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2006年07月31日
PDF/X-3
さて、次は、PDF/X-3を調べてみたいと思います。
PDF/X-3は、カラー管理ワークフロー用に適した完全交換という副題が付いています。
2002年版と2003年版があり、それぞれ次の仕様書で規定されます。
ISO 15930-3 PDF/X-3:2002 PDF Reference 1.3 ベース
ISO 15930-6 PDF/X-3:2003 PDF Reference 1.4 ベース
1.準拠ファイルとツール
PDF/X-3の仕様に準拠するファイルとは、PDFファイルであってISOの各仕様書に準拠するものです。準拠するファイルには、印刷に関係ないPDFの他の機能を含むことが許されます。
PDF/X-3に準拠する書き手(ライター)はISOの各仕様に準拠するファイルを書くことができなければなりません。一方、読み手は、各仕様に準拠するすべてのPDF/X-3ファイルを読むことができなければなりません。さらに、PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003も処理できなけれなりません。
PDF/X-1aは、PDF/X-3の下位規定になりますので、PDF/X-3のリーダは、PDF/X-1aも読めないといけないわけです。
2.完全交換
PDF/X-3は、PDF/X-1aと同様完全交換の規定です。従って、複合実体のすべての部品がPDF/X-3のファイルに含まれていなければなりません。
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2006年07月30日
ウィキペディアのPDFの説明
インターネット上のフリー百科事典 ウィキペディア(日本語)にPDFの項ができています。
こちらでご覧いただけます。
Portable Document Format - Wikipedia
簡潔にまとまっていて、しかもやさしく書かれていて、とても読みやすい説明だと思います。
内容的には、かなり最近書かれたもののように思いますが、一体誰が書いたのでしょう?
それにしても、GoogleでPDFを検索すると、2,930百万件ヒットしますが、Portable Document Format - Wikipediaが、4位になるってのがちょっと悔しい。
「PDF千夜一夜」は、24位だってのにね。
でも、Googleで日本語に絞って検索すると、「PDF千夜一夜」は、41位だけど、Portable Document Format - Wikipediaは100位以内に出てきませんね。
その代わり、PDFが主題でない文書がいっぱいヒットします。ノイズが多いということなんですが、このあたりGoogleの検索のランク付けのロジックがよく分からないなあ。
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2006年07月29日
MicrosoftのWinFX
最近、個人的にはWindows技術にあまり関心がなくなってしまいましたので、新しいWindows技術動向には疎くなってしまっています。
最近届いた、日経SYSTEM(2006年8月号)を見てましたら、テクノロジ最前線で、WinFXは、.NET FrameWork 3.0 になるという記事がでてました。(pp. 122~127)
WinFXはWin32APIを置き換えると鳴り物入りで宣伝されてきたのに、結局はWindows本体に入らずに、傍系の開発環境になってしまった。こういう顛末を見るにつけて、どうしてもMicrosoftの言うことは眉唾で聞かないと危ないという印象をもってしまいます。
どうも宣伝が先立ちすぎているんですよね。
ところで、2006年03月19日のブログ.NETの未来 Microsoftは.NETに賭けていないのかの中で、Richard Grimes氏の記事を紹介しました。
そこで、「NET2.0は、Vistaのベータ版と一緒に提供されている。しかし、WinFXはVistaの一部として提供されておらず、独立にインストールする必要がある。」という部分を紹介しました。
他の人からも、WinFXは、VISTAのベータ版ではオプションになっているということも聞きました。
しかし、日経SYSTEMの記事では、.NET3.0は、2006年末に出荷開始予定のクライアントOS「Windows VISTA」に標準搭載されると書いてあります。
このあたり、どちらが正しいのでしょうね?
ま、アンテナハウスはコアのプログラムを、.NETで作るつもりはないのでどっちだって良いんですが。マイクロソフトの真意はどうなんでしょうね。
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2006年07月28日
PDF:RGBワークフローとデジタルカメラ
先月上旬に行われましたPDF Conference 2006でPDF/X-PlusJのミニセミナー。
セミナーの参加者は、少なかったのですが、その時の話で印象に残りましたのは、大日本スクリーンの「PDF入稿ソリューションのご紹介」のRGB/PDFワークフローの紹介です。
概略は次のようなお話だったと思います。
1.PDF/X-1aの基本はCMYK画像の入ったPDFを受け渡すCMYKワークフローである。
2.しかし、実態として、最近は印刷に使用する画像の80%は、デジタルカメラで撮影したRGB画像となっているとのこと。そうなると、RGBからCMYKへの変換が、印刷の出来上がり品質に大きな影響を及ぼすことになる。
3.そうすると、クライアントの所でRGBからCMYK変換するよりも、印刷会社の段階で集中的にRGBからCMYK変換するほうが品質管理もし易くなる。
そこで、RGB画像によるPDFワークフローを提唱したい、というお話です。これは、大日本スクリーンのColorGeniusACのプロモーションでもありますが、最近のデジタルカメラの普及を考えると、そうだろうな、とうなずけました。
ところで、カシオ計算機が5月に発売したコンパクト・デジタルカメラZOOM EX-Z1000。1010万画素なんだそうですね。しかもこれがアマゾンだと約4万円です。こういうのが出てきますと、やはり、RGBワークフローの方が良いという意見にも説得力がでてくるというものです。
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2006年07月27日
PDF/X-1aについてのまとめ
7月8日から7月26日にかけて連載しましたPDF/X-1aについて一区切りとして、まとめてみました。
こちらにアップしましたので、ご参考にしていただければ幸いです。
なにか、ご質問あるいは、誤りがありましたらご指摘いただければ幸いです。
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2006年07月26日
Adobe Readerのライセンス契約
今日、某所でAdobe Readerを有償のPDF印刷サービスを提供するための端末にインストールして配布しようとしたら、Adobe Reader の有償ライセンスが必要と言われたと聞きました。そうか、そうなんだ。これでまた、弊社のPDF ViewerSDKのビジネスチャンスが広がったと、うれしくなりました。
そんなわけで、皆さんにAdobe Reader のライセンス契約書について、もう一度ご一読されることをお勧めしたいと思います。
アドビのライセンス条件が厳しくなればなるほど、アンテナハウスのビジネスが拡大するチャンスが生まれるというわけです。
そこでAdobe Reader ソフトウェア使用許諾契約書にどんなことが書いてあるか確認してみましょう。
2.2 サーバでの使用と配布
いままで私も気が付いていなかったのですが、Adobe ReaderをWindowsサーバにインストールできるのは、Windows Terminal Serviceを使うときに限られると書いてあります。もし、サーバマシンでAdobe Readerを動かしているケースがあれば、それはライセンス違反ということです。
2.5 変更の禁止
ここでは、次のことを禁止しています。
(1) PDFファイルを他のファイル形式に変換(例: PDFファイルをJPEG、SVGまたはTIFFファイルに変換)するのに使用することはできません。
これを見ますと、PDFを画像化するソフトをAdobe Reader で実現することはできなことになります。確か、そういうパッケージソフトがあったような気がしますが、大丈夫なんでしょうか?
