作成者別アーカイブ: 村上 真雄

〈CSS組版〉普及推進のための新プロジェクト “Vivliostyle” 準備中

お知らせです。
このたびアンテナハウスの出資により新会社(株式会社ビブリオスタイル/Vivliostyle Inc./代表:村上真雄)を設立することになりました(2014-08-12に設立登記予定)。
新会社 Vivliostyle は〈CSS組版〉の普及推進を目的とし、新たにWebブラウザベースのDTP&自動組版ツールの研究・開発、関連するオープンソースプロジェクトの推進、標準化へのコミットなど行っていきます。

AH Formatterは、XSL-FO組版とCSS組版の両方をサポートするアンテナハウスが独自開発してきた組版エンジンです。
先日の事例紹介セミナーではXSL-FO組版とCSS組版のどちらもすばらしい活用事例の発表をいただき、開発に携わってきたものとして大変嬉しいものでした。
私(村上)は今後、新会社のプロジェクトに専念するために、AH Formatterの開発から離れますが、アンテナハウスはこれからもAH Formatterを開発・改良し続けてもっとよい製品にしていくでしょう。
Formatter Clubで、クラブの皆様とAH開発者とをつなぐという役割も、別の担当者に引き継ぎます。私は一会員として、AH Formatterを応援する側の立場でFormatter Clubに参加し続けます。

新会社が進めようとしているプロジェクトに関心持っていただける方は、次のFacebookグループに参加申請お願いします。
FBグループ:ビブリオスタイル(Vivliostyle)プロジェクト(準備中)

【追記 2014-08-13】
Vivliostyle Inc. 株式会社ビブリオスタイル(暫定公開)
FBグループ:Vivliostyle Fan Club


W3C CSS組版仕様の標準化の動き

先月(5/19~21)、韓国で行われたW3C CSS Working GroupのFace to Face meetingに参加しました。アンテナハウスは今年4月からW3Cに再加盟しており(2年半ぶり)、それから初めて参加するCSSWG会議でした。そこで私(村上)は、自己紹介をかねたプレゼンをさせてもらいました。

プレゼン(英語): CSS3 for formatting books


CSS3で本を組版するために

私のこと、AH Formatterのこと

  • 私(村上)はAH Formatterの開発リーダーです。
  • AH Formatterはプリントフォーマッタ―でありXSL-FO, SVG, MathML, (X)HTML, CSS3 Paged MediaなどのW3C仕様をサポートしてます。

AH Formatterはどのように生まれたのか

  • 1990年代後期、私はフリーランスのプログラマーで、TeX組版システムの代わりになるものを作りたいと思ってました。TeXは難しかったので。
  • そんなときW3CのXSL-FOとCSS3のドラフト仕様を見つけて、これでできる、チャンスだと思いました。
  • その私のアイデアをアンテナハウスという東京のソフトウェア会社が採用してくれました。
  • CSS3はWebブラウザでも実装が進むと期待できるので、われわれはXSL-FOのほうから実装をはじめることにしました。

XSL-FO?

  • Extensible Stylesheet Language—Formatting Objects
    XML変換言語=XSLTと一緒に使われます
  • XMLを組版してPDFを生成するのに使用されます
  • Antenna House XSL Formatterを2000年に最初にリリース
  • XSL-FOを使う仕事は今も成長してます!
    • DITA (Darwin Information Typing Architecture)を使った大規模なマニュアルの制作に
    • JATS (Journal Article Tag Suite)を使った学術雑誌の制作に
    • など

XSL-FO利用例のひとつ: IRS(米国国税庁)の出版物

  • IRS = Internal Revenue Service, 米国内国歳入庁(国税庁)
  • IRSの出版物(PDF)はXSL-FOで組版されている
  • AH Formatterが採用された理由: ページフロート機能、多言語組版対応、など

