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2007年07月31日

PDFと長期署名(10) — PDF/A 仕様 8 タグ付きPDF

PDF/Aの最後の要求項目はPDF内に文書を構造化するタグをつけることです。但し、これは、PDF/A-1aのみの要求項目であり、PDF/A-1bでは要求されません。

タグ付きPDFの機能は、普通は、アクセシビリティの要求項目と考えられています。つまり、PDFを画面に表示して、スクリーンリーダなどで読み上げるとき、その読み上げ順序を正しいものにするためです。PDFの音声読み上げで困るのは、PDFの中に入っている読み上げ対象の文字列が、読み上げたい順序で入っていないことがあることです。それから画像などは読み上げ出来ませんので、代替文字列を入れておき、それを読み上げることになります。

アンテナハウスのXSL FormatterV4.0以降はこのタグ付きPDFを出力することができます。Formatterの製品説明のWebページにタグ付きPDFの機能についての詳しい説明があります。

http://www.antenna.co.jp/XSL-FO/V4/pdf.htm
のタグ付きPDFの項を参照してください。

XSL Formatterの場合、オリジナル組版対象データはXMLであり、それをXSL-FOというスタイル指定されたXMLに変換していますので、元の文書に構造があり、比較的容易にタグ付きPDFの要求する構造化タグをPDFに埋め込むことができます。

また、画像ファイルへの代替文字列、テキスト言語の指定などの要求もオリジナルデータがそのように作ってあれば問題なく対応できます。

しかし、通常のオフィス・アプリケーションで作成した文書をタグ付きPDFに出力するのは、もともとオリジナルに構造がないだけに難しいものがあります。「Wordでタグ付きPDFをうまく作る方法」なんてセミナーがあるくらいです。

そういった難しさがあるために要求水準の高いPDF/A-1aに分類されているのでしょう。

PDF/Aの仕様書によりますと、タグ付きPDFの要求の部分には次のようなことが書いてあります。

6.8 論理構造
・タグ付きPDFの要求の意図は、適合するPDFのファイルのテキストの意味を回復するとき、言語の自然な読み順に定義されるような語句の並びになることを保証すること。
・さらに、文書の論理構造に関して、高度なレベルの意味的な情報を回復できること。

そして、さらに次の注意があります。

・PDF/A-1aを作成するソフトは、オリジナルの文書に明示的または暗黙に存在しない構造または意味的な情報を、PDF/A-1aに適合させる、という目的のみで付加してはならない。
・適切な検証をしないまま、自動的なプロセスで、構造的または意味的な情報を生成するのは薦めることができない。

つまり、タグ付きPDFを自動的に生成して、それがPDF/A-1aに準拠すると主張するためには、元の文書自体に構造がなければならない、ということを言っています。

もとの文書の構造がないときは、手作業などでPDFにタグを埋めて行く必要がありそうです。

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2007年07月30日

9月7日 X-over Development Conferenceに参加

アンテナハウスは、日経BP社が9月7日、東京ドームホテルにて開催する、「X-over Development Conference 2007、略称:XDev(クロスデブ)」に、ゴールド・スポンサーとして協賛参加します。

XDevのWebページはこちら。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/ev/xdev/index.html

9月7日 11:00~11:40 B-2会場にて「サーバサイドで高品質な組版とページ処理を実現する」というテーマで40分間の講演をさせていただきます。

参加お申込みはこちらです。
http://ac.nikkeibp.co.jp/cn/xdev/

講演内容の概要は次の通りです。

「人手をかけてDTP(デスクトップ・パブリッシング)で制作するような高品位ページ組版をXSLで自動化します。XSLはDTPと違ってコンテンツとレイアウトを完全分離しており、任意のコンテンツに予め用意したレイアウト指定を適用します。これはサーバサイドで、レイアウトを後付しダイナミックなページを作成するのに向いています。

アンテナハウスのXSL Formatterは、2001年より全世界で販売、欧米市場では世界で最も優れたXSL組版ソフトとして、高度な組版機能、高速性、安定性等で高い評価を頂いています。

ちらし、ダイレクトメール、各種帳票、新聞紙面、契約書、有価証券報告書、技術レポート、書籍、携帯電話やOA機器の多言語マニュアル、航空機整備マニュアルなどの広範なシステムに採用されており、国内・海外35カ国で既に1,000システムを超える導入実績をもっています。

組版した結果はサーバサイドで高速にPDF出力し、PDF加工、セキュリティ設定、電子署名まで一連の流れを構築。電子ドキュメントの制作から配信までを標準技術で簡単・低コストで自動化できます。

本セミナーでは製品の概要、システム例、活用例についてご紹介します。
Antenna House XSL Formatter
Antenna House PDF Tool
• Antenna House PDF電子署名モジュール」

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2007年07月29日

PDFと長期署名(9) — PDF/A 仕様 7 XMPメタデータの例

PDF/A-1の仕様書では、XMPメタデータに独自のスキーマで拡張していますが、これは何に使うのかよくわかりません。

そこで実際のPDFを調べてみました。
まず、PDF1.4で簡単なPDFを出力します。Microsoft Wordで簡単な文書を作成してAcrobat 8.1(ドライバ)で出力しました。

このPDFをAcrobat 8.1のProfessionalのプリフライト機能でPDF/A-1b準拠かどうかを調べてみます。
結果は次の図のようになります。

20070729-2.PNG

様々な問題があってPDF/A-1b準拠ではないとされています。一番多いのはフォントの埋め込みとカラー出力が違反しているようですが、この際、それは無視して、

・PDF/Aエントリがない
「文書の XMP メタデータに PDF/A エントリが含まれていないか、PDF/A エントリが正しい名前空間 URI "http://www.aiim.org/pdfa/ns/id/" (末尾のスラッシュを含む) に属していない」
というメッセージに着目してみます。
このメッセージは、どうも、昨日の「PDF/A識別スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaid (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/id)」に対応するエントリがない、と言っているようです。

仕様書を見ますと、これは次のように説明されています。
-------------------------------
PDF/Aのバージョンと適合性レベルについては、ここで規定するPDF/Aの識別拡張スキーマで指定しなければならない。

pdfaid:part       PDF/Aバージョン識別子
pdfaid:amd     オプションのPDF/A補足識別子
pdfaid:conformance PDF/A適合レベル:AまたはB
-------------------------------
ということで、やはり、PDF/Aでは独自のスキーマも使っているようです。

これが具体的に、PDFの中でのXMPスキーマにどのように影響を与えるのでしょうか?

PDF/A-1b準拠でないPDFをPDF/A-1b準拠になるように変換して、XMPメタデータがどう変わるかを見てみました。

■元のPDF
20070729-21.PNG
※PDF/A-1b準拠ではない。

■変換後のPDF
20070729-3.PNG
※PDF/A-1b準拠

◎メタデータの比較
■元のPDFに埋め込まれているXMPメタデータ

<x:xmpmeta xmlns:x="adobe:ns:meta/" x:xmptk="Adobe XMP Core 4.0-c316 44.253921, Sun Oct 01 2006 17:14:39">
<rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#">
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:xap="http://ns.adobe.com/xap/1.0/">
<xap:CreatorTool>PScript5.dll Version 5.2</xap:CreatorTool>
<xap:ModifyDate>2007-07-28T18:14:13+09:00</xap:ModifyDate>
<xap:CreateDate>2007-07-28T18:14:13+09:00</xap:CreateDate>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/">
<dc:format>application/pdf</dc:format>
<dc:title>
<rdf:Alt>
<rdf:li xml:lang="x-default">Microsoft Word - Document2</rdf:li>
</rdf:Alt>
</dc:title>
<dc:creator>
<rdf:Seq>
<rdf:li>Antenna House</rdf:li>
</rdf:Seq>
</dc:creator>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:pdf="http://ns.adobe.com/pdf/1.3/">
<pdf:Producer>Acrobat Distiller 8.1.0 (Windows)</pdf:Producer>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:xapMM="http://ns.adobe.com/xap/1.0/mm/">
<xapMM:DocumentID>uuid:cec7a163-5d4f-4715-9f5f-5a7e98b4b17e</xapMM:DocumentID>
<xapMM:InstanceID>uuid:7b511bc7-cdc6-4476-af84-787a7a31e672</xapMM:InstanceID>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
</x:xmpmeta>

■変換後のPDFに埋め込まれているXMPメタデータ
<x:xmpmeta xmlns:x="adobe:ns:meta/" x:xmptk="Adobe XMP Core 4.0-c316 44.253921, Sun Oct 01 2006 17:14:39">
<rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#">
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:xap="http://ns.adobe.com/xap/1.0/">
<xap:CreatorTool>PScript5.dll Version 5.2</xap:CreatorTool>
<xap:ModifyDate>2007-07-28T18:15:52+09:00</xap:ModifyDate>
<xap:CreateDate>2007-07-28T18:14:13+09:00</xap:CreateDate>
<xap:MetadataDate>2007-07-28T18:15:52+09:00</xap:MetadataDate>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/">
<dc:format>application/pdf</dc:format>
<dc:title>
<rdf:Alt>
<rdf:li xml:lang="x-default">Microsoft Word - Document2</rdf:li>
</rdf:Alt>
</dc:title>
<dc:creator>
<rdf:Seq>
<rdf:li>Antenna House</rdf:li>
</rdf:Seq>
</dc:creator>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:pdf="http://ns.adobe.com/pdf/1.3/">
<pdf:Producer>Acrobat Distiller 8.1.0 (Windows)</pdf:Producer>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:xapMM="http://ns.adobe.com/xap/1.0/mm/">
<xapMM:DocumentID>uuid:cec7a163-5d4f-4715-9f5f-5a7e98b4b17e</xapMM:DocumentID>
<xapMM:InstanceID>uuid:a5955ee8-71ba-45bf-9673-e79858058a3a</xapMM:InstanceID>
</rdf:Description>
<rdf:Description rdf:about=""
xmlns:pdfaid="http://www.aiim.org/pdfa/ns/id/">
<pdfaid:part>1</pdfaid:part>
<pdfaid:conformance>B</pdfaid:conformance>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
</x:xmpmeta>