(2) Adobeからの実現技術を使用して起動された文書機能を使用することにより許可された場合を除く、データの局所的な(同一のコンピュータ上における)保存には使うこと。
(3) データ(例: XMLまたはコメントファイル)を含むファイルの作成に使うこと。
(4) 修正のPDFファイルへの保存を目的して使うこと。
(2)~(4)では、Acrobatと同じような機能をもつソフトとAdobe Readerを統合することを禁止しています。
Adobe Reader で禁止しているような使い方をご希望の方は、どうぞ、アンテナハウスOEM担当までお問合せください。
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2006年07月25日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (10)
13.アクションとJavaScript
PDFでは、例えばしおりをクリックした時に、ビューアが新しいアプリケーションを起動したり、音を鳴らしたり、注釈の外見を変更する、JavaScriptを実行するなど、様々なアクションを設定できます。
PDF/X-1aに準拠するPDFファイルは、アクション、JavaScriptを含むことができません。
14.BX/EXオペレータの使用
PDFでは互換オペレータBX/EXが定義されています。このオペレータで囲まれた部分は、PDFの表示ソフトが理解できない場合、エラーにしないで無視するものです。
PDF/X-1aでは、Contentsストリームの中に、PDF Referenceにないオペレータを、仮にBX/EXで囲ったとしても含むことができません。
また、PDF/X-1aのリーダは、BX/EXで囲まれた部分についてもPDF Referenceに従って解釈しなければなりません。
PDFF/X-1aのライターは、BX/EXを使わないことが推奨されています。
15.透明
PDF1.4から透明が定義されました。そこで、PDF/X-1a:2003では、透明を使用しないように仕様が追加になっています。
具体的には、ExtGStateオブジェクトまたはImage XObjectに、SMaskキーを使うときは、値をNoneにしなければならない。
ExtGStateオブジェクトのBMキーはNormalまたはCompatible、CAキーとcaキーの値は1.0でなければなりません。
GroupオブジェクトのSキーにTransparencyの値をもつならば、それをform XObjectに含めてはならない。
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2006年07月24日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (9)
9.PostScript XObject
PostScript XObjectは、PostScriptのプログラムをPDFの中に埋め込むものですが、PDF/X-1aでは使用禁止です。またPSオペレータ
なお、PDF Reference Fifth Editionでも、既に過去のものとして、使用しないことになっています。
PDF/X-1a:2003では、form XObjectsに、Subtype2キーの値PSを使用してはならないことが追記されています。これは、PostScript XObjectを、subtypeキーをformとし、Subtype2キーをPSとしても定義できますので、それを禁止したものです。
10. 暗号化辞書
PDF/X-1aでは暗号化辞書は使用禁止で、PDFのセキュリティ設定は利用できません。
11. 代替イメージ
image XObjectを指定するイメージ辞書には、ベースイメージに加えて複数の代替イメージを登録することができます。これはAlternatesキーにimage XObjectの配列として指定します。これらのすべての代替イメージは同じベースイメージの同じエリアのものでなければなりません。
さらに、各代替イメージには、その特性を指定しますが、DefaultForPrintingキーの値がTrueになるものは禁止されています。
12.注釈
PDF/X-1a:2001では、TrapNet以外の注釈は、完全にBleedBoxの外になければなりません。(BleedBoxがないときは、TrimBoxまたはArtBoxの外)。
PDF1.4で、注釈にPrinterMarkが追加されました。そこで、PDF/X-1a:2003では次のように変更されています。
TrapNetとPrinterMark以外の注釈は、完全にBleedBoxの外になければなりません。(BleedBoxがないときは、TrimBoxまたはArtBoxの外)。
PrinterMark注釈は、TrimBoxかArtBoxの外側になければなりません。
いずれにせよ、PDF/X-1aを画面に表示したり、印刷するとき、注釈が実際のページの内容に重なってはならないことを規定しています。
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2006年07月23日
Googleのクリック詐欺訴訟 その後
7月22日に 2006年06月03日 企業の経営で一番大事なものはなにか?の記事に、福田 平治氏から「The National Law Journal」に記事が出ているというコメントを頂きました。
このコメントにリプライしようとしたのですが、コメントを書き込むことができません。コメントスパムの書き込みを無くすために、先日、ブログサーバにいろいろ設定してもらったのですが、どうも、その際に、自分の記事にコメントを登録できなくなってしまったようです。
システム管理者が夏休みのため、戻るまで返事ができません。福田さん ごめんなさい。
そこで、本文で少しコメントすることにしました。
福田さんの紹介された記事は、The National Law Journalの次の記事だろうと思います。
Google 'Click Fraud' Settlement Criticized
http://www.law.com/jsp/article.jsp?id=1153213525657
内容は、大略、次のようなものです。以下、概要:
1.Googleのクリック詐欺訴訟について、40社以上のオンライン広告主が反対の申告をした。
これについての”fairness hearing”が、7月24日に開催される。ちなみにこれは当初の予定通りです。
2.反対派の広告主2社の代理人であるDarren Kaplan氏は、反対派は、この和解をふっとばすために、銃火を交える以外のあらゆることをしている、と述べた。
Kaplan氏によると、広告主に補償されるのは、6000万ドルの基金の10%に相当する600万ドルに過ぎず、これは、前例の無いほどの過小評価である、とのこと。
3.反対派のIrwin B. Levin 氏は、もっと良い和解のための計算方法があるのではないか、と述べている。また、補償方法が現金でなく、広告費のクレジットになっている、ということにも注意している。
4.Kaplan氏と、やはり反対派のBrian Kabateck氏は、YahooとCheckmate Strategic Group社の間で争われている、クリック詐欺に関して、カリフォルニアで行われている別の集団訴訟の和解案を作成したが、そちらの和解案に近くなって欲しいと考えている。
5.一方、今回の原告側の弁護団は、彼らがYahooと今回の訴訟に関して調停している間に、 Kabateck氏らが、Yahooと秘密裏に交渉していると批判している。
(今回の集団訴訟では、Yahooも対象になっていて、Yahooとは和解案ができていない。)
6.Kabateck氏は、今回の原告側の弁護団は、彼が今まであったどんな弁護士よりも暴力的で、今回の集団訴訟の和解案は米国の歴史上最も悪いものの一つだ、と反論している。
概要ここまで。