CSS3 Paged Media など

  • 2009年リリースのAH Formatter V5.0からCSS組版もサポート
  • CSS2.1およびCSS3モジュール(Multi-column, Writing Modes (縦書き), Paged Media, GCPM (柱・欄外見出し、脚注、相互参照、など), その他)をサポート
  • CSS3対応とAH独自拡張によりXSL-FO組版に近い機能が実現できている

AH FormatterのCSS組版で制作されている本の例

電子書籍と紙の本を同時に作るために

  • 電子書籍(EPUB, Kindle, Web online)は(X)HTML+CSSでできている
  • 紙の本(or PDF)も(X)HTML+CSS(for print)で作ることができる
  • だから、ページ媒体(Paged Media)用のCSS仕様の標準化が電子出版にとって重要。それにより電子書籍と紙の本が同時に作れるようになる

電子書籍と紙の本を同時に作るシステムの例

WebブラウザでのCSS Paged Media対応も進むことを期待

  • タイポグラフィの質の向上とあいまって電子書籍や雑誌で高度なページレイアウトが実現されるように
  • 将来のEPUB仕様に反映されるように
  • Webでも電子書籍でも、スクロールとページ方式の両方の読み方を切り替えられるとうれしいよね
  • それから印刷機能も良くなってほしい…

W3C CSS仕様の標準化がとても大事なこと

  • オープンWebプラットフォームが世界をひとつに
    ――世界中の人々がWebや電子書籍や紙の本での出版を、オープンなWeb標準技術(HTMLやCSS)を使ってそれぞれの言語で優れた組版品質で可能になること
  • W3C仕様の標準化とその実装が進むこと(Webブラウザもフォーマッタ―も)で世界が変わります!

Thanks!


本の組版に関係するCSS仕様の議論が進展

「CSS3で本を組版するために」というプレゼンを用意したのは、W3C CSSWGで、本の組版に関係するCSS3仕様の議論が進むようにと思ってでしたが、もともとその流れは出来ていたようで、期待以上にいろいろ進展がありました。特に次の仕様など:

CSS Generated Content for Paged Media Module (CSS GCPM)

この「CSS GCPM」仕様が、本の組版のためのCSS仕様の中心的なものです。(“CSS Books” の名前でWHATWGでも仕様検討がされてることは以前に紹介している。)

新しくCSS GCPM仕様のエディターになったDave Cramer氏は米大手出版Hachette Book GroupでCSS組版(Princeを使用)を推進してきた人です。W3C Digital Publishing IGのLayout & Styling Task Forceのリーダーで、Requirements for Latin Text Layout and Pagination (LatinReq, 欧文組版の要件)のエディターでもあります。

今回の会議ではCSS GCPM仕様のFootnotes(脚注)について議論が進み、また、今後 CSS GCPM Level 4 の仕様策定が進められることが決まりました。
(その議事録: [CSSWG] Minutes Seoul F2F 2014-05-20 Part I: Footnotes in GCPM, CSS Scoping

また、GCPM以外でも、CSSでの本の組版にとても関係する次の議論などありました:

Drop Caps (CSS Line Layout)

これもDave Cramer氏が担当。段落先頭の文字を大きくかざるdrop capを実現する新しいプロパティについて議論が進みました。
(その議事録: [CSSWG] Minutes Seoul F2F 2014-05-20 Part III: CSS Line Layout

CSS Logical Properties

論理プロパティの仕様策定が進められることが決まりました。上下左右という物理方向に代わって、ブロック方向(block-)あるいはインライン方向(inline-)の先頭側(start)、末尾側(end)という論理的な方向を使ってプロパティを指定することができるようになり、縦書き・横書き・RTLなど書字方向の切り替えに対応しやすくなります。AH Formatterやブラウザエンジン(WebKitなど)では、それぞれのベンダープレフィックス付きで論理プロパティが実装されていますが、やっとそれが標準化に向かうということです。

