先程リストに登録したファイルをリストから削除します。
  4. 「瞬簡PDF4」の画面上部の機能切り替えボタンで「透かし」を選択します。
  5. 「編集…」ボタンを押して「透かし設定」画面を表示します。
    この時「設定名」プルダウンで「マル秘」を選択すると設定がしやすいと思います。
  6. 「画像/PDF」項目の「参照…」ボタンで先程作成したPDFを選択します。
    倍率やレイアウト、不透明度など変更したい場合は設定します。
  7. 「OK」ボタンを押して閉じるか、よく使う設定であれば「別名保存…」で設定を保存します。

後は透かしをつけたいPDFをリストに登録して「実行」をクリックするだけで、オリジナルの画像透かしが挿入できます。透かしのPDFを変えればいろいろ応用できそうですね。
PDFのデータを透かしとしてつけたPDF
[PDFのデータを透かしとしてつけたPDF]
2.)印刷時のみ透かしを表示
「透かし」機能でもうひとつ。この透かし機能はちょっと便利なオプションがあって、印刷するときのみ透かしを表示する(印刷する)とか、画面で表示するときのみ透かしを表示する設定ができます。
この設定は「透かし」機能の「編集…」ボタンから表示する「透かし設定」画面のチェックボックス「印刷時に出力」「画面で表示」項目で設定できます。
「透かし設定」画面
[「透かし設定」画面]
これを設定すれば、パソコンの画面で見る分にはよいけど、印刷したらコピーライトが一緒に印刷されるといったようなPDFを作成できるので、ホームページからダウンロードしてもらうPDFを作ったりするのに便利です。
3.)ページ番号をつける
新しい機能で「ヘッダー/フッター」機能があります。この機能はPDFの上端や下端に文字を挿入する機能です。
例えば右上に会社名を入れたり、「社外秘」などの文字列を入れたり、下端にファイル名を入れたりでます。
いろんなファイルをPDFに変換して、ひとつのファイルに結合した場合などに、ページ番号をつけたいことはよくありますが、「瞬簡PDF4」ではこの機能を拡張して、ページ番号をつけることができます。
設定は簡単です。ページ番号をつけたいPDFを一覧に登録して「ヘッダー/フッター」機能画面の「ヘッダー/フッター」設定プルダウンメニューから「フッターにページ番号を追加」を選択して「実行」するだけです。
ページ番号をつけたPDF
[ページ番号をつけたPDF]
ページ番号の位置や文字の色、大きさ、番号の背面の色の塗りつぶしなど変更したい場合は「編集…」からできます。
今回紹介した機能や設定は、「瞬簡PDF4にこの機能をつけるならこういったことができるようにしたい」を意識しながら追加した機能です。簡単な設定でちょっと凝ったPDFを作成できますので、お試しください。