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2007年07月28日

PDFと長期署名(8) — PDF/A 仕様 6 XMPメタデータ

PDF/A-1準拠のPDFには、XMPメタデータを埋め込む必要があります。XMPメタデータは、Adobeが開発したものですが、誰でも再配布可能なオープン・ソースライセンスで公開しているものです。

以前(2006年4月16日~4月18日)にブログでも取り上げました。そのときのお話を整理したものがこちらです。
XMP™ (Extensible Metadata Platform)仕様についてのメモ

前回、メタデータを取り上げました時は、PDF Reference(1.7では10.2節)のことを中心にしていました。PDF Reference 10.2項で定義しているメタデータ・ストリームは、文書カタログまたはコンポーネント単位にXMPメタデータ・ストリームを置いて、文書全体または、部品単位にXMPでメタデータをつけ、再利用可能にすることを目的にしていると思います。

XMPメタデータの仕様はこちらです。
XMP仕様書 (PDF) 2005年6月

発行年月は2005年となっていますが、AdobeのWebページにあるものも変更されてないようです。

PDF/A-1では、このXMPメタデータの定義をかなり拡張しています。

標準のXMPメタデータ仕様に準拠する、と言いながら、PDF/A独自の名前空間をいろいろ定義しています。

・PDF/A拡張スキーマ記述スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaSchema (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/schema)
・PDF/A プロパティタイプ・スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaProperty (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/property)
・PDF/A 値型スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaType (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/type)
・PDF/Aフィールド・スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaField (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/field)
・PDF/A識別スキーマ 名前空間接頭辞はpdfaid (名前空間http://www.aiim.org/pdfa/ns/id)

XMPをこうやって拡張してなにをしようとしているかと言いますと、スキーマを定義しただけで使い方をあまり書いてないように思いますが。明日、もう少し読んでみましょう。

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2007年07月27日

PDFと長期署名(7) — PDF/A 仕様 5

次は、PDF/Aで注釈とアクションがどのようになっているかを説明します。

注釈
PDFの注釈(Annotaion)は、PDF Reference1.4では次のものが定義されています。
テキスト注釈、リンク注釈、フリーテキスト注釈、線、矩形、円、ハイライト、アンダーライン、雲形、取り消し線、スタンプ、インク、ポップアップ、ファイル添付、音声、動画、ウイジット、プリンター・マーク(トンボ)、トラップネット。

PDF/Aを表示するリーダでは、注釈辞書のContentsキーの値を表示しなければなりません。例えば、リンク注釈では、Contentsキーには、リンク情報の代替文字列を表示する仕組みが必要とされています。Contentsキーがあるかどうかは注釈の種類によります。但し、ほとんどの注釈で必須です。

注釈の種類は、PDFのバージョンが上がるにつれて追加されていますが、PDF/A-1では、PDF 1.4にない注釈を使用するのは禁止です。さらに、ファイル添付、音声、動画を注釈として使用することが禁止となっています。

* 注釈のCAキーの値は1.0以外であってはなりません。注釈辞書はFキーを含む必要があり。FキーのPrintフラグビットは1にセットします。 Hidden、Invisible, NoViewフラグビットは0にセットします。テキスト注釈は、FキーのNoZoom、NoRotateフラグを1にセットします。
* 注釈辞書は、PDF/A-1OutputIntent辞書のDestOutputProfileのカラー空間がRGBでないときは、C配列、IC配列を含むことができません。
* 注釈辞書が、APキーを含むならば、それが定義する概観辞書は、その値が、注釈の外観を定義するストリームであるNキーのみを含むこと。

アクション
* Launch, Sound, Movie, ResetForm, ImportData, JavaScriptアクションは禁止されています。set-state、no-opアクションは禁止。NextPage, PrevPage, FirstPage, LastPage以外の名前付きアクションは禁止。対話フォームはアクションを実行禁止。
* Widget注釈辞書、フィールド辞書はAAエントリを含んではなりません。文書カタログ辞書はAAエントリを含んではなりません。これらのAAエントリは、外部に依存するJavaScriptアクションのためのものなのでこれを禁止していることになります。
* 対話的なリーダはハイパーリンクを動作不能にすることができます。しかし、GoToRアクション辞書のFとDキー、URIアクション辞書のURIキー、SubmitFormアクション辞書のFキーを表示するメカニズムを提供しなければなりません。

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2007年07月26日

PDFと長期署名(6) — PDF/A 仕様 4

PDF/A-1 の仕様について、続きです。次はフォントです。これもなかなか細かいです。

4.フォント
PDF/Aでは、PDFの中のテキスト情報を、長い将来に渡り、可視化した時に、グリフ単位で最初に作成したときのファイルの見かけに一致し、文字の意味特性を再現できることを意図しています。そのためにフォント関連の要求が規定されています。

* フォントはPDF Reference 5.5に規定するフォント仕様に準拠していること。なお、マルチプルマスター・フォントはType1フォントの特殊なケースと考えます。

コンポジットフォント
* コンポジットフォント(Type 0フォント)では、CIDSysteminfo辞書のRegistryとOrdering文字列は、CMap辞書のUserCMapキーの値がIdentity-HまたはIdentity-Vの時を除き、一致しなければなりません。
* Type 2 CIDFontは、CIDFont辞書にCIDからグリフインデックスへの変換表であるCIDtoGIDMapを含むか、Identityでなければなりません。

* CMap は、Identity-HとIdentity-Vを除いて、PDF Referenve 5.6.4に記述されているようにファイルに埋め込まれる必要があります。埋め込まれたCMapについて、CMap辞書のWModeエントリの整数値は、埋め込まれたCMapストリームのWMode値と同一であること。

フォントの埋め込み
* フォントがテキストレンダリング・モード3のみに使われる場合を除いて、PDFファイルの中で使用されているすべてのフォントが埋め込まれていなければなりません。Type1の標準14フォントも例外ではなく、埋め込み対象です。
* リーダは、環境にあるフォント、代替フォントあるいはシミュレートされたフォントではなく埋め込みフォントを使用します。
* Type 0 CIDFont、Type 1、TrueTypeフォントのサブセット埋め込みでは、ファイル中のすべてのグリフを定義しなければなりません。Type1フォントのサブセットは、フォント記述辞書に、フォントのサブセットの中で定義される文字の名前を一覧化したCharSet文字列を含まねばなりません。CIDFontのサブセットは、埋め込まれたCIDFontファイルの中に、どのCIDが存在するかを識別するCIDSetストリームを含まねばなりません。

フォントメトリックス
* 埋め込まれたフォントの、フォント辞書のWidthエントリに蓄積されたグリフの幅の情報と埋め込まれたフォントの中の情報は一致しなければなりません。

文字符号化対応表
* シンボリックでないTrueTypeフォントは、フォント辞書のEncodingエントリの値として、MacRomanEncodingか WinAnsiEncodingを指定しなければなりません。シンボリックなTrueTypeフォントは、フォント辞書にEncodingエントリを指定してはならず、フォントプログラムのcmapテーブルは一つの符号化のみを含まねばなりません。

* (PDF/A-1レベルAのみの要求)フォント辞書は、一部の例外を除いて、その値が文字コードをUnicode値にマップするCMapストリームオブジェクトであるToUnicodeエントリを含むこと。これによって、Unicodeを使って文字列の検索が可能になります。

5.透明
PDF/A-1に適合するファイルでは透明を使うことができません。具体的には、ExtGState, XObjectのSMaskキーの値はNoneでなければならず、フォームXObjectのGroupオブジェクトにはSキーにTransparency(透明)の値をもつことができない、などです。透明と同じ効果を他の方法で実現することは許されます。

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2007年07月25日

PDFと長期署名(5) — PDF/A 仕様 3

ISO 19005-1(PDF/A-1)の規定を引き続きチェックしてみます。

3.グラフィックス
PDF/A-1ではグラフィックスについてかなり大きな制約を課しています。

出力インテント辞書のSキーに GTS_PDFA1を定義

PDF1.4から文書カタログ辞書にOutputIntentsというキーが定義されました。OutputIntentsキーには、出力インテント辞書の配列によって、文書を可視化するデバイスのカラー特性を記述することができます。PDF/A-1ではOutputIntentsキーに出力インテント辞書を定義することができます。そしてPDF/A-1出力インテント辞書を、出力辞書のSキー(タイプ)にGTS_PDFA1を設定し、そのDestOutputProfileキーの値として妥当なICCプロフィール・ストリームを設定したもの、と規定しています。

もし、出力インテント辞書が複数あるときは、DestOutputProfileキーの値は全て同じICCプロフィール・ストリームでなければなりません。

カラー空間をデバイス独立にすること。
PDF/A-1ではカラーを測色定義などにより、仮定や外部に依存しない、デバイス独立にしていくことが求められています。このために、カラーは、デバイス独立のカラー空間を使うか、それとも、OutputIntentsキーを使って指定しなければなりません。

ICCBasedのカラー空間は、ICCプロフィール・ストリームとして埋め込むこと。
すべてのICCBasedカラー空間は、ICCプロフィール・ストリームとして埋め込み、また、リーダは、ICCBasedカラー空間をICC仕様に指定されているように可視化し、Alternateカラーを使用してはいけません。