オープンなW3C標準仕様で高品質な組版を

オープンなW3C標準仕様によって、スクリーン上でも、紙の印刷においても高品質な組版が実現することは、世界中の多くの人々にとって役にたつことだと思います。W3Cメンバーとして、またAH Formatter開発者としてそれに関わっていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


追記(6/13):「CSS組版とその周辺」勉強会について、それからAH Formatter事例紹介セミナー(7月8日)の紹介

CSS組版の勉強会を有志でやっていこうということになりました☞「CSS組版とその周辺」勉強会

AH FormatterでのCSS組版もXSL-FO組版もいろいろ紹介するセミナーを7月8日(火)に開催します。セミナー紹介と申し込みは☞「AHFormatter事例紹介セミナー」


Antenna House Formatter V6.2 の紹介

Antenna House Formatter V6.2 発表セミナー(2014/03/07)で配布した資料を公開します:

AH Formatter V6.2 数式組版・多言語組版 [PDF]

(内容)

  • 数式組版
    • MathML の概要
    • MathML で利用するフォント
    • プレゼンテーションマークアップの実際
    • 応用例
  • 多言語組版
    • ラテン文字/ギリシャ文字/キリル文字
    • アラビア文字/ヘブライ文字
    • タイ文字/クメール文字/ラオ文字
    • デヴァナガリ文字/ベンガリ文字/グルムキ文字/グジャラート文字/オリヤ文字/タミル文字/テルグ文字/カンナダ文字/マラヤラム文字
    • ハングル/ひらがな・カタカナ・漢字/異体字/住基ネット統一文字コード

AH Formatter V6.2 の紹介 [PDF]

(内容)

  • AH Formatter、XSL-FOとCSS組版について
    • AH Formatterとは
    • XSLとは:XSLTとXSL-FO
    • CSSとXSLを比較
    • XSL-FOのページマスター機能
    • CSS3でのページマスターに相当する機能
    • AH拡張プロパティ
  • フロート拡張
    • CSS2.1とXSL-FO標準のフロート機能
    • AH拡張floatプロパティ
    • ページのフロート
    • 段のフロート
    • 段組のフロート
    • 絶対配置フロートと相対配置フロート
    • フロートを次のページ(または段)に移動するかどうかを指定
    • フロートのさらなる位置指定
    • フロートとテキスト回り込みの調整
  • 日本語組版関連機能
    • ルビ
    • 圏点
    • 縦書きと縦中横~自動縦中横
    • 約物の処理
    • 和欧文間の空き
  • フォント関連機能
    • font-variant拡張
    • IVS異体字対応
    • Webフォント、WOFFサポート
  • 多言語組版
    • 中東言語(アラビア語やヘブライ語など右から左に書くもの)
    • インド系諸言語
    • 東南アジアの言語
  • MathML数式組版
  • 多彩な表現
    • ブロック領域の変形
    • グラデーション
    • テキストシャドウ [V6.2]
    • ボックスシャドウ [V6.2]
  • 行グリッド [V6.2]
  • マルチメディア埋込み
  • PDFレイヤー [V6.2]

このPDFは、XHTML5+CSS(AH拡張入り)で書いたもの(→zipでまとめてダウンロード)を AH Formatter V6.2 で組版したものです。AH (CSS) Formatter V6.2の製品版または評価版で試してみることができます。

AH Formatter V6.2の評価版ダウンロードについて

また、Formatter Clubの会員(無料)には会員向け試用版の提供をしています。通常評価版では出力ページに「すかし」が入りますが、この会員向けはページの下部にAH FormatterのURLが表示されるだけになり、この表示を改変・削除しない限りにおいて、評価用に利用することのほか、個人的に文書作成に利用するなど、非営利目的に限って使用することが可能です。

Formatter Clubについて


AH Formatter V6.2 リリース!~3月7日セミナー案内

XML/HTML/CSS自動組版ソフトAntenna House Formatter V6.2リリースしました。

世界標準のレイアウト仕様に準拠する自動組版ソフトの Antenna House Formatter V6.2 リリースのお知らせ

3月7日にAH Formatter V6.2を紹介するセミナーを開催します。どなたも無料で参加できます:

