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2008年02月29日

電子署名とタイムスタンプは普及してない?

昨日は、『電子署名・タイムスタンプ普及フォーラム2008』に1日参加しました。内容は大変充実しており、勉強になりました。主催者の方にお礼を申し上げます。

今日のセミナーを含め、電子署名・タイムスタンプ関係者が、電子署名、タイムスタンプが普及しないと、いうお話をされることをしばしば耳にします。2000年頃からやっている方々は、もうかなり長いことやっているのに思ったほど普及しない、と嘆かれているのでしょう。

最後の「パネルディスカッション」の冒頭に、モデレータの方が「紙文書と電子文書にギャップがある」「現実の世界は紙文書を前提に最適化されている。法制度も紙文書が前提になっている。」との導入がありましたが、そもそも、「紙文書」と「電子文書」を比較すること自体不適切ではないかと思いました。

紙文書には、手書きの文書あるいはFAXの受信などアナログ生まれの文書があります。

一方、電子文書は、ワープロで作ったり、データベースから取り出されたり、あるいは、Webから入力されたりするデータが元になるとしますと、実体はビットの配列です。それを、人間が認識するために、ディスクプレイに可視化することもありますし、トナーとインクで紙に定着させることもできます。後者は紙文書となります。

ですので、電子文書と紙文書には、「コンピュータ処理段階」対「人間向け」というフェーズの違いがあります。それから、人間向けの中でも、「ディスプレイ媒体」対「紙媒体」という違いがあります。

そう考えますと、紙文書と電子文書を同列に並べて議論するのは、本質的に違うものを比較しようとしていると思えるのです。その結果、議論の論旨が不明になっていないでしょうか?

電子文書が普及しないというのは、デジタル化が進まない・IT化が進まないということを意味していると思います。ですので、これは電子署名やタイムスタンプの前段階の話じゃないでしょうか。

(1)デジタル化が進まない・IT化が進まない、ということと、(2)電子署名やタイムスタンプが普及しないことは、段階を分けて、別のものとして議論する方が良いのではないか、と気になりました。これらが別のものであれば、対策も別に考えねばならないからです。

一足飛びに、乱暴な結論を言えば、日本の行政や市民社会って、まだ、デジタル時代になってない。電子署名・タイムスタンプ以前の社会じゃないの?ってことです。そもそもデジタル化すべきかどうか、という議論もあると思いますけれども。

そういう社会に電子署名・タイムスタンプを普及させようって、それはしんどいですね。

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2008年02月28日

アンテナハウス システム製品保守仕様 のご案内

この程、「アンテナハウス システム製品保守仕様」のご案内を始めました。

弊社は、2000年頃まで、100%近くデスクトップ製品の開発・販売を行ってきましたが、2000年頃からシステム用のコンポーネントの売上が増え始め、昨年では、既に、売上の多くが企業内のシステム用のコンポーネント、特に、サーバ用のミドルウェアになりました。

サーバ用ミドルウエアの場合、安定して24時間連続稼動が必要とされます。また、保守においても、障害発生に対する早期メンテナンスへのご要望が多くなっています。

このため、システム製品全体の保守サービスとして、通常の保守に加えて、今年より、「特別保守」を新たにサービス・メニューとしてご用意致しました。

既に、一部のお客様には、通常の保守契約に加えて、「特急メンテナンス」契約を提供しています。今後は、これをさらに一般的にして、

■期限付き有償保守
* 10Daysメンテナンス
弊社内で現象再現から10営業日以内にメンテナンスリリース版を提供します。
* 5Daysメンテナンス
弊社内で現象再現から5営業日以内にメンテナンスリリース版を提供します。
* 3Daysメンテナンス
弊社内で現象再現から3営業日以内にメンテナンスリリース版を提供します。

■スポット有償保守
上記の期限付き有償保守契約はしていないが、急ぎで対応して欲しいという場合、スポット有償保守契約が必要になります。

という形で新しい保守の契約形態を設けました。

詳しいことにつきましては、弊社のシステム営業グループ(sis@antenna.co.jp)までお問い合わせいただきますよう、よろしくお願いします。

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2008年02月27日

Adobe AIR V1.0 正式リリース 本格的なRIA時代到来か?

ニュースとしてはちょっと遅いですが、25日から、Adobe のAIRの正式版がリリースされました。

HTML, Ajax, PDF, Flash, Flexとなんだかてんこ盛りに印象を受けますが、AIRに限らず、いまは、インターネットとリッチクライアントの関係にひとつの転機が来ている時期かな、という感もあります。

JavaScritpだけでブラウザ上のアプリケーションを作るのも大変だし、こういうRIAプラットフォームを使うのも良いかもしれません。

アンテナハウスは、あまりこういう分野の開発を行ってきませんでしたが、これから少し研究しなければいけなくなりそう。

Flashでワープロを作ったり、XMLをブラウザで編集するツールも出てきています。

現在、店頭販売などの市場では、デスクトップ・アプリケーションの売上がどんどん減少しています。これは、ソースネクストなどの影響で製品が廉価になったこともありますが、むしろ、アプリケーションがブラウザ・ベースになっている面もありそうです。

さらに、RIAが増えることで、デスクトップ・アプリケーションをC++で作るというのは、もう廃れていくかもしれません。C++(かどうか知りませんが)のネイティブ・アプリケーションの代表といえば、Microsoft Officeでしょうけれども、そういうアプリケーションも廃れる可能性もありそうです。

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2008年02月26日

ブラウザでPDF編集 PDFescape

先日、ご紹介しましたPDFtypewriter!の開発元は、ブラウザからPDFを作成したり、編集できるPDFescapeのβ版を公開しています。

http://www.pdfescape.com/
Webからトライアルもできます。

WebブラウザからPDFを表示したり、フォームに入力したりできます。ざっとみましたところ、ブラウザから次のような操作ができそうです。

1.PDFへのテキストの追加
2.円、矩形、などのオブジェクトの追加
2.修正テープで塗りつぶし
3.リンクの設定
4.チェックマークの付加
5.矢印線の追加
6.フォームフィールド(チェックボックスと、)の追加

機能的にはまだあまり充実していませんが、なかなか面白いと思います。

○WebベースのワープロのPDF版?

ローカルのPDFをサーバにアップロードして画像に変換して、ブラウザで表示しています。
PDF Typewriterをサーバ/クライアントに分離したものだと思えばよさそうです。

β版と書いてあるのに、Enterprise版を有償で販売しています。どういう神経をしてるのでしょうね。
 基本料金が999ドルで、100ファイルまでの管理ができるようです。


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2008年02月25日

FlashベースのWebワープロ「Buzzword」の第一印象

アドビのオンラインPDFサービスのページ(http://createpdf.adobe.com/)でFlashベースのWebワープロ「Buzzword」の試行サービスが案内されています。

申し込み:http://www.buzzword.com/

Virtual Ubiquity というベンチャが開発したものですが、昨年12月にアドビが買収したものです。今日はちょっと時間が取れましたので、Buzzwordを少し使ってみました。

開発者のブログ:http://blog.buzzword.com/

○気がついたこと(メモ)
1. まだ日本語は使えないようです。
2. テキストを他のアプリケーションからコピーしてペーストすることができます。無論、Buzzword内部でもOK.
3.表の挿入もできます。
200802251.PNG
4.しかし、イメージは他のアプリケーションからコピーしてペーストはできません。イメージをコピーしてペーストしようとしますと、次の画面が出ます。
200802252.PNG
5.Buzzwordのメニューから印刷->ローカルのPDF Driverを指定することで、編集結果をローカルにPDFすることができます。次のPDFは、Buzzwordで編集して、Antenna House PDF Driverで出力したものです。
ファイルをダウンロード

ざっとみた印象では、Webワープロとしての出来は、Googld Docsをかなり超えているように思いました。問題はビジネスモデルでしょうね。

【参考資料】
Adobeの「Buzzword」と「Share」のリリースでウェブ・ドキュメント戦争いよいよ過熱へ

Buzzword - Adobe FlexとAIRによるRIAワードプロセッサ
Buzzword – RIA Word Processor: Built Using Adobe Flex / AIR

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2008年02月24日

「PDF Typewriter」 すごそう!-->すごくない!