DeviceRGBまたはDeviceCMYKのどちらかを使用できますが、両方を使うことはできません。
DeviceGrayをOutputIntentがRGBプロフィールであるファイルの中で可視化するときは、リーダはDeviceGrayカラー指定をPDF Referenceに記述されている方法でRGBに変換しなければなりません。DeviceGrayを、OutputIntentがCMYKプロフィールであるファイルの中で可視化するときは、リーダはDeviceGrayカラー指定をPDF Referenceに記述されている方法でDeviceCMYKに変換しなければなりません。

DeviceNまたはSeparationカラー空間に基づくカラー空間の可視化する規則は次の通り。
o 名前のついたカラー素が、すべて、Cyan、Magenta、Yellow、Blackから来ていて、ファイルがCMYKプロフィールである OutputIntentを持つとき、カラー素はPDF/A-1出力インテント辞書で指定されるカラー空間の要素であるとして扱い、代替カラーを使用してはならない。
o 出力デバイスがSeparationカラー空間またはDeviceNカラーをサポートしないときは、代替カラー空間を使う。

イメージ辞書
代替カラーを示すAlternatesキーやOPIキーを含んではなりませんので、PDF中のイメージを他のイメージで置き換えて表示することができません。もし、イメージ辞書にInterpolateキーを含む場合、その値はfalseでなければなりません。このため、PDFに含まれているイメージの解像度が出力デバイスよりも低いときにも、低いままで出力します。

XObject
フォームXObject
繰り返し使うようなグラフィックス命令のセットをフォームXObjectとして定義できます。フォームXObject 辞書にOPIキーを使えません。PostScriptコードは、PostScript XObjectとして定義する方法の他に、フォームXObject辞書にSubType2キーの値PSでも定義できますが、PDF/A-1では、このようなPostScriptコードを使えません。

※PostScriptについては、PDF Reference 1.4には書いてありませんが、次のerrataに記述があります。
http://partners.adobe.com/public/developer/en/pdf/PDF14errata.txt


Reference XObject
Reference XObjectは、PDFの内容を他からインポートすることができる機能ですが、これは禁止されています。

PostScript XObject
PostScriptプログラムの一部のコードをそのまま取り込むことは禁止されています。

その他
* ExtGState辞書にはTRキーを含んではいけません。TR2キーを含むときは値はDefaultでなければなりません。リーダはHTキーを全て無視します。
* イメージなどはデバイス独立で指定しますが、それでも微妙な調整を可視化インテントで指定できます。この値はRelativeColorimetric, AbsoluteColorimetric, Perceptual, Saturationのどれかにしなければなりません。
* コンテント・ストリームはPDF Reference1.4に定義されていないオペレータを含んではいけません。

※カラー空間の話は、実際のところ、私にはあまり良く理解できていません。

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2007年07月24日

PDFと長期署名(4) — PDF/A 仕様 2

PDF/A-1の仕様書は、表紙を含めて36ページと薄いものです。

アンテナハウスでは、XSL Formatter V4.2でPDF/A-1の出力機能を追加する予定でだいぶ前から実装していました。日本のお客様からはそれほどでもないのですが、やはり海外のお客様からの要望があるようです。

いままでは、担当者から報告を聞いていた程度でしたが、今回、初めて仕様書を読んで見ました。内容はかなり細かな規定があり結構大変です。仕様書を少しづつ読んでみましょう。

2.ファイル構造
ファイル構造の項での制限は細かく記述されていますが、主なものは次の通りです。
ファイルトレーラ辞書にIDキーワードを含むこと、また、Encryptキーワードを使用してはならない。
ファイルトレーラは、PDFファイルの最後に存在して、アプリケーションは最初にここを読んで、クロス参照表(xref)の場所を探したり、特別なオブジェクトを探します。IDはファイルの識別用に使うものです。通常はオプションですが、PDF/A-1では必須となります。また、Encryptキーワードは、PDFにセキュリティ設定をしたときは必須になるもので、Encryptキーワードを禁止する、ということは、セキュリティ設定を禁止することになります。

文書情報辞書はXMPメタデータ特性と一致すること。
PDFの文書情報辞書でメタデータを記録します。
PDFの文書情報辞書は、Title、Author、Subject、Keywords、Creator、Producer、CreationDate、ModDate、Trappedがあります。名前で大よその推測がつくと思います。これらの項目の内容は、XMPメタデータの、dc:title, dc:creator, dc:subject, pdf:Keywords, xmp:CreatorTool, pdf:Producer, xmp:CreateDate, xmp:ModifyDateと一致させる必要があります。

streamオブジェクト辞書にはF、FFilter、FDecodeParamsキーを含んではならない。
これらのキーは、PDFの外部のデータをポイントするためにつかわれるものです。これによりPDFファイルの外部のコンテンツに依存することができなくなります。

LZWDecodeフィルタは許可されない。
LZW圧縮は特許問題(既に特許は有効期限切れで失効しました)で使用禁止です。

ファイル仕様辞書(PDF Ref. 3.10.2)には、EFキーを含んではならない。ファイル名辞書(PDF 3.6.3)はEmbeddedFilesキーを含んではならない。
PDFには、PDF以外のファイルを埋め込むことができます。Acrobat8では、「文書」メニューの「ファイルを添付」とすると添付ファイルを使うことができます。
添付ファイルは次のようにPDF本体と別のウインドウで開いてみることができます。
20070724-1.PNG
この添付ファイルは、ファイル仕様辞書のEFキーとファイル名辞書EmbeddedFilesキーで指定します。これを使えないことはPDF/A-1では添付ファイル使用禁止を意味します。

ドキュメント・カタログ辞書には、OCPropertiesを含んではならない。
これにより文書の代替レンダリングを許すオプション内容を含むことができません。要するに、文書の可視化の代替処理を許さないということです。

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2007年07月23日

PDFと長期署名(3) — PDF/A 仕様

PDFは、その名前Portable Document Formatの意味するとことからも明確なように、アプリケーションから独立した電子ファイルの形式として設計されています。Mac OS XのようにOSレベルでPDFをサポートしている場合もあります。ですので、PDFファイルはハードウエアやOSを超えて可視化されることができる点で、Microsoft OfficeやOpenOffice.orgで作成した文書などと比べて非常に有利です。

しかし、一方において、PDFはものすごく豊富な機能をもっています。その中には、電子ドキュメントを長期にわたって保管するという点からは、使用しないほうが良い機能も多数あります。例えば、暗号化によるセキュリティ設定などはその典型的な例でしょう。PDFファイルを暗号化しますと、暗号のための鍵の管理が重大な課題になります。5年、10年、20年経過したときに、もし、暗号の鍵の所在が分からなくなってしまえば、そのPDFの内容を可視化することは極めて難しくなるでしょう。

また、PDFは仕様が公開されており、誰がPDFソフトを作っても良いとされていることから、非常に多くの開発者がPDFのソフトを作っています。

Adobe(ヨーロッパ)の標準ビジネス部門長 Marc Straat氏が2006年12月に行ったプレゼンの資料をみましたら、「Community of nearly 2000 PDF tool developers」とありました。PDFツールの開発者は2000人もいるのだそうです。こうした様々な開発者が作成したPDFが、それぞれ、独自の挙動を示してしまう、という問題も指摘されています。

参考資料
PDF/A — Format — Status and Practical Experiences

こうした観点から、PDFを長期に保管するためにPDF1.4仕様をもとに、そこにある機能について、必ず設定しなければならないものと、使ってはいけない、あるいは制限付きで使うべきことをまとめたものがPDF/Aです。

PDF/Aについては、「PDF千夜一夜」の中で、既に概要は紹介しています。しかし、今回は、もう少し詳しく、ISOの仕様書を読みながら解説してみたいと思います。

1.PDF/A仕様の意図

PDF/A仕様の意図として、ISO 15009-1の仕様書は次のように述べています。

「PDFは重要な情報を表現するために使われますが、これらの情報には相当な長期にわたって維持されるもの、一部には永久に保存されるものがあります。これらのPDFファイルは多数の技術的世代を跨って、利用可能でなければなりません。」

PDF/Aの目標として、3点を掲げています。

* 作成・蓄積・可視化ツールから独立で、時間がたってもビジュアルな見かけを維持できること。
* 電子文書の文脈と履歴をメタデータの中に残すことができること。
* 電子文書の論理的な構造と意味に関する情報を残すこと。

ところで長期的とはどの程度なんでしょうか?ISOの仕様書には「長期的」という言葉を次のように定義しています。

"period of time long enough for there to be concern about the impacts of changing technologies..略 .. and of a changing user community, on the information being held in a repository, which may extend into the indefinite future"

つまり、技術の変化、ユーザコミュニティの変化が、保管されている情報に対して与える影響について懸念されるほど、の長い期間ということです。先日の国会図書館のケースを見ましても、PDF/Aがターゲットとする長期は、かなり長いということがいえると思います。

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2007年07月22日

CSS 2.1漸く再び勧告候補となる

W3Cで仕様の策定作業中のCSSについてCSS2.1が7月20日に勧告候補となりました。勧告候補というのは、W3Cの基準では、仕様として安定し、実装を推奨する段階という意味です。これから、実装が進んで、2つ以上の実装が揃えば、勧告として認められることになります。2つ以上の実装とは相互運用性という意味と思いますが、標準仕様にするためにはこの基準をクリアしなければなりません。

仕様はこちらで公開されています。

Cascading Style Sheets Level 2 Revision 1 (CSS 2.1) Specification
W3C Candidate Recommendation 19 July 2007

CSS仕様策定の経過につきましては、以前にもブログで触れました。
2006年09月29日 XSL-FOとCSSの未来 (2) CSS仕様の迷走

あれから10ヶ月、ようやくCSS2.1が実装可能な段階となったことになり、ひとまずやれやれです。

CSS2.1は、CSS2.0を置き換えることが狙いです。2.0から2.1への変更点は、次のように述べられています。

1.1 CSS 2.1 vs CSS 2
http://www.w3.org/TR/CSS21/about.html#css2.1-v-css2
CSS2は1998年に勧告になり、様々な実装の経験を得た。これまで仕様の誤りについてはerrataを公開して正してきたが、実装経験に基づいて仕様を変更することは行ってこなかった。現在、CSS2には実装と互換性を妨げているという実状もある。そこでつぎのようにして状況に対処したい。
・CSS2の中で広く実装されている部分については、互換性を維持する。
・CSS2の全てのerrataを盛り込む。
・実装が、大幅にCSS2仕様から異なるものについては、広く受け入れられている実践に基づいて仕様を変更する。
・実装されていないということで、CSSのコミュニティに受け入れられなかった仕様は取り除く。
・CSS3の段階で、廃止される仕様を取り除くことで、CSS3が受け入れられやすくする。
・実装の経験上必要であることが分かった僅かの新しいプロパティ値を追加する。

このように、CSS2.1はCSS2.0の仕様をあえて縮小したり変更することで、実際により多く実装されて使われることを期待しているということになります。

CSS2.1が、W3Cの勧告になるには、2つ以上の実装が必要とされています。CSS1.0にない機能は、もし、二つの実装が現れなければ、勧告仕様になる段階で取り除かれることになるようです。

CSS2.0はかなり大きな仕様を拙速で作ったようですが、CSS2.1はこの軌道修正ということになります。

※参考資料
W3CにおけるCSS仕様策定の動向

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2007年07月21日

PDFと長期署名(2) — 電子データを長期に保管するとは?

