日別アーカイブ: 2021年2月10日

令和4年から電帳法がどう変わる? まとめました

最近「令和4年から電帳法がどう変わる?」という質問を沢山いただくので、要点を簡潔にまとめました。

1 国の政策として電子帳簿保存法が令和4年1月から抜本的に制度改革される

税制改正大綱より】

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直す。
具体的には、事前承認制度を廃止するほか、現行の厳格な要件を充足する事後検証可能性の高い電子帳簿については、信頼性確保の観点から優良な電子帳簿ととしてその普及を促進するための措置を講ずるとともに、その他の電子的な帳簿についても、正規の簿記の原則に従うなどの一定の要件を満たす場合には電子帳簿として電子データのまま保存することを当面可能とする。
また、紙の領収書等の原本に代えてスキャナ画像を保存することができる制度(スキャナ保存制度)については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、手続・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん等の不正行為を抑制するための担保措置を講ずる。

2 抜本的改正のポイントは

申請承認制から届け出制に変わり、「所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の定期要件について、仕訳帳及び総勘定元帳につき国税関係帳簿書類の電磁的記録などによる保存制度の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていること」が決め手となる。

スキャナ保存に関しては、「適正事務処理規程」が撤廃され、タイムスタンプも「タイムスタンプ要件について、付与期間(現行:3日以内)を記録事項の入力期間(最長2月以内)と同様とするとともに、受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署を不要とするほか、電磁的記録事項について訂正または削除を行った。事実及び内容を確認することができるシステム(訂正または削除を行うことが出来ないシステムを含む)において、その電磁的記録の保存を行うことをもって、タイムスタンプの付与に代えることができることとする。」が明文化された。

電子取引制度は、現行許されているPDF等の証憑を印刷保管することが、「申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録出力書面等をもって当該電磁的記録の記録に代えることができる措置は、廃止する。」と明記されたので電子保管とその要件確保が義務化される。

3 今年の動き

税制改正大綱より】

帳簿等の税務関係書類の電子化を推進しつつ、納税者自らによる記帳が適切に行われる環境を整備することが、申告納税制度の下における適正・公平な課税の実現のみならず、経営状態の可視化による経営力の強化、バックオフィスの生産性の向上のためにも重要であるあることに鑑み、

正規の簿記の原則に従った帳簿の普及、

トレーサビリティの確保を含む帳簿の事後検証可能性の確立の観点から、納税者の事務負担やコストにも配慮しつつ、記帳水準の向上、電子帳簿の信頼性の確保に向け優良な電子帳簿の普及を促進するための更なる措置、

記帳義務の適正な履行を担保するためのデジタル社会にふさわしい諸制度のあり方やその工程等について早期に検討を行い、結論を得る。

4 具体的な予測

  1. 3月末に法令の改正
  2. 6月末に通達や一問一答、届け出書フォームの公開

5 市場の反応やニーズ

コロナ禍の中、紙の請求書や領収書に依存した業務から、電子化・ペーパーレス化へのシフトが加速しつつある。
しかしながら、電帳法の難解さと運用の困難さで、債権・債務・経費等の帳簿書類の電子化が遅れていた。
今回の税制改正大綱の発表により、躊躇していた企業のみならず、義務化されるので全民間企業のニーズが一気に高まるだろう。





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