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2007年04月30日
日経PC21 2007年6月号にPDF特集記事
もう、ご覧になった方も多いと思いますが、「日経PC21」の6月号(4月23日発売)の特集1「PDFなら簡単!紙を5秒でデジタルに!」という記事が掲載されています。
PDF作成・加工ソフトから、検索、PDFからWordへの変換ソフトまで、PDFを活用するための幅広いソフトが紹介されています。PDFをもっと使いこなしたいという方は、必見です。
弊社の製品でも、「リッチテキストPDF3」、「書けまっせ!!PDF2」を取り上げて紹介していただいています。ところで、この記事を読んでみて、私としては、一つだけ補足したいことがありました。
それは、「アクロバットが1本あれば、PDFでできることはすべてできる」(p.24)、「他のメーカは、PDFの作成、編集、文字入力、ワードやエクセルへの変換など、よく使われる用途に機能を絞った製品を、低価格で提供している」(p.30)という部分についてです。
確かに、「いきなりPDF Edit!2」のように、アクロバットのサブセットの機能を廉価で提供する、つまり、「ミニ アクロバット」を狙う戦略の元に開発されているものもあると思います。
しかし、弊社のPDF製品開発の基本方針は、その反対です。すなわち、「アクロバットでできないPDF活用法」を開拓する、ということになります。
例えば、PDFからOfficeへの変換では、「リッチテキストPDF3」の変換精度は、アクロバット8よりも遥かに優れています。また、PDFからExcelへの変換は、アクロバットには、そのような機能さえありません。
さらには、「書けまっせ!!PDF2」は、インターネットに配布されている用紙PDFを有効活用するために、アクロバットではできない機能が数多く盛り込まれています。一例を挙げますと、次のような項目があります。
・Excelデータを差し込みしてPDF化する。
・PDFに入力する文字をテキストボックスの中で綺麗に配置する。縦書きもできます。
・PDFの枠に文字を綺麗に揃える。
・データトレイに、入力文字を登録しておき、一発入力。
など。
また、インターネットで配布されているPDFには、オーナーパスワードで変更不可設定がされているものがよく見られます。アクロバットでは、変更不可の設定がされたPDFの内容を変更することができません。しかし、「書けまっせ!!PDF」では、変更不可の設定がされたPDFの上に文字を上書きすることができます。
これは、変更不可の設定がされたPDFについては、特別に、Windowsの画面に描画したイメージを使って新しいPDFを創り、その上に、新たに文字を上書きすることで、変更不可設定と文字の書き込みを両立させる工夫をしているのです。
PDFをもっと有効に利用する、という観点からは、アクロバットで不十分、あるいは、アクロバットではできないことがまだまだ沢山あるだろうと思います。ミニアクロバットも良いですが、アクロバットではできないPDF活用法を切り開いて初めて、サードパーティ製品の存在価値がより大きくなると思うのです。
※参考資料
2006年12月01日「書けまっせPDF2」の機能ご紹介(1)
2006年12月02日「書けまっせPDF2」の機能ご紹介(2)
2006年12月03日「書けまっせPDF2」の機能ご紹介(3)
2006年12月04日「書けまっせPDF2」の機能ご紹介(4)
2006年12月05日「書けまっせPDF2」の機能ご紹介(5)
ところで、この「アクロバットが1本あれば、PDFでできることはすべてできる」というくだりですが、よくよく反省してみますと、日経PC21の記者の方が取材に見えたとき、そのようなことに対して肯定的な発言をしてしまったような、記憶(曖昧)があります。だとしますと、発言に問題あり、ということになります。申し訳ありません。
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2007年04月29日
PDFと署名(14) — 電子証明書の検証
電子署名を検証するためには、その電子署名に付随する電子証明書が信用できるかどうかを判断する必要があること、そしてそのためには、電子証明書を発行した認証機関が信用できるかどうか判断しなければなりません。そして、認証機関は鎖のように繋がっていて、最終的にはルート認証局が信用の原点であることがわかりました。
一般人には、ルート認証局の信用を独自に調査するのは困難です。しかし、Web Trustなどの基準、あるいは、日本の電子署名法に基づく認定認証機関などであれば、ある程度の信用は確保できると考えられます。
公開鍵証明書のチェーンが信用できるルート証明書にたどり着ければ、第一関門はクリアされます。
電子証明書の検証では、さらに、次のことが必要です。
1.電子証明書が有効期限内かどうか。— これは、X.509公開鍵証明書の標準に準拠したものであれば、電子証明書の中に記述されていますので確認できます。
2.電子証明書が、失効していないかどうか。—電子証明書は、次のような場合に失効します。
・電子証明書に記載された事項について記録誤り等があった場合
・秘密鍵が漏えいまたはき損した場合
・失効の申請をした場合
失効した電子証明書のリストは、証明書失効リスト(CRL)として提供されることになっています。電子証明書がそのリストにないことを確認しなければなりません。なお、CRLを提供しないで、OCSPプロトコルを使ってオンラインで状態を問い合わせると証明書が失効しているか否かを解凍する方式の認証局もあります。
※これは、こう書くのは簡単ですが、実際に、実現するのはかなり大変ではないでしょうか?ちょっと疑問です。
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2007年04月28日
PDFと署名(13) — その他のルート認証局/証明書
昨日は、日本における公的なルート認証局を見ました。海外では、ルート認証局として認定する審査基準のひとつに、米国公認会計士協会 (AICPA) が用意している「WebTrust for Certification Authorities」 プログラムがあります。
Webページはこちら:
AICPA/CICA WEBTRUST PROGRAM FOR CERTIFICATION AUTHORITIES VERSION 1.0
これは証明書発行機関を審査するプログラムで、このプログラムで認定されると、認証局はWebTrust シールを張ることができると書いてあります。WebTrustの実際の審査は、米国公認会計士協会のライセンスを受けた会計事務所などが行うようです。