国立国会図書館の平成16年度の報告書には、同図書館が平成11年度までに受け入れた電子資料の利用可能性の調査結果として次の表が載っています。

20070721-1.PNG
出典:電子情報の長期的保存とアクセス手段の確保のための調査報告書 p.5

これをみますと、調査時点から10年前の平成6年の電子資料で15%位しか利用できないという、驚くべき数字になっています。その理由は次のとおりです。

・OS 等、PC の基本ソフトウェアとアプリケーション・ソフトウェアの不適合(69 点)
・アプリケーション・ソフトウェア入手不可(41 点)
・記録媒体の技術的旧式化および劣化(17 点)
・その他(11 点)

昨日もお話しましたが、電子データを可視化(表示、印刷)したり、利用するためには、一般に、そのデータを処理するアプリケーションソフトが必要であり、アプリケーション・ソフトが使えなくなれば、そのデータを完全に元の状態のままで可視化することはできません。

アプリケーションソフトは、ソフトウエアですので、ハードウエアと違って磨耗したり・消耗したり・劣化することはありません。その寿命は無限です。しかし、アプリケーションソフトは、ハードウエア、OSの上で稼動するものですから、ハードウエアが消耗してしまえば使えなくなりますし、OSが変われば動かすことができなくなります。従って、現実として、アプリケーションソフトが利用できる期間は、ハードウエアとOSの入手可能性によって制約を受けることになります。このことが先の調査結果にも明確に現れています。

そこで、電子データを長期的に保存しようとすれば、まずアプリケーションから独立な形式にすることが最も望ましいことになります。他の手段としては、アプリケーションをオープンソース化し、供給元から独立化させて、様々なハードウエア、OSに移植可能にしていくことで、アプリケーションそのものの延命を図るといった方法も考えられるでしょう。しかし、移植作業は大きな工数がかかるのが普通ですから、かりにソースがあっても実現性は低いと思います。

国会図書館で考えているような文化・歴史というレベルの時間単位で考えるのであれば、電子データをアプリケーションから完全に独立にして、それを標準仕様とし、電子データを取り扱いすることのできるアプリケーションを誰でも簡単に作成可能にしていくことが重要であるということになります。

この観点から見ますと、紙に印刷する形式の電子ドキュメントの形式としてはPDFが最も普及していますし、PDFは上に述べたアプリケーションからの独立性という観点からも最も適切な候補となります。こうした時代の要請を受けて策定された仕様がPDF/Archive(PDF/A)です。

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2007年07月20日

PDFと長期署名(1) — 電子ドキュメントの長期保存とは

さて、次に最近、一部で話題になっている、PDFの長期署名について検討してみたいと思います。

長期署名については、ECOM(次世代電子商取引推進協議会)が熱心に取り組んでいます。

「長期署名フォーマットプロファイルの標準化に向けた活動を開始」
- ETSI/ESIと協調しJIS原案作成に着手 -

このニュースの通り、ECOMは長期署名フォーマットのJISの原案の作成を目指して活動を行ってきました。そして、その成果として、今年度にJIS原案が提出されました。

「長期署名に関するJIS原案」

この原案の付録には、参考資料としてPDF/Aへの長期署名の適用方法に関する仕様も掲載されています。(これは参考資料であって、規格の一部ではないとされています。)

さて、PDFへの長期署名を考える前に、電子ドキュメントの長期保管について少し考えて見ます。

電子ドキュメントの長期保存については、国立国会図書館が平成12年から研究しており、その報告が公開されています。

電子情報の長期的な保存と利用
国会図書館は、国の出版物を収集して、文化遺産として残していく役割を担っていますが、平成12年からCD・DVDやアプリケーションプログラムなどのパッケージ系電子出版物が新たに納本の対象となっています。

国会図書館で収集したこれらのデジタルデータをどうやって長期的に保存するかということは、現在、非常に大きな研究課題です。

デジタル・ドキュメントだけに限ってみても、過去20年の技術の推移たるや、ものすごい変化を遂げています。例えば、日本では、1980年代半ばから、文書はワープロ専用機で作成されてきましたが、1990年代後半からは、文書の編集手段はパソコンのワープロソフトが主流になっています。ワープロソフトのデータは、アプリケーションが違えば互換性はありませんから、アプリケーションを使う環境がなくなってしまえば、もうそのデジタルデータを完全に可視化(表示、印刷)することはできません。

1980年代半ばから1990年代にかけて作成されたワープロ専用機のデータは、仮に、保管されていたとしても、既に、その大半はそのままでは可視化することはできません。アンテナハウスのリッチテキスト・コンバータを使えば、文書データをMicrosoft Wordなどに移して再活用はできますが、元のままの形で可視化することは、現実的なコストでは不可能に近いでしょう。

こうした状況のもとでは、電子署名など考えることすら無意味となります。

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2007年07月19日

PDFとXPSの国際標準化競争始まる!

2007年07月17日 PDFがISO標準になることの意義を再び考える!で、PDFのISO標準化は、MicrosoftのXMP(XML Paper Specification)対抗策だろうと推測しました。

これは大当たりのようで、競争相手のMicrosoft の方も、XPSの国際標準化に動き始めていました。

英国のグローバル・グラフィックス社のニュース・リリースによりますと、同社のMartin Bailey氏が、XPSを標準化するために、ECMAに新しく設置された委員会の議長になったようです。

TC46 - XML Paper Specification (XPS)

文書フォーマットの標準化競争が、Office文書に続き、PDFとXPSの間でも始まったようです。

ニュース・リリースによりますと、Ecma International の6月28日の全体会議で、XPSを標準化するための委員会TC46が結成されました。

TC46の目的は、「ページネートされた文書のワークフローを実装するための、幅広い、アプリケーション、デバイス、プラットフォームを可能にするような、標準的で、セキュアであり、高度な信頼度をもつフォーマットを提供することにある。」とのこと。

グローバル・グラフィックス社は、ずっと、PDFコンパチブルな、RIPやライブラリーを提供してきた会社です。しかし、XPSの開発にあたり、Microsoftのコンサルタントを努めるなど、XPSに最も熱心に取り組んでいる会社の一つとも言えます。

PDFに見切りをつけて、XPSに方に走ったのでしょうか?

【参考】
Global Graphics' Martin Bailey Chairs New ECMA Committee Formed To Standardize XPS

調べましたところ、日本でもニュースとして流れていました。例えば:
ECMA、マイクロソフトの「XPS」をベースとした文書仕様の策定に着手

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2007年07月18日

PDF Spam 急増

ここ数ヶ月と思いますが、PDFが添付ファイルについたスパムメールが急増しています。これに関して、Symantecが発行するState of Spamという月刊の報告で、PDFイメージスパムが急増しているということが報告されたそうです。

いままで、全部削除してましたが、怖いもの見たさに除いてみることにしました。私のメールアドレスに、この2日間で送られてきたスパムメールは約700通です。この中でPDFスパムが何件あるかと、ちょっと数えてみました。

15件ですね。そうしますと、スパム全体の中では2%程度です。日頃感じていたほどそんなに多くはないようです。

ゴミ箱からスパムメールを拾い出して、PDFを集めてみました。ファイル名は2種類の系統に分かれます。

12,621 Cancelled.pdf
11,360 Cheque.pdf
13,677 complaint.pdf
11,770 E-mail.pdf
  4,657 Essie_Document_1297_139002.pdf
4,657 Kim_document_5131_011437.pdf
12,458 log.pdf
10,960 Mailbody.pdf
12,895 Paid.pdf
13,128 Report.pdf
9,666 text.pdf

ファイル名をご覧になってもお分かりのように、海外から送られてくるものが多いようです。
Adobe Readerで開くのはちょっと怖いので、自在眼で開いて見ました。

○Cancelled.pdf
20070718-1.PNG
これは、画像が貼り付けられています。

○Essie_Document_1297_139002.pdf
20070718-2.PNG
こちらはテキストですね。

○Cancelled.pdfの内部を見ますと次のようになっています。
-----ここから-----
%PDF-1.3
%粤マモ
1 0 obj
<<
/Pages 2 0 R
/Type /Catalog
>>
endobj
2 0 obj
<<
/Kids [3 0 R]
/Count 1
/Type /Pages
>>
endobj
3 0 obj
<<
/CropBox [0 0 461 173]
/Parent 2 0 R
/Thumb 4 0 R
/MediaBox [0 0 461 173]
/Resources
<<
/XObject
<<
/Im0 5 0 R
>>
/Font
<<
/F0 6 0 R
>>
/ProcSet 7 0 R
>>
/Contents 8 0 R
/Type /Page
>>
endobj
8 0 obj
<<
/Length 31
>>
stream
^(テ・`寳A橿テK・xa,ム1・ュqヤ
endstream
endobj
7 0 obj [/PDF /Text /ImageI]
endobj
6 0 obj
<<
/BaseFont /Helvetica
/Subtype /Type1
/Name /F0
/Encoding /MacRomanEncoding
/Type /Font
>>
endobj
5 0 obj
<<
/Width 461
/BitsPerComponent 8
/Name /Im0
/Height 173
/Subtype /Image
/Filter [/LZWDecode]
/Length 5049
/Type /XObject
/ColorSpace 9 0 R
(以下、省略)

これをみますと一応簡単なPDFファイルになっています。
あまり害はないのではないかと思いますが、ただ、いままでのスパムフィルターは適用できないのではないでしょうか。かといって、メールから添付PDFを全部削除したらもはや仕事にならないでしょうし。

困ったものです。

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2007年07月17日

PDFがISO標準になることの意義を再び考える!