FormatterClub「AH Formatter V6.2発表会」

今回のバージョンアップでは、MathML3.0に対応して数式組版をさらに強化してます。

AH Formatter V6.2でのMathML組版例:

MathML組版例

行グリッド(-ah-baseline-gridプロパティ)

行グリッドに対応しました。今までXSL-FOやCSS仕様には行グリッドの機能がなかったため、行送りを一定に保って見出しや図版が入っても各段の行の位置がずれないようにするということができませんでしたが、AH Formatter V6.2ではその制限がなくなりました。

AH Formatter V6.2で行グリッドを使った組版例:

行グリッド組版例

行グリッド機能の使用方法は:
行グリッド(AH Formatter V6.2 マニュアル)

AH Formatter V6.2の行グリッド拡張は、次のCSS3ドラフト案を参考にしています:

ほかにもいろいろAH Formatterは進化しています。
AH Formatter V6.2について、興味のある方は、ぜひ「AH Formatter V6.2発表会」にお越しください。

また、Formatter Clubへの入会もおすすめします。AH Formatterや組版に興味がある方どなたも無料で参加できます:
Formatter Clubについて


本の組版のためのCSS3ドラフト仕様を見てみよう

以前のブログ記事「HTMLBook仕様とCSS Books仕様標準化の動き、「CSS書籍組版」セミナー」などで書いたように、本のページの組版のためのCSS3仕様の標準策定が進められてます。最新のドラフト仕様は次のものです。

  • CSS Paged Media

    ページ媒体向けのCSS仕様の基本。ページのマージン、ページサイズ、ページヘッダーとフッター、ページ番号、トンボ出力などの機能が定義されています。

  • CSS Generated Content for Paged Media (GCPM)

    柱、脚注、ページセレクタ、目次のリーダー、相互参照、ブックマークなど、書籍組版に必要な基本的な機能を定義

    次の「CSS Books」は、この仕様のWHATWG

  • CSS Books [WHATWG]

    上のCSS GCPMの内容をほぼ含み、そのほかにも書籍の組版に関する機能が盛り込まれている。名前付き領域、ベースライン・リズム(行グリッド)など。

  • CSS Figures [WHATWG] (CSS Page Floats)

    図版などをページ上にフロート配置する方法を定義しています。

私どもの製品AH Formatterでは、すでにこれらのドラフト仕様で定義されている機能の多くを先行実装しています。また、これらドラフト仕様では、AH Formatterの実装も参考にされています。

しかし、これらCSSドラフト仕様のほうは、標準の仕様として世界に受け入れられるものになるように、修正され続けている状態です。よりよい仕様になって、早く完成してほしいですよね。

ぜひ、このブログを読んでくれているCSSや組版のことに関心を持っている皆様も、これらのドラフト仕様を読んで、フィードバックをしてはいかがでしょうか?


世界で進む本を作るための新しい仕組み~Web技術を活かし、紙と電子書籍を同時に

昨日「電子書籍を考える出版社の会」に招待いただき「本を作るための新しい仕組み」について話をしました。そのプレゼン資料を公開します。

電子書籍制作WebサービスCAS-UBの紹介もさせていただきました:

本を作るための新しい仕組みについて、「電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ」にも関連する記事があります。


UTR50(Unicode縦書きの文字の向き仕様)で注意を要する文字

これまで何度かUTR50(Unicode縦書きの文字の向き仕様)を話題にしてきましたが、2013年8月31日に正式版が出て、CSS3 Writing Modes仕様(現在最終草案)でも、このUTR50仕様が縦書きの文字の向きのデフォルトになることが確定しました。