この記事を読みますと、Googleのクリック詐欺訴訟を巡って、弁護士間で激しいやり取りが行われている様子が良く分かりますね。
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PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (8)
8.拡張グラフィックス状態
PDF/X-1a準拠ファイルは、拡張グラフィック状態を現すExtGStateリソース辞書の中に、伝達関数(transfer function)キーTR,TR2、あるいはハーフトーンフェーズキーHTPを含んではなりません。
※HTPキーはPDF Reference Fifth Edition には記載がありません。ISO 15930-1, 4の両方に記載があって、PDF Reference に記載がないキーワードです。
また、準拠のリーダは、ハーフトーンキーHTを無視してもかまいません。
ハーフトーンキーHTは、印刷条件特性と一致するように使わなければなりません。また、ハーフトーン辞書のTransferFunctionキーはPDF Reference に指定される通りの方法でのみ使わねばなりません。
PDF/X-1a準拠のファイルでは、HalftoneTypeキーの値は1または5の値をもつことができます。
HalftoneNameキーを含むことはできません。
※ハーフトーンの使用には制限があるとされていますが、仕様書の記載とPDF Referenceの記載を併せて見てもどうも良く理解できません。画像処理の専門家による検討が必要なように思います。
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2006年07月22日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (7)
7.境界ボックス
PDFは、紙と同じようにページの概念をもつ媒体です。PDFでのページは、ツリー構造で管理され、ツリーの葉に相当する部分が1つのページです。これをページオブジェクトと言います。
ページオブジェクトには様々な属性を設定できます。これを設定したデータをページオブジェクト辞書と言います。オブジェクト辞書の設定キーの中でPDFのページ境界に関するキーを次に示します。PDF/X-1aではこれらのページの境界の設定について制限を課しています。
表 ページオブジェクト辞書のページ境界関連項目
キー | PDF/X1-a | |
MediaBox | 必須 | 継承可 |
CropBox | オプション | CropBoxがあるとき、BleedBox、ArtBox、TrimBoxのいづれもCripBoxの境界を越えないこと |
BleedBox | オプション | BleedBoxがあるときは、ArtBox、TrimBoxはBleedBoxの境界を越えないこと |
TrimBox | オプション | TrimBoxかArtBoxのどちらか、一方のみ、が設定されていなければならない。ArtBoxよりもTrimBoxの方が望ましい。 |
ArtBox | オプション |
参考 ページ境界の意味
通常の書類をPDF化した場合のように、PDFを印刷した物が最終印刷物になる場合、MediaBox、CropBox、TrimBox、BleedBoxは一致します。しかし、PDFを印刷用のフィルムに出力する場合は、MediaBoxがフィルムの境界に相当し、TrimBoxが印刷して周囲を切り落としたページのサイズになります。
BleedBoxは、TrimBoxの外側に裁断や仕上げのために必要な幅を確保した領域です。
CropBoxは、ページの内容をクリップするための領域とされていて、他の境界線との関連性はありません。
ArtBoxはDTPソフトなどのアプリケーションが出力するもので、TrimBoxの内部でページの意味のある内容を囲む領域とされています。
※PDF Referenca Fifth Edition 10.10.1 Page Boundaries pp. 890 - 893
DTPなどの出力したEPSグラフィックスをPDFに変換したときなどに使うと、ArtBoxで切り取って他のPDFに埋め込むなどの用途で便利と思います。
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2006年07月21日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (6)
6. PDFファイルの識別
PDF/X-1aのファイルは次のように識別します。
PDFのInfo辞書にGTS_PDFXVersionキーを作成します。
PDF/X-1a:2003ではキーの値が、(PDF/X-1a:2003)となります。
PDF/X-1a:2001ではキーの値が、(PDF/X-1:2001)となります。
PDF/X-1a:2001ではさらに、Info辞書にGTS_PDFXConformanceキーを作成し、このキーの値を、(PDF/X-1a:2001)とします。
このほか、PDF/X-1aの場合は、Info辞書に通常のPDFではオプションのキーを設定しなければならないものがあります。
次に比較表を挙げます。
表 PDF/X-1a の文書情報辞書の一般項目の設定
キー | 通常のPDF | PDF/X-1a |
Title | オプション | 必須 |
Author | オプション | |
Subject | オプション | |
Keywords | オプション | |
Creator | オプション | 勧告 |
Producer | オプション | 勧告 |
CreationDate | オプション | 必須 |
ModDate | オプション | 必須 |
Trapped | オプション | 必須(True, False) |
必須の時、キーワードをゼロバイトにするのは許されません。
TrailerのIDキーは、通常はオプションですが、PDF/X-1aでは存在しなければなりません。なお、PDF生成ソフトはIDキーがユニークになるように作るべき(勧告)とされています。
次の仕様は、PDF/X-1a:2001には記述がありませんが、PDF/X-1a:2003で追加になっています。
PDFファイルを更新したときは、ModDateを更新しなければならず、Catalog辞書のMetadataストリームも更新すべき(勧告)。
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2006年07月20日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (5)
5.トラッピング
多カラーの印刷工程では、色別の版の位置ずれが原因で、印刷対象の周囲にギャップができたり帯ができたりする可能性があります。隣同士の色を重ねること、トラップという、により版が多少ずれても問題が起こりにくくすることができます。
トラッピングは、PDFを作成するソフトで行ったり、中間的なアプリケーションでPDFにトラップを追加したり、あるいは、最終段階のRIP(ラスター・イメージ・プロセサ)で追加することもあります。PostScriptにはトラッピングを設定することができます。しかし、PDFファイルにはトラッピングは直接指定しないで、PDFに付随もしくは埋め込まれるジョブチケットで指定します。
トラッピングを最終工程よりも前に行ったときは、トラップは、トラップ・ネットワーク注釈としてPDFに保存します。
PDF/X-1a:2001、2003ともこの部分は同じです。
まず、PDFの文書情報であるInfo辞書のTrappedキーにトラッピングされたものかどうかを記述します。
Trappedキーは、通常のPDFではオプションですが、PDF/X-1aでは必須です。そしてその値は、次のようにTrueまたはFalseでなければなりません。