1月末に、2007年01月31日 Adobe PDFをISO標準として提出へとして、PDFがISO標準になることについてお話しました。あれから約半年で、いよいよISO 32000のドラフトが公開されるという運びになりました。

アドビがPDF 1.7をISO標準として提出するきっかけには、恐らく、MicrosoftのXPS(XML Paper Specifications)の脅威があるのではないかと思います。

Microsoftは過去様々な分野で遅れをとって出発しながらも、時間をかけてもでも先発を追い越してきたという実績があります。AppleのMacintoshに対するWindowの例、Internetブラウザ戦争、そしてJAVA対.NETの対立も、最近の動きを見ていますと、どうやら開発環境はJAVAから.NETへと主導権が移りつつあるという印象を受けます。

そんな、Microsoftの巨大な影響力を知っていれば、アドビがXPSに脅威を感じないはずはありません。無論、XPSに対抗するひとつの方法としてISO標準化という手段を考えたのだろうというのはあくまで推測ではあります。

PDFがISO標準になることは、私達3rdパーティのベンダにとっては大きな意義があります。なにしろ、いままでは、いくらPDF Referenceが公開されているといっても、あくまでAcrobatのクローン製品ということでしたが、ISO標準になればクローン製品ではなく、「ISO標準を実装した製品」ということになります。つまり、大義名分にお墨付きが与えられるということ。これはモチベーション上大きいと思います。

無論、そうなりますと、PDF製品のベンダーもますます増えて、競争はますます激しくなることが予想されます。オープン・ソースも増えて、無償でPDFを作るという動きに拍車がかかる可能性があります。

PDF戦国時代をどうやって勝ち抜くか!

「PDF千夜一夜」も既に、638話になりました。残るは362日ということで既に残り1年を切ってしまいましたが、「燃える闘魂」で、勝ち残りに向けて頑張りたいと思います。

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2007年07月16日

ISOにてPDF1.7のドラフト仕様の投票開始

PDF Reference 1.7をベースにしたISOの標準仕様ISO 32000(ドラフト)が公開されています。

こちらからダウンロードできます。
PDF Standard
http://www.aiim.org/standards.asp?ID=33223

この仕様書は既にISOに提案され、7月2日からのファースト・トラック手続きでの投票が始まっています。投票期限は12月2日までです。

この投票を通過することができれば、出版の段階に進みますので、早ければ来年春には、PDF 1.7ベースのISO 32000が国際標準になるものと予想できます。

なお、ISO 32000の仕様書は、全文で748ページです。PDF Reference 1.7は、1,310ページありますので厚さにして6割位に圧縮されたことになります。

どのような形でリライトされたのかがこちらに公開されています。

Change Sheet - ISO Draft of PDF 1.7 Reference

概略は次の通りです。

・ISOの草稿の形式になるように雛形を使って、PDF Referenceを書き直した。
・技術的な内容はそのまま維持して、表現を変更した。
・ベンダー中立になるように、Adobeの製品についての情報への参照を削除した。
 最初の2章はAdobeの製品に関連するものなので削除した。
 付録C、付録Hの大部分はAcrobatの実装に関するものなので削除した。
・廃止した内容を削除した。
 主にAdobeの製品の歴史的な理由から維持されている廃止した仕様を削除した。
・ISOの用語規定に従って、誤解を招くことが少なくなるように記述を変更した。
 shall、should、may、canの使い方など。
・アメリカ英語から国際英語に変更。
・ノルマ(規定)的と情報的な内容の分離。

このような修正を注意深く行い、PDF Reference、市場にあるPDF、それを作成したり処理する実装などを忠実に表すPDF 1.7標準として作成した。

以上の結果、ISOドラフトはPDF 1.7のベンダー中立にして、より精密で、より曖昧さを減らす仕様となっている。

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2007年07月15日

PDF/A とPDF/A Competance Center

PDF/Aは、PDFを長期にわたって保管可能にするために、ISOで標準化されたPDFのサブセット仕様です。

昨年4月にブログでも簡単に紹介したことがあります。その時のお話は次に整理されています。
PDF/Aとはなにか

PDF/Aには、ISO 19005-1:2005 に完全準拠したPDF/A-1a:2005、ISO 19005-1:2005 に一部準拠したPDF/A-1b:2005の2種類があることは、その時にお話しています。二つの仕様の比較表を次に示します。

この表を見ますと、特にPDF/Aはタグ付けPDFでなければならない、ということですから生成は少しばかり大変そうです。

PDF/A-1a:2005 PDF/A-1b:2005
フォントはすべて埋め込まれなければならない
タグ付けされていなければならない ×
XMP準拠のメタデータを含んでいなければならない
暗号化してはならない
LZW圧縮してはならない
透明な画像を含んではならない
外部コンテンツを参照してはならない
JavaScriptを含んではならない

PDF/Aではすべてのフォントは埋め込まれなければなりません。埋め込みが許可されていないフォントを使用している場合、PDF/Aを生成することはできません。

参考:XMP™ (Extensible Metadata Platform)仕様についてのメモ

PDF/A-1a ではタグ付きPDFでなければなりません。XMPメタデータの埋め込みが必要です。

○PDF/Aの普及促進のために、ドイツ(ベルリン)にPDF/A Competance Centerというのが出来ています。ドイツのソフトウエア・メーカが中心になって設立したようです。しかし、AIIM(アメリカ)での展示会に参加するなど、かなり世界的に活動始めているようです。

PDF/A Competance Center

Webサイトには、なんと、日本語のちらしもあります。
Japanese flyer about the PDF/A Competence Center
要注目です。

○PDF/A-2 の仕様策定も進んでいます。
PDF/A-1は、PDF Reference 1.4をベースにしています。PDF/A-2は、より新しいPDF Referenceに基づく仕様を追加しています。米国のAIIMにあるPDF/A委員会は、今年(2007年8月)にベルリンで開催予定のISO国際会議にPDF/Aの新しい草案を提出する予定です。

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2007年07月14日

日本のハンコをPDFで実現する方法

最近、見積書や注文書がPDFで送られてくるケースが増えています。で、最近、見積書や注文書がPDFでやりとりするケースが増えています。そこでPDFで印鑑を押す機能を作ろうと思い、少し調べてみました。

まず、日本の見積書、注文書、契約書などの印鑑は、文字と重ねて付くことが多いようです。これがなぜなのか、よく分かりません。

大体、弊社にあります、様々な会社とやりとりした契約書や見積書などは、9割がた印鑑を文字に重ねてついています。私も、昔(会社員になりたての頃)印鑑は文字に重ねてつくものと教わったような気がします。

しかし、改めて調べてみますと、印鑑を文字に重ねて付くのが正しいやり方なのかどうか?多少の疑問を持ち始めました。

それはともかく、印鑑の印影を単純な画像(BMPなど)にしてしまいますと、ちょっと困ったことになります。

それは、通常のBMP形式などの印影画像を文字の上に付きますと、次の図のように文字が画像の下に隠れてしまいます。
20070714-1.PNG

通常のBMP形式などの印影画像を透かしにして、貼り付ける場合、不透明度の設定ができますので、不透明度を90%にしてみました。そうしますと、次のように、印影の部分も一緒に不透明度が設定されますので、全体が薄くなってしまいます。
20070714-2.PNG

じゃあ、と言うわけで、透かしを文字の下(背面)につけてみます。そうしますと、この図のように一見うまくいきます。
20070714-3.PNG

しかし、この方法はうまくいかないことがあります。印影の上になにか不透明の画像が配置されますと、印影が画像によって隠されてしまいます。

で、どうしたものか、単純に考えますと、印影画像の中で文字のない部分を透明にしてしまえば良いということになります。ただし、文字のない部分を透明にしただけではだめなので、印鑑の文字の不透明度を90%にしてみました。
20070714-4.PNG

それにしても、日本のハンコって文字に重ねてつくべきものなのでしょうか?

これなら日本の印鑑をついたものがPDFで実現できていると言えそうですが、如何でしょうか?

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2007年07月13日

PDF Viewer って世界に何種類位あるの?

Adobe Readerのような無償ソフトが圧倒的な地位を占めている世界で、PDFのリーダやViewerを作っている会社がどの位あるのか?Webを探してリストを作ってみました。

・PDF Viewer SDK (アンテナハウス)
http://www.antenna.co.jp/PDF/viewer/
動作環境:Windows2000以降

・PDF-XChange Viewer 1.x(英国のTracker Software Products Ltd)
http://www.forest.impress.co.jp/article/2007/06/19/pdfxchanview.html
動作環境:Winodws 2000以降

・Foxit Reader 2.0 for Windows
http://www.foxitsoftware.com/pdf/rd_intro.php
動作環境:Windows, Linux、Moble Devices

・Xpdf
http://www.foolabs.com/xpdf/
動作環境:X Window System、Motif

・Picsel PDF Viewer
http://www.picsel.com/
動作環境:携帯電話、PDA

このあたりまでは今までに「PDF千夜一夜」で登場済みです。

・Cool PDF Reader
http://www.pdf2exe.com/reader.html
動作環境:Windows(?)