今後はEPUBリーダーなどでの縦書きの文字の向きのデフォルトとして、これが標準になっていくものと思われますが、現在はそれぞれ独自であったりドラフト版のUTR50ベースであったりして、実装によって向きがまちまちです(それを解決しようとしたのがUTR50なのですが)。新しい標準に切り替わるまでのあいだ、電子書籍制作側ではいろいろ注意が必要です。

これについて、「電書魂」の次のブログ記事など参考になるかと思います:

また、UTR50とCSS3 Writing Modesが仕様どおりに実装されたとしても、なお注意が必要な文字もあります。以下は、それらについてまとめたメモです。


UTR50の縦書きの向きで注意を要する文字

UTR50 Unicode Vertical Text Layout
http://www.unicode.org/reports/tr50/

これによりEPUB3とCSS3 Writing Modesでの縦書きの文字の向きの仕様が決まりましたが、フォントによって実際に表示される文字の向きが変わり、注意を要する文字があります。

代表的なものは次の2文字です。
‎U+2016 ‖ DOUBLE VERTICAL LINE
‎U+3030 〰 WAVY DASH

U+2016は、VO=U(正立)ですが、多くの日本語フォントに90度回転した縦書き用字形が設定されています。CSS3 Writing Modes仕様では縦書きで正立で表示する文字に縦書き用字形(vert)を適用することになっているため、90度回転した縦書き用字形が表示されます。VO=Uなのに、見た目は横倒しになります。
フォントによらず正立に表示するには縦中横(-epub-text-combine:horizontal)の指定が必要です。
‘upright’の指定では正立で表示させることができず、縦中横の指定が必要な点は、矢印類(VO=R)と同様です。
横倒しに表示するはtext-orientation:sidewaysの指定が必要です(フォントによっては指定しなくても横倒しに表示されてしまうので、間違わないよう)。

U+3030は、VO=Tr(縦書き用字形を適用、なければ90度回転)ですが、多くの日本語フォントにこの文字の縦書き用字形は設定されていなくて、CSS3 Writing Modes実装により90度回転もしないで正立で表示されます。
フォントによらず横倒しに表示するはtext-orientation:sidewaysの指定が必要です。

以下、同様の問題がある文字をリストアップします。
フォントは次のものを調べました:
・MS明朝/MSゴシック
・メイリオ
・ヒラギノ明朝 ProN W3
・小塚明朝 Pr6N R

★VO=Uだが、フォントにより回転した縦書き用(vert)字形があるため、正立させるには縦中横の指定が必要:
‎U+2016 ‖ DOUBLE VERTICAL LINE
‎U+2702 ✂ BLACK SCISSORS
‎U+3013 〓 GETA MARK

※U+2016,2702はMS明朝/MSゴシック以外の日本語フォント(メイリオ、ヒラギノ、小塚など)に回転した縦書き用(vert)字形がある。
※U+3013はMS明朝/MSゴシックに回転した縦書き用(vert)字形がある。

★VO=Trだが、一部のフォントにしか縦書き用(vert)字形がないために、横倒しには’sideways’の指定が必要:
‎U+301A 〚 LEFT WHITE SQUARE BRACKET
‎U+301B 〛 RIGHT WHITE SQUARE BRACKET
‎U+301E 〞 DOUBLE PRIME QUOTATION MARK
‎U+3030 〰 WAVY DASH
‎U+FF1B ; FULLWIDTH SEMICOLON

※U+301A,U+301B,U+301EはMS明朝/MSゴシック/メイリオ以外の日本語フォント(ヒラギノ、小塚など)にグリフが存在しない
※U+301A,U+301Bはメイリオに縦書き用(vert)字形がない
※U+301EはMS明朝/MSゴシックに縦書き用(vert)字形がない
※U+3030はMS明朝/MSゴシック以外の日本語フォント(メイリオ、ヒラギノ、小塚など)に縦書き用(vert)字形がない
※U+FF1Bはどの日本語フォントにも縦書き用(vert)字形がない