ちょっとだけ設定を変更して、しおりやリンクをPDFに設定

さて、昨日に引き続き「瞬簡PDF4」について紹介します。リニューアルした「瞬簡PDF4」は設定をプルダウンメニューで選択するだけで、簡単にPDFの作成やいろいろな処理を行うことができることをお話しました。また、その中でPDF作成について、ファイルサイズを小さくする場合や、フォントの埋め込みする場合などの設定について紹介しましたが、そのほかに便利なのでぜひ使っていただきたい機能があります。
それは「連携ソフトウェア」画面で設定できる機能です。
「連携ソフトウェア」画面
[「連携ソフトウェア」画面]
「連携ソフトウェア」画面は「作成/結合」機能の変換設定項目「編集…」ボタンをクリックして表示する「変換設定」画面で「連携ソフトウェア」タブをクリックして表示することができます。
この機能は「瞬簡PDF3」に含まれる「Antenna House PDF Driver」のOfficeアドイン機能としてありましたが、残念ながら、WordなどのOfficeアプリで表示しているファイルからPDF作成するときしか利用できませんでした。
「瞬簡PDF4」ではOfficeアプリからの利用とは別に、ツールアプリ「瞬簡PDF4」のPDF一括作成時にも利用できるようになりました。
ここで設定および利用できる機能は、ご利用になるパソコンにMicrosoft Word/Excel/PowerPoint(2000~2010)がインストールされている必要があります。(※ただし、64ビット版 Office 2010には対応していません。)
本当は「変換設定」プルダウンメニューの項目に入れたかったのですが、上記のとおりMS-Officeがないと利用ができないため、初期の設定として含めませんでした。
この中でいくつか便利な機能を紹介します。
「連携ソフトウェア」画面の便利な機能
[「連携ソフトウェア」画面の便利な機能]
1.)しおりを出力する
PDFには「しおり」を設定できます。この「しおり」はクリックするとそのページに移動する便利な“もくじ”のように使うことができます。
Adobe Readerで「しおり」を表示
[Adobe Readerで「しおり」を表示しているところ]
「しおりを出力する」を設定するとWord、Excel、PowerPointの特定の情報から自動でしおりを作成して、出力するPDFにつけることができます。ページ数の多い文書ではこれがあるとないとでは、目的のページを探すのにかなり時間や手間が違ってきますし、文書の完成度が違ってきます。
【Wordの場合】
WordではWordの文書で「見出し1~9」に指定されているスタイルを自動でしおりに変換します。
※その他のスタイルをしおりに変換したい場合はWordのアドイン機能から指定する必要があります。
Wordの見出しからしおり作成
[Wordの見出しからしおり作成]
【Excelの場合】
Excelのシート名をしおりに変換します。
Excelのシート名からしおり作成
[Excelのシート名からしおり作成]
【PowerPointの場合】
PowerPointのスライドのアウトラインをしおりに変換します。
PowerPointのアウトラインからしおり作成
[PowerPointのアウトラインからしおり作成]
2.)リンクを出力する
文書中に設定したハイパーリンクは、そのままではPDFにリンクがつきません。
この設定を行うことでWordなどの文章中に設定したハイパーリンクが、PDFにも反映され、その箇所をクリックすることでWebブラウザでリンク先のWebページを表示することができます。
3.)ワークブック全体を変換する(Excelファイルのみ)
「瞬簡PDF3」まではExcelをツールアプリ「瞬簡PDF3」の「作成」機能からPDFを作成する場合、アクティブシート(Excelで表示しているときに最後の保存時に表示していたシート)しか出力されませんでした。
「瞬簡PDF4」ではこの設定をすることで、すべてのシートをPDFに変換し、ひとつのPDFとして出力できます。
※しおりの出力やリンクの出力には制限事項がいくつかありますので、詳しくは瞬簡PDF4の制限事項をご確認ください。
https://www.antenna.co.jp/SPD/spec.html#srt02
いかがでしょうか。Word/Excel/PowerPoint(2000~2010)をご利用でしたらぜひお試しください。