・PDFファイル全体がトラッピングされているならば、キーの値はTrue
・PDFファイル全体がトラッピングされていないならば、キーの値はFalse
・一部分だけトラッピングされているものは許可されません。またキーの値がUnknown(PDFの規定値)は許可されません。
PDFファイルにトラップ・ネットワーク注釈を含んでいるなら、Trappedキーの値は、Trueでなければなりません。トラップ・ネットワーク注釈を作成した後で頁を修正したら、トラップ・ネットワーク注釈は無効です。
トラップ・ネットワーク注釈の中で、トラップ・ネットワークの生成の際に代替フォントで置換されたフォントを示す、FontFauxingキーは存在しないか、存在しても空でなければなりません。トラップ・ネットワークを生成する際に想定するカラー空間を示すPCMキーの値は、DeviceCMYKでなければなりません。
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2006年07月19日
PDF Tool V2:よくあるご質問
PDF Tool にお寄せいただいた質問を FAQ としてまとめて行きます。今回は次のご質問に対する回答を「よくあるご質問」に記述しました。ご参考にしていただければ幸いです。
Q. Excel からPDFを一括出力する際に、出来上がったPDF に指定した文字列をヘッダとして書き込みたいのですが、どうやったらできますか? [No.2006001]
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2006年07月18日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003 (4)
4. データ圧縮
PDF/X-1a:2003では、LZWとJBIG2圧縮を除いて使用可能となっています。これに対して、PDF/X-1a:2001は、ImageXObject以外を圧縮するなら、FlateとRunLengh圧縮のみを許可。ImageXObjectを圧縮するならJPEG、Flate、RunLengh、白黒イメージであればCCITT Fax圧縮を許可しています。
2つのレベルの仕様書で書き方が違うため、PDFで扱えるすべての圧縮方式を調べてみないと、この二つが同等かどうか分かりません。
そこで、念のために表を作ってみました。
種類 | PDFで使える圧縮方法 | PDF/X-1aで禁止 |
---|---|---|
カラーとグレースケール | JPEG、JPEG2000(PDF1.5~) | JPEG2000は禁止でしょうね。 |
白黒イメージ | CCITT (G3, G4), RunLength, JBIG2 | JBIG2 |
テキスト、線画、イメージ | LZW, Flate (ZLIB) | LZW |
一見、PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003で同等のように見えますが、問題はPDF/X-1a:2001では、Image XObjectとそうでないものに分けていることです。PDFでは、Image XObjectというのは画像ファイルを埋め込んだものに相当しますが、それ以外にインライン・イメージがあります。インライン・イメージについては、次の圧縮方式が使えます。
LZW, Flate (ZLIB), RunLengh, CCITT, JPEG
※PDF Reference Fifth Edition 4.8.6 Inline Images pp 322- 325
結局、PDF/X-1a:2001ではインライン・イメージの圧縮にCCITT, JPEGは使えませんが、PDF/X-1a:2003では、CCITT, JPEGも使えることになります。表現方法を変えたために仕様が変わっているということです。
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2006年07月17日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003の続き
2.2 DeviceCMYK、Device Grayカラー空間
カラー空間がDeviceCMYKまたはDeviceGrayで指定されているPDFの印刷要素は、出力インテント・オブジェクトにある印刷条件の通りに解釈します。
2.3 Separation、DeviceNカラー空間
CMYKカラーとスポットカラーに対して、SeparationかDeviceNカラー空間を使うこともできます。
PDFのSeparationカラー空間とは、対象となる出力デバイスの一種類の色素に対して名前をつけて指定する方式、DeviceNカラー空間とは、対象となる出力デバイスの多種類の色素に対して名前をつけて指定する方式です。指定した色素がない他の出力デバイスのために代替カラー空間と、そのカラー空間で、指定の色素を合成するための色調変換式を添えて出力します。
PDF/X-1aでは、すべてのSeparationとDeviceNカラー空間のリソースは、代替カラー空間としては、DeviceCMYKかDeviceGrayを使わなければなりません。
送り手と受け手が、別の約束をしていない限り、名前をつけた色素は、意図した出力デバイスで使える独立した色素でなければなりません。
SeparationまたはDeviceNカラー空間で指定したスポットカラーをプロセスカラー色素を使って印刷するときは、SeparationまたはDeviceNカラー空間の代替カラー空間と色調変換式を使います。
代替カラー空間がDeviceCMYKの場合は、PDF/X-1a準拠のリーダは、PDF/X出力インテントで識別されるCMYKを使います。また、DeviceGrayの場合は、PDF/X出力インテントで識別されるCMYKの黒と同等に処理します。
2.4 Index、Patternカラー空間
PDFのIndexとPatternカラー空間は、ベースとなるカラー空間の上にカラーのテーブルを作ってインデックスでカラーを指定するものです。この場合は、ベースとなるカラー空間に対して、上に述べた制約を適用します。
3. フォント
PDF/X-1aでは、使われているすべての文字に対して、グリフ、メトリックス情報、フォントの符号が埋め込まれていなければなりません。
受け手は、システムにインストールされているフォントではなく、PDFファイルに埋め込まれているフォントを使って、描画したり表示したりしなければなりません。
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2006年07月16日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003のカラーの続き
2006年07月14日 PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003の2.カラーの続きです。
2.1 OutputIntentによるカラー印刷特性の識別
PDF/X-1aではOutput Intentを使ってカラー印刷特性を識別します。次にOutputIntentに設定する内容について簡単に整理してみます。
OutputConditionIdentifierには、PDFのテキスト文字列が入ります。これは、RegistryNameとの組み合わせで使います。
(1) RegistryNameは意図する印刷特性を特性データ登録を使って定義するときに限り使用できます。これを使うときは、OutputConditionIdentifierの値は、その登録における参照名(Reference name)に一致しなければなりません。
代表的なものはICC特性データ登録(ICC Characterization Data Registry) です。
ICC Characterization Data Registry
