月別アーカイブ: 2021年8月

来週に迫る「DITAで本を書いてAH XSL Formatterで自動組版する」ウェビナーと溢れ話

以前ブログ記事でも告知しました*1「DITAで本を書いてAH XSL Formatterで自動組版する」ウェビナーを来週8/10(火)に開催します。

以前の記事で触れましたように、このウェビナーは『AH XSL Formatter拡張仕様使いこなしガイド』の制作報告であるものの、プレゼンの性質と時間の都合上、省略することはどうしても出てきてしまいます。

本記事では、省略した中から「実際の制作はLightweight DITAから始めた」ことについて書きたいと思います。プレゼンから省略された一番の理由は「説明がややこしくなる」なので、一度内容を忘れてウェビナー終了後にまたご覧になっていただくのも良いかもしれません。

実際の制作はLightweight DITAから始めた

Lightweight DITA

Lightweight DITA(LwDITA)はDITAのサブセットであるXDITAと、XDITAと互換があるよう設計したHTML5で記述するHDITA、MarkdownとYAML Frontmatterで記述するMDITAを指します。DITA-OTの新しめのバージョンではformat="mdita"のようにして通常のDITAトピックと同様に処理可能です。
LwDITAについては以前に少し記事を書きました。併せてご覧ください。

原稿形式選定

原稿形式選定にあたってのライバルは、様々な弊社出版物の実績があるCAS-UB、『Office Open XML Format入門』で利用されたsimpleDocといったものがありました。それらからの選定にあたって「執筆協力予定メンバー全員がそれらの原稿形式に慣れているわけではない」ということがあり、「原稿をプレーンテキストまたはHTMLで受けとれるならオーサリング作業は何とかなるだろう」という考えがあり、とりあえずということでLightweight DITAを採用することにしました。

  • マークアップが不足して困ったとき別形式に移行しやすそう
  • MarkdownやHTMLなら何とか書けるだろう

「~だろう」というふわっとした状態で制作をスタートしてしまったことが大きな反省点です。内部調整的な話は「連絡・相談をしっかりしよう」ということに尽きるのですが、技術的な面でも問題がありました。技術的な面と書きましたが、初歩の話です。

反省点

  • DLとTableの使い分けははっきりさせておこう
  • LwDITAのマークアップは最低限しかないので、DITAへの移行時にどうするかを詰めておく
  • LwDITAでもkeyrefは使える

DLとTable、これは仕様の表についての話ですね。仕様についての書籍ですので、山のように登場します。
HTMLのセマンティクスでも、仕様や会社情報の列挙にtableを使うべきかDLを使うべきかというのは混乱しやすいですし、一概に片方のみを正解とも言えません。今回の仕様の表については「1箇所につき1仕様」「左にラベル、右に内容という構成」を考えると、DLを使用していればミスを減らせたのではないか、と後から思いました。また、MDITAの簡易マークアップによる表はsimpletableになりますが、(望ましい形への自動変換を自前で用意しない限り、)ページ数その他についてシビアになる制作物では使わない方が良いでしょう。なんならテーブルマークアップは手で書かずにデータ変換処理によって用意した方が良いです。

MDITAの簡易マークアップによる表

| Header |
|--------|
| Cell   |

LwDITAのマークアップは最低限であることについて。XMLタグの<や>を表示時に補ってくれるXMLドメインなどはLwDITAでは使えません。MDITAではattributeに変換時のためのclass(HTML)なども使えませんから、使い分けが想定されるのであればトピック数が数百ファイルになる前に何らかの対処が必要でした。

LwDITAでもkeyrefは使えます。主に図版のパスの問題ですね。実は執筆当初使い方が分からかったので後回しに(書き方が間違っており上手く処理されなかった)したところ、後半の作業で牙を剥きました。