★VO=Rだが、フォントにより縦書き用(vert)字形があるため、(横書き用と同じ形で)正立させるには縦中横の指定が必要:
●矢印類 ※以下がフォントにより縦書き用字形がある
‎U+2190 ← LEFTWARDS ARROW
‎U+2191 ↑ UPWARDS ARROW
‎U+2192 → RIGHTWARDS ARROW
‎U+2193 ↓ DOWNWARDS ARROW
‎U+21C4 ⇄ RIGHTWARDS ARROW OVER LEFTWARDS ARROW
‎U+21C5 ⇅ UPWARDS ARROW LEFTWARDS OF DOWNWARDS ARROW
‎U+21C6 ⇆ LEFTWARDS ARROW OVER RIGHTWARDS ARROW
‎U+21E6 ⇦ LEFTWARDS WHITE ARROW
‎U+21E7 ⇧ UPWARDS WHITE ARROW
‎U+21E8 ⇨ RIGHTWARDS WHITE ARROW
‎U+21E9 ⇩ DOWNWARDS WHITE ARROW
‎U+261C ☜ WHITE LEFT POINTING INDEX
‎U+261D ☝ WHITE UP POINTING INDEX
‎U+261E ☞ WHITE RIGHT POINTING INDEX
‎U+261F ☟ WHITE DOWN POINTING INDEX
‎U+27A1 ➡ BLACK RIGHTWARDS ARROW
‎U+2B05 ⬅ LEFTWARDS BLACK ARROW
‎U+2B06 ⬆ UPWARDS BLACK ARROW
‎U+2B07 ⬇ DOWNWARDS BLACK ARROW
●罫線素片 ※U+2500-254Bがフォントにより縦書き用字形がある
●ハイフンやダッシュ類 ※U+002D,U+2010-2015,U+FF0Dがフォントにより縦書き用字形がある
●括弧類 ※括弧素片U+239B-23B1がフォントにより縦書き用字形がある
●引用符類 ※U+2018,U+2019,U+201C,U+201Dがフォントにより縦書き用字形がある
●その他 ※以下がフォントにより縦書き用字形がある
‎U+00B0 ° DEGREE SIGN
‎U+02BB ʻ MODIFIER LETTER TURNED COMMA
‎U+2025 ‥ TWO DOT LEADER
‎U+2026 … HORIZONTAL ELLIPSIS
‎U+2032 ′ PRIME
‎U+2033 ″ DOUBLE PRIME
‎U+2225 ∥ PARALLEL TO
‎U+22EF ⋯ MIDLINE HORIZONTAL ELLIPSIS
‎U+FF1D = FULLWIDTH EQUALS SIGN

以上


HTMLBook仕様とCSS Books仕様標準化の動き、「CSS書籍組版」セミナー

【追記2013-10-19】プレゼン公開:「CSS組版の今とこれから」
【追記2013-12-10】関連記事:CSSによる本作りの未来を占う―HTMLBookとはどのようなものか? 果たして普及するだろうか?(電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ)

10月18日、FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーですでした

FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーご案内(無料セミナー)

さて、「CSS書籍組版」の世界の動きがこのごろ活発です。そのことを紹介します。

HTMLBook (オライリー)

オライリー社は、書籍組版(PDF出力)にAH Formatter (CSS)を採用してますが、従来、DocBook XML形式から電子書籍用(X)HTMLとPDF用に変換していたのを、HTML5を入力(オーサリング)と出力の両方に利用する「HTMLBook」というフォーマット(HTML5で本のコンテンツをマークアップする方法を定義)に移行することを決めていて、そのドラフト仕様やサンプルが公開されてます。

HTMLBook (GitHub)
HTMLBook Specification (Working Draft)

このHTMLBook形式で本(電子と紙の両方)を作るという動きが広がれば(オライリー社はだれもが使えるようにオープンにしています)HTML+CSSでの本の組版がもっと普及することになると期待しています。