Webを通じて、パスワードやカード番号などをセキュリティをたもって通信するには、公開鍵証明書による暗号化が必要です。公開鍵証明書を検証するにはルート証明書が必要ということで、Microsoftの Windows XP、Microsoft Windows Server 2003 および Windows Vista は、Windows Update Web サイトのWebTrust(同等の基準を含む)の審査を通った認証局のルート証明書を自動的にチェックしダウンロードする仕組みが用意されています。
2007年1月現在のMicrosoftルート証明書プログラムの認定メンバーは次にあります。
http://support.microsoft.com/kb/931125
Mozilla(ブラウザ)にもルート証明書が同梱される枠組みがあります。次のところに、MozillaのCA証明書同梱のための方針があります。
Mozilla CA Certificate Policy (Version 1.0)
これを見ますと、Mozillaの方が、Windowsよりも幅広いCA運営基準を認めているようです。
携帯電話は、容量の関係で数が少ないですが、ルート証明書が搭載されています。これらを見ますと、携帯電話のルート証明書も、公開鍵暗号化による通信(SSL通信)を行うことが主な目的で、電子署名はあまり意図していないようです。
[DoCoMoのルート証明書]
http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/ssl/spec/#p04
[SoftBankのルート証明書]
http://developers.softbankmobile.co.jp/dp/tech_svc/web/ssl.php
[auのルート証明書]
http://www.au.kddi.com/ezfactory/tec/spec/ssl.html
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2007年04月27日
PDFと署名(12) — ルート認証局の種類
前回は、電子証明書はルート認証局の自己証明書からスタートしてエンドユーザの電子証明書までの鎖ができているということを説明しました。
結局、ルート証明書を発行した認証局の信用が電子証明書の信用となっているわけです。会社や一部の組織の中で使う電子証明書であればプライベートな鎖で十分ですが、政府・地方公共団体の行政サービス、あるいは企業間取引などでつかうようなパブリックな電子証明書は、それを発行する認証局の鎖が一定の公的な信用が保たれている必要があります。
公的な信用という意味では、官公庁・行政、あるいは、「電子署名及び認証業務に関する法律に基づく特定認証業務の認定に係る指針」で認定された認証局を、その筆頭に挙げることができると思います。その日本におけるその種のPKIの認証局は、大きく分けると、次のように分かれます。
・政府認証基盤(GPKI)の認証局
・商業登記認証局(電子認証登記所(CRCA))
・地方公共団体における組織認証基盤(LGPKI)の認証局
・公的個人認証サービス(JPKI)に係る認証局
・民間認証局
この中で、GPKIの認証局は、次のものがありますが、政府機関のための官職証明書を発行するもので、民間人に証明書を発行する認証局ではないと思います。
・内閣府認証局
・警察庁認証局
・防衛庁認証局
・金融庁認証局
・総務省認証局
・法務省認証局
・外務省認証局
・財務省認証局
・文部科学省認証局
・厚生労働省認証局
・農林水産省認証局
・経済産業省認証局
・国土交通省認証局
・環境省認証局
・最高裁判所認証局
さらに、GKPIには他の認証局と相互接続するブリッジ認証局があります。
※政府認証基盤(GPKI)
それから、法務省が運営する「商業登記認証局(電子認証登記所(CRCA))」があります。これは商業登記関係の証明書を発行します。民間人にも関係ありますね。
また、地方公共団体における組織認証基盤(LGPKI)の認証局として、「LGPKIブリッジ認証局」と、「LGPKIアプリケーションCAの自己証明書」があります。この認証局は、地方公共団体のネットワーク用と思います。
さらに、各種行政サービスのための公的個人認証サービス(JPKI)に係る認証局として、「JPKIブリッジ認証局」と47都道府県の各認証局があります。これは行政サービス用ですので、民間人にも大いに関係があると思います。
※公的個人認証サービス・ポータルサイト
最後に、民間認証局として、次の認定認証局があります。
・日本認証サービス株式会社: AccreditedSignパブリックサービス2に係る認証局
・日本電子認証株式会社: AOSignサービスに係る認証局
・株式会社NTTアプリエ(旧エヌ・ティ・ティ・メディアサプライ株式会社): e-ProbatioPSサービスに係る認証局
・東北インフォメーション・システムズ株式会社: TOiNX電子入札対応認証サービスに係る認証局
・株式会社帝国データバンク: TDB電子認証サービスTypeAに係る認証局
・セコムトラストシステムズ株式会社(旧セコムトラストネット株式会社): セコムパスポートforG-IDに係る認証局
・ジャパンネット株式会社: 電子入札コアシステム用電子認証サービスに係る認証局
・全国社会保険労務士会連合会: 全国社会保険労務士会連合会認証サービスに係る認証局
・日本商工会議所: ビジネス認証サービスタイプ1に係る認証局
・四国電力株式会社: よんでん電子入札対応認証サービスに係る認証局
・株式会社中電シーティーアイ: CTI電子入札・申請届出対応電子認証サービスに係る認証局
・日本税理士会連合会: 税理士証明書発行サービスに係る認証局
・日本司法書士会連合会: 日本司法書士会連合会認証サービスに係る認証局
・株式会社NTTアプリエ: e-ProbatioPS2サービスに係る認証局
・日本土地家屋調査士会連合会: 日本土地家屋調査士会連合会認証サービスに係る認証局
・株式会社ミロク情報サービス: MJS電子証明書サービスに係る認証局
どうも、ざっと調べた範囲では、このあたりまでが、日本のパブリックなサービスに関わるルート認証局と思われます。
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2007年04月26日
1億台のコンピュータ計画、進捗状況(2)
2007年04月23日 1億台のコンピュータ計画、進捗状況(1)の続きです。
・100ドル・ラップトップで、最も革新的な点は、ディスプレイだろう。このディスプレイは、グレースケールとカラーの2つの機能をもっており、切り替え可能。グレースケールの場合、1200×900ピクセルの解像度で、安価な時計や電卓などと同じ液晶方式。カラーの場合は、バックライトに白色のLEDパネルを使ってており、800×600ピクセルの解像度をもつ。この時、1200×900ピクセルの白黒液晶も同時にイメージを表示するので、解像度は1200×900ピクセルに近い印象を受ける。
このような、2つのモードをもつディスプレイは商用のラップトップでは初めてだそうな。