・3-Heights™ PDF Viewer and Viewer Pro API
http://www.pdf-tools.com/asp/products.asp?name=VWPA
動作環境:Windows9X~

・eXPert PDF Reader
http://www.visagesoft.com/products/pdfreader/
動作環境:Windows(?)

・IcePDFhttp://blog.antenna.co.jp/PDFTool/mt-static/images/formatting-icons/link.gif
http://www.icesoft.com/products/icepdf.html
動作環境:JAVA

・Big Faceless Java PDF Library
http://big.faceless.org/en/products/pdf/index.jsp
動作環境:JAVA
※Big Faceless Organization Unveils Java PDF Viewer v2

・Mac OS X
http://www.apple.com/jp/macosx/features/pdf/
※これを忘れてはいけない。

・PDFXpress
http://www.pegasusimaging.com/pdfxpress.htm
・動作環境:不明

・brava!
http://www.bravaviewer.jp/formats_desktop.htm

・PDF Reader 2.4 (~1929 Kb) Freeware
http://www.cadkas.de/downengpdf5.php
※ちょっと怪しげ。

・Sumatra PDF
http://blog.kowalczyk.info/software/sumatrapdf/
※ちょっと怪しげ

・PDF viewing for Handhelds
http://www.globalgraphics.com/products/editor/primer.html
※Global Grapics社って、PDF Viewerも持ってたんだ!

・Evince
http://en.wikipedia.org/wiki/Evince
動作環境:GNOME desktop environment

・PDFView
http://en.wikipedia.org/wiki/PDFView
動作環境:Mac OS X

List of PDF software

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2007年07月12日

PDFのセキュリティ機能(8) — 電子証明書によるPDFのセキュリティ設定の例

だいぶ前になりますが、PDFのセキュリティ設定について、2006年11月19日 PDFのセキュリティ機能(7)—公開鍵セキュリティ・ハンドラの仕様をお話しました。その時は、アンテナハウス製品では、これを実装したものがありませんでしたので、いわば絵に描いた餅でした。(Acrobatでは出来ましたが、、)

今回、PDF電子署名モジュールを開発するにあたり、この公開鍵セキュリティ・ハンドラも実装しました。これは、公開鍵でPDFを暗号化して利用制限する方式です。テストをしてみますと、これは結構使えるように思います。PDFのセキュリティと言いますと、パスワードによる暗号化がよく知られていますが、公開鍵暗号方式ももっと利用したら良いのではないかと思います。

そこで、簡単なサンプルを作ってみました。
(1)何もセキュリティが設定されていないPDF
PDFファイルをダウンロード

(2)公開鍵で暗号化したPDF1 
PDFファイルをダウンロード
※Acrobatプロパティを表示
20070712-1.PNG

(3)公開鍵で暗号化したPDF2 
PDFファイルをダウンロード
※Acrobatプロパティを表示
20070712-2.PNG

さて、最初のPDF(1)は、Adobe Reader6以降であれば、誰でも問題なく表示できると思います。

しかし、公開鍵で暗号化したPDF1、公開鍵で暗号化したPDF2は次のような画面が出てしまって、表示できません。
20070712-3.PNG

これは、PDFに公開鍵(電子証明書)でセキュリティ設定をしてあるためです。

このセキュリティ設定を解除してPDFを閲覧するには秘密鍵が必要です。パスワードと違って、秘密鍵は個人別に別のものになりますので、鍵をもっている人だけがこのPDFを閲覧可能になります。

と言っても、確かめる方法がない!そんな方のために、ここにテストに使った秘密鍵と公開鍵を保管したファイルを用意しました。

PFXファイルをダウンロード

ファイル名:PDFCertificate.pfx
ファイル形式:Personal Information Exchange
このファイルは、暗号化されています。パスワードは"test"です。

さて、これを使って、PDFのセキュリティを解除するには、PFXファイルを、Windows証明書ストアにインポートする必要があります。

Windows証明書ストアは、Windows独自の証明書保管エリアです。

証明書ストアにPFXファイルをインポートするには、まず、PFXファイルをダウンロードします。
次に、IEのメニューから「ツール - インターネットオプション」を選び、表示されたダイアログの「コンテンツタブ」から「証明書」ボタンをクリック、インポートボタンを押します。そうしますと、インポート・ウイザードが表示されますので、このファイルを選んでください。

インポート時に、パスワードを要求してきますので、test(半角小文字)と入力します。

正しくインポートできますと、次のような画面が現れます。
20070712-4.PNG

公開鍵で暗号化したPDF1、同PDF2を開くことができるはずです。

で実際にやってみたのですが、Acrobat8(Window XP Sp2+IE7) では、上に説明しました手順でうまく動きますが、Adobe Reader 7(Windows2000+IE6)では、Windows証明書ストアとうまく連携できてないのかPDFを開けませんでした。

2007年10月20日追記:もう一度、試してみましたところ、Windows証明書ストア+Adobe Reader 7.0 でも問題なくできました。

Adobe Reader7は、独自の証明書ストアをもっていますので、とりあえず、そちらにインポートしたところ、PDFを開くことができるようになりました。

うーん、便利そうに見えましたが、このように環境によって結果がかなり違うとなりますと、実用的に使うには、まだ少し早いかな?

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2007年07月11日

「PDF電子署名モジュール」「XSL Formatter V4.2」製品説明会を開催

ブログをお読みの方は、既にお気づきかもしれませんげ、弊社では、近日中に「PDF電子署名モジュール」と「XSL Formatter V4.2」の出荷開始を予定しています。

そこで、このたび、弊社リセラー様、およびリセラー契約をご検討の方々に対し「PDF電子署名モジュール」と「XSL Formatter V4.2」の製品説明会を開催させていただくことになりました。

○製品説明会の概要は以下の通りです。

■製品説明会の内容

1. 「PDF電子署名モジュール」のご説明

「PDF電子署名モジュール」は既存のPDFに電子署名したり、タイムスタンプを付けるライブラリ製品です。電子署名を付けることで、改竄防止と真証性を確保できます。また、タイムスタンプを付けると「いつ」署名されたかを保証できます。
2. 「XSL Formatter V4.2」のご説明

「XSL Formatter」はXML文書をきれいに組版するための仕様XSL1.1(W3C勧告)に対応したベストセラー自動組版ソフトウェアです。V4.2では「PDF電子署名モジュール」との連係機能や、PDF/Aの出力、PDFのフォーム出力など、PDF関係の機能を強化しました。

■開催要項

* 日時:2007年8月7日(火)16:00~17:30
* 場所:アンテナハウス本社会議室
東京都千代田区九段南4丁目3番13号 麹町秀永ビル 4階(地図
■お申込みは
お手数ですが、次のWebページに専用のフォームを用意していますので、そちらからお申込みください。

http://www.antenna.co.jp/seminar/ncs/pdfsign-and-v42.htm

ぜひ、多くの方々にご参加いただけるようお待ちしています。

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2007年07月10日

「書けまっせ!!PDF2」のユーザ利用例のご紹介 (第二弾)

先日、「書けまっせ!!PDF2」のユーザー様を取材させていただき、利用例としてまとめた「ユーザー利用例のご紹介」ページを公開しました。その続き第二段を公開しましたので、ご紹介します。

○利用例目次ページ
http://www.antenna.co.jp/kpd/casetop.htm

「書けまっせ!! PDF2」の利用例は、私達が最初に想像した以上に多様です。PDFがそれだけ幅広い層に活用されるようになってきたということを示しています。

【農業】 営農組合事務の能率アップに貢献

岩手県北上市にある営農組合では、国の新しい農政施策(品目横断的経営安定対策)の報告書や申請書の作成に「書けまっせ!!PDF2」を活用し、事務効率のアップに役立てています。

【建設・土木】 PDFの申請書や図面への書き込みに活躍

建設業界でも多様されるPDFの書き込みに活用。静岡県沼津市の建設会社相澤興業では、申請書や設計図面など小規模事業所ならではの多彩な事務に「書けまっせ!!PDF2」を応用しています。

【教育】 中学校の事務で「書けまっせ!!PDF2」を活用

教育機関でも資料や申請書類の配布がPDFで行われています。青森の町立中学校の事務室では、次第に増えつつあるPDF書類の書き込みに「書けまっせ!!PDF2」を活用しています。

【福祉・介護】 障害者施設の運営に「書けまっせ!!PDF2」を活用

障害者福祉施設では、厚生労働省が公開しているPDFを自治体の仕様に修正。記入には「書けまっせ!!PDF2」を使用しています。

【教育】 教育事務所の事務に「書けまっせ!!PDF2」を活用

県に提出する定期的な報告書への記入や、会議の資料をPDF化し、メモ書きとして活用しています。

【建築・設計】 照明イルミネーションの提案や設計図面を美しく仕上げる

照明やイルミネーションの設計・施工業を営む山上電気工業(大阪)では、PDFの図面などに写真やコメントなどを書き込む際、「書けまっせ!!PDF2」を活用しています。

【行政書士・社会保険労務士】 車庫証明の作成はPDFに書き込めるツールが便利

官公署にてPDFファイルで公開されている書類への書き込みに「書けまっせ!!PDF2」を活用。行政書士は地図を貼り付ける車庫証明に、社会保険労務士も離職証明書など電子申請できない書類に便利。

【スポーツ】 テニスの団体役員、大会申請用紙の記入に「書けまっせ!!PDF2」

大会などのイベントの申込用紙は郵送などで送られてくることが多く、PDF化して関係者に配布したり、「書けまっせ!!PDF2」で記入。大変助かっています。

【倉庫・運送】 会社内管理全般にPDFと「書けまっせ!!PDF2」を活用

インターネットからPDFフォームの管理帳票をダウンロードして活用している。「書けまっせ!!PDF2」は、直接PDFに書き込め、更新できる点が便利。

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「書けまっせ!!PDF」は、現在、V3の開発を鋭意進めていますが、こうして多くの方々に利用していただいていることを知り、V3の開発にますます力が入ります。ご期待ください。(え!まだ早いって?)

