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2007年07月25日
PDFと長期署名(5) — PDF/A 仕様 3
ISO 19005-1(PDF/A-1)の規定を引き続きチェックしてみます。
3.グラフィックス
PDF/A-1ではグラフィックスについてかなり大きな制約を課しています。
出力インテント辞書のSキーに GTS_PDFA1を定義
PDF1.4から文書カタログ辞書にOutputIntentsというキーが定義されました。OutputIntentsキーには、出力インテント辞書の配列によって、文書を可視化するデバイスのカラー特性を記述することができます。PDF/A-1ではOutputIntentsキーに出力インテント辞書を定義することができます。そしてPDF/A-1出力インテント辞書を、出力辞書のSキー(タイプ)にGTS_PDFA1を設定し、そのDestOutputProfileキーの値として妥当なICCプロフィール・ストリームを設定したもの、と規定しています。
もし、出力インテント辞書が複数あるときは、DestOutputProfileキーの値は全て同じICCプロフィール・ストリームでなければなりません。
カラー空間をデバイス独立にすること。
PDF/A-1ではカラーを測色定義などにより、仮定や外部に依存しない、デバイス独立にしていくことが求められています。このために、カラーは、デバイス独立のカラー空間を使うか、それとも、OutputIntentsキーを使って指定しなければなりません。
ICCBasedのカラー空間は、ICCプロフィール・ストリームとして埋め込むこと。
すべてのICCBasedカラー空間は、ICCプロフィール・ストリームとして埋め込み、また、リーダは、ICCBasedカラー空間をICC仕様に指定されているように可視化し、Alternateカラーを使用してはいけません。
DeviceRGBまたはDeviceCMYKのどちらかを使用できますが、両方を使うことはできません。
DeviceGrayをOutputIntentがRGBプロフィールであるファイルの中で可視化するときは、リーダはDeviceGrayカラー指定をPDF Referenceに記述されている方法でRGBに変換しなければなりません。DeviceGrayを、OutputIntentがCMYKプロフィールであるファイルの中で可視化するときは、リーダはDeviceGrayカラー指定をPDF Referenceに記述されている方法でDeviceCMYKに変換しなければなりません。
DeviceNまたはSeparationカラー空間に基づくカラー空間の可視化する規則は次の通り。
o 名前のついたカラー素が、すべて、Cyan、Magenta、Yellow、Blackから来ていて、ファイルがCMYKプロフィールである OutputIntentを持つとき、カラー素はPDF/A-1出力インテント辞書で指定されるカラー空間の要素であるとして扱い、代替カラーを使用してはならない。
o 出力デバイスがSeparationカラー空間またはDeviceNカラーをサポートしないときは、代替カラー空間を使う。
イメージ辞書
代替カラーを示すAlternatesキーやOPIキーを含んではなりませんので、PDF中のイメージを他のイメージで置き換えて表示することができません。もし、イメージ辞書にInterpolateキーを含む場合、その値はfalseでなければなりません。このため、PDFに含まれているイメージの解像度が出力デバイスよりも低いときにも、低いままで出力します。
XObject
フォームXObject
繰り返し使うようなグラフィックス命令のセットをフォームXObjectとして定義できます。フォームXObject 辞書にOPIキーを使えません。PostScriptコードは、PostScript XObjectとして定義する方法の他に、フォームXObject辞書にSubType2キーの値PSでも定義できますが、PDF/A-1では、このようなPostScriptコードを使えません。
※PostScriptについては、PDF Reference 1.4には書いてありませんが、次のerrataに記述があります。
http://partners.adobe.com/public/developer/en/pdf/PDF14errata.txt
Reference XObject
Reference XObjectは、PDFの内容を他からインポートすることができる機能ですが、これは禁止されています。
PostScript XObject
PostScriptプログラムの一部のコードをそのまま取り込むことは禁止されています。
その他
* ExtGState辞書にはTRキーを含んではいけません。TR2キーを含むときは値はDefaultでなければなりません。リーダはHTキーを全て無視します。
* イメージなどはデバイス独立で指定しますが、それでも微妙な調整を可視化インテントで指定できます。この値はRelativeColorimetric, AbsoluteColorimetric, Perceptual, Saturationのどれかにしなければなりません。
* コンテント・ストリームはPDF Reference1.4に定義されていないオペレータを含んではいけません。
※カラー空間の話は、実際のところ、私にはあまり良く理解できていません。
投稿者 koba : 2007年07月25日 08:00
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