・また、ネットワークも革新的。IEEE 802.11sという、今年に最終版になる見込みのメッシュ・ネットワークの標準を、ドラフト仕様の段階で採用した。ディスプレイの上にウサギの耳のように突き出したWi-Fiアンテナを使って電波の受発信をする。ノードからノードの距離が600メートル離れていても接続が可能。
・OSは、RedHatのFedra CoreをベースにしたLinuxを採用。GUIの操作環境は、現在の主流であるデスクトップメタファではなく、新しいSugarという操作環境を開発した。
問題は、このようなラップトップ・コンピュータは、数千万台のオーダーで未開発な国に提供されたときにどういう社会・経済的な現象が起きるかどいうことでしょう。
レポートの最後の方では、様々な人のコメントが紹介されていますが、明るい展望を述べている人が少ないように思います。
いづれにせよ、近いうちに実際の配布が始まるということで、これは注目しておく必要があるように思います。
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2007年04月25日
Amazon のPDF関係ソフトウエアのランキング
Amazonのソフトウェアのランキングで、「リッチテキストPDF3」は601位、「書けまっせPDF2Vista対応版」が、1,348位となっています。両製品ともこのところだいぶランクが上がってきました。
次のデータは、2007年4月24日21時時点のPDF関係ソフトウエアだけを取り出してランキング表を作成してみたものです。
製品名 | 発売日 | 順位 |
---|---|---|
Adobe Acrobat 8 Standard | 2006/11/30 | 59位 |
速攻!PDF to Data | 2006/09/01 | 160位 |
いきなりPDF Professional 2 (説明扉付きスリムパッケージ版) | 2005/06/24 | 244位 |
いきなりPDF Complete 3 | 2007/03/16 | 304位 |
やさしくPDFへ文字入力 フォーム入力用 v.3.0 | 2005/12/02 | 491位 |
Acrobat Professional 8 日本語版 WIN Upgrade STD-PRO | 2006/11/20 | 550位 |
リッチテキストPDF 3 for Windows | 2007/03/28 | 601位 |
Acrobat Standard 8 日本語版 WIN Upgrade STD-STD | 2006/11/20 | 915位 |
いきなりPDF Professional PACK (説明扉付スリム辞書ケース版) | 2006/09/29 | 1,137位 |
いきなりPDF to Data Professional 2 (説明扉付スリムパッケージ版) | 2006/09/29 | 1,139位 |
いきなりPDF from スキャナ 2 (説明扉付スリムパッケージ版) | 2006/09/29 | 1,234位 |
いきなりPDF COMPLETE 2 (説明扉付厚型スリムパッケージ版) | 2006/09/29 | 1,255位 |
書けまっせPDF2 Vista対応版 | 2007/03/09 | 1,348位 |
やさしくPDFへ文字入力 PRO v.5.0 | 2005/10/21 | 1,398位 |
いきなりPDF 2 (説明扉付きスリムパッケージ版) | 2005/08/26 | 1,400位 |
Acrobat Professional 8 日本語版 WIN Upgrade PRO-PRO | 2006/11/20 | 1,438位 |
いきなりPDF Edit 2 | 2007/03/16 | 1,759位 |
ScanPaper for PDF | 2005/08/26 | 1,932位 |
PDF2Office Standard Version3.0 | 2006/11/17 | 2,181位 |
Justsystem PDF Suite for Windows CD-ROM | 2006/02/10 | 2,244位 |
Acrobat Elements 7.0 日本語版 Windows版 | 2005/04/22 | 2,437位 |
やさしくPDFへ文字入力 編集・校正用 v.3.0 | 2005/12/02 | 2,821位 |
かんたんPDF編集 | 2005/08/26 | 2,929位 |
いきなりPDF to Data 2 (説明扉付スリムパッケージ版) | 2006/09/29 | 3,919位 |
速攻!PDFビルダーPro | 2006/07/07 | 5,353位 |
PDF TOOLS easy PDF | 2006/06/29 | 6,755位 |
なんでもPDF | 2004/11/05 | 7,768位 |
Acrobat Standard 8 英語版 WIN Retail | 2006/11/20 | 7,945位 |
Adobe Acrobat 8 Professional | 2006/11/30 | 8,337位 |
Adobe Acrobat 3D | 2007/03/01 | 13,351位 |
Acrobat Professional 8 日本語版 MAC Retail | 2006/11/20 | 13,950位 |
Acrobat Standard 8 日本語版 WIN Upgrade ACRE-STD | 2006/11/20 | 19,805位 |
このデータは、Amazon のWebページで各製品のAmazon.co.jp ランキングという項目を拾い集めたものです。ランキングの基準は恐らく本数だと思います。どの位の時間で集計しているかもわかりませんが、かなり短時間で変化するようです。
PDF関係だけでのランキングをみますと、AdobeのAcrobatが一位ですが、一番売れているのはStandardで、Professionalの売行きはやや少ないようですね。
販売店の店頭での売行きデータの統計は別にありますが、それと比較しますと、アンテナハウス製品はかなり上の方にランクされています。多分、販売店では、お店の展示スペースが売行きを左右するため、製品の実力よりも、お店に沢山あるかどうかで売行きが決まるためでしょう。残念ながら、アンテナハウスの製品はお店にはあまり沢山置いていただいていません。しかし、Amazon で見ますと、ランクがだいぶ上に来ています。Amazon では、製品別の展示スペースは平等ですから、製品の実力がランキングに現れるといったら我田引水過ぎるでしょうか?あるいは、お店にあまりないので、Amazonで買う人が多いのかもしれません。いずれにしても、ロングテール現象の一つといえるでしょう。
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2007年04月24日
XSL Formatterケーススタディ:法制執務支援システム他