オライリーの人々は色々なところでCSSでの書籍組版やHTMLBookについてプレゼンや記事を発表していて、それらはとても勉強になります:

“Building Books with CSS3” by Nellie McKesson, June 12, 2012

☞Balisage: The Markup Conference 2013, August 2013
“The Case for Authoring and Producing Books in (X)HTML5” by Sanders Kleinfeld

“HTML5 is the Future of Book Authorship” by Sanders Kleinfeld, September 19, 2013

☞W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform, September 2013
“Using Web Standards in Print and Digital Book Workflows” by Adam Witwer

W3C Digital Publishing Activity

W3Cで、Web標準技術(HTMLやCSS)を電子書籍とともに紙の本も含む出版に活かすための取り組みとして、Digital Publishing Activityという活動が始まっていて、そのワークショップが今年2月にニューヨーク、6月に東京、9月にパリで行われました。

W3C Digital Publishing Activity

各ワークショップのプレゼンやレポートが公開されていて、Web標準技術で本を作るための課題は何か、現在の標準仕様で足りないものは何か、という議論が活発にされていることが分かります:

W3C Workshop: Great Expectations (New York, USA, February 2013)

W3C Workshop: eBooks & I18N (Tokyo, Japan, June 2013)

W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform (Paris, France, September 2013)

CSS Books, CSS Figures (W3C→WHATWG)

AH Formatterは、一般のWebブラウザと同様にHTMLとCSSを解釈してページ内容をレイアウトしますが、本のページに特に必要な機能(柱・ノンブル、脚注、図版の様々な配置など)を定義するCSS仕様(CSS3 Paged MediaCSS3 GCPM, Generated Contents for Paged Media)は、標準が未完成のため、ドラフト仕様をベースに独自拡張して実装しています。そのため、将来の標準仕様では変わるかもしれないし、実装が少ない(ブラウザに実装されていない)ということで入門的な情報が少なく、導入しにくいということがあると思います。だから、その標準化が早く進むことを期待してます。

その標準化でのごく最近の重要な動きは、WHATWG (Web Hypertext Application Technology Working Group)で、CSS BooksおよびCSS Figuresのドラフトが公開されたことです。これらのCSS仕様は、もともとはW3CドラフトのCSS3 GCPMだったもので、その仕様のエディタのHåkon Wium Lie氏(Opera CTO)が、仕様標準化をより早く進めるためにと、WHATWGでも標準化作業を行うことにしたというものです。

The WHATWG Blog: “CSS Books & CSS Figures”, October 14th, 2013 by Håkon Wium Lie

CSS Books

CSS Figures

この動きによって、書籍組版のためのCSS仕様の標準化が進むことを期待します。
また、AH Formatterも今後のバージョンアップで、新しい標準仕様を実装していかなくてはなりません。
(現在実装しているAH拡張プロパティは、将来ともサポートを続けますので、安心してお使いください)


「CSS書籍組版」セミナーのご案内

「CSS書籍組版」のセミナーを10月18日(金)に開催します。

で紹介しているように、AH FormatterのCSS組版によって本が作られてます。

WebやEPUB電子書籍と共通の(X)HTMLとCSSを使って、紙の書籍・PDFも作れるということのメリットがあります。

しかし、AH Formatterが先行実装しているCSS3 Paged Media系仕様のことや、どうやってページ体裁を指定するか、それで何ができるのか、あまり知られていないと思います。

そこで、このセミナーを開催します。

内容

  • CSSで書籍組版を:(有)イーエイド 藤島雅宏
  • CSSを利用した書籍組版の事例紹介:アンテナハウス(株)村上真雄

開催日時: 2013年10月18日(金)14:00~16:30(開場13:40)
会場: 浜町区民館(東京都中央区日本橋浜町三丁目37番1号)

詳しくは、案内ページへ:
FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーご案内(無料セミナー)

アンテナハウスのブログの次の記事もどうぞ:
AH Formatter V6.1 MR2リリース~FormatterClubの案内


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