設定を選ぶだけで簡単にPDFの作成

アンテナハウスの製品で、WordやExcelなどの文書からPDFを作成するデスクトップ製品といえば「瞬簡PDF」がベーシックな製品になります。この「瞬簡PDF」はPDFの作成と編集を行うソフトとして、「瞬簡/リッチテキストPDF」や「PDFスイート」にも同梱していますので、これらの製品をご購入されても利用する事ができます。
ちょっと前の話になりますが瞬簡PDFは今年の2月末に大幅なリニューアルを行い「瞬簡PDF4」としてリリースをしました。このリニューアルでは新しい機能の追加もしていますが、より簡単に、少ない手順で、わかりやすく利用できることをコンセプトに開発しました。
その一例として、変換設定をはじめ、各処理の設定で利用頻度の高そうな設定をあらかじめ用意しておき、プルダウンメニューで選択するだけで、簡単に処理することができます。
PDF作成では初期状態で次の6つの設定があらかじめ登録されていて、用途に合わせて選択して実行するだけです。
瞬簡PDF4:作成画面 変換設定の選択
[瞬簡PDF4:作成画面 変換設定の選択]
・標準設定
・標準設定:フォント埋め込み
・ファイルサイズ優先
・ファイルサイズ優先:フォント埋め込み
・画質優先
・画質優先:フォント埋め込み
【標準設定】
「標準設定」は比較的いろいろな用途で使いやすいPDFファイルを作成する設定です。「とりあえずPDFにしたい」場合は、まずこの設定か「標準設定:フォント埋め込み」をお試しください。
ただし、変換元の文書によっては大きなファイルサイズのPDFになってしまったり、プリンターで印刷するには画質が不満になることもありますので、このような場合は他の設定をお試しください。
【ファイルサイズ優先】
「ファイルサイズ優先」は「標準設定」と比べて文書に含まれる画像の解像度や画質を落としてPDFに埋め込みます。PDFに埋め込まれている画像の質は低くなりますが、出来上がったPDFのファイルサイズは小さくなります。
【画質優先】
「画質優先」は「標準設定」と比べて文書に含まれる画像の解像度を落とさず、画像の圧縮もあまり行わない設定です。ファイルサイズは大きくなりますが出来上がったPDFの画像はきれいです。
(上記は主に、画像が埋め込まれているファイルからのPDF作成時に有効です。出力結果は変換元の文書によっても異なります。)
各設定には「フォント埋め込み」の設定を用意しています。
お客様のお問い合わせで「作ったPDFを他のパソコンで見たら文字化けする」とか「違う書体で表示された」といった内容を拝見することがあります。これは元の文書で使用したフォント(書体)が、他のパソコンに入っていない場合によく起こります。
これらはPDFにフォントを埋め込むことで解決できますので、このような場合は「標準設定:フォント埋め込み」など設定名に「フォント埋め込み」(*1)がつく設定を選択してPDF作成を行ってください。
フォント埋め込み比較
[左から元文書(Wordファイル)・フォント埋め込みしたPDF・フォントを埋め込まないPDF]
その他、より細かく用途に合った設定をしたい場合は「変換設定」の横にある「編集…」ボタンをクリックして詳細な設定をすることができます。ここで編集した設定は別の設定名で保存することができますので、よく使う設定であれば「変換設定」画面下部にある「別名保存」から設定を保存してください。
そうすることで、メインの画面の「変換設定」プルダウンメニューからすぐにその設定を利用できます。
(*1:設定名に「フォント埋め込み」がつく設定は「変換設定」画面の「フォント」タブをクリックして表示する設定画面で、ラジオボタン「使用されている全てのフォントを埋め込む」が設定されています。)
次回はPDFの作成機能について、もう少し紹介したいと思います。


DITA導入によるドキュメント制作のパラダイムシフト

先週、『DITA101』が手元に届き、早速一読し、我が意を得たりという思いです。
 
本書には、私が個人的には何年も前から遠からずマニュアル制作にパラダイムシフトが起きるだろうと考えていた、その通りのことが極めて明瞭に書かれています。
 
この本に紹介されているDTPによる制作とDITAによる制作を対比させると次の二つの図のようになります。
1.DTPによる自由な制作
slide2.PNG
 
2.現在導入が進んでいるDITAによる制作
slide3.PNG
 
DTPによる制作とDITAによる制作では組織の管理も個々の担当者の業務もかなり変わり、DITAの普及で新しい職種も必要となります。個々の制作者や制作会社にはなかなかつらい、受け入れにくいことかもしれないですが、これは時代の流れと考えるしかないと思います。
  
本書を読んで、いまさらながら欧米と日本との落差の大きさを感じるとともに、どうしても、ここは日本でも頑張ってDITAの普及を図る必要があること。そのためには新しい仕組みを実現・運用できる人材の育成が急務であることを強く意識しました。