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2007年07月09日

PDFビューアにタブ表示機能の時代が来るか?

PDFのビューアといえば、Adobe Readerで決まりという時代が長く続いてきたが、今後、数年でPDFビューアにも新しい時代がやってくるかもしれません。

サードパーティのフリーのPDFビューアでは、高速で人気のFoxItビューアがあります。FoxItビューアは、通常のPDFを表示するにはかなり便利でそこそこの精度が出ています。

今日、ちょっとインストールして動かしてみました程度ですがPDF-XChange Viewer 1.x(英国のTracker Software Products Ltd)というのも結構いけそうです。

窓の杜からダウンロードできます。
http://www.forest.impress.co.jp/article/2007/06/19/pdfxchanview.html

速度は、FoxItビューア並みのような気がします。計測したわけじゃありませんが感覚的に。
この特徴は、タブブラウザ的にPDFをいくつも開いて切り替えできることです。次の図をご覧ください。
20070709.PNG

この図では現在3つのPDFを開いています。
3つのPDFに対応するタブがあって、タブで選択することで表示対象のPDFを、瞬時に切り替えることができます。

それから、このPDF Viewerは注釈をつけたり、線や円を引くこともできると説明されています。(ちょっとやってみた範囲ではうまくできませんでした、使い方が悪いかもしれませんが)。注釈やコメントなども簡単なものは無償になってしまうかもしれませんね。

いづれにせよ、海外ではPDFの表示にAcrobat Reader以外の選択枝が、だんだん増えているということなのでしょう。

ちなみに、アンテナハウスもPDF Viewerを作っています。
Antenna House PDF Viewer SDK

弊社の場合は、アプリケーションを開発するための基盤技術として位置づけていますので、Viewer単独で公開する予定はないのですが。

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2007年07月08日

PDF 戦線異常あり?

ソースネクストは、2007年6月に「いきなりPDF Professional3」を発売しました。

Webページはこちら。
http://www.sourcenext.com/titles/use/80130/

これは、次のような機能をもつPDF作成ソフトです。
・一括PDF作成(出力)
・ドラッグ&ドロップPDFページ編集
・PDF編集(PDF注釈作成、リンク作成)
・PDF結合・分割

価格は2,970円です。
この製品の開発元は弊社です。

現在、ソースネクストの「いきなりPDFシリーズ」のWebページを見ますと、ラインアップがかなり整理されて、「いきなりPDF2」(1,980円)が消えています。また、「いきなりPDFtoData2」(1,980円)も消えています。

http://www.sourcenext.com/titles/pdf/

一時は10製品以上あったと記憶していますが、2007年7月7日現在では、6製品に整理され、「いきなりPDF」シリーズで、1,980円のものは、「いきなりPDF from スキャナ2」のみですね。

「いきなりPDF2」は、アマゾンでもVectorでも取り扱い終了したようです。1,980円の「いきなりPDF」シリーズは、市場から姿を消しつつあるということなんでしょうか。1,980円は安すぎて儲からないと判断したのかどうか?関心がもたれるところです。

でも、すくなくともビジネスの世界では、1,980円という価格は必ずしもユーザの求める価格ではないと思いますし、長い眼で見れば、ある程度高い価格で利益を確保していかないと新しい製品を生み出す力を維持できないですので、私的には歓迎です。

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2007年07月07日

「書けまっせ!!PDF2」のユーザ利用例のご紹介

「書けまっせ!!PDF2」のユーザー様を取材させていただき、利用例としてまとめた「ユーザー利用例のご紹介」ページを公開しました。様々な職種、いろいろな業務に幅広く応用されています。皆様のご参考にしていただければ幸いです。

○利用例目次ページ
http://www.antenna.co.jp/kpd/casetop.htm

現在、公開されていますのは次のような例です。

【公認会計士・税理士】 国税局への提出書類の作成や修正を「書けまっせ!!PDF2」で

国税局が公開している提出書類の多くはPDF。横浜市にある会計事務所では、「書けまっせ!!PDF2」を巧みに使い、税務上の様々な書類作成にPDFをうまく活かしています。

【建築・設計】 PDFの図やグラフへ「書けまっせ!!PDF2」を使って書き込み

東京にある大手ゼネコンの研究所では、音響調査で作成したグラフをPDF化し、コメントや図形の追記などに「書けまっせ!!PDF2」を活用しています。

【製造業・自動車】 内外からの文書をPDF化し、営業などに活用

横浜市にある自動車架装メーカー株式会社シンセイでは、内外の文書をPDF化して管理運用しています。PDFへの書き込みができる「書けまっせ!!PDF2」を使って業務の効率化を進めています。

【施工・販売】 住宅の施工・販売関連業務に「書けまっせ!!PDF2」を利用

新潟県長岡市のアーバン住宅総合センターでは、「書けまっせ!!PDF2」を使用することで、建築・建設業で使われる様々なPDF書式を活用しています。

【教育】 小学校の教頭先生も「書けまっせ!!PDF2」を活用

学校文書では日付や名前を修正するのに活用。文献・資料などをPDFで管理し、「書けまっせ!!PDF2」でコメントを記入。雑誌等の原稿の校正にも利用されています。

【大学・研究機関】 理工学部の教授、「書けまっせ!!PDF2」を活

研究教育用のフォーマットの定められた書類や、文部科学省への申請書類など、最近はPDFが多く、非常に重宝しています。

【生活】 証券会社への申請、税務署への届出、会社の保養所申し込みなどに不可欠

大手家電メーカーを退職し、老後を楽しんでいる大阪在住のHさんは、年とともに目が不自由となり、書類への書き込みは画面で拡大表示ができるPDFが一番とのこと。「『書けまっせ!!PDF2』を使うことでPDFに直接記入してそのまま提出することが可能になり、再利用もできて便利。」

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こうしてみますと、思った以上に様々な使われ方をしているのにびっくりします。やはり、PDFは電子の紙だけあって、紙が使われているあらゆる分野で利用できるのですね。今後より多くの方にお使いいただきたいと念願しています。

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2007年07月06日

PDFによる決算公告の増加 — 続き

会社や組合が行わねばならない公告について、昨日に続けて少し調べてみました。

まず、公告については、(1)決算公告と、(2)会社の分割や合併など決算公告以外に分かれます。
○会社法に基づいて、会社・組合等の各種法人等が行う主な公告は次のものです。
* 合併に関する公告
* 会社分割に関する公告
* 組織変更に関する公告
* 解散公告
* 資本金の額の減少及び準備金の額の減少公告
* 基準日設定公告
* 定款変更等通知公告
* 組織再編等通知公告
* 株券等提出公告
* 外国会社の全ての日本における代表者の退任公告

公告対象と公告の手段についてはこちらに一覧があります。
http://www.gov-book.or.jp/contents/user/koukoku/5_kaisya_kumiai.html
これを見ますと、半分位は官報で行うことになっているようです。残りの半分が、定款で決めればその他の方法でも良いということになります。

その他の方法のひとつとして電子公告が位置づけられることになります。

電子公告制度については次に概要があります。
○電子公告制度について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji81.html

電子公告の中で決算公告は別扱いとなります。特に、法人登記すべき事項についての公告は、調査機関に調査を委託して、調査機関が正しく公告されたかどうかを調査し、その調査報告書を法人登記の申請書に添付する必要があります。

○決算公告の特例
・決算公告では、調査機関の調査は必要がありません。
・電子公告を公告方法とする場合、官報や日刊紙に公告する場合と違って、全文を掲載しなければなりません。これは、なぜか理解できませんが、官報などでは要旨のみで良いので公開する側にとっては望ましくないかもしれません。
・決算公告は公開は定時株主総会の終結の日から五年を経過する日までの間継続して行わないといけない。5年継続してやっていることをどうやって証明するのでしょうね?
・自己のWebページでも良いですが、URLを登記する必要があります。
・決算公告は法律で義務付けられていて、違反は100万円以下の過料処分です。う~ん。

電子決算公告を掲載するサービスを提供しているWebには、昨日の電子決算公告推進協議会のほか、CSCがあります。電子決算公告推進協議会の料金は分かりませんが、CSCの場合は、料金が5年間で10数万円になりますので官報よりは高くついてしまうようです。これだけですとあまりメリットを感じません。

○会社の合併などは登記するために調査機関の調査報告が必要です。
調査機関は現在5社が登録されています。
登録された電子公告調査機関一覧

調査費用は、1件20万円前後から30万円くらいです。

調査会社に調査を依頼しますと、法務局に通知がいきますので、法務局で電子公告掲載中の会社の公告の情報を把握できるようです。Webで検索できます。

・法務省電子公告システム
http://e-koukoku.moj.go.jp/

実際に検索してみますと、公告情報は全てPDFになっています。
調査機関は、調査期間中、PDFが改竄されていないことをチェックしなければなりません。各調査会社はどのように改竄の有無をチェックしているか分かりませんが、これはPDF電子署名を使うと一番良い場面です。この場合のPDF電子署名は内容の改竄のチェックということになりますので、タイムスタンプでも良いでしょう。

しかし、検索してみたところ、実際はPDFにオーナー・パスワードセキュリティ(編集禁止など)をかけているだけで、電子署名をつけている企業はほとんどありません。

オーナー・パスワードセキュリティだけで改竄されてないことを立証するのに十分なものなのでしょうか?調査会社はそのことをどうやって保証しているのでしょうか?