前回(2008年02月18日 「PDF Typewriter」 すごそう!)より、少し間が空いてしまいましたが、PDF Typewriterを少し使ってみました。以下、気がついたことをリストしておきました。

1.編集対象PDFを読み込むときラスター画像に変換して、編集時は画像を背景として表示して編集しています。次の図のように、拡大表示しますと、分かります。
20080224.PNG
このあたりは、「やさしくPDFへ文字入力」と同様です。このためページ数の多いPDFでは、編集開始までの変換時間がかかっています。

3.PDF出力
PDFへの出力時は、編集のために取り込んだPDFではなく、オリジナルのPDFに対して情報を追記しています。ですので、出力したPDFの品質はオリジナル同様に維持されます。

4.日本語未対応
・テキストボックスに日本語文字を入力しても正しく表示されません。テキスト入力コントロールが日本語未対応ということなのでしょう。
・編集対象PDFが日本語文字を含んでいて、フォントが埋め込まれていないときはPDFの日本語を正しく表示できません。
・編集対象PDFが日本語を含んでいて、フォントが埋め込まれているとき、そのPDFの日本語は正しく表示でき、かつ、出力PDFにも反映されます。

5.対応PDF
・PDF1.7まで対応していますが、PDF1.6以降のAES暗号に未対応です。AES暗号されていると、正しいパスワードを入れてもパスワードの再入力を促します。これはあまり良くありません。
・編集禁止設定がなされたPDFに対しても、(英文ですが)文字を入力できます。

6.書式
PDFにテキストを追記する場合、そのテキストの配置を設定したり(右寄せ、中央寄せ、左寄せ、両端ぞろえ、上・中・下に配置など)、文字の大きさを文字単位で設定したりといったきめ細かい設定はできません。

このあたりまで調べて、あまり、大したことのないソフトだなと思いました。
弊社の「Rainbow PDF Write3」(「書けまっせ!!PDF3」の英語版の名称)の方がはるかに優れています。
ということで、調査はこの位にしておきます。

特徴としては、PDFに追記できるオブジェクトの種類が、少しだけ、多いということ位でしょうか。
・ハイパーリンクの追加
・フォームフィールドの追加
・マーカー(Highlighter)の追記

あたりは、「書けまっせ!!PDF3」ではできません。

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2008年02月23日

筋肉質の決算書を作る その4

土地・建物・設備機械などの有形固定資産も不良資産化する危険は常にあります。しかし、販売用ソフトウエアの開発に要した費用を、無形固定資産として計上した場合、それが不良資産化する危険は、土地・建物・設備などが不良資産化する可能性とは比較にならないほど大きいものです。

ソフトウエア会社の経営者は、もし健全な経営をしたいと考えるならば、「販売目的用のソフトウエアの開発費を、内容を問わず無形固定資産に計上することは、行ってはならない。」と思います。

これについては、企業経営審議会「研究開発費等に係る会計基準研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」でも、次のようになっています。

--------ここから------   
「市場販売目的のソフトウェア
ソフトウェアを市場で販売する場合には、製品マスター(複写可能な完成品)を制作し、これを複写したものを販売することとなる。          
製品マスターの制作過程には、通常、研究開発に該当する部分と製品の製造に相当する部分とがあり、研究開発の終了時点の決定及びそれ以降のソフトウェア制作費の取扱いが問題となる。              
イ.研究開発の終了時点                       
新しい知識を具体化するまでの過程が研究開発である。したがって、ソフトウェアの制作過程においては、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」が完成するまでの制作活動が研究開発と考えられる。 
これは、製品マスターの完成は、工業製品の研究開発における量産品の設計完了に相当するものと考えられるためである。
         
ロ.研究開発終了後のソフトウェア制作費の取扱い           
製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動のための費用は、著しい改良と認められない限り、資産に計上しなければならない。                       
なお、バグ取り等、機能維持に要した費用は、機能の改良・強化を行う制作活動には該当せず、発生時に費用として処理することとなる。  
製品マスターは、それ自体が販売の対象物ではなく、機械装置等と同様にこれを利用(複写)して製品を作成すること、製品マスターは法的権利(著作権)を有していること及び適正な原価計算により取得原価を明確化できることから、当該取得原価を無形固定資産として計上することとした。
---------------------------------------------------------------------
三 研究開発費に係る会計処理
研究開発費は、すべて発生時に費用として処理しなければならない。 なお、ソフトウェア制作費のうち、研究開発に該当する部分も研究開発費として費用処理する。
---------------------------------------------------------------------
2 市場販売目的のソフトウェアに係る会計処理
市場販売目的のソフトウェアである製品マスターの制作費は、研究開発費に該当する部分を除き、資産として計上しなければならない。ただし、製品マスターの機能維持に要した費用は、資産として計上してはならない。
---------------------------------------------------------------------
5 ソフトウェアの減価償却方法
無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価は、当該ソフトウェアの性格に応じて、見込販売数量に基づく償却方法その他合理的な方法により償却しなければならない。
ただし、毎期の償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはならない。
--------ここまで------

これを受けて、公認会計士協会も「販売目的用のソフトウエアの開発費を、内容を問わず無形固定資産に計上することは、行ってはならない。」としています。
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針について(日本公認会計士協会)

しかし、国税庁の通達があるため、税務上は無形固定資産扱いをせざるを得ない部分が出てしまいます。このため、会社法上の決算と税務上の申告書に乖離が生じ、ここに大きなリスクが入り込む危険があります。

一般に、会計事務所・税理士は、国税庁側の立場で決算書・申告書を作成する傾向があります。上場会社については、監査法人がつきますので、多少は中立的になると思いますが、非公開企業の場合、経営者自身が細心の注意を払わねばなりません。

国税庁は、多くの有識者が「販売目的用のソフトウエアの開発費を、内容を問わず無形固定資産に計上することは、行ってはならない。」と述べているにも係わらず、なぜ、これを無視して、手前勝手な通達を出すのでしょうか?

これによって、ソフトウエア会社の経営が、非常な危険をはらんだものになり、従業員、投資家、取引先に対しても大きな迷惑を及ぼす結果になる可能性を生み出すことを考えていないのでしょうか?

■参考資料
「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針について」

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2008年02月22日

筋肉質の決算書を作る その3

過去に2回お話しましたように、ソフトウエアの開発費の取り扱いに関する国税庁の通達には、ソフトウエア製品を開発販売している業界にとって、死活問題といえるほどの大きな問題があります。昔からずっと考えていたのですが、ちょうどこの機会に、そのことを整理しておきたいと思います。

1.無形固定資産の額が大きくなること

国税庁の通達通り、ソフトウエア開発費を無形固定資産として計上し、3年間で償却するとします。そうしますと、どれだけの無形固定資産がつみあがるのでしょうか?