XSL Formatterのケーススタディに2件が追加されました。
「じょうれいくん」は、地方自治体、官公庁、学校、病院、各種企業の、組織の決め事や周知事項などの文書を例規集として取りまとめ、改正する度に例規集を更新されていると思われますが、そういった例規集でをXML化して、管理するシステムです。このXMLをページアップして、PDFにするのにXSL Formatterが使用されています。
Web データベース「Wagby」に格納されたデータをオンデマンドにPDFに変換し、Webブラウザ上に表示させることができるようになりました。帳票レイアウトを(データの内容に応じて)変更する処理をXSLTに集約させることで、アプリケーションサーバの処理と切り離しつつ、きめ細かい条件分岐を行うことができました。これによって開発チームの役割分担が明確になり、また、保守性も向上させることができます。
◎XSL Formatterをご採用いただいているケーススタディは、こちらでご覧いただくことができます。新しいシステムを企画・ご提案いただく際の参考資料としてお役立てください。
http://www.antenna.co.jp/XSL-FO/casestudy/
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2007年04月23日
1億台のコンピュータ計画、進捗状況(1)
日曜日ということで、Webでいろいろブログを読んでましたら、2005年にスイス・ダボスでの世界経済会議で、ネグロポンテ先生が提唱した、「子供1人に1台のラップトップを」(One Laptop Per Child:OLPC)計画の詳しいレポートに行き当たりました。
The Laptop Crusade (IEEE Spoectrum Online 4月号)
1年以内に、アルゼンチン、ブラジル、リビア、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、ウルグアイの、電気のない地方の村の子供達に1,000万台のPCが配布されるだろうとのことです。以前、ニュースでこのプロジェクトの提案を読んだときは、途方もない計画!と思いましたが、だいぶ進んでいるようです。
IEEE Spectrumと言えば、信頼度の高い技術雑誌ですので、いい加減な情報ではないと思います。かなりの長文のレポートですが、どんなことが書かれているか、さわりだけをピックアップして紹介してみたいと思います。
・この計画は、100ドル・ラップトップ計画とも言われるが、世界中に20はある低コストのラップトップ開発計画の中でもっとも大規模で、もっとも資金的な裏付けのあるものだ。
・ネグロポンテ先生は、2005年に計画を提唱してから積極的に動いて、世界中の著名人やメディアにPRした。2006年にMITから独立してOne Laptop Per Childという非営利団体になり、同年6月に実際に動くプロトタイプを示した。
・政治的・教育的な課題 — OLPCは、世界の7カ国から、2008年初頭までに出荷する500万台以上の注文を得ている。しかし、これは、教育予算を使って、学校のために本を買う代わりにラップトップを買うことになるので、困惑している人も多い。買ったとしても政府の崩壊で、学校にコンピュータが届かない可能性もある。学校に届いたとしても、教師が使い方を知らない間に、子供が使い方を覚えて、授業の間にチャットをするのに使ってしまうかもしれない。
・技術的には驚異的 — ラップトップは、ゲーム・コンソール、家庭内の劇場、電子ブックとして使われるため、ディスプレイは自在に回転させる必要がある。そこで、CPUはディスプレイの背面に配置されて、キーボードとの配線が単純になっている。壊れないようにするため2ミリ厚のプラスティックの殻をもち、埃や液体から守るためキーボードはゴムで覆われている。
・ハードディスク、冷却ファン、モニタの背面蛍光がない。アプリケーションとドキュメントは130MBで、512MBのフラッシュ・メモリに保存されている。
・電源は、車の電池から取ることもできるし、リチウム・イオン電池に手回しのクランクで充電する。しかし、子供達の手では、充分な充電は難しそうだ。そこで、1月には、Squid Labが、糸で引く発電器のプロトタイプを作った。これはYO-YO A GO-GOと呼ばれる。
・通常のPCは、30Wの電力を使うこともあるが、100ドル・ラップトップのプロトタイプは3Wで動く。CPUは、AMDのGoeoge GX 500@1.0Wという32ビットCPUである。1万個以上のロットで20ドル/個以上する。
・もっとも驚きなのは、砂漠の太陽の下から、室内で文字を読めるようにするための超低消費電力ディスプレイである。台湾のChi Mei Optelectronicsと協力して作った。(続く)
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2007年04月22日
RainbowServer: PDF to Excel変換モジュール を発売
アンテナハウスは、4月23日より、「RainbowServer: PDF to Excel変換モジュール」を国内・海外で同時に発売します。
本製品は、「リッチテキストPDF3」のPDFからExcel変換モジュールを、コマンドラインから使用できるようにし、かつ、マルチプロセスで動作を保証したものです。PDFからExcelへの変換仕様は、 「リッチテキストPDF3」と共通です。
PDFからExcelへの自動変換を一括処理、オン・デマンドで行う機能をシステムに組み込んで、使う用途を想定しています。
詳細は次のWebページをご覧ください。
【製品Webページ】
・日本語ページ http://www.antenna.co.jp/rbw/
・英語ページ http://pdf.antennahouse.com/product/rbw/
日本語版、英語版ともに評価版を用意しています。
評価版は機能制限はありませんが、評価期間を15日に制限しています。
お気軽にお確かめください。
【評価版ダウンロードページ】
・日本語版評価版
http://www.antenna.co.jp/rbw/download/rbw_kyodaku.html
・英語版評価版
http://pdf.antennahouse.com/product/rbw/rbw_lia.htm
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2007年04月21日
「リッチテキストPDF3」のダウンロード販売を開始
本日より、PDF作成・変換・変更ツールの統合版「リッチテキストPDF3」をベクターよりダウンロード販売を開始しました。
◎ベクターの商品ページ
「リッチテキストPDF3」
ダウンロード販売価格は、7,350円(消費税込み)です。