『DITA101~執筆者と管理者のためのDITAの基礎』目次

『DITA101~執筆者と管理者のためのDITAの基礎』の目次を紹介します。
■序文
■序論
■DITAとは何か
 名前の理解
   アーキテクチャー
   情報の型化(Information Typing)
   Darwin
 トピック―DITAの基本要素
 マップ
 再利用
 コンテンツはフォーマットと分離
 DITAの定義
 DITA Open Toolkit
■コンテンツにおける構造化の価値
 レシピ1
 レシピ2
 レシぴ3
 コンテンツの構造化の重要性
   構造化コンテンツの利点
 構造化オーサリングのガイドライン
■再利用:今日のベストプラクティス
 なぜ、コンテンツを再利用するのか
   開発、レビュー、メンテナンスについての削減
   翻訳
   一貫性の向上
   迅速な再構成
   現実でのコンテンツの再利用の利点の例
      ハイテク
      医療機器
 再利用のプロセス
   随意再利用
   系統的再利用
 再利用のタイプ
   トピックベースの再利用
   フラグメントベースの再利用
   フィルター再利用
   変数再利用
■トピックとマップ―DITAの基本的な構成要素
 汎用トピック
   Title
   要約文/アブストラクト
   Prolog(メタデータ用)
   トピック本体
   関連リンク集
   トピックの例
 Concept
 Task
   Taskの例
 Reference
 マップ
 ブックマップ
■DITA執筆者の1日
 DITAにおけるコンテンツの計画と展開のアプローチ
 アウトライニングツールとしてのマップの使用
 トピックとは何か
 構造化コンテンツのライティング
■DITAの計画
 計画
   コンテンツの分析
   再利用の分析は手作業か、プログラムによるか
   統一コンテンツ戦略の開発
 役割と責任
   コンテンツコーディネーター(新規)
   情報アーキテクト(新規)
   DITAテクノロジスト(新規)
   執筆者(変更された役割)
   コンテンツ所有者(変更された役割)
   編集者(変更された役割)
 コンテンツの変換
 研修とコンサルティング
■DITAプロジェクトのためのROIの計算
 サンプル使用事例
 DITA再利用の評価基準
 翻訳の評価基準
   再利用による翻訳のコスト削減
   デスクトップパブリッシングからの翻訳の削減
 その他の削減
 何がコストか
 ROI計算ツール
■メタデータ
 メタデータとは何で、ねぜ重要なのか
 DITAにおけるプロログメタデータ
   発行メタデータ
   管理メタデータ
   修飾メタデータ
 選択属性
 他の種類のメタデータとの関係(Dublin Core)
 分類学におけるメタデータ
 メタデータとコンテンツ管理システム
■DITAとテクノロジー
 オーサリング
   オーサリングのインターフェイス
   テキストを扱う能力
   DITAサポート
 コンポーネントコンテンツ管理システム(CCMS)
   DITAサポート
   再利用のサポート
   翻訳のサポート
 出版
■「高度な」ことがら
 ドメイン
 Conref
 選択属性(条件付きコンテンツ)
 関連性テーブル
 特殊化
   なぜDITA特殊化をするのか
      実際的な有用性のあるものの選択
      2つの単純な質問
   DITAを特殊化すべきか
■1.2で新しいこと
 一般Task(General Task)
   一般Taskか厳密Taskか
   一般Taskモデルの構造
 ステップセクション(Stepsection)
 ハザード(Hazard)ドメイン
 マップに追加される機能
 学習教材(ラーニングマテリアル)
 拘束(Constraint)のしくみ
 再利用についての改良
   参照切れを低減するキー使用
   変数再利用でのキーとkeydefの使用
   条件付再利用でのキーとconkeyrefの使用
   ブロックのコンテンツ参照
 その他
■付録
 付録A:DITAトピック便覧
   Concept
   Task
   Reference
 付録B:プロログのメタデータ
 付録C:DITAの歴史
   起源
   コンテンツ制作になぜXMLか
      XMLと構造化コンテンツ
   それでもDITAが必要なのかなぜか
      設計目標
   DITAの利点
   DITA以外の選択肢
      DocBook
      S1000D
   XMLとは何か
      いったいXMLとは何なのか
   XMLのタグの役割
   XMLとHTMLの比較
      HTML版の手続き
   XMLの利点
      例.
   DTDとスキーマ
      スキーマのDTDに対する優位性
   コンテンツとフォーマットの分離
   XSL
 付録D:著者(執筆者)
   The Rockley Group
      Ann Rockley
      Charles Cooper
      Steve Manning
   ゲスト寄稿者
      Mark Lewis
■索引
■訳者紹介
■訳者が使用したツール
 


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