分かりやすく、2005年から毎年3千万円のソフトウエア開発費を掛けて製品を作り続けているとします。そうしますと、無形固定資産の残高は、2006年には5千万円、2006年以降は6千万円となります(次の図を参照)。
20080222.PNG

この図で分かりますように、常時、自社製品を開発している会社は、毎年度末に2年分の取得額に相当する無形固定資産を抱えることになります。

2.資産には税金負担が発生する

取得時に経費処理できれば、納税負担額はありません。しかし、3年に分けて経費として発生させることになりますので、初年度に税負担が発生し、2年目から減価償却費に対応する税金が、支払うべき税金から減免されるかたちとなります。

上述の例で、どの位の税負担が発生するかを計算してみました。
200802221.PNG

4年目から新規に発生する税負担額はゼロになりますが、初年度から3年目までに累積で2700万円(6000万円*0.45)の税負担が発生します。4年目からは眼に見えなくなりますが、常時、累積2700万円の税金を過払いになっている状態となります。なお、これは、ソフトウエア資産に限らず、減価償却資産に共通の問題であって、ソフトウエア業界特有の問題ということではありません。

※実効税率は45%で計算。ちなみに、アンテナハウスの2007年度分の申告所得は2億923万円、これに対する納税額(法人税+事業税+都道府県民税+市町村民税の合計額)は、9,470万円です。従って、税率は45.2%となっています。

【問題点】
○不良資産を抱える危険性

ソフトウエアの開発費を構成する費用の大部分はエンジニアの人件費です。無形固定資産と言っても、その実態は、支払ってしまった人件費です。

以前にもお話しましたが、ソフトウエア製品は売れない可能性も大きいので、開発した製品が売れない場合は、人件費が不良資産に化けてしまうのです。

これをそのまま企業の決算書とすれば、その企業の決算書はほとんど粉飾決算であると言っても過言ではありません。

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2008年02月21日

アンテナハウス PDF 電子署名モジュール V1.1を近くリリースします

008年2月末日より、「アンテナハウス PDF電子署名モジュール V1.1」を販売開始いたします。本製品は、PDFに電子署名やタイムスタンプを付けたり、それを検証する機能を企業内システムやアプリケーションに組み込むためのソフトウエア・コンポーネントです。

昨年秋にV1.0を発売しましたが、V1.1では、次の機能を追加しました。

* タイムスタンプでRFC3161-SHA2(512bit)の取得、同256/384/512ビットの検証を可能にしました。これにより、セイコープレシジョン社のサイバータイムの取得と検証が可能になりました。
* PFUタイムスタンプ、アマノタイムサービス3161をオプション機能から標準機能に変更しました。
* 他社製品でつけたPDF電子署名との相互運用性を強化のため、Nuance(米国)のPDF Edit2 ProfessionalでつけたPDF電子署名の検証を可能としました。
* 証明書失効情報(CRL)の取得場所は、従来はURLのみ対応可能でしたが、ディレクトリ問い合わせにも対応しました。

■詳細情報

○ニュース・リリースはこちらです。
PDFに電子署名をつけるツール
アンテナハウス PDF 電子署名モジュール V1.1
2008年2月末出荷開始

○製品のWebページ
http://www.antenna.co.jp/psg/

○評価版のダウンロード
V1.1β版を、次のページからダウンロードしてお試しいただくことができます。
http://www.antenna.co.jp/psg/evaluation.html

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2008年02月20日

筋肉質の決算書を作る 続き

昨日は、「税務上の処理の要求は、企業経営のために正しい決算を行うという観点から適切ではない。」ということをお話しました。

一応、国税庁の通達を上げておきます。

【法人税法上の取り扱いについて】
「法人税基本通達等の一部改正について」課法2-19 平成12年11月20日

http://blog.homu.jp/?cid=30621によりますと、この古いバージョンがあるようですが、国税庁のWebで検索しても出てきません。

○No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5461.htm

販売用ソフトウエアの原本の償却は3年となっています。

一方、企業会計上では、次のような処理が推奨されています。

【企業会計審議会】
研究開発費等に係る会計基準研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書

この解説:
ソフトウエア会計基準 とは

会社の正しい姿を把握するためには、正しい決算書を作成することが非常に重要です。そういう観点では、この企業会計審議会の意見は、経営実務上にも納得できる内容となっています。
昨日の、税務上の取り扱いと比較して示しますと次の表のようになります。

開発フェーズ 税務上の処理 企業会計審議会
税務上の分類項目 税務上認められる償却方法 分類処理
自社開発 製品化前(プロトタイプ開発費) 無形固定資産 研究開発費・任意償却 発生時経費
自社開発 V1.0 無形固定資産 3年で償却 研究開発に分類。発生時経費
自社開発 V1.0超(次バージョン開発費) 無形固定資産 3年で償却 無形固定資産合理的な方法で償却。但し、残存有効期間に基づく均等配分を下回らないこと
自社開発 発売後の製品保守 経費 経費
外注 製品化前(プロトタイプの作成) 無形固定資産 研究開発費・任意償却 発生時経費
外注 V1.0 無形固定資産 3年で償却 研究開発に分類。発生時経費
外注 V1.0超(次バージョン開発費) 無形固定資産 3年で償却 無形固定資産合理的な方法で償却。但し、残存有効期間に基づく均等配分を下回らないこと
外注 発売後の製品保守費 経費 経費

このように企業会計上は、妥当と思われる基準があるのに、税法上の取り扱い通達が、現実離れしているのです。

このために、企業の決算書と納税申告書の作成において、その調整を行わなければなりません。このあたりに毎年、この時期に頭を悩ます問題が発生する理由があります。

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2008年02月19日

筋肉質の決算書を作る

アンテナハウスは12月決算です。2月末には、決算を完了して申告をださねばなりません。弊社の決算と申告で、毎年、一番最後までもめるのが、ソフトウエアの開発に要した費用の処理の問題です。昨日は、怒り心頭に発して、会計事務所の担当者を怒鳴り散らしてしまいました(ご愁傷様です)。

弊社の会社法に基づく決算では、ソフトウエアの開発に要した費用は、できる限り経費として処理しています。しかし、税務上の取り扱いでは、必ずしもそれは認められません。

この問題について、少し、考えてみたいと思います。弊社の場合は、受託開発はあまりなくて、自社製品の開発がほとんどとなります。その場合、開発に要した費用毎に、その税務上の処理は次のようになると理解しています。

開発者 フェーズ 税務上の分類項目 税務上認められる償却方法
自社開発 製品化前(プロトタイプ開発費) 無形固定資産 研究開発費・任意償却
自社開発 V1.0 無形固定資産 3年で償却
自社開発 V1.0超(次バージョン開発費) 無形固定資産 3年で償却
自社開発 発売後の製品保守 経費
外注 製品化前(プロトタイプの作成) 無形固定資産 研究開発費・任意償却
外注 V1.0 無形固定資産 3年で償却
外注 V1.0超(次バージョン開発費) 無形固定資産 3年で償却
外注 発売後の製品保守費 経費

この税務上で要求される処理は、ソフトウエア製品を開発して販売する会社として、妥当で正しい決算処理と言えるのでしょうか?何が妥当で、正しいかということを判断するのは難しいものですが、まず、これを考えてみたいと思います。

販売用のソフトウエアの開発費を無形固定資産として計上し、それを3年で償却する、という考え方の根拠は、発生する費用と収益を対応させるという考えだろうと思います。これは、一般論としては妥当な考え方でしょう。

つまり、建物を建てたとして、その建物が30年間使用できるものならば、その建築費を最初の年に一括で経費として処理するのではなく、建築費を30年で分割して毎年30分の1を経費として処理する考え方を取ることになります。所謂、減価償却の考え方となります。建物の建築費の場合は、そのような考え方をとらないと、建物が完成する毎に大赤字になるということにもなり、投資もできないことになります。
※建物の償却期間は、構造分類毎に決まっていますので、30年は仮定の話です。ご注意ください。