「リッチテキストPDF」シリーズには、「リッチテキストPDF3 D&D」もあります。このため製品について分かりにくくなっているかもしれませんので、整理してみます。
■機能の比較
機能 | リッチテキストPDF3 D&D | リッチテキストPDF3 |
---|---|---|
PDFからWord | ○ | ○ |
PDFから一太郎 | ○ | ○ |
PDF からExcel | ○ | ○ |
PDF からText | ○ | ○ |
PDF から画像 | × | ○ |
変換の詳細設定(余白、表領域、画像領域を対話的に指定) | × | ○ |
PDFを作成する (Antenna House PDF Driver) | × | ○ |
PDFのページ編成(分割・結合) | × | ○ |
PDFリニアライズ(Web最適化) | × | ○ |
PDFのセキュリティ設定 | × | ○ |
■商品形態と標準価格
商品形態 | リッチテキストPDF3 D&D | リッチテキストPDF3 |
---|---|---|
ダウンロード販売 | 5,250円 | 7,350円 |
パッケージ販売 | なし | 10,290円 |
■Webページ
「リッチテキストPDF3」
「リッチテキストPDF3 D&D」
ダウンロード版は、標準価格=実売価格ですが、パッケージ版の場合、標準価格と実売価格にかなりの差があります。また、お店によっても差がありますので、ご注意ください。
「リッチテキストPDF3」ダウンロード版の価格7,350円は、現在のパソコンソフトの価格としては、少し高いと感じられる方も多いのかもしれません。しかし、PDFからWordやExcelへの変換精度については、他社製品よりは遥かに高いと思います。また、PDF作成ドライバも現時点での業界最高レベルの機能、信頼性をもった製品と考えています。
世界NO.1のPDF製品にするには、まだまだ、多額の投資が必要です。ソフトの価格を安くしたり、無料にするのは簡単ですが、安売りでは、より良い製品を提供することができません。と言うことで、歯を食いしばって、高価格を設定しています。誠に勝手とは思いますが、なにとぞ、ご理解をくださいますよう、お願いします。
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2007年04月20日
ジャングルから、「書ける!PDF」,「変換!PDF」など4製品を発売
株式会社ジャングルは、「書ける!PDF」,「変換!PDF」など4製品を2007年5月17日(木)より、全国の量販店及びネットショップで発売開始すると発表しました。
詳細は、次に挙げるジャングルのニュース・リリースをご覧ください。
・「変換!PDF」「変換!PDF PRO」2007年5月17日発売!
・「書ける!PDF」「書ける!PDF フォーム付き」2007年5月17日発売!
ニュース・リリースにも紹介されていますが、
「書ける!PDF」は、アンテナハウスの「書けまっせ!PDF」と機能的に同等の製品です。また、「書ける!PDFフォーム付き」は、「書ける!PDF」にフォームを300種類同梱した製品です。それぞれ、税込み標準価格は、8,190円、9,240円となっています。
「変換!PDF」シリーズは、「変換!PDF」と「変換!PDF Pro」の2種類からなり、「変換!PDF」はアンテナハウスの「「リッチテキストPDF3 D&D」」と機能的に同等、「変換!PDF Pro」は、「リッチテキストPDF3」と機能的に同等品です。それぞれ、税込み標準価格は、7,140円、10,290円となっています。
ジャングルからは、各製品のパッケージ版とダウンロード版が販売される予定です。
現在のところ、アンテナハウスでは、「リッチテキストPDF3 D&D」のパッケージ版の販売予定はありませんので、本製品のパッケージ版は、「変換!PDF」のみとなります。
アンテナハウスから製品を販売しているにも関わらず、同等品をジャングルから販売した理由は、一生懸命開発した製品を、できるだけより多くの方々に使って喜んでいただきたいということに尽きます。
なにとぞ、よろしくお願いします。
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2007年04月19日
PDFと署名(11) — ルート証明書の信用保証
電子証明書の信用を付与する仕組みは、電子証明書の鎖ですが、その鎖をたどっていくと行き着くところは、ルート証明書となります。電子証明書の鎖は次の図のように構成されます。
上の図は、署名者:丙の電子証明書、CA:乙の証明書、ルート認証局:甲のルート証明書の3つから電子証明書の鎖が構成されている場合の例です。
署名者:丙の電子証明書が信用できるかどうかは、ルート証明書まで鎖をたどって検証します。しかし、ルート証明書の信用は別の方法で付与する必要があります。なぜかといいますと、ルート証明書は自己署名証明書であり、自己署名証明書は、誰でも簡単に作ることができるからです。
※ルート証明書が改竄されていないかどうかは、ルート証明書の中の公開鍵を使って署名データの暗号を解読することで検証できます。しかし、信用できるかどうかは改竄されていないかどうかとは別問題。あくまで、発行者を信用して良いかどうか、ということです。
ルート証明書が信用できるかどうかが判断できない限り、署名者:丙の電子証明書が信用できるかどうかは判断できません。では、どうするのでしょうか?
例えば、企業内や、仲間内のような比較的狭い集団であれば、ルート証明書の発行者を何らかの方法で特定し、その人が信用できるかどうかでルート証明書が信用できるかどうかを判断できるでしょう。
また、日本政府のPKI(GPKI)の場合は、ルート証明書のフィンガープリントを官報などで公開することで、ルート証明書の信用を判断する仕組みになっています。
参考:
・政府認証基盤(GPKI)
・財務省認証局について
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2007年04月18日
PDFと署名(10) — 自己証明書とルート証明書
さて、前回は、電子証明書を発行する機関を認証局(CA)ということ、そして、その発行された電子証明書の信用はCAの電子証明書(CA証明書)の信用に依存していることを説明しました。
CA自身の信用が他のCAに依存しているのですが、その信用の鎖をたどって遡っていきますと、最後には、ルートCAにたどり着きます。ルートCAの証明書(ルート証明書)は、他のCAが署名したものでなく、自分自身で署名したものになります。
公開鍵証明書の標準形式X.509には、発行元(Issuer)と発行先(Subject)の項目があり、そこに、証明書を発行した機関と発行先の機関の名前が書かれています。
発行元と発行先が同じになっている公開鍵証明書のことを、自己署名証明書と言います。
さて、そこで、次のような疑問をもってしまいました。
1.自己署名証明書は、電子署名法第13条でいうところの「電子証明書」に該当するのでしょうか?
