カテゴリー別アーカイブ: AH Formatter

本の組版のためのCSS3ドラフト仕様を見てみよう

以前のブログ記事「HTMLBook仕様とCSS Books仕様標準化の動き、「CSS書籍組版」セミナー」などで書いたように、本のページの組版のためのCSS3仕様の標準策定が進められてます。最新のドラフト仕様は次のものです。

  • CSS Paged Media

    ページ媒体向けのCSS仕様の基本。ページのマージン、ページサイズ、ページヘッダーとフッター、ページ番号、トンボ出力などの機能が定義されています。

  • CSS Generated Content for Paged Media (GCPM)

    柱、脚注、ページセレクタ、目次のリーダー、相互参照、ブックマークなど、書籍組版に必要な基本的な機能を定義

    次の「CSS Books」は、この仕様のWHATWG

  • CSS Books [WHATWG]

    上のCSS GCPMの内容をほぼ含み、そのほかにも書籍の組版に関する機能が盛り込まれている。名前付き領域、ベースライン・リズム(行グリッド)など。

  • CSS Figures [WHATWG] (CSS Page Floats)

    図版などをページ上にフロート配置する方法を定義しています。

私どもの製品AH Formatterでは、すでにこれらのドラフト仕様で定義されている機能の多くを先行実装しています。また、これらドラフト仕様では、AH Formatterの実装も参考にされています。

しかし、これらCSSドラフト仕様のほうは、標準の仕様として世界に受け入れられるものになるように、修正され続けている状態です。よりよい仕様になって、早く完成してほしいですよね。

ぜひ、このブログを読んでくれているCSSや組版のことに関心を持っている皆様も、これらのドラフト仕様を読んで、フィードバックをしてはいかがでしょうか?


HTMLBook仕様とCSS Books仕様標準化の動き、「CSS書籍組版」セミナー

【追記2013-10-19】プレゼン公開:「CSS組版の今とこれから」
【追記2013-12-10】関連記事:CSSによる本作りの未来を占う―HTMLBookとはどのようなものか? 果たして普及するだろうか?(電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ)

10月18日、FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーですでした

FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーご案内(無料セミナー)

さて、「CSS書籍組版」の世界の動きがこのごろ活発です。そのことを紹介します。

HTMLBook (オライリー)

オライリー社は、書籍組版(PDF出力)にAH Formatter (CSS)を採用してますが、従来、DocBook XML形式から電子書籍用(X)HTMLとPDF用に変換していたのを、HTML5を入力(オーサリング)と出力の両方に利用する「HTMLBook」というフォーマット(HTML5で本のコンテンツをマークアップする方法を定義)に移行することを決めていて、そのドラフト仕様やサンプルが公開されてます。

HTMLBook (GitHub)
HTMLBook Specification (Working Draft)

このHTMLBook形式で本(電子と紙の両方)を作るという動きが広がれば(オライリー社はだれもが使えるようにオープンにしています)HTML+CSSでの本の組版がもっと普及することになると期待しています。

オライリーの人々は色々なところでCSSでの書籍組版やHTMLBookについてプレゼンや記事を発表していて、それらはとても勉強になります:

“Building Books with CSS3” by Nellie McKesson, June 12, 2012

☞Balisage: The Markup Conference 2013, August 2013
“The Case for Authoring and Producing Books in (X)HTML5” by Sanders Kleinfeld

“HTML5 is the Future of Book Authorship” by Sanders Kleinfeld, September 19, 2013

☞W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform, September 2013
“Using Web Standards in Print and Digital Book Workflows” by Adam Witwer

W3C Digital Publishing Activity

W3Cで、Web標準技術(HTMLやCSS)を電子書籍とともに紙の本も含む出版に活かすための取り組みとして、Digital Publishing Activityという活動が始まっていて、そのワークショップが今年2月にニューヨーク、6月に東京、9月にパリで行われました。

W3C Digital Publishing Activity

各ワークショップのプレゼンやレポートが公開されていて、Web標準技術で本を作るための課題は何か、現在の標準仕様で足りないものは何か、という議論が活発にされていることが分かります:

W3C Workshop: Great Expectations (New York, USA, February 2013)

W3C Workshop: eBooks & I18N (Tokyo, Japan, June 2013)

W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform (Paris, France, September 2013)

CSS Books, CSS Figures (W3C→WHATWG)