では、販売用のソフトウエアと建物や機械設備と同じ考えで良いのでしょうか。

この二つには、同じ考えを適用できない、非常に大きな溝があります。

・建物や設備は経営上効果を発揮する確度が高い。建築したは良いが、使えないという建物はほとんどないと言って良いでしょう。しかし、販売用ソフトウエアは作ったけれども売れないということが頻繁に起こります。つまり、リスクがまったく違うことになります。
・建物や設備は、作ってしまうと、保守費用というのは、比較的少ないコストになります。それに対して、販売用のソフトウエアの保守費用は非常に大きなウエイトを占めます。場合によっては、開発費よりも保守費の方が多くなることがあるといっても過言ではありません。こうなりますと、開発費は資産で保守費は経費というのは首尾一貫しないことになります。
・建物や設備は成長しません。しかし、販売用のソフトウエアは子供と同じで、成長させないとたちまち陳腐化して市場で死んでしまいます。競争相手と競いあって、毎日毎日改良しないといけないものなのです。また製品ジャンルにもよるとは思いますが、一般的には常に新鮮に保たないとお客さんは購入しません。また、販売用ソフトウエアの技術環境は非常に変化が激しいですから、放置すればたちまち陳腐化してしまいます。3年分割で償却するというのは、市場の実態から完全に乖離していると思います。
・市場で販売する製品の価格は、市場で決まるものであって外部要因で大きく変動します。それに対して、建物や機械類の価値は自社で利用する価値です。市場が価値を決めるものと、社内の利用価値で決まるものを取得価額で資産計上するという同じ考え方を取るのはおかしいでしょう。

こうしたことを鑑みますと、私は、販売用ソフトウエアを、建物・機械類と同じような固定資産に計上するという税務処理の要求は、経営的には妥当ではないと考えます。

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2008年02月18日

「PDF Typewriter」 すごそう!

「書けまっせ!!PDF3」のグローバル版を開発しています。グローバル版とは、大きく出ましたが、グローバルと言っても、最初のバージョンでは英語と日本語しかサポートしません。でも、将来は、全世界の言語をサポートしたいと思っています。自前のエディット・コントロールで、例えば、アラビア語、タイ語、デバナガリ文字を編集することは考えただけでわくわくします。確かそういう日本製エディタがあります。

What is the m17n library?

このWebページは、日本語、英語、タイ語が(なぜタイ語なんだろ?)あります。えーと、話がずれましたが、どんな競争製品がありそうかと調べていましたところ、「PDF Typewriter」というのを見つけました。

「PDF Typewriter」PDFtypewriter Overview
名前からして「書けまっせ!!PDF3」に似ていそうな第一印象です。

○機能
・PDFリーダ:PDFを表示する
・PDFフォーム・フィラー:簡単にPDFフォームを埋める。フォームがないときは、どこにでもテキストを記入できる。
・PDFエディタ:ファイルにページを追加、キーとなる句をハイライト、リンクを追加、ページを削除、ファイルを結合
・PDF作成:PDFのプリント・ドライバでPDFを作成する。イメージとDXFファイルは直接PDFに変換、文書をスキャナで取り込みしてPDF化。
 PDFにフォーム・フィールドを作ることもできる。
・PDFからDOC変換:PDFをMicrosoft WordのDOCに変換する。

○価格
 US$49.00

この機能で、49ドルはすごく安い!

アンテナハウスで言えば、「PDFスイート」(「リッチテキストPDF4コンプリート」と「書けまっせ!!PDF3プロフェッショナル」のセット)並みの機能で、価格は、1/4ということになります。

しかし、海外のソフトは、PRの言葉はすごいが、実際は眉唾というのもありますからねえ。これはひとつ詳しく調べてみなければ。。

(続く)

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2008年02月17日

ありそうな、なさそうな、CGMビューア(2)

CGMをPDF化する方法とその価格を調べてみましたので一覧にしておきます。こうしてみますと、CGM対応ソフトは、歴史が長いだけあって(?)、沢山ありそうです。

1.ビューアを使う
  デスクトップが普通
■IsoView WebCGM(現在は、Arbortext IsoView WebCGM)
http://www.isodraw.com/
○無料と思われます。
ITEDOソフトウエアが開発元です。ITEDOソフトウエア社は、2006年にPTCに買収されました。この結果、ITEDOのIsoDraw製品は、2007年5月1日からArbortext IsoDrawとなっています。

■Larson VizEx CGM Viewer(Larson Software Technology)
https://www.cgmlarson.com/CGM_Central/store.php
○無料と思われます。

■AutoVue
http://www.cimmetry.com/_products/viewers/cgm.html
○一番安いOfficeが、US$122.00

やはり調べますと、CGMビューアは結構あるようです。
■Brava! Viewer
http://www.bravaviewer.com/cgm-viewer.htm

■CGM viewer applet
http://www.bdaum.de/howto.htm

2.コンバータを使う
  デスクトップ、サーバで可能
■CGM Office (Windows XP/2000)
http://www.sdicgm.com/cgm_office.html
○価格US$295.00

3.グラフィック・ソフトで読んで、そのグラフィックス・ソフトを使ってPDF化する
  デスクトップが普通
■CorelDRAW Graphics Suite X4
http://www.corel.com/servlet/Satellite/us/en/Product/1191272117978
○価格 $429.00

■Corel DESIGNER Technical Suite 12
http://corel.ec-shopping.net/shop/COREL010/default.php/cPath/5_45
○価格 94,500円

■ Adobe Illustrator CS3
http://www.adobe.com/products/illustrator/?promoid=BPDEG
○価格 84,000円(US$ 599)

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2008年02月16日

ありそうな、なさそうな、CGMビューア(1)

CGMでググルと、Consumer Generated Mediaなんてのが上位に沢山出てきます。ブログもそのひとつらしいですが。私が知りたいのは、Computer Graphics Metafileの方なんですけど~~。

CGM(Computer Graphics Metafile)は、1987年にISOの標準として出版されましたので、標準になってから、すでに20年を経過しています。

CGM version 1: ISO 8632:1987
CGM version 3: ISO 8632:1992
CGM version 4: ISO 8632:1999

概要は、こちらをご覧ください。
CGM 情報源

XSL Formatterは、CGMについては、長いことサード・パーティのビューアを使って可視化・画像化してからPDFに埋め込むという方法をとってきました。

==========FormatterのWebページより=========
Windows版で、以下のプラグインのいずれかがインストールされている環境で描画可能です。 Solaris/Linux/Macintosh/HP-UX/AIX版では対応していません。 PDFへはラスタイメージに変換されて出力されます。

* ActiveCGM (http://www.corel.com/)
* IsoView / IsoView WebCGM (http://www.isodraw.com/)
* Larson VizEx CGM Viewer (https://www.cgmlarson.com/)

content-type は "image/cgm" です。
================

しかし、Windows以外で使いたいとか、ビューアがうまく使えないとか、サーバ上でうまく動かせないとか、質問・要望が多くあり、またActiveCGMのようにもう販売していない(ようだ)状態になるなどの問題もありました。

そこで、意を決して、CGMのリーダを開発することにして、開発を行ってきましたが、ようやく、ベータ版になりました。現在、米国とフランスの航空機関係の会社に依頼して評価をしていただいているところです。

やはり、CGMに一番熱心なのは、最近は航空機関係です。そういえば、W3CのWebCGM2.0のエディタもBoeingの人が入っています。

WebCGM 2.0
W3C Recommendation 30 January 2007

近く、CGMを自前で読み込んでPDFに変換するCGMRendererをXSL Formatterのオプション製品として発売する予定です。

それにしても、組版ソフトって、一番下流なので、上流から流れてくるデータは全部救い上げないといけません。

MathML、SVG、CGM、Chart。。。限がありませんが、この蓄積が製品の競争力でもあります。

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2008年02月15日

XML10周年

今年は、XMLが制定されてから10周年です。

W3Cは、XML10周年の記念祝典をいろいろなところでやろうとしています。

W3C XML is Ten!
Community Invited to Celebrate XML Everywhere

日本でもXMLコンソーシアム主催の祝賀会が予定されています。

名称:XML1.0勧告10周年記念イベント『XML Today & Tomorrow』
主催:XMLコンソーシアム http://www.xmlconsortium.org/
日時:2008年3月5日(水) 10:00~19:00
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館2階ホール
参加費:XMLコンソーシアム会員、パートナー(後援団体)会員、学生=無料
    非会員=2,000円