※電子署名法第13条について
2007年04月13日PDFと署名(8) — 公開鍵証明書の発行と有効性検証
この文章を読みますと、どうも、自己署名証明書は電子証明書とは、言えないのではないかと思うのですが。今のところ、ちょっと自信がありません。
2.ルート証明書は、必ず自己署名証明書になります。しかし、逆に、自己署名証明書はルート証明書ではないでしょう。これは、自分で公開鍵と秘密鍵を生成して、自分の公開鍵に自分の秘密鍵で署名したX.509形式の公開鍵証明書を作れば、定義上、自己署名証明書になることから考えて明らかです。
まとめますと、電子署名の信用の根拠は、電子証明書にあります。その電子証明書の信用の根拠は、その証明書に署名したCAにあります。そのCAのCA証明書には他のCAが署名していますので、CAの信用の根拠は、そのCA証明書に署名した他のCAにあります。という具合にCAの信用の根拠をずっとたどっていきますと、ルートCAの自己署名証明書であるルート証明書に行き着きます。
そうしますと、どのような条件を満たす自己署名証明書が信用できるルート証明書として認められるのでしょうか?これは、電子署名ではかなり重要なポイントだと思います。
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2007年04月17日
失敗した技術についての投票
コンピュータワールド(英文)が、「宣伝文句を信じるな、最大の技術的しくじり」という記事を書いて、読者投票をやっています。
原文:Don't Believe the Hype: The 21 Biggest Technology Flops
候補として上がっているは次の21項目ですが、知らないものも多いです。
Apple Lisa
Apple Newton
Digital audia tape
DIVX
Dot-bombs
Dreamcast
E-books
IBM PCjr.
Internet currency
Iridium
Microsoft Bob
The Net PC
NeXT
OS/2
The paperless office
Push technology
QUBE
Smart appliances
Speech recognition
Virtual reality
Web TV
この記事は、4月4日に掲載されたもので、既に、29886件の投票があり、NO1.はMicrosoft Bobが16%です。
Microsoft Bobってご存知の方いますか?私はMicrosoft Bob って技術があったこと自体、まったく知りませんでしたが、Windows 3.1の上の漫画チックなGUIのようです。
まだ、現在進行形の項目もいろいろあるようですが、paperless officeは、PDFが日本よりも遥かに普及しているアメリカでさえ、しくじりの典型(候補)なんでしょうか?
「書けまっせPDF」でpaperless officeを目指す私としては、ちょっと困ります。
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2007年04月16日
「リッチテキストPDF3」店頭デモのご案内など
次の週末、4月21日(土曜日)と22日(日曜日)に秋葉原のLAOXザコンピュータ館5Fにて、弊社製品「リッチテキストPDF3」の店頭デモを行います。
実施時間は、それぞれ、13:00から18:00まででです。
店頭デモでは、単に製品のデモをご覧いただくだけではなく、テスト変換サービスもその場で実施します。
USBメモリまたは3.5インチフロッピーディスク(1.44MBフォーマット)で、変換したいPDFをお持ちいただければ、その場で、WordやExcel文書に変換するサービスを行います。変換してみたいPDFファイルを使って、実際に変換してお渡しします。「リッチテキストPDF3」の変換精度その結果を確認していただくことができますので、この機会をぜひご活用くださいますようご案内します。
なお、変換デモ、製品のデモにつきましては、弊社の本社ショウルームでご覧いただくことができます。
・本社ショウルーム
・地図
JR市ヶ谷駅から徒歩7分程度、都営線市ヶ谷駅B3出口から徒歩3,4分です。
遠隔地で、ご来社が無理な方向けに、テスト変換につきましては、PDFをe-メールで送っていただいて、変換結果を、メールでお返しすることも行っています。
・テスト変換サービス
◎「リッチテキストPDF3」関係
・製品ページ
・リッチテキストPDF3 D&D(姉妹製品)
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2007年04月15日
アンテナハウス製品のWindows Vista対応状況はほぼ完了
Windows Vistaの発売後、かなり多くのお客様から弊社製品のWindows Vista対応状況についてお問合せをいただきました。
弊社製品の現時点でのVista対応は次のページに一覧でご提供しています。現時点で、一部の製品を除き、Vista対応を完了しましたことを報告いたします。
アンテナハウス製品のWindows Vista 対応状況
弊社では、3月末までに主要製品のVista対応を完了することを目標に次のように進めてまいりました。
1.デスクトップ製品は原則としてバージョンアップを行う。
これは、デスクトップ製品は、シュリンク・ラップパッケージの形態で、販売店様の店頭などに在庫としておいていただいているケースが多いことから、仕様変更を明確にし、JANコードの変更、パッケージの外観の変更を行うことで、分かりやすい、理解しやすい形でVista対応を行うことを主眼としています。まだ、販売店の店頭には、一部、Vista未対応の製品の在庫が残っている可能性もありますが、早期に在庫の交換をさせていただきたいと考えています。
デスクトップ製品の中で、「アウトライナー」のみは、Vista未対応となっています。本製品は、店頭発売が1月20日と新しいため、バージョンアップには少し早すぎるためです。次のバージョンでVista対応となりますので、恐れ入りますが、しばらくお待ちください。
2.システム製品につきましては、改訂版をリリースする中で、Vista対応を進めてまいりました。