この時、RegistryNameキーの値は、(http://www.color.org)となります。
例えば、Japan Color 2001 Coatedは、ICC Characterization Data Registryの参照名が、JC200103となっています。するとOutput intent辞書の内容は次のようになるでしょう。
<< /Type /OutputIntent % Output intent dictionary
/S /GTS_PDFX
/OutputCondition (JC200103 (Japan Color 2001 Coated ))
/OutputConditionIdentifier (JC200103)
/RegistryName (http://www.color.org)
>>
(2) RegistryName キーがない時、OutputConditionIdentifierには特別な意味を持たせることはできません。
(3) RegistryName キーが存在して、値が (http://www.color.org)ではないときは、その値は、その登録について詳しい情報を入手可能なURLでなければなりません。
また、上の(2)または(3)の場合は、DestOutputProfileが存在しなければなりません。
OutputConditionキーは常に存在するべきで、その値は、印刷特性を、人間のオペレータに分かりやすい形式で、コンパクトに伝える情報にします。
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2006年07月15日
PDF/XとOutput Intent
PDF/Xの仕様の策定に伴い、ドキュメントを印刷する環境や出力デバイスカラー特性とPDF文書のカラー特性をマッチさせるためにPDFのドキュメント・カタログにOutput Intent辞書が追加されました。
Output Intentは、PDF1.3では、PDFの仕様ではなく、アドビのテクニカルノート#5413として定義されました。PDF1.4からPDFの正式な仕様となっています。
まず、PDF ReferenceのOutput Intentの項目を見てみます。なお、PDF Reference の説明とPDF/Xの各パートでの制約には不一致の部分があり、その場合は、PDF/Xの仕様書を優先することになっていますので注意してください。
表 10.50 PDF/X用の出力インテント辞書
キー | 必須かどうか | 値 |
---|---|---|
Type | オプション | OutputIntent |
S | 必須 | GTS_PDFX |
OutputCondition | オプション | 意図する出力環境を人間に分かるようにコンパクトに記述する |
OutputConditionIdentifier | 必須 | 意図する出力環境を人間に分かるか、機械可読な形式で記述する。一般にはICC Characterization Data Registryのような業界標準を使用する。業界標準でない場合、Customとするか、それともアプリケーション独自でも良い。 |
RegistryName | オプション | OutputConditionIdentifierで定義される条件のURI |
Info | OutputConditionIdentifierが標準の生産環境を指定していないときのみ必須 | 意図する環境を指定するための情報を人間に可読な形で記述 |
DestOutputProfile | 同上 | PDFの文書を出力デバイスに変換するためのICCプロファイルのストリーム |
Output Intentは、現在、PDF/Xのみが規定されていますが、将来は、他の用途にも拡張されるとしています。PDF/X以外では、参考情報としての意味しかもちません。しかし、PDF/Xでは重要な役割になります。
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2006年07月14日
PDF/X-1a:2001、PDF/X-1a:2003
次にPDF/X-1a:2001とPDF/X-1a:2003について、主な仕様を見てみます。
1.PDF/X-1aファイル構造
・PDF/X-1aの構造は、まずPDF Referenceに従っていることが前提となり、さらに、PDF/X-1aの仕様で書かれた制限に従わねばなりません。
・事前に各ページを色分割して、一色毎に別々のページオブジェクトにしたようなPDFは、ブラインド交換にならないので許されません。
・PDF/X-1aファイルには、最終的に印刷される要素(印刷要素:print element)と印刷向けでない要素(non-print element)を含むことができます。
・すべての複合実体(compound entity)は、ひとつのPDF/X-1aファイルに完全に含まれなければなりません。つまり、すべてのPDFのリソースや印刷要素を交換ファイルに含むこと。
2.カラー
カラーの規定は、印刷要素のみに適用されます。非印刷要素はどのようなカラーを用いても問題ありません。
印刷要素は、CMYKデータ、グレースケールデータ、またはセパレーション・カラーデータとして交換されなければなりません。
PDF/X-1aファイルの中の印刷要素は、DeviceCMYK、DeviceGray、Separation、DeviceN、Index、Patternカラー空間を、この仕様で規定する制限に沿って使うことができます。
これらのカラー空間は、PDF Referenceに説明されるPDF専門用語です。そこで、PDF Referenceの関連部分から補足して考えてみます。
PDFでは次の種類のカラー空間を使うことができます。
(1)デバイス・カラー空間
DeviceCMYK、DeviceRGB、DeviceGray
(2)CIEベース・カラー空間
CalGray、CalRGB、Lab、ICCBased
(3)特色空間
Pattern、Indexed、Separation、DeviceN
※参考
PDF Reference Fifth Edition 4.5.2 Color Space Families
デバイス・カラー空間とは、出力デバイスが出力する色や陰を直接指定するものです。PDF/X-1aではDeviceRGBを使うことができません。
※参考
PDF Reference Fifth Edition 4.5.3 Device Color Space
CIEベース・カラー空間とは、Commission Internationale de l’Éclairageという国際機関が決めた色の標準で指定する方式です。PDF/X-1aではこれらは使えません。
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2006年07月13日
いまさら聞けないPDF 「PDF活用のいろは」編 セミナー開催
最近、PDFは、紙と同じように、特にビジネスマンの間では、かなり多くの人の日常で使われるようになってきていると思います。
しかし、PDFはどのような仕組みになっていて、どうやったら上手に使いこなせるかをマスターしている人は数少ないのではないでしょうか?
しかし、PDFというのは結構複雑なものです。PDFを使って電子データを上手に交換するには、ある程度の基礎知識は必須です。そこで、アンテナハウスでは、PDFについての啓蒙的セミナーを計画しました。PDF活用をお考えの方はぜひご参加くださいますようご案内します。
詳細とお申し込み: こちらからどうぞ。
テーマ: いまさら聞けないPDF 「PDF活用のいろは」編
内容: PDF初心者向けに「PDF活用のいろは」を実演を交えてご説明します。
* PDFの仕組み。作成する仕組み、表示する仕組み
* PDF作成ソフトの比較
* PDFとフォント。フォントの埋め込み
* PDFのしおりとは。しおりはどうやって作る?
* PDFのリンク。PDFのリンクはどうやって作る?
