第54回 最近の質問「「入力者等の情報の保存・確認」ついて証跡残し方等具体的に教えて下さい。」

作成者:アンテナハウス株式会社 益田康夫
資 格:上級 文書情報管理士、簿記3級、行政書士
本ブログの記載内容は、公開日時点での法令等に基づいています。
その後の法令改定により要件が変わる可能性がありますので、最新の法令などをご確認下さい。

「「入力者等の情報の保存・確認」ついて証跡残し方等具体的に教えて下さい。」

結論から:入力者等の情報を確認できる状態にする方法については、法令上の制限はありません。
しかし、
規則第3条第5項第3号((入力者等の情報の確認))に規定する「入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」と規定されているので気になりますよね!

では、紐解いていきましょう!!長文になりますが、通達趣旨説明2つとQA1つを合わせて読めば
明確になります。

4-28 規則第3条第5項第3号 ((入力者等情報の確認))に規定する「入力を行う者」とは、スキャナで読み取った画像が当該国税関係書類と同等であることを確認する入力作業をした者をいい、また、「その者を直接監督する者」とは、当該入力作業を直接に監督する責任のある者をいうのであるから、例えば、企業内での最終決裁権者ではあるが、当該入力作業を直接に監督する責任のない管理職の者(経理部長等)はこれに当たらないことに留意する。
また、当該入力作業を外部の者に委託した場合には、委託先における入力を行う者又はその者を直接監督する者の情報を確認することができる必要があることに留意する。
なお、規則第8条第1項第1号《タイムスタンプ及び入力者等の確認》に規定する「保存を行う者」又は「その者を直接監督する者」の適用についても、同様に取り扱う。

【解説】

規則第3条第5項第3号では、国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者(以下これらの者を併せて「入力者等」という。)の情報を確認することができるようにすることとされている。これは入力者等を特定することによって、当該電磁的記録の真実性を確保することを目的としているものである。
ところで、「入力を行う者」は、スキャナ操作をした者、最終的な画像の確認をした者など、入力に従事した者が複数となる場合がある。
このような場合においても、国税関係書類をスキャナで読み取って保存する際には、スキャナで読み取った画像をディスプレイに表示の上、当該画像と紙を照合し、スキャナで読み取った画像と紙とが同等であることを確認する作業が必ず伴うことから、「入力を行う者」とはスキャナで読み取った画像が紙の記載事項や色調と同等であることなどを確認した者をいう旨を明らかにしたものである。
また、当該入力を行う者を直接監督する者の情報を確認することができるようにするとされているが、直接監督する者は、実際のスキャナ作業に関わっていることが必要であると解される。したがって、「その者を直接監督する者」とは、スキャナ作業を直接指揮監督するという形で当該作業に関わっている者をいうのであるから、例えば、入力を行う者を直接監督する責任者が営業部長であり、書類の最終決裁権者が経理部長であるような場合における経理部長は、当該スキャナ作業を直接指揮監督しているとはいえないので、この場合の直接監督する者には当たらない旨を併せて明らかにしている。

4-29 規則第3条第5項第3号((入力者等の情報の確認))に規定する「入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」とは、これらの者を特定できるような事業者名、役職名、所属部署名及び氏名などの身分を明らかにするものの電子的記録又は書面により、確認することができるようにしておくことに留意する。

【解説】

平成27年度の税制改正前においては、入力を行う者又はその者を直接監督する者の電子署名を行った上でタイムスタンプを付すことが要件とされていた。
平成27年度の税制改正により、国税関係書類をスキャナで読み取る際の電子署名が不要とされ、これに代え、国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておくことが要件とされた。
この電子署名については、1「電磁的記録の非改ざん証明機能」と2「入力者等を特定する機能」を有しているが、1については、タイムスタンプも有しており、その機能が重複しているため、2を維持する観点から、入力者等の情報を確認することができるようにしておくことを新たに要件とした上で、電子署名の要件が廃止されたものである。
2については、入力した者が誰であるか分かるようにする必要があることから、例えば、事業者名、役職名、所属部署名及び氏名などが分かれば、一義的には入力者等を特定できるため、本通達はこれを明らかにしたものである。
また、入力者等の情報を確認できる状態にする方法については、法令上の制限はないことから、システムにおいていわゆるID(身分証明)を電磁的記録に保存する方法や入力者等が記載された書面を備え付ける方法が考えられ、これ以外に電磁的記録に一部を保存し、その他の部分が記載された書面を備え付けるなどの方法によっても、入力した者が特定・確認できるのであれば、当該要件を満たすこととなる。
なお、例えば、入力者等について、事業者名、役職名、所属部署名及び氏名が同一の者が複数あり、入力者等が特定できない場合であれば、当然「入力を行う者又はその者を直接監督する者の情報」を確認することができるような状態にはないため、職員番号を付すなどの対応が必要となる。

問53 規則第3条第5項第3号は、「入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」と規定していますが、電子署名を行うことによってもこの要件を満たしますか。

回答
電子署名を行うことによって、入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができれば、この要件を満たします。
解説
平成27年度の税制改正により、国税関係書類をスキャナで読み取る際の電子署名の要件が不要とされ、これに代え、国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておくことが要件とされました。
このため、平成27年度の税制改正後において、規則第3条第5項第3号(入力者等の情報の確認)の規定は、電子署名を行うことを規定したものではありませんが、電子署名を行うことによっても、入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるため、この要件を満たすと考えられます。
電子署名は実印相当のものではなく、認印層のもので良いです。これが意外と楽かも・・・

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