詳細情報は、こちらでご確認ください。
http://www.xmlconsortium.org/

10周年。長いやら短いやら。

XMLのお陰で、アンテナハウスは、昔からの念願であった世界市場での製品販売ができるようになりました。XMLがUnicodeを基本としていたことと、それから、国際性ということがさまざまに考慮された設計になっていることがその大きな要因だったと思います。XMLを処理するアプリケーションは、多言語処理をしやすくなりますし、また、XMLを利用した国際標準をサポートすれば、世界共通で使えるものになり、世界の市場で販売することができる製品になります。

3月5日は、私は、ボストンのAIIMに参加する予定ですので、参加できませんが、考えて見ますと、ボストンのAIIMに参加できることもXMLのお陰ということなんですね。人間(会社)の運命は分からないものです。

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2008年02月14日

Page2008 トークショウ「コンピュータ組版の軌跡2」(5)

さて、最後にフォントについての話題を整理しておきます。コンピュータ組版を構成する最大の要素のひとつに、アウトライン・フォントがあります。

写研といえば、組版システムと同時にその高品質なフォントが非常に高く評価されている会社です。

1970年代から1980年代は、文字を出力する技術が光学式出力からレーザ出力(レーザ)とディスプレイへの表示へと変化を遂げた時代です。小野沢氏のお話では、1980年代前半には写研では、雑誌・新聞などのためのレイアウト装置を開発したが、ドットフォントではWYSIWYGにならなかった。しかし、1985年にアウトライン・フォントをバッチ処理組版で使った、とのことでしたので、1985年頃が印刷業界での、ドットフォントからアウトライン・フォントへの移行の端境期だったのではないでしょうか?

現在は、Adobe、Apple、Microsoftの3社が、アウトライン・フォントのベース部分を押さえているように思います。しかし、調べてみますと、写研もCフォントというアウトライン・フォントを1983年に発表しています。

Cフォント(Wikipedia)

ですので、1980年代初めにおいては、決して米国勢に遅れをとっていたわけではないように思います。
1986年に、アドビが写研を訪問して、フォントの提供交渉をしたが断られ、結局、モリサワがアドビにフォントを提供するようになったのは有名な話です。

なぜ写研が、アドビへのフォント提供を断ったか、詳しいことは分からないようですが、島袋氏の推測では、写研は、同社の機器の顧客である中小の印刷会社を守ろうとしたのではないかということです。すなわち、写研フォントをDTPソフトで使うことができるようにしてしまえば、これまで多額の設備投資をして写研のシステムを導入した、印刷会社の仕事が、編集者や制作会社に流れてしまうことになりますので、それを防止しようとしたのではないか?とのこと。

初期においては、モリサワからアドビに提供したフォントは、基本的な明朝・ゴシックのみのようでした。

その後、Windowsには、リョービのフォントを元にMS明朝、MSゴシックが作成されて搭載されるようになり、パソコンでアウトラインフォントが自由に使えるようになってきて、現在では、一般のユーザでも基本的なフォントを使った文書であればWYSIWYGで作成できるようになっています。しかし、まだ印刷会社が使うような高品質なフォントを誰でも使えるという状況にはなっていません。

一方、写研のフォントは、だんだん伝説化しつつあるといったら言い過ぎでしょうか。少なくとも、一般の人が写研のフォントを使って制作した印刷物を目にする機会はだんだん減っているのは間違いないところでしょう。

この間、現在までに約20年を経過しています。しかし、いつでもどこでも高品質フォントを使って、文書を可視化できるという状況ではありません。Web時代を迎えた現在では、フォントに対する要求はさらに強まっていると思います。

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2008年02月13日

Page2008 トークショウ「コンピュータ組版の軌跡2」(4)

さて、トークショウの続きで、組版システムの話をもう少し。

小野沢さんのお話では、1970年代から1980年代の写研の組版システムの話がいろいろ出てきましたが、正直言って機械の名称を聞いても違いが理解できませんでした。大体理解できましたのは、1970年代から1980年代には写研もかなり挑戦的・アグレッシブに、組版システムの開発を行っていたということです。1970年代後半から1980年代には、東南アジアを中心にシステムの輸出も行ったとのこと。

しかし、なぜ、写研が、QuarkXPressなどのDTPシステムに取って代わられてしまったのでしょうか?やはり、コストが高かったということなのでしょうか?

しかし、機械のコストだけの問題であれば、ハードウェアをパソコンに乗り換えて安くするとか、コストダウンするという対策は、いろいろありそうに思います。コストが高かったというのは、極論すればコストを下げようと努力しなかった結果に過ぎないともいえます。

また、コストだけが全てであるとすると、例えば、XSL Formatterは、オープン・ソースの無償ソフトであるFOPには絶対に勝てないことになります。しかし、現実には、無償のソフトがあったとしても、有償ソフトで商売できるのです。こういう例を見ましても、単にコストが高いというだけで、物事が決定してしまうということはないはずなので、本当は他に理由があるのかもしれません。

さて、日本製の組版ソフトといえば、ジャストシステムの「大地」の話も出ましたが、もはや「大地」を知っている人は少ないでしょう。

凸版印刷も1980年代には、研究所で組版システム製品を開発して販売していたそうです。やはり、1980年代の終わりには、DTPの波が押し寄せて、日本でも日本製DTPを作ろうという小さな波があったということ?

CTSにせよ、写研の組版システム、凸版の組版システム、大地など、日本のコンピュータ組版が華々しい脚光を浴びたのは1970年~2000年のわずか30年程度。2000年頃までには、欧米製パソコン上のDTPソフトに、その主役の座を譲ってしまいました。

私は、印刷業界にはあまり詳しくないのですが、このあたりの歴史のうつろいには感慨を覚えますし、業界の盛衰記としてまとめられると興味深いように思います。

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2008年02月12日

XML革命なるか?ジャストシステムの第3四半期決算

2月8日(金)ジャストシステムの第3四半期の決算速報が発表されました。これを見ますと、3四半期累積で、売上高は90億円(対前年同期比17%増)ですが、営業赤字が43.7億円に拡大しています。

第3四半期だけの売上は、第2四半期の売上との差額から、約29億円(同22%増)、営業赤字15億円(前年同期比3億円改善)となっているはずです。

肝心のxfy事業の売上は、6千9百万円。中間決算で2千8百万円でしたので、第3四半期は4千百万円の売上実績ということになります。「xfy 事業はパイプラインが順調に増加していますが、事業立ち上げ時期でクロージングに時間を要しており、」とあります。

パイプラインとかクロージングの意味はあまり良くわかりません。パイプライン・マネージメントという言葉があるようですが、これは、見込み客の絞込みから、セールスにかかる時間、案件獲得の確率を考慮して、案件発生量と売上の発生時期を把握して、期間単位で売上を計画していく手法だそうです。

営業パイプラインというような言葉もあります。

システムの製品では、案件の発生から、制約までかなりの時間がかかります。さらに制約=契約としますと、完成して引渡し、売上計上まで、さらに長い時間がかかります。

パイプラインが順調に増加しているとは、たぶん、見込み客の絞込み、コンタクト営業はうまくいっているということなんでしょうね。

クロージングは、契約を取るということを意味していると思いますが、品物を即納して、即検収できれば、前述のようにクロージング=売上になりますが、ソリューションの販売だとそうも行きません。お客さんが求めるソリューションが動くようにして、納品・検収するまでの時間がかかります。

こうしてみますと、xfy事業が黒字化するまでにはまだかなりの時間がかかりそうです。

しかし、問題は、この9ヶ月の間に、流動資産-流動負債の差が43億円減少したこと。このことは分かり易く一言で言えば、資金繰りの余裕がなくなりつつあるということです。現在、短期借入金が31億5千万円残っていますので、借入金次第という状況。