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2007年07月05日

PDFによる決算公告の増加

会社を設立したことのある人でしたら、会社の決算などの重要事項について公告をしなければならない、ということは知識としては知っていると思います。

こうした公告は、以前は官報で行ったり、日経新聞の紙面で行ったりすることが中心でした。官報は価格も安く比較的簡単に利用できましたし、会社設立のための定款の解説書でも官報を紹介している例が多いと思います。

しかし、実際には大多数の企業、特に中小企業は公告をおこなっていないのが現状と思います。以前は、決算公告の義務違反と、株券発行の不実行ということが2大商法違反項目だったとか。

このうち、株券発行については、以前は、「株券を発行しない」と定款に明記しないと株券発行会社として扱われたのですが、2006年5月から施行された新会社法では、逆に、「株券を発行する」と明記しないと株券を発行しない会社として扱われるようになりました。つまり、既定値が「株券を発行しない」に変わったことで、株券発行の不実行という会社法違反は減ると見込まれているようです。

それに対して、決算公告については、新会社法でも義務とされました。そしていままでは商法違反に対する罰則は緩かったようですが、今後は、新会社法違反に対しては、中小企業であっても厳しい罰則が科せられるようになると予想されています。社会全体として法律準拠への要求が高まっているということです。

また、これは新会社法以前からですが、公告をWebで行ういわゆる電子公告が認められています。電子公告を行うには、定款に公告するサイトのURLを記載するように定款変更を行わねばなりませんけれどもそうすれば、Webページで公告を行うことができます。

そんな背景があって、電子公告が増えています。そして、その電子公告の媒体としてはPDFが主に使われているようです。

今日は、NPO「決算公告推進協議会」の方にそんなお話を伺いました。
■決算公告推進協議会
http://www.kessan-koukoku.or.jp/index.html

「決算公告推進協議会」のWebサイトではバランスシートをPDF形式で一定期間公開することができます。

「決算書」(B/Sサンプル)

この話を伺って、調べましたところ、他にも決算公告をサービスするサイトが出てきているようです。PDFによる電子公告はこれから大きな成長が見込まれます。

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2007年07月04日

電子帳簿保存法

先日、電子帳簿保存法について、国税局の担当者の説明会があって出席してみました。国税局の担当者の過激な発言がいろいろあって面白かったです。それにしてもビジネスの現実からはかけ離れたこともあります。

第一.見積書保存の問題
一番あきれたのは、法人税法施行規則(青色申告法人の決算)の第五十九条(帳簿書類の整理保存)についてのやり取りです。まず、第五十九条を紹介してみましょう。
第五十九条 青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、七年間、これを納税地に保存しなければならない。
一 第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
二 棚卸し表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
三 取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他、これらに順ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

上で挙げた書類を7年間保管しなければならないのですが、その中で、送り状や見積書を保存しなければならないというのは、会場の参加者からも疑問の声が上がっていました。

そこで、いろいろ質問しましたが、驚いたのは、成立しない取引の見積書も保存しなければいけない、という回答です。

当日配布された資料には次のように書かれています。
『平成16年度に定期的に行った国税庁とJIIMAやJBMIAなど関係4団体との協議会の中で、国税庁担当官から見積書を例に上げて、「採用されなかった見積書でも保存の義務があり、これを電子化した場合、検索できなければならない。採用しなかった見積書を電子化文書にして保存しない場合は、当該の見積書を受領した相手方に確実に返却しなければならない。」との説明を受けている。』

成立しない取引の見積書保存の問題は、単に聞かれたから、やむを得ず回答したわけではなく、確信犯ということになります。

取引の定義が法人税法のどこにあるか、調べてみていませんが、常識的に考えて取引は資材とお金をやり取りすることと考えられます。普通、お金をやり取りしたことのない相手を取引先とは言わないでしょう。従って、成立しない取引は通常の意味では取引とは看做さないと思います。値引き交渉のために他の会社から見積もりとったり、また、一旦見積をとったうえで、予算にあわないという理由で購入をあきらめることもあります。こうした、交渉事はビジネスの世界では日常茶飯事です。そのような単なる交渉のための言ってみれば引合レベルの見積もり書までも7年保管しなければならないということであれば、あまりにも非現実的です。

それに、上述のアンダーラインの部分は、自己矛盾を露呈しています。つまり、自己の手元にあれば保存しなければならないが、返却すれば保存しなくても良いということですが、これを抽象化して言えば、保存しても保存しなくてもどちらでも良いということになります。

で、こうした初歩的な事柄からスタートして、電子帳簿保存法はなかなか大変だということが良く分かりました。

第二.電子帳簿保存法のみなし承認とは

みなし承認とは、税法及び電子帳簿保存法の趣旨・要件を、それぞれの納税者が申請したシステムが遵守していることを納税者自身が宣言するものである。自ら宣言した内容に違反や誤りがあれば青色申告法人を取り消す方針で望む

とあります。

特に、スキャナは問題で、紙をスキャナーで取って電子化し、オリジナルの紙を廃棄してしまったあと、国税庁の調査でシステムが電子帳簿保存法の要件を満たさないことが判明した場合、電子データがあったとしても、上述の第五十九条の保存の要件をみたしていない、書類が保存されていないということになります。従って、青色申告法人取り消しだそうです。

こういう話を聞いて、ああ、日本では紙がなくなる日は来ない!と言う感想を持ちました。

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2007年07月03日

PDF社内勉強会のパワーポイント資料

今日は、ある会社で、PDFについての社内勉強会の講師を2時間ほど勤めさせていただきました。

そのために作成したPPT資料を公開します。内容のレベルとしては、PDFを日頃からお使いになっている人が対象となると思います。そういう意味では、表題の「PDF活用のための基礎知識」の基礎知識と言う単語は適切かどうかは「?」です。

「PDF活用のための基礎知識」(PDF ファイル)
http://www.antenna.co.jp/PDF/reference/Seminar-20070702.pdf

いずれにしてもPDFは、これから、ますますユーザ層も増えていくと思いますし、使いこなす上で多少の仕組みを知っている方が何かと好都合と思います。ソフトの供給者としては、技術知識をもっていなくても使えるソフトを作らねばならないと思いますが。

PDFについて、勉強してみたいという必要がありましたら、ぜひ、気軽にお声をかけてください。どこでもお邪魔したいと思っています。

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2007年07月02日

日本企業の文書デジタル化は、未だ、紙中心から変化なし

社団法人 日本画像情報マネジメント協会が発表した、「日本版SOX法導入に伴う内部統制と文書の電子化に関する緊急アンケート調査」の調査結果概要を見て驚いてしまいました。

Q1:文書の電子化の状況
・十分 1.2%
・概ね十分 25.4%

合わせても1/4しか文書の電子化が進んでいない、と回答しています。

Q2:e文書法について、概ね知っているのは31.6%、内容を知らない人を含め、知らない人が7割近い。

Q3:JSOX法は、現在、プロジェクトを立ち上げた段階が大半。
で、JSOX法のドキュメントの保存方法としては、
・紙文書のまま記録 52.5%
・紙文書を電子化して記録 34.7%
・すべて最初からデジタルデータで管理 18.8%

ということで、最初からデジタルでデータ管理を計画している会社は2割を切っています。

この調査は、3000社に発送して、177社回収(回収率 5.9%)ということで、きちんとした統計調査としてみるには回収率が低すぎると思います。しかし、回収率が低いと言うことは関心の高い人からの回答に偏っているはずですので、実態よりもかなりプラスの方向にバイアスが掛かった数値になっていると思います。

ということは、デジタルデータ派ってほとんどいないということになりますね。

しかし、この結果は、販売管理ソフト、会計処理ソフトなどの業務ソフトのPDF対応が遅れているという実態を考えるとうなずけます。要するに日本のビジネスマンの中で、PDFを使いこなしている人って極僅かってことじゃないでしょうか。

※デジタル化=PDFはかなり飛躍していると、反省しました。

出典
(社)日本画像情報マネジメント協会
「日本版SOX法導入に伴う内部統制と文書の電子化に関する緊急アンケート調査報告書」

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2007年07月01日

「書けまっせ!!PDF2Vista対応版」 ベクタープロレジ大賞にノミネート

弊社の「書けまっせ!!PDF2Vista対応版」が、株式会社ベクターの「第9回ベクタープロレジ大賞」にノミネート!

ベクタープロレジ大賞は、同社が半年に一度実施しているものです。2007年上半期で人気のあったダウンロードソフトから候補作品をノミネートし、各部門賞並びに大賞を投票により決定するものです。

「書けまっせ!!PDF2」は文書作成ソフト部門にノミネートされています。文書作成部門では他に、「ATOK 2007 for Windows DL版」「一太郎2007 DL版」「キングソフトオフィス2007」「筆まめSelect2007 Windows Vista対応版」があります。なかなか錚々たるライバル作品が多いですが、この際は、ぜひ、「書けまっせ!!PDF2」に投票をよろしくお願いします。

特にユーザでなくても投票はできるようです。

ベクタープロレジ大賞のページはこちらからどうぞ。

第9回ベクタープロレジ大賞投票受付中

前回は、1月に、「リッチテキストPDF2 D&D」がノミネートされました。その時のライバルはソースネクストの「いきなりPDF to Data2」、「本格読取」、ジャストシステムの「一太郎2006キャンペーン版 DL版」でしたが、確か、前回のプロレジ大賞は「一太郎2006」だったような。「一太郎」にはなかなか根強いファンがいるようですが、今度こそ雪辱!

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