メルマガ配信の新しいステージとEPUBのインパクトを考える―(上)メルマガ配信の変遷

現在は、週刊有料メルマガ『堀江貴文のブログでは言えない話』が発行数1万を超える成功を収めたのをきっかけとするメルマガブームの最中です。
ここでは有料メルマガ配信の未来を考えるために、これまでのメルマガ配信の歴史を少し見てみます。ざっと調べてみた範囲ですので、間違いが多いと思いますが、お気づきの点を指摘いただけると嬉しいです。
《注:本記事は、CAS-SUPPORTのブログ6月24日掲載分と同一の内容です》
1. 初期のメルマガ配信スタンド
昔からのメルマガ配信スタンドでは、「まぐまぐ」が有名です。1997年にスタートした老舗です。
http://www.mag2.com/
「マグマグ」より少し遅れてNiftyも1998年7月にメルマガ配信サービス(Macky!)を開始しました。こちらは、その後、いくつかの変遷を経て終了になっています。このほかに、1990年代終わりから2000年代初めには、メルマ、メルマガ天国、パブジン、カブライト、E-Magazineなどの多数のメルマガ配信サービスがあったようです。
例えば次の記事:電子メールマガジンの作り方:インターネットウオッチ
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/m_mag/
しかし、上に掲載したメルマガ配信スタンドは2012年現在ではすべて活動を停止しています。
こうした初期のメルマガ配信スタンドは、「まぐまぐ」を除いて運営のための収入を確保するビジネスモデルが確立できなかったのではないかと思います。
おそらく初期のメルマガ配信スタンドは広告モデルであったため、読者を多数確保しなければならず、大きなスタンドしか広告収入を確保できなかったのだろうと推測します。なぜ、「まぐまぐ」が生き残り、他は生き残ることができなかったのかはもう少し詳しく調べてみる必要があります。
2. 有料メルマガの登場
初期のメルマガ配信スタンドは、その殆どが無料メルマガの配信だったと見られます。「まぐまぐ」が有料メルマガの配信を始めたのは、2001年の秋となっています。
○まぐまぐ、有料メールマガジン配信「まぐまぐプレミアム」開始
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0731/magpre.htm
週刊有料メルマガ『堀江貴文のブログでは言えない話』はこの有料メルマガの延長上にあります。
3. 有料メルマガ専門配信スタンドの登場
「まぐまぐ」は、無料メルマガからスタートして有料メルマガもサービスするようになったのですが、2010年頃から、有料メルマガを主体とするメルマガ配信スタンドが登場しています。これは新しい動きと言えます。
各メルマガスタンドがブランド・イメージ確立のためか、著者をかなり厳選してメルマガ発行に取り組んでいるようです。このためメルマガ配信スタンド毎にみますと、タイトル数がまだ2桁の前半です。
こうした新しいスタンドは著者をセレクトするという点で「まぐまぐ」とは一線を画しています。プロに近い著者に限定することでコンテンツのレベルを確保し、読者が安心して購読できることになります。その一方で、有料メルマガを配信したい多くの著者にとっては敷居の高い存在となります。
こういったメルマガ配信スタンドが今後どうなるか、その行方には目を離せません。
●「夜間飛行」
http://yakan-hiko.com/
ひよこファイターmusic合同会社
2008年設立
17人の著者の有料メルマガを配信
●「タグマ!」
http://www.targma.jp/
株式会社メディア・ヴァーグ
2011年4月設立
●「BLOGOSメルマガ」
http://magazine.livedoor.com/
ライブドアの有料メルマガサービス
24誌を配信
●「ビジスパ」
http://biz-spice.jp/public/
株式会社ビジスパ
●「フーミー」
http://foomii.com/magazines/
株式会社foomii
2010年6月~
42タイトル
●「イズメディアモール」
https://mall.ismedia.jp/?gclid=CMmt4-e227ACFUdKpgodcg2R0Q
2011/12/16 :イズメディア・モール オープン
イズメディア・モールにメルマガのセレクトショップがオープンしました。
4. 出版社によるメルマガ配信への動き
もうひとつ眼を離すことができないのは、大手の出版社によるメルマガ配信開始の動きです。
4.1 サイゾウ
サイゾウメールマガジン
http://www.cyzo.com/2011/06/post_7638.html
PC、携帯、スマートフォン向け/HTML形式
4.2 インプレス
MAGon
http://magon.impress.co.jp/
メール添付でEPUBを配信
2012年3月1日
4.3 講談社
講談社から初の有料メルマガ!第一弾は古賀茂明氏 
『現代ビジネス』( http://gendai.ismedia.jp /編集長・瀬尾傑)は、2012年1月12日、有料メールマガジンの発行を始めました。講談社が有料メールマガジンを発行するのは初めてです。
4.4 文芸春秋
Number 有料メルマガ
http://number.bunshun.jp/list/vianumber
2011年3月開始
4タイトル
5. 著者自身の有料メルマガ配信
著者自身がメールマガジンを配信する方法の基本は、(1) スタンドアロンの専用メール配信ソフトを使って配信する方法です。これは通常のメールクライアントの延長になります。(2) さらに著者がメール専用サーバを立ててメールを配信する方法があります。(1)、(2)は専用のシステムですが、別の方法として、(3)共有インターネットのメール配信サービス(メルマガ配信Webサービス)があります。
配信サービスの方はWebサービス化によって、利用への敷居は今後さらに下がると見込まれます。
もう一つ、メルマガ配信スタンドの利用と著者自身の配信するときの相違点は、決済サービスがあります。決済サービスについては、個人の著者が顧客のクレジットカード情報を取得するのは敷居が高いのですが、現在は、PayPalのような仕組みで小額決済を簡単にできるようになってきています。
この方式による有料メルマガ発行がどの程度行なわれているかは簡単には調べることはできません。発行者が点在し、メルマガの読者に対してワン・ツー・ワン(ピンポイント)で配信する活動が、社会全体でどの程度の行なわれているかを補足するにはしっかりと設計した統計的な調査が必要となります。
しかし、配信と決済の敷居が下がっていることを考慮すると、著者自身によるメルマガ配信が増えているのではないかと推測できます。
6. まとめ
メルマガは日本独自のサービスといわれていますが、1990年代後半に最初のメルマガ配信スタンドである「まぐまぐ」が登場して15年を経過しました。当初は無料メルマガ中心でした。
しかし、堀江貴文氏が有料メルマガで成功を見せたことによって、メルマガ配信サービス業界が全体として新しいステージに入っている、と言えます。
この有料メルマガ配信の新ステージにおいてEPUBがどのような役割を果たすのでしょうか。これについては、また後日検討してみたいと思います。
■7月11日「有料メルマガライターまたは制作者のためのEPUB作成セミナー」を開催します。




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