LwDITAを諦めた最たる理由はindextermが使えなかったことですが、これについては以前の記事で触れていますので割愛します。

こういった反省点を基にLwDITAをもっと上手くライティング形式として活用できる展望はあるのですが、最近はXMLでの読み書きに抵抗が薄くなったため、その機会はそうそう無いかもしれません。

ということで、来週8月10日(火)16時から、ちょっと一息アンテナハウスウェビナー『DITAで本を書いてAH XSL Formatterで自動組版する』を開催しますので、ご参加いただければ幸いです。また、『AH XSL Formatter拡張仕様使いこなしガイド』*2もよろしくお願いします。

DITAで本を書いてAH XSL Formatterで自動組版する

日時
2021年8月10日(火)16:00~17:00
概要
2021年5月18日に公開/販売した『AH XSL Formatter 拡張仕様使いこなしガイド』の制作報告を通し、XML執筆からPDFを作る過程の知見をご紹介します。
DITAについてや、DITAでの書籍制作における実例の紹介や、DITAを扱うときの注意事項など、自動組版やXMLの使い方、DITAに興味がある方、Formatterユーザーさん、必見です!
内容紹介・お申込みページ
こくちーずプロからお申し込み:https://www.kokuchpro.com/event/20210810/
Zoomウェビナーへ直接お申込みいただく場合: ウェビナー登録ページ

改正電帳法の独自攻略の手引き

改正電子帳簿保存法について、ベンダーや専門コンサルの支援を受けずに、自社で独自に法令要件を確保して、運用するにはどうすればよいのか、
10以上電帳法を研究し、多数のコンサル実績を持つ益田康夫が、その道筋を考えて見ました。

■ 基本的な4つのステップ

  1. 改正電子帳簿保存法より法律用語定義と帳簿・書類、スキャナ、電子取引の各制度を理解する→電帳法の4つの制度を俯瞰することが最大の近道!
  2. 改正電子帳簿保存法施行規則(「財務省令」)より各制度の要件を俯瞰する→電帳法を制するには帳簿から!
  3. 要件の理解を深めるために、改正電子帳簿保存法取扱通達趣旨説明(「通達」)を読破する→国税局も税務署も「通達」を裏付けに確認指導してくる!
  4. 自社の導入目的に合致した「一問一答」を「財務省令」や「通達」を参照しながら理解する→単なる「一問一答」の摘み食いでの自社よがりな楽観的な解釈は大きなリスクを伴う!

この4つのステップで基本的に改正電帳法の独自攻略が可能です。

■ なお、次の情報も合わせて参考にしてください。

  1. 令和3年度の税制改正で電帳法のどこがどう緩和されたのか!?
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf
  2. JIIMA認定リストの国税庁掲載ページ
    帳簿:
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/pdf/JIIMA_list.pdf
    書類:
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/pdf/JIIMA_list_3.pdf
    スキャナ:
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/pdf/JIIMA_list_2.pdf
  3. 他社事例(ユーザーの声)等
    電帳法「スキャナ保存」でANAエアポートサービス(株)様が「ScanSave」の選考から導入への道のりを語ります!
    https://youtu.be/Up9f6E0151g
    「ダスキン伝票」や「領収書」等ペーパーレス経理を(株)武蔵野がどう実現したか!?20210122 
    武蔵野様 経理部 岡本部長様 ご講演
    https://youtu.be/1rGzN8CqYGQ
    「ダスキン伝票」や「領収書」等ペーパーレス経理を(株)武蔵野がどう実現したか!?20210122 
    武蔵野様 営業サポート事業部 滝澤事業部長様 ご講演
    https://youtu.be/t8T4Fo3S_C0
    事例豊富なScanSaveがパワーアップし、e-Success【JIIMA認定製品】にVER-UPした訳 「概要編」
    https://youtu.be/yIQHeAxcf3c
    e-Success【JIIMA認定製品】 ウェビナー「 機能編」
    https://youtu.be/QV7d-GU9Nvo
    e-Success【JIIMA認定製品】 「システム管理者編」
    https://youtu.be/SzWEbZ3ZvXU