* PDFデータの再利用。再利用できるPDF、再利用できないPDF
* PDF再利用ツールのリスト、再利用ツールの比較
開催日・時間 :
* 第一回 2007年7月31日(月曜日)16:00-18:00
* 第二回 2007年8月7日(月曜日)16:00-18:00
※第一回と第二回は同じ内容を予定しています。
開催場所:
アンテナハウス株式会社 セミナー・ルーム(毎回定員20名)
参加費用:
各回 3,150円(消費税込み)
セミナー参加者には Antenna House PDF Driver V3 (製品版)を提供します。
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2006年07月12日
PDF Conference 2006 終了
PDF Conference 2006が本日開催されました。といいましても、私は、B1Fで行われたセミナーにはまったく参加していませんので、そちらの様子は分かりませんが。
1Fの別室で行われた、展示セミナーに参加しました。また、13時から13時25分の間ですが、ミニセミナーでもプレゼンをさせていただきました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
ここに、本日のプレゼンの配布資料をアップしました。
XSL Formatter V4のPDF/X、タグ付きPDFサポート等 (PDF)
参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、1Fの展示セミナー会場に来場した人は少なかったですね。もう少し大勢の方に1Fの会場にも立ち寄っていただけると良かったと思います。
PDFConferenceは同じ名前のものが欧米でも開催されています。おそらく、日米のPDF Conferenceの両方に自分で製品を出展した経験をもつのは世界中でも私一人ではないかと思います。
このような機会を与えていただきましたPDFConference実行委員会の皆様に感謝をしたいと思います。
ところで、この1年くらい自分でセミナーにてプレゼンしていませんでしたので久しぶりでしたが、25分という時間があれば、結構いろいろ説明ができるものだなと、改めて思いました。
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2006年07月11日
PDF/X-1, PDF/X-1a その2
第1部の規格は、コンフォーマンスレベル(準拠度)としては次の3つがあります。
(1) PDF/X-1:1999 PDF1.2に準拠して作られた、ANSI CGATS.12/1-1999
(2) PDF/X-1:2001 PDF1.3に準拠し、ISO 15930-1:2001 規格で定める
(3) PDF/X-1a:2001 PDF/X-1:2001と比べて次の3点の違いがあります。
埋め込みファイルへのOPI参照を禁止
PDFのEncrypt辞書(プロテクト)を使用禁止
PDFのInfoオブジェクトにGTS_PDFXConformanceキーの値としてPDF/X-1a:2001をセットする。
さらに、第4部として次の規格が制定されています。
(4)PDF/X-1a:2003 PDF1.4 に準拠し、ISO 15930-4:2003規格で定める。
第4部は、第1部を拡大し、さらに洗練したものとしたもので、第1部との違いは、次の通りです。
・PDFのバージョンが1.3から1.4にあがった。
・OPIを使用しないようにした
・ただひとつの準拠度すなわちPDF/X-1a:2003のみ規定
・PDF1.4の追加機能である、JBIG2、透明、参照されたPDF(Referenced PDF)を不許可とする
PDF/X-1a:2003もCMYKを主とする完全交換を目的とする規格です。
PDF/X-1は、廃止規格とされているという資料もありますが、ISO 15930-4:2003には、PDF/X-1を明示的に廃止したとは書いていないように思います。PDF/X-1を使えば、TIFF、EPSなどをプロキシとしてプレビュー・イメージを埋め込んだ上で、OPIを使って印刷用のファイルを埋め込むような交換方式も可能です。有用な規格ですので、廃止する必要はないように思うのですが。廃止したのかどうかはいまのところ分かりません。
※参考
JBIG2
ISO のJoint Bi-Level Image Experts Groupが開発したモノクロイメージの圧縮方式
JBIGホームページ
Referenced PDF
意味不明です。明日もう少し詳しく仕様書を読んでみましょう。
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2006年07月10日
PDF/X-1, PDF/X-1a (ISO 15930-1:2001)
まず、ISO 15930-1:2001を見てみます。冒頭にPDF/Xは、3つの部分に分かれるとあり、ISO 15930-1:2001は、その第1部にあたります。
第1部 PDF/X-1、PDF/X-1a これはCMYKを中心とする完全交換
第2部 PDF/X-2 印刷データの部分交換
第3部 PDF/X-3 カラー管理されたワークフローに適した完全交換
完全交換と部分交換という言葉をもう少し細かく見てみます。
完全交換と部分交換
印刷された文書は、様々な場所で、様々な組織が作成した部分的なページを集合したものとなります。最終印刷物を作るために用意されたテキスト、グラフィックス、イメージなどを伴う作業単位を複合実体(compound entity)と言います。複合実体は、1ページであったり、ページの一部であったり、あるいは複数のページになります。
完全交換とは、1回の交換の中に複合実体のすべての要素があり、かつ、複合実体を処理するための情報が複合実体の中に含まれるか、もしくは外部の標準で規定されているものです。これに対する概念は、部分交換で、これは複合実体の一部の要素を意図的に除外して交換し、別途入手するものです。
もうひとつ類似の概念として、ブラインド交換 (blind exchange) という言葉があります。
ブラインド交換とは、受け手が、送り手から受け取ったページを、送り手の意図通りにレンダリングするために、事前に技術的な情報の交換を必要としないものです。ISO 15930では、完全交換であれば、ブラインド交換になると考えているようです。
第1部はPDFを使った完全交換を規定します。
このために、交換するPDFファイルには次のものを含まねばなりません。
・フォント、フォントメトリックス、フォントの符号化、カラー空間リソースなどを含むすべてのPDFのリソース
・OPIで外部参照されるファイルはストリームとしてPDF/X-1ファイルに含む
・すべての印刷用の要素が、意図されたひとつの印刷設定のために適切に準備されている
OPI:Open Prepress Interface
もともとAldusが規定したもの。印刷用の高解像度の画像は非常に大きなサイズになるので、印刷用のDTPファイルとは別に保存し、DTPファイルの中には、そのファイルが入る場所を確保し、プロキシとして代わりの低解像度の画像を保存する方式。印刷時にOPIサーバと呼ぶフィルターを通して、高解像度画像と入れ替えます。
PDFでも同じ仕組みがあります。PDFでは、プロキシは画像またはXObjectとして、OPI辞書を伴って保存されます。
※PDF Reference 10.10.6 Open Prepress Interface (OPI) pp. 907~911
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2006年07月09日
PDF/X 規格策定の原則・ガイドライン
PDF/Xには、なぜ、沢山の種類があるのでしょうか?
ISO 15929 では、PDF/Xの規格策定の原則について説明しています。以下に説明を要約してみます。
A1 Introduction
「PDF/Xの策定にあたり、ISO/TC 130/WG2のメンバーは、印刷・出版産業のニーズは、地域と、新聞・出版・カタログ・商業印刷など応用領域によって変化することを認識した。
このような広範なニーズに答えるために、複数の部分から構成されるISO標準を作るアプローチを選んだ。
また、アドビのPDFが進化しているので、PDF/X標準が、異なるPDFのバージョンを参照しても良いものとした。」
このようなさまざまな異なる条件をカバーするということです。
では、ニーズの違いとは具体的にどんなことでしょうか?