AH Formatterは、一般のWebブラウザと同様にHTMLとCSSを解釈してページ内容をレイアウトしますが、本のページに特に必要な機能(柱・ノンブル、脚注、図版の様々な配置など)を定義するCSS仕様(CSS3 Paged MediaCSS3 GCPM, Generated Contents for Paged Media)は、標準が未完成のため、ドラフト仕様をベースに独自拡張して実装しています。そのため、将来の標準仕様では変わるかもしれないし、実装が少ない(ブラウザに実装されていない)ということで入門的な情報が少なく、導入しにくいということがあると思います。だから、その標準化が早く進むことを期待してます。

その標準化でのごく最近の重要な動きは、WHATWG (Web Hypertext Application Technology Working Group)で、CSS BooksおよびCSS Figuresのドラフトが公開されたことです。これらのCSS仕様は、もともとはW3CドラフトのCSS3 GCPMだったもので、その仕様のエディタのHåkon Wium Lie氏(Opera CTO)が、仕様標準化をより早く進めるためにと、WHATWGでも標準化作業を行うことにしたというものです。

The WHATWG Blog: “CSS Books & CSS Figures”, October 14th, 2013 by Håkon Wium Lie

CSS Books

CSS Figures

この動きによって、書籍組版のためのCSS仕様の標準化が進むことを期待します。
また、AH Formatterも今後のバージョンアップで、新しい標準仕様を実装していかなくてはなりません。
(現在実装しているAH拡張プロパティは、将来ともサポートを続けますので、安心してお使いください)


「CSS書籍組版」セミナーのご案内

「CSS書籍組版」のセミナーを10月18日(金)に開催します。

で紹介しているように、AH FormatterのCSS組版によって本が作られてます。

WebやEPUB電子書籍と共通の(X)HTMLとCSSを使って、紙の書籍・PDFも作れるということのメリットがあります。

しかし、AH Formatterが先行実装しているCSS3 Paged Media系仕様のことや、どうやってページ体裁を指定するか、それで何ができるのか、あまり知られていないと思います。

そこで、このセミナーを開催します。

内容

  • CSSで書籍組版を:(有)イーエイド 藤島雅宏
  • CSSを利用した書籍組版の事例紹介:アンテナハウス(株)村上真雄

開催日時: 2013年10月18日(金)14:00~16:30(開場13:40)
会場: 浜町区民館(東京都中央区日本橋浜町三丁目37番1号)

詳しくは、案内ページへ:
FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーご案内(無料セミナー)

アンテナハウスのブログの次の記事もどうぞ:
AH Formatter V6.1 MR2リリース~FormatterClubの案内


Antenna House Formatter V6.1 の紹介

Antenna House Formatter V6.1 リリースしました! その発表セミナー(2013/05/22)でプレゼンした資料を公開します:

AH Formatter V6.1 の紹介 [PDF]

これは2011年7月「AH Formatter V6 の紹介」にV6.1の新機能を追加して改訂したものです。

内容

  • AH Formatter、XSL-FOとCSS組版について
    • AH Formatterとは
    • XSLとは:XSLTとXSL-FO
    • CSSとXSLを比較
    • XSL-FOのページマスター機能
    • CSS3でのページマスターに相当する機能
    • AH拡張プロパティ
  • フロート拡張
    • CSS2.1とXSL-FO標準のフロート機能
    • AH拡張floatプロパティ
    • ページのフロート
    • 段のフロート
    • 段組のフロート
    • 絶対配置フロートと相対配置フロート
    • フロートを次のページ(または段)に移動するかどうかを指定
    • フロートのさらなる位置指定
    • フロートとテキスト回り込みの調整
  • 日本語組版関連機能
    • ルビ
    • 圏点
    • 縦書きと縦中横~自動縦中横 [V6.1]
    • 約物の処理
    • 和欧文間の空き
  • フォント関連機能
    • font-variant拡張
    • IVS異体字対応
    • Webフォント、WOFFサポート [V6.1]
  • 多言語組版
    • 中東言語(アラビア語やヘブライ語など右から左に書くもの)
    • インド系諸言語 [V6.1]
    • 東南アジアの言語 [V6.1]
  • MathML数式組版
  • 多彩な表現
    • ブロック領域の変形 [V6.1]
    • グラデーション [V6.1]
  • マルチメディア埋込み [V6.1]

このPDFは、XHTML5+CSS(AH拡張入り)で書いたもの(→zipでまとめてダウンロード)を AH Formatter V6.1 で組版したものです。AH (CSS) Formatter V6.1の製品版または評価版で試してみることができます。

AH Formatter V6.1の評価版ダウンロードについて

また、Formatter Clubの会員(無料)には会員向け試用版の提供をしています。通常評価版では出力ページに「すかし」が入りますが、この会員向けはページの下部にAH FormatterのURLが表示されるだけになり、この表示を改変・削除しない限りにおいて、評価用に利用することのほか、個人的に文書作成に利用するなど、非営利目的に限って使用することが可能です。

Formatter Clubについて


クラウド型EPUB/電子文書リーダ“AH Reader Preview”公開!

