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2008年03月31日
OpenOffice.orgでIPAフォント設定時の縦書き用グリフ問題
昨日、ご紹介しました「ドキュン」は、PDF作成に、OpenOffice.orgを使っているようです。このPDF作成とプレビュー機能について、docuneへの要望というカテゴリーに「縦書き文書のプレビューの改善要望」という文書が公開されています。
■縦書き文書のプレビューの改善要望
http://docune.jp/doc/3353
この文書中では、『IPA明朝を指定した文書のプレビューで縦書きの句読点のグリフが正しくない、その原因はIPAフォントの不具合である。』と指摘されています。この点をもう少し詳しく検討してみたいと思います。
日本語のフォントの中で、句読点や括弧類は横書きと縦書き表示される字形(グリフ)が異なります。この中で、括弧類などでは、横書き用のグリフを時計周りに90度回転することで縦書き用のグリフにすることができます。しかし、句点、読点などは横書き用グリフを90度回転しても縦書き用のグリフになりません。従って、横書き用と縦書き用のグリフの2種類をフォントの中で用意しておく必要があります。表示または印刷では、横書きか縦書きかで、2種類のグリフを切り替える必要があります。
縦書き時に、句読点のグリフが正しくない場合、その原因には、「フォントの不具合」、「アプリケーションの表示・印刷の不具合」の両方の可能性があります。どちらの原因かを特定するには、フォントとプログラムの両方を精査してみなければなりません。自分でソフトを開発しているならともかく、部外者にはこれを特定するのはなかなか難しいと思います。いくらOpenOffice.orgがオープンソースであると言っても、この内部を精査する時間と能力のある人は、そんなに大勢はいないでしょう。
と言うわけで、以下の話も推測に過ぎませんが。
○OpenOffice.orgで、IPAフォントの括弧や句読点が縦書でどう扱われているか
原文:OpenOffice.org Writerのファイルをダウンロード
印刷:上の文書をプリンタに印刷した結果(スキャナで取り込み)
PDF-1:PDF-1ファイルをダウンロード(OpenOffice.orgでPDF化した結果)
PDF-2:PDF-2ファイルをダウンロード(AdobePDFでPDF化した結果)
この結果を比較すると、次のことが言えるでしょう。
(1)プリンタへの印刷結果では、句読点は縦書きのグリフになっている。
(2)OpenOffice.org自体の機能でPDFを作ると、句読点は横書きのグリフになっている。
(3)OpenOffice.orgからAdobePDFでPDFを作ると、句読点は縦書きのグリフになっている。
※上記は、OpenOffice.org Writer 2.0、WindowsXP(英語版)、AdobePDF(ドライバ) 8.1、印刷はCanon MP500を使っています。
「OpenOffice.org で縦書きを設定した文書をプリンタへ印刷、または、AdobePDFによるPDF化では、句読点は縦書きグリフとなっていることから、IPAフォントには句読点の縦書き用グリフが含まれている。」らしいことは推測できます。
しかし、OpenOffice.orgが内蔵するPDF生成機能を使ってPDFを出力したときは、句読点が横書き用グリフのままになっています。このことから、私は、むしろ、OpenOffice.orgのPDF作成機能に問題があるのではないだろうかと思います。この横書きと縦書きでのグリフ置換は、もしかするとWindowsが行っているのかもしれないですが、そうだとしますと、LinuxやSolarisでは、印刷結果なども変わってくるのでしょうね。
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