以上 ご参考になれば幸いです。



「瞬簡PDF 書けまっせ 8」コマンドライン活用法

『瞬簡PDF 書けまっせ 8』はPDFに文字や図形、画像、印影などを自由自在に書き込みするためのソフトウェア『瞬簡PDF 書けまっせ』の最新バージョンです。

今回はコマンドライン機能を活用する方法を解説していきます。
コマンドラインを活用すれば、ファイルをダブルクリックするだけでPDF出力や印刷ができるようになります。差し込むデータを指定できるため、毎月データをPDF帳票として出力するような場合にとても便利です。
Youtube動画として公開されておりますのでそちらもご覧下さい。
3分で分かる!「瞬簡PDF 書けまっせ 8」コマンドライン活用法

当記事で使用したファイルはここからダウンロードできます。

コマンドラインを実行してみる

まずコマンドを入力するコマンドプロンプトを起動します。Windows10の検索ボックスに“cmd”と入力してEnterしてください。

コマンドプロンプトが表示されたら“cd [製品のインストール先]”と入力してカレントディレクトリを移動します。

PDFWriteCmd.exe”が「瞬簡PDF 書けまっせ 8」のコマンドラインアプリです。PDFWriteCmdと入力してEnterしてみましょう。(大文字小文字はどちらでも大丈夫です。また拡張子の.exeは省略できます)

このようにコマンドラインの使い方が表示されます。

コマンドラインでPDFを出力してみよう

ファイルを読ませてPDF出力してみましょう。ここではA4の白紙PDFに図形を並べたものを作り、「sample.wppx」という名前で保存します。ここでは「c:\work」に保存しました。

コマンドプロンプトに次のように入力します。

> PDFWriteCmd /D "c:\work\sample.wppx" /O "c:\work\sample.pdf"

/D”が読み込むファイル、“/O”が出力先ファイルの指定です。
実行すると「c:\work」に「sample.pdf」というファイルができるはずです。PDFリーダーで開いて確認しましょう。

印刷したい場合は「/O "c:\work\sample.pdf"」の部分を「/P @STDPRN」に変更します。“/P”が印刷の指定、“@STDPRN”が通常使うプリンターの指定です。

差込機能と組み合わせて使う

次にコマンドラインと差込機能を組み合わせて使ってみましょう。差込フィールドを設定したsample2.wppxを用意しました。


これに「data.xlsx」というExcelファイルのデータを差し込んでコマンドラインでPDF出力します。

コマンドプロンプトに次のように入力します。

> PDFWriteCmd /D "c:\work\sample2.wppx" /O "c:\work\sample2.pdf" /F "c:\work\data.xlsx"

/F”が差込データファイルの指定です。
実行してPDFを開くと次のようにデータが差し込まれたPDFファイルが作成されます。

バッチファイルを利用する

最後にバッチファイルを作ってみましょう。バッチファイルを作ると次回からコマンドを書かなくても、そのファイルをダブルクリックするだけで実行できるようになります。

Windows10の検索ボックスに“memo”と入力してEnterしてください。メモ帳アプリを起動します。
先ほど書いたコマンドラインの内容をメモ帳にコピーして「sample.bat」という名前で保存します。

ここで先に作った「sample2.pdf」はいったん削除しておきましょう。
「sample.bat」をダブルクリックして実行します。

ふたたび「sample2.pdf」ができました。PDFをを開いて先と同じようにデータが正しく差し込まれていることを確認してください。

このようにバッチファイルを用意しておけばアプリを起動したりコマンドを書かなくても定型処理であれば簡単に行うことができるようになります。

「瞬簡PDF 書けまっせ 8」のコマンドライン機能を活用して、ぜひ日常業務の効率化にチャレンジしてみてください!


