2024年1月からの電子取引データ保存義務化への対応方法

電子帳簿保存法第7条で義務付けられている電子取引データのデジタル保存ですが、2023年12月で宥恕措置期間が終了し、2024年1月から必ずデジタル保存をしなければなりません。

この保存方法については、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」(以下、規則)の第4条で決まっています。第4条は2023年3月に改正されました。新しい規則は2024年1月から施行されます。

2024年1月からは、第4条の規定に従うと、保存義務者がデジタル保存を実施するときの方策は、次のA、Bのどちらかを選択することになります。

A 規則第4条第一項の保存要件に対応して保存する。

施行規則第4条第一項については、例えば、「電子取引の保存要件に対応するには」をご参照ください。
この場合、電子データを印刷した書面を保存する義務はありません。

アンテナハウスは、2022年1月から、『電子取引Save』を使用して、電子取引データを規則第4条第一項の保存要件に対応して保存しています。これを運用開始して1年8カ月経過しています。保存要件に対応するために必要な中で工数がかかるのは、検索要件を満たすことです。具体的には取引データを1件登録するごとに、検索用の項目(取引先名、取引金額、取引日付)を入力しなければなりません。これは入力作業に結構手間がかかる要因になっており、よい解決方法が望まれています。

今回、『電子取引Save V2』では、入力を効率化するための機能をいくつか追加しています。

B 電子取引データの保存要件に対応せず保存だけする。

2024年1月から規則に定められた保存要件は気にしないで、電子データ・ファイルをPCのフォルダなどに保存しておくことが選択できるようになります。

この場合でも税務調査で要求された電子データを提示・提出できることが必要です。そのためには、例えば、従業員各人のPCなどにばらばらに保存するのではなく、保存につかうと決めたPCに、会社全体のファイルを集中し、整理しておくのが良いでしょう。例えば会計年度別・業務別にフォルダを作成し、所定フォルダに分類しておくと見つけ易くなります。

さらに電子ファイルを保存しておく一方で、その内容を印刷した書面を整理した状態で提示・提出できるようにしておかなければなりません。書面の整理・保存はこれまで行っていた方法どおりと考えられますが、具体的には顧問税理士などに相談されると良いでしょう。

方法Bでは、検索要件に対応する必要がないので、保存作業の負荷は小さくなることが期待できます。

前回:電子商取引についての調査報告から電子取引データ保存を考えてみる
次回:電子取引データ保存の2つの方策を比較する

関連記事