一太郎のバージョンアップもあり、第4四半期は、黒字になるのは間違いないので、一息つけると思います。しかし、2008年4月以降、xfy事業の早期黒字化は、必達要件です。

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2008年02月11日

Page2008 トークショウ「コンピュータ組版の軌跡2」(3)

前回は、コンピュータ組版からマークアップ言語の歴史の話に、脱線してしまいました。このブログを読まれている皆さんは、「マークアップ言語などあまり関心がもてないなあ」、と感じておられるかもしれません。

しかし、いま、お読みいただいているブログも、また、Webページも、マークアップ言語の応用であるHTMLで記述されているのですから、60年代に生まれたマークアップ言語こそが、現在のインターネットの興隆の一大要因になっていると言っても過言ではないでしょう。

ますます、脱線してしまいましたが、話を元に戻しますと。

小野沢氏はGenCodeを印刷のための共通入力形式に利用できないかと考えたとのことですが、それはその後の「SGML懇談会」でSGMLを共通データフォーマットとして利用する研究に繋がったとのことです。そして、その活動の中から、最初のJIS X4051(日本語文書の組版方法)が生まれました。

JIS X4051は、日本語の組版をするための規則をJIS化したもので、大きな成果だと思いますが、残念ながらその規格を実際の製品に反映したのは、マイクロソフトのWordや、最近ではアドビのInDesignなど米国のメーカになっているようです。しかし、最近では、XSL FormatterもJIS X4051を(部分的に)実装していますし、次のバージョンでは、よりJIS X4051の実装レベルをあげようとしていますので、弊社にとっても大きな効果をいただいています。

いづれにしても、従来は、編集者や印刷の専門化の頭の中、あるいは、出版者のハウスルールとしてばらばらになっていた情報がJISの形で体系化されたことは後世のためにも大きな功績と思います。

現在は、このJIS X4051をベースとして、Webブラウザなどのための組版の要求をまとめる作業が、W3Cのタスクフォースとして行われています。

1980年代終わり頃から始まった、マークアップ言語の研究が、現在まで作業として続いているということになります。

さて、1980年代の組版システム製品として、島袋氏から富士通のIPSの話がありました。富士通のIPS(富士通統合印刷システム)は、800ユーザ、1200システムの実績があったとのことですので、すごいものです。凸版印刷の営業としては、出版社にシステムを持ち込み、出版社の中でレイアウトし、その場でOKをとるというやり方だったらしいです。これは印刷会社の人が入力やレイアウト作業をしたのでしょうが、コスト的に高くついてしまい、その後はDTPに取って代わられたようです。

なお、IPSは、印刷会社よりもむしろ新聞業界に沢山はいったという話もありました。

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2008年02月10日

コンポーネントは、.NETが旬

昨日のコンポーネント・ソース社のベストセラー製品トップ100を見ますと、売れているコンポーネントの大勢が、.NET用になっていることに驚かされます。

上から見ていきますと、
1.NetAdvantage for .NET (.NET)
2.ActiveReports for .NET(.NET)
3.DXperience (Visual Studio .NET component)
4.ComponentOne Studio Enterprise( .NET, ASP.NET ( AJAX ready), ActiveX, and Mobile Devices)
5.Installshield 2008 Professional(Windows汎用)
6.Janus WinForms Controls Suite (.NET managed code component)
7.Telerik RadControls for ASP.NET
8..Spread for Windows Forms (Windows汎用)
9.Altova® XMLSpy 2008 Professional Edition(Windows汎用)
10.TX Text Control .NET

上位のうち、Windowsネイティブは、おそらく3種類、Javaはゼロです。7割が.NETです。

これらのコンポーネントは、サーバサイドというよりもクライアントサイドのリッチなアプリケーションを簡単に作るためのものが多いので、Windowsの上では、どうしても.NETになるのでしょう。

このベストセラーの傾向は、世界の開発者が.NETに完全にシフトしたことを雄弁に物語っていると思います。

但し、11位以降になりますと、JAVAも現れます。
11.Dundas Chart for ASP.NET
12.Pcl2pdf (Windows DLL、C++?)
13.InstallAnywhere (JAVA)
14..Janus Web ASP.NET Server Controls Suite
15.ActiveReports(ActiveXフレームワーク)
16.GTP.NET
17.Spread (MFC)
18.LEADTOOLS Raster Imaging (MFC)
19.RadControls for ASP.NET + WinForms + Reporting
20.NetAdvantage for .NET + WPF
21.Chart FX (.NET)
22.Spread for Web Forms (.NET)
23.Wise Installation Studio(Windows汎用)
24.Wise Package Studio (Windows汎用)
25.Codejock Xtreme ToolkitPro(MFC)

これを見ますと、MFCなどで作っているC++のコンポーネントが.NETに次いで多いですが、JAVAは25位までに1件しか現れません。

数年前は、コンポーネント・ソースのカタログ誌に掲載されている製品はJAVAと.NETが半々だったように記憶していますが、最近は、カタログに掲載されている製品でもJAVAは少数派になったようです。

世界の開発者の潮流は完全にJAVAを離れた、と言ったら言いすぎでしょうか?

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2008年02月09日

Component Source 世界トップ50位にランクイン

英国を本拠として、ソフトウェアの開発者向け部品を販売しているComponent Source (コンポーネント・ソース)社から、2007年度出版者および製品ベストセラーのトップ50位入りの連絡がきました。

1.アンテナハウスは出版者としてベスト50位入り
■ComponentSource Bestselling Publisher Awards 2007(コンポーネント・ソースのベストセラー出版者賞2007年)
CS-Top-50-Pub-2007-Medium.gif
※画像をクリックするとトップ100出版者リストが出ます。

出版者を見ますと、日本では、グレープ・シティがベスト5入り、エージー・テックがベスト10入りしています。同じベスト50位入り組にはネットワールドがいます。

2.XSL Formatterが製品としてベスト50位入り
■ComponentSource Bestselling Product Awards 2007(コンポーネント・ソースのベストセラー製品賞2007年)
CS-Top-50-Product-2007-Medium.gif
※画像をクリックするとトップ100製品リストが出ます。

単品製品で見た場合では、日本製でベスト50位に入っている製品は、XSL Formatterのみのように思います。

2007年はXSL Formatterは、比較的よく売れました。まあ、50位以内じゃあまりたいしたことはないともいえます。もっとがんばって世界で一番にならなければいけないと思います。

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2008年02月08日

Page2008 トークショウ「コンピュータ組版の軌跡2」(2)

1970年代のコンピュータ組版の話を読みますと、コンピュータの計算能力が足りないのと、ディスプレイや出力機などの適切な周辺機器がなかったことで、大変な苦労をしていることが良くわかります。

1980年代になって、ビットマップディスプレイやレーザプリンタが登場したことで、コンピュータ組版はがらっと様変わりしたようです。

次は、組版言語の進歩です。
【凸版印刷におけるCTS開発】
  http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=10739 

には、凸版印刷で、TCL(Toppan Composition Language)を作ったという話が出ています。詳細は知りませんが、組版用の言語ということは、今のXSL-FOの先駆けのようなものでしょうか?