月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(27)―アンカーの役割

前回(月曜日連載! Microsoft Wordスタイル探索(26)―図形の移動)は図形のレイアウトにおいて、「文字列と一緒に移動」、「ページ上の位置を固定」の設定の違いを見ました。

前回分かったこと
「文字列と一緒」に設定すると、図形が結びつけられている文字・段落が移動すると図形も一緒に移動する。周囲の文字・段落と図形の相対位置は変化しない。
「ページ上の位置を固定」に設定すると、図形が結びつけられている文字・段落が移動しても、図形のページ上の位置は変化しない。図形が結びつけられている段落が別のページに移ると、図形のページも移動する。

図形と文字・段落の結びつきをアンカーで設定する?
前回分かったことから、図形と文字や段落の結びつきを決めるのがアンカーらしいと想像できます。今回は、このあたりをもう少し調べてみます。

アンカーの位置―水平方向
(1) アンカーの左右方向の位置は、既定値では左の余白になっています。図形の位置設定の寸法はアンカーの位置を規準にしているわけではなくて、レイアウト詳細設定で基準とした項目からの位置になっています。

レイアウト詳細設定、水平方向はページを規準にして79.6mmとする

レイアウト詳細設定、水平方向はページを規準にして79.6mmとする


この例では図形の水平方向配置はページの端から79.6mmの位置になっていて、アンカーからの距離ではありません。

(2) 水平方向の基準位置として「文字」を指定できます。このとき、アンカーの水平方向の位置を文字単位で移動でき、またアンカー(を指定した文字)と図形の水平方向の距離を指定できます。

レイアウト詳細設定、水平方向は文字を規準にして31.1mmとする

レイアウト詳細設定、水平方向は文字を規準にして31.1mmとする


※文字列と図形の位置関係によっては、指定したとおりすると重なってしまうなどで、実現できない場合があるようです。この時に図形をどのように移動させているか、いまひとつ不明です。

アンカーの位置―垂直方向
(1) アンカーの垂直方向の位置は、既定値では段落になっています。図形の位置設定の寸法はアンカーの位置を規準にしているわけではなくて、レイアウト詳細設定で基準とした項目からの位置になっています。

レイアウト詳細設定、垂直方向は段落を規準にして10.0mmとする

レイアウト詳細設定、垂直方向は段落を規準にして10.0mmとする


この例では、垂直方向の基準が段落になっており、段落から図形までの距離が10㎜です。

(2) 垂直方向の基準位置として「行」を指定できます。このとき、アンカーの垂直方向の位置を行単位で移動でき、またアンカー(を指定した行)と図形の垂直方向の距離を指定できます。

レイアウト詳細設定、垂直方向は行を規準にして0mmとする

レイアウト詳細設定、垂直方向は行を規準にして0mmとする

アンカーの役割まとめ
アンカーについて分かったことをまとめると次のようになります。

  1. 図形のレイアウトとして、「文字列の折り返し」を選択したとき、図形を文字や段落と結びつけるアンカーが設定されます。
  2. アンカーの位置は、既定値では段落単位です。
  3. レイアウトの詳細設定で基準とする項目を水平方向では文字を選択でき、その時に限り、アンカーは文字と結びつきます。また、垂直方向では行を選択できアンカーは行と結びつきます。
  4. 図形の配置の詳細設定は、アンカーから図形までの距離を指定するわけではなくて、レイアウトの詳細設定で基準に選択した項目からの距離で指定します。

アンカーは図形と文字や段落との結びつきを設定するものと言えます。
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Microsoft Wordが帳票ツールに変身!OOXML Tool API for docx ≪α版≫
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【Wordの「スタイル」ってなんだろう】ゼロから学ぼう! Microsoft Wordのスタイル機能・シリーズ -アウトラインと見出しスタイルについて- vol.1

【vol.1】Wordの「スタイル」ってなんだろう

「はじめに」ということで、ウェビナー全体の構造とともに、Wordのスタイルについて、Wordの画面を使用して簡単に紹介します。


Antenna House Office Serversとは

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