AH Reader Preview のこと

どうぞよろしく。


EPUB3.0とAH Formatter

メインのアンテナハウス公式ブログ I love software!はスタッフの当番制で、今回それが回ってきたもので次の記事を書きました:

既存のEPUBのコンテンツに、CSS3 Paged Mediaの機能を使って柱やノンブルをつけてAH Formatterで組版する方法を解説しました。
本来ならこのCSS組版ブログにこそ、こういう記事をもっと書かなくてはですね。
それではまた。


『W3C技術ノート 日本語組版処理の要件』書籍版、CSS組版の事例としても注目!

W3C技術ノート 日本語組版処理の要件先日、「W3C技術ノート 日本語組版処理の要件」出版記念セミナー〈電子書籍と日本語組版〉というイベントがありました:

このセミナーでの発表のとおり、『W3C技術ノート 日本語組版処理の要件』(JLReq)書籍版の制作には、AH Formatter V6によるCSS組版が使われています。JLReqは基本的にWebで公開されているものなので、(X)HTML+CSSで組版されることは自然なのですが、書籍版はスクロールして読むWebとは違うため、ページを読みやすい体裁にするためにいろいろと工夫が必要で、そのためにAH Formatter V6で拡張されている機能が利用されています。

どうやってJLReq書籍版がAH FormatterのCSS組版で作られているか、詳しくは事例紹介のページをご覧ください:


W3C横浜フォーラムで「CSS3縦書きをサポートする組版エンジンAH Formatterの紹介」

W3C横浜フォーラム(2012年3月6日)
第一部「次世代ブラウザ技術を用いたコンテンツ表現方式」の中でAH FormatterのCSS組版についての話をします。そのプレゼン資料(AH Formatterで作成したPDF)をアップしました:
「CSS3縦書きをサポートする組版エンジンAH Formatterの紹介」
W3C横浜フォーラムについて、直前の案内になりすみません。現時点でまだ少し席が残っているらしいのでエントリー申し込み可能だと思います。どうぞよろしくお願いします。
このイベントでのTwitterハッシュタグは #css2012jp とのことです。
(追記2012-03-05)SlideShareにもアップしてましたが、直接PDFをダウンロードできるように変えました。


AH Formatter 事例紹介セミナーと Formatter Club 例会のご案内

「XML自動組版ソフト『AH Formatter』を開発してます」と自己紹介しても、知る人ぞ知るというかそんな有名でないソフトなので、実際どんなふうに使えるものなのか、なかなか伝えにくいものがあります。

そこで、実際に AH Formatter を使って役に立てていただいているユーザー様から事例の紹介していただくセミナーを企画しました。

XML/HTML自動組版エンジン『AH Formatter』事例紹介セミナー(無料)

2011年12月7日(水) 13時30分~15時45分
会場:月島区民会館

おもな内容

  • 『AH FormatterV6』紹介
  • 事例紹介
    アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)様
    税金出版物配布の新“ページ組版システム”に採用
    株式会社ベネッセコーポレーション様
    XML+XSL-FOを使った教材・問題集作成の効率化
    株式会社エヌ・エヌ・エー様
    CSSレイアウトよる日刊情報誌「The Daily NNA」18 紙の制作
    株式会社クレステック様
    大量ドキュメントの作成支援システムの効率化
    株式会社ナビックス様
    ハイブリッド翻訳システム「XTM」と多言語出力
    アンテナハウス株式会社(自社)
    クラウド型電子書籍制作サービス「CAS-UB」での自動組版に採用

詳しくはこちら

参加は無料ですので、興味のある方ぜひお越しください。

また、セミナー終了後に「Formatter Club」例会(16:00~16:45)を開催いたします。こちらのほうも続けてどうぞ。

Formatter Club もよろしく

AH Formatter を実際に試してみたいという方は、ぜひ Formatter Club の会員になってください(無料)。いつでも Formatter 最新評価版をダウンロードしてお使いいただけます(評価利用のほか、非商用利用なら Formatter Club ライセンスで無料で使えます)。
今回の「Formatter Club」例会は、会員でなくても参加できます。ぜひ事例紹介セミナーとあわせてご参加ください。

詳しい案内と申し込みフォームはこちらから:


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