小野沢さんのお話では、1986年のTechDocコンファレンスで、GenCodeというSGMLの前身のマークアップ言語が出ていたとのことです。

1980年代に、PostScritのようなページ記述言語(PDL)が登場する一方で、マークアップ言語で、コンテンツとレイアウトを分離する技術が登場してきているのが面白いことです。

GenCodeという名前は、私は初めて聞きました。そこで、少し調べてみました。以下は、 トークショウとのお話ではありませんが。

GenCodeという名前は、SGMLの歴史の中にちょっと出てきます。
http://xml.coverpages.org/sgmlhist0.html

1960年代の終わりに、Stanley Riceというニューヨークの本のデザイナが、パラメータ化した編集構造タグという概念をだし、それに注目したGCA(現在は、Idealliance)のNorman Scharpfが、組版委員会の中に、一般化コーディング(GenCode)プロジェクトを起こしたのだそうです。

この委員会で、異なる種類の文書に異なる種類の一般コードが必要であり、小さな文書を組み合わせて大きな文書を作るということをGenCodeという概念にまとめたとのこと。それにしても1986年まではずいぶん時間がかかっています。

WikiPediaにも出てきます。
Markup language
William W. Tunnicliffe が"generic coding"を1967年の会議で提唱したと。

1960年代にマークアップ言語の源流が生まれたようですね。

マークアップ言語でドキュメントをマークアップすれば、今度は、それを整形・組版するソフトが必要になるのは、あたかも男と女がいて初めて、人類が繁殖するようなもの(?)。

マークアップ言語はGenCode-->SGML-->XMLと発展してきたことになりますが、組版レイアウト指定言語の方は、SGML時代のDSSSLからXML時代のXSL-FOという発展になるのでしょう。DSSSL以前はどうなっていたのか?これはまたそのうち調べてみよう。

1980年代半ばは、DTPが生まれて、1990年代を経て、現在はDTP全盛ともいえますが、その一方で、マークアップ言語による組版も平行して発展しています。

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2008年02月07日

Page2008 トークショウ「コンピュータ組版の軌跡2」(1)

昨日から池袋でPage2008が始まりました。初日は、レセプションに代えて 「コンピュータ組版の軌跡2」という題で島袋徹、澤田善彦、小野沢賢三3氏によるトークショウがありました。
 ・コンピュータ組版を中心とした過去の変革を総括し、次世代に何を伝えていくか?
 ・昨年、取り上げた「コンピュータ組版の黎明期、1970年代」に続き、
ということで、80年代以降のコンピュータ組版、デジタルフォントについての議論がなされました。

これから先の未来に思いをはせながら、業界の先輩の思い出話を楽しくお聞きすることができました。先輩方の過去のお話を伺っている中に、未来への課題も幾つか見つかります。未来への課題につきましては、私たち、現役世代としては、実践の中で回答を出していかねばならないと気を引き締めているところです。

さて、お話の内容ですが、1970年代はコンピュータ組版の黎明期、ということですが、1980年代はいよいよコンピュータ組版が実用になってきた時代ということです。コンピュータ組版と一言で言いましても、次のようないろいろな技術があります。

1.文字の入力
2.印刷のための出力機
3.画面表示
4.組版指定・組版ルールを指定し、実行するプログラム
5.フォント技術
6.組版規則

文字の入力、ということについては、1970年代はタブレット入力から、80年代にはかな漢字変換に代わったのが大きな変化です。さらには、小野沢氏からは、ワープロ専用機でデータを入力し、その結果を写研のシステムに変換するようになってきて、写研側ではクレームが多くなって困ったという発言もありました。

アンテナハウスでも、1980年代はワープロ専用機で作成した原稿を、印刷会社が電算写植機のデータに変換するためのコンバータで大いに商売をさせてもらいました。但し、弊社の製品は、MS-DOSテキスト・ファイルへの変換であり、写研へのコンバータは開発していませんでしたので、小野沢氏にご迷惑をお掛けすることはなかったと思います。

次の出力機という点では、1970年代は光学式の時代でしたが、1970年代後半から1980年代にかけてレーザによる出力の時代に変わったということになります。また、表示装置も、1980年代には、画面で構成できるディスプレイ付きの組版機となり、さらには、ビットマップ・ディスプレイで出力と同等内容を画面で確認できるようになってきました。

 (※参考記事)
 【凸版印刷におけるCTS開発】
  http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=10739 

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2008年02月06日

「書けまっせ!!PDF3」は、VJEでの文字入力に対応できません。

先日、「書けまっせ!!PDF3スタンダード」のユーザから以下の連絡がありました。

現象:「テキストボックスを作成して2バイト文字を入力しようとすると砂時計表示でハングアップして1文字も入力できない。1バイトであれば問題ない。」

この件ですが、さらに確認しましたところ、このお客さんは、日本語文字入力(かな漢字変換)にVJEを使っているとのことです。「書けまっせ!!PDF3」では、独自のテキストボックス文字入力機能を開発しましたが、VJEで文字入力しようとするとハングアップしてしまうようです。

社内で議論した結果、申し訳けありませんがVJEは対応しないことになりました。それにしても、VJEとは久し振りに名前を聞きました。もう10年ぶりくらいではないでしょうかねえ。懐かしい名前です。

日本語入力は昔はフロントエンド・プロセサといっていましたが、その歴史の中で、VJEは特筆に価する存在でした。1980年代中頃にバックスとアスキーが共同開発したと記憶しています。

VJEの記事をネットで探してみましたら、はてなにこんな記事がありましたね。

VJEの歩み 萩原健バックス社長に聞く(1)

バックスは、Yahooに吸収されたのではないかと思いますが、あまり詳しいことはわかりません。
そういえば、以前にもちょっと書きましたが、最近、Yahooの検索精度がだいぶ上がっているような印象を受けています。

バックスなどの日本語処理の技術がYahooに反映されているのかな?

ところで、今日、言語工学研究所の国分さんとお会いしました。国分さんは、初代の日本語ワードプロセッサ「松」を開発された方ですが、最近は、構文解析に取り組んでおられます。もうかなりなお年なのですが、まだ、もう一旗あげる!と意気盛んでした。

http://www.gengokk.co.jp/

ここに国分さんのブログがあります。

言語工学研究所の社長ブログ
国分さん、もう一旗上げるなら、禁酒しないと。

アンテナハウスは、言語工学製品の販売代理店でもあります。国分さんには、ぜひ、がんばっていただきたいものです。

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2008年02月05日

「かんたんPDF編集Professional」との比較

今日は、お客様から次のようなお問い合わせをいただきました。そのお客様のなさりたいことは、

①客先からPDFファイルとしてもらった用紙への書き込み。
②印刷物として渡された用紙(をスキャン→PDF化したもの)への書き込み。

他社製品(「かんたんPDF編集professional」)と比較検討しております。上記製品は、当方の要求を満たしてることは確認しました。貴社製品は(HPでの紹介を見る限り)上記比較製品を上回っているように見えます。

つきましては、比較製品(かんたんPDF等)との比較、アドバンテージのPRをお願いします。
--------------ここまで------------
ということですので、早速、「かんたんPDF編集professional」を調べてみました。
以下に、私見を交えてお答えします。

まず、「かんたんPDF編集プロフェッショナル」は、PDFの作成、PDFのページ単位の編集、PDFのページへの注釈等の書き込みのソフトです。PDFへの文字書き込みはPDFの注釈機能を使っているようです。

私の印象では、このソフトを設計した人は、PDFにかなり精通していて、PDFについて固定観念を持っている。そして、「PDFを処理するソフト」、つまりPDFのためのソフト、を作ったという印象を受けました。

従いまして、弊社の「書けまっせ!!PDF3」とは、製品の機能についての考え方が根本的に異なっています。「書けまっせ!!PDF3」は、PDFありきではなく、「記入用紙があり、その記入用紙がたまたまPDFであるとき、その用紙にどうやって簡単に文字を記入するか。」ということを解決するためのソフトとして設計しています。

ですので、文字やデータをPDFに記入する、という点で見ますと、「書けまっせ!!PDF3」の方が、ずっと便利ではないかと思います。

例えば、簡単に文字を入力できる「テキストボックス」機能、文字の大きさ、フォントの種類の設定、文字の揃えの設定、文字の入力する位置をピタとあわせる機能など、文字を入力するという機能に絞ってみますと、「書けまっせ!!PDF3」の方が、はるかに使いやすいはずです。