A.3 一般的要請
「次のようなニーズの違いに対応することを考える。
・送り手と受け手の間で技術的なコミュニケーションが最小ですむようなブラインド交換と、事前に技術的な合意をした上で行う交換
・一回の交換で必要な要素を入手するか、それとも、一部の要素は受け手のサイトに存在したり、あるいは、別途交換するか(完全な交換、または、部分交換)
・CMYKデータの交換、または、他のカラー空間による符号化
・送り手が期待する印刷の見栄えを指定するか、それとも、送り手が完全な全域データを提供し、受け手が実際の印刷の条件設定に責任をもつか
・オブジェクトに対して外部の参照ファイルを使うか、すべてのオブジェクトがPDFファイルに中に符号化されるか」
上のようなさまざまなニーズを考えて、複数の仕様が作成されたということです。
各仕様では、PDFの中で使用してよいオブジェクト、あるいはオブジェクトの使用に関して制約を追加しています。
A.4 コンフォーマンスの原則
「幾つかのコンフォーマンスレベルが定義されます。
PDF/Xを活用するソフトウエアには、リーダ、ライタ、ビューア、などを含みます。
PDF/Xを生成するアプリケーションは、各コンフォーマンスレベルにおいて、一部の機能のみをサポートすることが許されます。
一方、PDF/Xを読むアプリケーション(ビューア、あるいは検証ソフト)は、当該のコンフォーマンスレベルの全機能を読んで、正しく処理しなければならない、とされています。」
これを見ますと、どうやら、PDF/Xのリーダを作る方が大変なようです。
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2006年07月08日
PDF/X
PDF/X規格は、ISO 15930 で規定されている印刷用のデータ交換を目的としたPDFのサブセットです。
基本的には、印刷するためのすべての情報がPDFファイル内に含まれていて、つまり、PDF/Xに適合したファイルを印刷業者に渡せば、作成者の意図通りに印刷されるということらしいのですが。
次に規格書の名称をあげておきます。ISO 15930規格自体にはいろいろファミリーがあってとても分かりにくいという印象があります。私はもちろん(?)全部読んだことはありません。
# ISO 15929 Graphic technology - Prepress digital data exchange - Guidelines and principles for the development of PDF/X standards
図形技術-製版デジタルデータ交換-PDF/X規格の開発の指針及び原則
# ISO 15930-1 Graphic technology- Prepress digital data exhange-Use of PDF- Part1:Complete exchange using CMYK data(PDF/X-1 and PDF/X-1a)
図形技術-プリプレスデジタルデータ交換-PDFの使用-第1部:CMYKデータ(PDF/X-1及びPDF/X-1a)を使用する完全交換
# ISO 15930-3 Graphic technology- Prepress digital data exhange-Use of PDF- Part3:Complete exchange suitable for colour managed workflows(PDF/X-3)
図形技術-プリプレスデジタルデータ交換-PDFの使用-第3部:色彩管理ワークフロー(PDF/X-3)に適した完全交換
# ISO 15930-4 Graphic technology -- Prepress digital data exchange using PDF -- Part 4: Complete exchange of CMYK and spot colour printing data using PDF 1.4 (PDF/X-1a)
図形技術-PDFを使用するプリプレスデジタルデータ交換-第4部:PDF 1.4 (PDF/X-1a)を使用するCMYKの完全交換及びスポットカラー印刷データ
# ISO 15930-5:2003 Graphic technology -- Prepress digital data exchange using PDF -- Part 5: Partial exchange of printing data using PDF 1.4 (PDF/X-2)
図形技術-PDFを使用するプリプレスデジタルデータ交換-第5部:PDF 1.4 (PDF/X-2)を使用する印刷データの部分交換
# ISO 15930-6:2003 Graphic technology -- Prepress digital data exchange using PDF -- Part 6: Complete exchange of printing data suitable for colour-managed workflows using PDF 1.4 (PDF/X-3)
図形技術-PDFを使用するプリプレスデジタルデータ交換-第5部:PDF 1.4 (PDF/X-3)を使用するカラー管理ワークフローに適した印刷データの完全交換
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2006年07月07日
書籍の自動組版について
今日は、あるIT系の出版社に行きまして、「書籍の自動組版について」というテーマで簡単なプレゼンをしました。
プレゼン資料をここにあげておきます。
書籍の自動組版について
今日のミーティングでは、自動組版には拒否反応がありました。一般的に言って、出版社の人達は、IT系であろうがなかろうが、保守的な人が多いように感じます。
こう書いて、何年か前に、ある出版社の人がまったく同じことをいってたな、と思い出しました。どこの会社か忘れてしまいましたが。
しかし、私自身は、もはや書籍を、QuarkやInDesignで1ページ幾らで制作会社に発注して制作する時代はとっくに終わったと思っています。
ところで、このプレゼン資料を作るにあたり、O'Reillyの書籍のサンプルページをいくつかダウンロードしてみましたところ、FrameMakerで制作しているものが多いようです。書籍をFrameMakerで制作するのは日本では珍しいのではないでしょうか。
特に、米国や英国の出版社は、教科書などを含めて、インドなどにアウトソースする傾向があります。アウトソースするには、コンテンツとレイアウトを分離すると便利なんだそうです。そういう点からもコンテンツのXML化が進んでいると聞いています。このあたりにも日本と米欧の違いを感じます。
日本の出版社にもなんとかしてXMLとXSL-FOで本を自動組版する時代をもたらさねばならないとひそかに決意している次第です。
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2006年07月06日
PDF 生成ライブラリー 新版 仕様書
アンテナハウスのPDF生成ライブラリーが5月に新しくなりましたが、新バージョンの仕様書ができましたのでご案内します。
仕様書は次からダウンロードしていただけます。
このPDF生成ライブラリーは、アンテナハウスのPDFドライバ、XSL Formatter、サーバベース・コンバータなどのPDFを生成するツール類で共通に使用しているものです。
今回の主な機能強化は、PDF/Xの出力、TaggedPDFの出力、対話フォーム(AcroForm)の3点です。
PDF/X、TaggedPDFの出力はXSL FormatterV4.0で使用しています。FormatterのバージョンアップにあわせてPDF生成ライブラリーを強化したと言っても良いのですが。
縁の下の力持ち的な存在になっているものですが、それだけではなくPDF生成ライブラリーそのものをソフトウェア・メーカにOEMライセンスの提供も行っています。
PDF生成ライブラリーを使って何か行うということになりますと、アプリケーションからプリミティブなPDFのオブジェクトの出力を行う必要がありますので、あまり沢山の会社に使っていただいている訳ではありませんが、既にOEM実績もあります。
OEMでご提供できますので、関心をお持ちの方は、oem@antenna.co.jpまでお問い合わせください。
なにとぞ、よろしくお願いします。
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2006年07月05日