Windows Vistaは、デスクトップとして使われる状態で、サーバ用として使われるケースはまだ少ないと見られます。また、弊社のシステム製品は、原則としてOSの種類・バージョンに依存しないように開発していますので、ことさらVista対応を行わなくても、修正なし、またはわずかな修正でVistaでも問題なく動作します。あえてバージョンアップする程の変更にならない、ということもあります。
3月までVista対応を最大のテーマに進めてまいりましたが、とりあえず、一段落です。で、肝心のVistaの売行きを見てみますと、販売店での売行きはあまり良くないようです。OSが変わると、操作性も変わりますし、慣れ親しんだ操作性からなかなか変えたくない、という心情もあるのでしょう。
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2007年04月14日
PDFと署名(9) — 電子証明書の信用を保証する仕組み
昨日は、電子署名法では、電子署名がある電磁的記録は、その電子署名が本人だけが行うことができることとなるものである場合に限り真性なものと看做す、とされていることを見ました。
これを技術的にどういう仕組みで実現しようとしているか?これはなかなか面白いと思います。で調べてみましたら、かなり、分かりやすくて、良い資料がありました。
「PKI 関連技術解説」(独立行政法人 情報処理推進機構 2005年最終更新)
※この資料は私のレベルには良くできています。こんな資料をWebで無料で読めたら、書籍が売れるわけがありません。PKIの新しい本がないのも良く理解できます。
電子証明書の信用を保証するのは、本人登録を受付て、電子証明書を発行する機関です。本人登録を行う機関をRA(Registration Authority)、電子証明書を発行する機関を認証局CA(Certification Authority)と言います。RAは登録を申請した人が本人かどうかを確認する機関ですから、かなり人間的なアナログ組織、CAの方はデジタルな世界です。(RAとCAを分ける必要はないと思いますが。)
で、ともかくCAは電子証明書を発行します。そして、CAは、それが発行する電子証明書に、CA自身の秘密鍵で電子署名をし、CAの電子証明書を添えます。従って、各人の電子証明書はCAの電子証明書に信用の基盤を持つわけです。
では、そのCA自身の信用をどうやって保証するのでしょうか?
「PKI 関連技術解説」では、CAの信頼を保証する「信用モデル」について次のようなモデルがある、としています。
・単独CAモデル—1つの CA が全てのユーザに証明書を発行する方式。企業内などの閉鎖組織で用いる。
・階層型モデル—複数の CA を階層型(ツリー構造)に構成する方式。最上位のルートCAに絶対的(?)信頼を寄せる。下位のCAは上位のCAを信用する。
・Web モデル—Web ブラウザにはあらかじめルート CA の証明書が幾つか埋め込まれている。この証明書を信用する。
・メッシュモデル—複数の CA を接続して、相互に認証しあう方式。
・ブリッジ CA モデル—複数の CA がブリッジ CA を介して接続する。
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2007年04月13日
PDFと署名(8) — 公開鍵証明書の発行と有効性検証
一般に電子署名を利用する主な目的は、署名した人を特定し、その人により署名された文書が改竄されていないことを検証することにあります。これを支える技術のキーポイントは、公開鍵暗号化方式による電子署名自体であることは無論です。
しかし、公開鍵暗号化方式のみでは、署名者を特定することはできません。署名者を特定できない以上改竄の有無を判定できるはずはありません。署名対象文書を作成した人と別の人が、偽って署名していることがないと言い切れないならば、内容が改竄されていないと言い切れないのは自明です。
ですので、本当に重要なポイントは、署名を検証するための公開鍵を保証する公開鍵証明書のあたりにありそうだ、ということになります。
このあたりどうなっているか、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年五月三十一日法律第百二号)(電子署名法)を読んでみましょう。
○この法律では、公開鍵証明書のことを「電子証明書等」と言っています。
第十三条で、電子証明書等とは、利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者に係るものであることを証明するために作成する電磁的記録その他の認証業務の用に供するものとして主務省令で定めるものをいう、と説明されています。
「等」という部分が、ちょっと曖昧ですが、これを省略して、電子証明書と呼んでも良いのではないでしょうか。そこで、今後は、公開鍵証明書のことを、電子証明書ということにします。
第三条には、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」
とありますので、電磁的記録に電子署名がなされていたとき、それが真性に成立すると言うためには、その電子署名が「本人だけが行うことができるものに限る」ことを証明しなければなりません。
では、電子証明書で電子署名を検証すれば本人だけが行うことができると言えるのでしょうか?このあたりがどう扱われるか、とても難しそうです。
電子証明書は、署名が本人に関わるものであることは証明できることになります。では、例えば、ある利用者が公開鍵を認証事業者に登記して電子証明書を入手した後に、秘密鍵が漏洩してしまった場合は、どうなるのでしょうか?これは、秘密鍵が適正に管理されていないので、署名を本人だけが行うことができるといえませんので、真正に成立したとは言えません。
これを、電子証明書では、どうやって判定できるのでしょうか?また、そういう判断を行うための技術基盤はどうなっているのでしょうか?これはもっと調べてみないと分かりません。
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2007年04月12日
PDFと署名(7) — RSA、DSA、ECDSA って?