また、「かんたんPDF編集プロフェッショナル」では、文字の追加をPDFの注釈の一部として実現しているようですが、PDFには非常に多様な注釈機能があるため、単純に用紙に文字を書くという観点から見ますと、無駄な・余分な機能が沢山あることになります。

そうしますと、PDFの注釈機能を沢山サポートするのは、PDFを中心に考えますと、それなりに意味がありますが、単に「用紙に文字を書く」という観点で見ますと、非常に使いにくいソフトになってしまいます。
「かんたんPDF編集プロフェッショナル」は、そういうPDF専門家の陥りやすい罠に嵌ったソフトではないかという印象を受けました。実際のところ、Acrobat もそういう傾向があるため、PDFの素人にはとても使いにくいものだろうと思います。

結局、どういう目的でそのPDFソフトをお使いになるかにより、評価結果は変わりますし、使いやすいかと感じるかどうかは、慣れにもよります。

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2008年02月04日

「アンテナハウスPDFスイート」を出荷開始します。

アンテナハウスでは、本日より、「アンテナハウスPDFスイート」を出荷開始します。

「アンテナハウスPDFスイート」は、PDF活用に便利な2つのソフト「書けまっせ!!PDF3」と「リッチテキストPDF4」をひとつにパッケージしました。いずれも最上位版をセットにしながらお求めやすい価格に設定した、たいへんお得なスイート製品です。

■<PDFにスラスラ文字が書ける!「書けまっせ!!PDF3 プロフェッショナル」>

「書けまっせ!!PDF3」は、PDFによる申請書などの書式をパソコンの画面に表示しながら直接書き込み、元のPDFと記入した内容を重ねて新しいPDFに保存・印刷できる便利なソフトです。

■<PDFをオフィス文書に高精度変換!「リッチテキストPDF4 コンプリート」>

「リッチテキストPDF4」はPDFとWordやExcel、一太郎、テキスト間で相互変換が可能なPDF変換ユーティリティです。

「アンテナハウスPDFスイート」の詳しい内容については、こちらをご参照ください。

■製品ページ
「アンテナハウスPDFスイート」

■ニュース
「アンテナハウスPDFスイート」発売のお知らせ

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2008年02月03日

XPSを作成する幾つかの方法

Generating XPS Automagically(Adrian Fordのブログ)より

○XPSについて知らないアプリケーションからXPSを自動的に出力する方法

1.Microsoft XPS Document Writer (MXDW)を使う。
 .NETでもWin32APIのアプリでも可能
 MXDWを起動する方法は二つある。
(1)ユーザがMXDWを印刷用のプリンタ・ドライバとして明示的に選択する。MXDWはSave Asダイヤログを出すのでユーザがファイル名を入力する。

(2)アプリケーションがプログラムでMXDWを選択する。GDIのDOCINFO 構造体のlpszOutputにファイル名を設定するとファイル名が自動的につく。

2.カスタム・ドライバを作る方法
第3の方法は、アプリケーションを改造できなくて、かつ、ファイル名をユーザに指定させたくないとき、MXDWのコア・コンポーネントがMSのWDK(Windowsドライバ・キット)として提供されているのでそれを使う。

WDKを使ってカスタムドライバXPSDrvをつくる。

WDKには、フィルター・パイプライン・インターフェイスを使って、XPSの内容をカスタマイズする方法などのサンプルもある。

この方法を使えば、カスタム・ワークフローへの印刷、のような機能をつくることができる。これだとまた、ワークフローに必要な独自の設定もできる。

○ところで今日は「書けまっせ!!PDF3」のグローバル・バージョン(英語版)の関係で、世界の単位系について、ちょっと面白いWebページを見つけましたので、「組版資料室」に登録しておきました。秘密にするものでもないですので。最近、Webで見つけたページを、次に探そうとしてなかなか見つけられなくて、探すために無駄な時間をかけることが時々あります。検索エンジンが、パーソナライズできるとそういうことが減るのでしょうけれども。

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2008年02月02日

PDFの限界

最近、いや、昔からかもしれませんが、PDFで配布した情報を、意図しない相手に勝手に流用されたくない、ということで、セキュリティを付けたいというご相談をよく受けます。

例えば、(1)PDFの有効期限を設定しておき、その有効期限を過ぎたら内容を見えなくしたい、とか、(2)PDFをAdobe Reader表示しても保存させないようにしたいなどはその代表的なものです。

このようなセキュリティ設定は、PDFの標準のセキュリティ・ハンドラではできません。

しかし、無論、現在のインターネット環境とソフトウエアの技術をもってすれば、実現できることです。例えば、DRM(Digital Rights Management)を使えば、かなりコントロールができます。そこまでいかなくても、Javascriptを使えばある程度擬似的に実現はできます。完璧ではないですが。

市販の商品やサービスでもこういうことを実現しているものがあります。

しかし、問題なのはPDFの表示には、ほとんどの人がAdobe Readerを使っていることです。従って、実際のところ、セキュリティの実現はAdobe Readerの機能に依存する部分が多いということになります。

このことは、いま実現できていることでも、Adobe Readerに依存している以上、将来、Adobe Readerの機能が変わってしまえば、どうなるか保障できなくなるということを意味します。

そんなことから、どうも、PDFは情報を配布したり、情報を交換するために必要な、セキュリティという部分にかなり大きな限界がある、と感じています。やはり、PDFの標準仕様として、セキュリティ関連機能をもっと強化する必要があるのでしょう。

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2008年02月01日

PDF 電子署名モジュールV1.1を開発中

今、PDF 電子署名モジュールV1.1を開発しています。次のバージョンは、2月下旬にはリリースする予定です。

V1.1では次の点を改良しています。

1. Acrobat以外のPDF電子書名ツールとの相互運用性向上
PDF電子署名モジュールは、Acrobat7/8との相互運用可能性を保つよう特に留意して開発してきました。Adobe Readerが、限りなく100%に近いシェアをもっている現状では、Adobe Readerと相互運用性がないと、特定の企業内はともかく、多くのユーザ・一般ユーザには受け入れてもらえないと考えています。

但し、V1.0では、Acrobat以外のツールとして、ニュアンス社の「PDF Edit Professional 2」でつけたPDF電子署名を正しく検証できませんでした。ニュアンス社は、他の会社と異なる方式で署名をつけていたためですが、これを調べて検証可能としました。

2.タイムスタンプ対応の強化
RFC3161 SHA-2[512ビット]のタイムスタンプを取得できるようにします。また、SHA-2の256/384/512ビットのすべてのタイムスタンプを検証可能とします。これにより、
(1) 新たにセイコープレシジョンのタイムスタンプの取得と検証が可能となります。
(2) アマノのタイムスタンプを自力で検証可能となります。
(3)PFUのタイムスタンプについては、PFUのライブラリーがあれば、それを使って検証しますが、そうでない場合は、自力で検証するようになります。

以上で、V1.1では国内商用タイムスタンプについては、アマノ/PFU/セイコープレシジョンの3社のタイムスタンプの取得と検証が可能となります。

3.CRL(電子証明書の失効情報)取得関係
(1) CRL取得場所として、従来はURLのみでしたが、新たにディレクトリ問い合わせを可能とします。
(2) CRLキャッシュの取り扱いを変更します。前回取得後6時間経過したらキャッシュをクリアとします。

アンテナハウスのPDF電子署名モジュールは、PDFの仕様をできるだけ正しく実装することで、Acrobatは無論ですが、それ以外の各社ツールとの相互運用を高めたいと考えています。

今回は、国内の主なAcrobat以外のPDF電子書名とタイムスタンプ・ツールとの相互運用を可能にしたいと考えて、少し、チェックしてみました。調べてみますと、各社のツール間の相互運用性には多少問題があるようです。これについてはいづれ機会をみて資料を整理してみたいと考えています。

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