前回、CIE1931、CIELAB、CIELUVについて触れました。
これらを活用し、様々なデバイスで色について統一的にマネジメントするための仕組みがICCプロファイルです。
International Color Consortium(ICC)[1]は、コンピュータやデジタルカメラ、スキャナ、プリンタなどのデバイス上で統一して色の管理を行うための標準化団体です。ベンダー8社を中心に1993年に設立されました。
ICCプロファイルは基準となるカラースペースの定義と、それに基づく設定の記述によって構成されています。基準となるカラースペースはプロファイル接続空間(PCS)と呼ばれます。これは、CIEXYZやCIELABによるカラースペースに制限を加え、プロファイルに使用しやすいようにしたものです。PCSという共通のカラースペースがあることで、あるデバイスでの色の記述を、そのデバイスのプロファイルを使いPCSの色表現に変換し、それを別のデバイスプロファイルを使って別のデバイス上での色の記述に変換できます。またICCプロファイルには、色の記述をPCSでの色表現に変換するための共通のインターフェースという役割があります。
このインターフェースは、先に挙げたPCSとPCSに色の記述を変換する設定の書式を厳密に定めたもので、構造としては、ヘッダ部、タグのテーブル、タグに紐付いたデータで構成されます。変換アルゴリズムなどの実装については定めていません。
PCSからデバイスの色に変換する際に、そのままではデバイスで対応できない色が含まれる場合があります。そのときに対応していない色をどの色にマッピングするかを定める「レンダリングインテント」と呼ばれるものをICCプロファイルに用意できます。
ICCプロファイルは、デバイスによって幾つかの種類に分けられます。主に次の3つです。
- スキャナ、デジタルカメラなどのための入力プロファイル
- ディスプレイなどでの表示のためのディスプレイプロファイル
- プリンタなどのための出力プロファイル
他の種類もあります。
- 画像形式での流通のためのカラースペースコンバージョンプロファイル
- 特定の色のための命名色プロファイル
- 追加の補正情報を埋め込むためのアブストラクトプロファイル
さらに、プロファイルを組み合わせて1つにした、デバイスリンクプロファイルがあります。
相互に色を変換するための共通の書式であるICCプロファイルについて概要を説明しました。
次回はようやく、PDFのCIEベースカラースペースについての回になる予定です。
[1] http://www.color.org/abouticc.xalter
- PDFの色指定について
- PDFの色指定の概要・デバイスカラースペース
- PDFの色指定について(2)
- 色とは何か
- PDFの色指定 (3)CIE1931 CIELuv CIELAB
- CIEカラースペース
- PDEの色指定(5)CIEベースカラースペース
- PDFのCIEベースカラースペース格納形式と使用のされ方の概略