PDF Conference 2006 の展示セミナー
6月13日の記事(PDF Conference 2006 開催)に書きましたとおり、アンテナハウスも「PDF Conference 2006」の展示会に参加します。弊社のPDF関連製品を実際に試す良い機会だと思いますので、参加される方はお気軽にいらしてください。
会場の場所ですが、「PDF Conference 2006」のメイン会場は「ゲートシティ大崎」の「ゲートシティホール」(B1F)となっておりますが、「展示セミナー会場」は1Fです。アンテナハウスの展示場所はPDF Conferenceのウェブページでご確認いただけます。
尚、13:00-13:25に「XML 自動組版ソフトXSL Formatter V4 のPDF/X 出力機能」という題目でセミナーを行いますので、こちらも併せてよろしくお願いします。
■PDF Conferenceの開催概要
・名 称/ PDF Conference 2006
・会 期/ 2006年7月11日(火) 10:30~17:00
・会 場/ ゲートシティ大崎 ゲートシティホール・ルーム
電車:JR山手線「大崎駅」下車、東口徒歩3分
・主 催/ PDF Conference実行委員会
・後 援/ アドビ システムズ 株式会社
・協 賛/ テクニカルコミュニケーター協会、社団法人日本印刷技術協会、
PDF/X-PlusJ推進協議会
・Webページ
投稿者 numata : 08:00 | コメント (0) | トラックバック
2006年07月04日
リニアライズドPDFの利用方法 バイトサービング
昨日説明しました、リニアライズPDFは、Web最適化とも言われます。
PDFがリニアライズ(Web最適化)されていると、クライアントからWeb上のPDFの指定ページを高速に表示することもできます。
例えば、Webブラウザで昨日のXSL Formatterのリニアライズ版PDFの100ページをいきなり表示したいならば、ブラウザのURLに次のように指定します。
http://www.antennahouse.com/XSLsample/help/V40/LinearizedPDF/XSLFormatterV40en_V40R1.pdf#page=100
つまり、ページ番号を追加で指定することで、PDFの指定ページを指定します。
もっとも、このページ指定は非リニアライズPDFでも有効です。非リニアライズPDFで、ページ番号を指定する場合は、PDFファイル全体をダウンロードしてからAdobeリーダが100ページ目にジャンプして表示します。この場合、結局、100ページ目を表示するまでの待ち時間の相違ということになります。ネットワークが高速ならあまり差がないね、と言われてしまいそうです。
しかし、通信回線が遅く、また、端末のメモリ容量が小さいときなどは、このリニアライズしたPDFを、ページ単位で端末に送信するバイトサービングを使うと有効でしょう。
《参考》
バイトサービング
バイトサービングを使うにはサーバ側でPDFを1ページずつ送り出してくれる機能が必要ですが、新しいWebサーバはPDFのバイトサービングには対応していると思います。
特に、最近は、NTTドコモのFOMAには、PDFビューア(Acrobat LE)が搭載されているものがあります。FOMAなどで大きなPDFを表示しようとすると、リニアライズとバイトサービングを組み合わせてページ単位にダウンロードするようなことが必須になると思います。
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2006年07月03日
リニアライズドPDFとは
Webページで配布されているPDFをブラウザで開いてみるとき、PDFのページが表示されるまでに時間がかかると感じた場合、リニアライズドPDF(Linearized PDF)かどうかを確認してみると良いと思います。
普通のPDFをAdobeリーダなどのビューアがファイルの内容を表示する際は、PDFファイルの最後まで読まないと表示開始できません。このため、ファイルの容量が大きい(ページ数の多い)PDFをWeb経由で表示しようとすると、全部ダウンロードするまで、画面には、内容がまったく表示されません。
この対策として、Web経由でPDFをできるだけ早く表示するために作られたのが、リニアライズドPDFという仕様です。
リニアライズドPDFは、PDF1.2から導入されています。PDF Reference 1.6 では、付録F(Appendix F)Linearized PDFという章に36ページの説明があります。
付録になっていることからも分かりますが、あくまでオプション仕様ですので、WebにアップするPDFを作る時はこれを意識して作成しなければなりません。
PDFをリニアライズするプログラムは、出来上がったPDFファイルの内容を並び替え処理を行います。このためPDFの作成とリニアライズは2ステップの処理になります。つまり、リニアライズするとその分追加の処理時間がかかるということです。
また、リニアライズ処理済のPDFを暗号化したり、PDFの内容を書き換えたりしますと、リニアライズドでなくなってしまいますので、再び、リニアライズし直しが必要です。
XSL FormatterV4.0には、リニアライズドPDFを出力する機能がありますので、これを使って試しに、2種類のPDFを作成してみました。
データ1:
リニアライズされたPDF(XSL Formatter V4のマニュアル)
作成方法:XSL Formatter V4 R1で作成したLinearized PDF
サイズ:2,673,164 バイト
データ2:
リニアライズされていないPDF(XSL Formatter V4のマニュアル)
作成方法:XSL Formatter V4 R1で作成した非Linearized PDF
サイズ:2,671,214 バイト
この二つのPDFをWebブラウザから表示してみましょう。リニアライズドPDFの方が表示開始までの時間が遥かに短いことを確認していただけると思います。
ちなみに、PDF Tool でも、既存のPDFをリニアライズすることができます。
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2006年07月02日
XSL-FOによるXMLのPDF化 まとめ
6月6日から7月1日まで、お話してきました、
「XSL-FOによるXMLのPDF化」
の内容を少し整理して、XML資料室にアップしました。
こちらからご覧いただけます。
資料がお役にたてれば、また、皆様のご意見、ご感想をいただければ幸いです。
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2006年07月01日
XSL-FOによるXMLのPDF化(22) XSL-FOはマークアップ文書スタイル付けの正統派
いままで見てきましたように、XSL-FOでは、フォーマット化オブジェクトに対して、フォーマット化特性を指定して、組版結果の見栄えやレイアウトなどをきめ細かく指定できます。
フォーマット化オブジェクト毎に指定可能な特性が多数ありますので、この組み合わせは膨大になります。この結果、XSL-FOではCSSよりも遥かに詳細なレイアウト設定が可能になります。
XSL-FOでなぜこのような詳細な仕様ができたかと言いますと、これには、米国を中心とする企業のタグ付き文書の組版への取り組みの歴史があります。
XML以前にSGMLというタグ付き文書の仕様があったことは、前にお話しました。
SGMLにレイアウトを指定して組版するためにDSSSL仕様が1986-87年に開発が始まったと言います。DSSSLの仕様は、10年近い年月をかけてISO/IEC 10179:1996になりました。
この間、DSSSLの仕様完成を待てずに、FOSIの仕様が作成されました。FOSIは暫定的なものとして位置づけられたようで、1997年の仕様が最終版となっています。
XSL-FOのV1.0仕様策定の中心になったのは、IBMのSharon Adler女史とAnders Berglund氏ですが、この二人は、DSSSLの仕様策定にも参画したようです。こうしてDSSSLの仕様がXSL-FOに大きな影響を及ぼしていることになります。
XSL-FOはCSSよりも後に開発が始まったことから、いままで説明しましたようにCSSの仕様も取り込んでいます。XSL-FOが、マークアップ文書を組版するための血統をすべて引き継いだ仕様となっているわけです。
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