【追記2013-10-19】プレゼン公開:「CSS組版の今とこれから」
【追記2013-12-10】関連記事:CSSによる本作りの未来を占う―HTMLBookとはどのようなものか? 果たして普及するだろうか?(電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ)
10月18日、FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーですでした。
☞FormatterClub「CSS書籍組版」セミナーご案内(無料セミナー)
さて、「CSS書籍組版」の世界の動きがこのごろ活発です。そのことを紹介します。
HTMLBook (オライリー)
米オライリー社は、書籍組版(PDF出力)にAH Formatter (CSS)を採用してますが、従来、DocBook XML形式から電子書籍用(X)HTMLとPDF用に変換していたのを、HTML5を入力(オーサリング)と出力の両方に利用する「HTMLBook」というフォーマット(HTML5で本のコンテンツをマークアップする方法を定義)に移行することを決めていて、そのドラフト仕様やサンプルが公開されてます。
☞HTMLBook (GitHub)
☞HTMLBook Specification (Working Draft)
このHTMLBook形式で本(電子と紙の両方)を作るという動きが広がれば(オライリー社はだれもが使えるようにオープンにしています)HTML+CSSでの本の組版がもっと普及することになると期待しています。
オライリーの人々は色々なところでCSSでの書籍組版やHTMLBookについてプレゼンや記事を発表していて、それらはとても勉強になります:
☞“Building Books with CSS3” by Nellie McKesson, June 12, 2012
☞Balisage: The Markup Conference 2013, August 2013
“The Case for Authoring and Producing Books in (X)HTML5” by Sanders Kleinfeld
☞“HTML5 is the Future of Book Authorship” by Sanders Kleinfeld, September 19, 2013
☞W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform, September 2013
“Using Web Standards in Print and Digital Book Workflows” by Adam Witwer
W3C Digital Publishing Activity
W3Cで、Web標準技術(HTMLやCSS)を電子書籍とともに紙の本も含む出版に活かすための取り組みとして、Digital Publishing Activityという活動が始まっていて、そのワークショップが今年2月にニューヨーク、6月に東京、9月にパリで行われました。
☞W3C Digital Publishing Activity
各ワークショップのプレゼンやレポートが公開されていて、Web標準技術で本を作るための課題は何か、現在の標準仕様で足りないものは何か、という議論が活発にされていることが分かります:
☞W3C Workshop: Great Expectations (New York, USA, February 2013)
☞W3C Workshop: eBooks & I18N (Tokyo, Japan, June 2013)
☞W3C Workshop: Publishing and the Open Web Platform (Paris, France, September 2013)
CSS Books, CSS Figures (W3C→WHATWG)
AH Formatterは、一般のWebブラウザと同様にHTMLとCSSを解釈してページ内容をレイアウトしますが、本のページに特に必要な機能(柱・ノンブル、脚注、図版の様々な配置など)を定義するCSS仕様(CSS3 Paged MediaとCSS3 GCPM, Generated Contents for Paged Media)は、標準が未完成のため、ドラフト仕様をベースに独自拡張して実装しています。そのため、将来の標準仕様では変わるかもしれないし、実装が少ない(ブラウザに実装されていない)ということで入門的な情報が少なく、導入しにくいということがあると思います。だから、その標準化が早く進むことを期待してます。
その標準化でのごく最近の重要な動きは、WHATWG (Web Hypertext Application Technology Working Group)で、CSS BooksおよびCSS Figuresのドラフトが公開されたことです。これらのCSS仕様は、もともとはW3CドラフトのCSS3 GCPMだったもので、その仕様のエディタのHåkon Wium Lie氏(Opera CTO)が、仕様標準化をより早く進めるためにと、WHATWGでも標準化作業を行うことにしたというものです。
☞The WHATWG Blog: “CSS Books & CSS Figures”, October 14th, 2013 by Håkon Wium Lie
この動きによって、書籍組版のためのCSS仕様の標準化が進むことを期待します。
また、AH Formatterも今後のバージョンアップで、新しい標準仕様を実装していかなくてはなりません。
(現在実装しているAH拡張プロパティは、将来ともサポートを続けますので、安心してお使いください)