Wikipediaの電子署名の項には、電子署名方式(アルゴリズム)がいろいろ紹介されています。
RSA署名、離散対数問題を利用するElGamal署名、楕円曲線を利用するとか、いろいろ面白そうなのがあります。しかし、言ってみればこれらのアルゴリズム自体は、ハンコで言うとハンコの字形をいろいろ工夫して変えているようなものです。
例えば、個人の「実印」とか、会社の「代表者印」は、彫られた文字の形もさることながら、法務局にその印鑑を登記してあることの方が重要です。いままでの紙の世界では、重要な契約などには、実印をついて印鑑証明書を添えることが求められます。
それに対して、電子署名の場合は、公開鍵を登記して、「公開鍵証明書」をもらうことになります。
いろいろ資料を見てますと、結局のところ、どのような署名アルゴリズムを使うかよりも、「公開鍵証明書」に関連する問題の方がずっといろいろと難しく、また、重要なようです。
で、その話に進もうかと思いましたが、Wikipediaの「電子署名」を見直していて、日本の電子署名法では、RSA、DSA、ECDSA の3方式を指定とありますが、この3方式ってどんな方式なんだろう、所詮、印鑑の字形じゃないか?と無視して良いかどうか?とちょっと気になりました。
この法律を検索しても、RSA、DSA、ECDSA というような言葉は出てきません。大体、法律でアルゴリズムを決めるとは思えないですがね。
調べてみましたところ、これは、総務省、法務省告示第二号、経済産業省「電子署名及び認証業務に関する法律に基づく特定認証業務の認定に係る指針」(平成13年4月27日)にありました。
○RSA方式(オブジェクト識別子 1 2 840 113549 1 1 5)又はRSA-PSS方式(オブジェクト識別子1 2 840 113549 1 1 10)であって、モジュラスとなる合成数が1024ビット以上のもの
○ ECDSA方式(オブジェクト識別子 1 2 840 10045 4 1)であって、楕円曲線の定義体及び位数が160ビット以上のもの
○ DSA方式(オブジェクト識別子 1 2 840 10040 4 3)であって、モジュラスとなる素数が1024ビットのもの
の3つが基準を満たすとあります。
・RSAはよく聞きますが、大きな数の素因数分解が困難であることを利用する方式です。
・ECDSAは楕円曲線暗号(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)の略。
Elliptic Curve DSA
・DSA(Digital Signature Algorithm)は、米国のNISTが定めたもので、ElGamal署名の改良版だそうです。
DSA:Digital Signature Algorithm
やっぱり、これらは印鑑の字形に相当するものと言ってよいと思います。
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2007年04月11日
PDF Driver業界はWindows VistaとOffice 2007を無視?
Windows アプリケーションの印刷機能を使って、PDFを出力するPDF Driver。日本で販売されているものは、「Antenne House PDF Driver」を初め、沢山あります。
ところが、なぜか、Webまたはマニュアルなどで、公式にWindows VistaとOffice2007で動作保証をしているのは、現在(4月10日)の時点では、Antenne House PDF Driverのみです。
各社、VistaやOffice2007にはあまり熱心ではないように見えます。Office2007は、Save As PDFができますから、サードパーティが無視するのは分かりますが、Vistaも未対応とは、一体なぜなんでしょうね?
主なPDF DriverメーカのWebページ、あるいは、製品・評価版のマニュアルを見てみました。
(以下は、4月10日時点の状況ですので、ご注意ください。)
●Adobe Acrobat 8.0.0
http://www.adobe.com/jp/support/winvista/#01_vistaを見ますと、Acrobat8,0は、Vista製品版で検証中で、2007 年上半期にVista対応版とOffice2007対応の無償パッチを出すと書かれています。
●スカイコム SkyPDF Pro
Webページを見ますと、Version 2.53が最新のようです。Webページの動作保証の欄では、Vista、Office2007については何も触れられていません。
●クセロ クセロPDF
現在配布中のものを試したところVistaでは動きません。と思っていましたところ、Vista対応の評価版をVectorで配布開始!というメールの次のようなニュースが、4月10日朝、送られてきました。
====ここから引用開始====
株式会社クセロは、無償のPDF生成ソフト「クセロPDF」の Vista 対応版を「クセロPDF2 評価版」として
2007年4月11日より、ソフトウェアダウンロードサイトのVector よりダウンロード配布いたします。
(中略)
今後弊社よりリリースされる Windows Vista 対応製品に先駆けて、クセロのコア技術を先行して評価いただき、より多くのシェア獲得を目指します。
====ここまで====
メールには注意事項があり、次のように書かれています。
====ここから引用開始====
・この評価版はベータ版となり、印刷動作や出力品質が十分に検証されておりません。
・評価版のため使用期限が平成19年7月31日までとなっております。
====ここまで====
どうも、まだ、未完成という印象です。
●ZEON "DocuCom PDF Driver 英語版8.00R2"(日本語版は、7.85R1)
英語版の最新版は、2006年9月20日版(Vista発売前です)。
Quality のWebページを見ますと、Vistaのことや、Office2007のことは全然触れていません。
http://www.quality.co.jp/products/DC/DC_7J.html
●Global Graphics社 ”Jaws PDF Creator英語版4.1""日本語版は現在 3.6"
Webページには、Windows Vistaについては、"Coming Soon"(近日発売)となっています。また、Office 2007については、"do not currently support Microsoft Office 2007"(現在、未対応)です。
各社、どうもVistaとOffice2007には冷淡なようです。どうしたのでしょうか?Vistaは、XPS(XML Paper Specification)があるから、もうPDFは不要?
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2007年04月10日
PDFと署名(6) — 公開鍵証明書
先日(2007年04月06日)は、電子署名による認証の本質的な役割は、電子証明書が担っていること、そして、電子証明書による認証の基盤として、PKIという仕組みができていることをお話しました。
日本では、このような仕組みが作られたのは、2000年頃ではないかと思います。週末に新宿のジュンク堂に行って探してみたのですが、電子署名関係の本は、2000年頃に出版されたものが多いようです。この頃に、日本で電子署名法が施行されましたのが2001年です。2000年頃が電子署名ブームだったのですね。
※参考資料
総務省:電子署名・電子認証ホームページ
電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)
その後、もう6,7年経過していますが、その後、あまり新しい書籍も出ていないようです。少なくともジュンク堂には、この2,3年に出版された本は見当たりませんでした。現金なものです。それで、少し古い本ですが、「PKI公開鍵インフラストラクチャの概念、標準、展開」(カーライル・アダムス他、ピアソン・エヂュケーション社発行)と言う本を買ってきて読んでみました。
で、前置きが長くなりましたが、もう少し、電子証明書について調べてみましょう。
1.各人の保有する秘密鍵とそれに対になる公開鍵は、数学的なペアになっていて切り離せません。
2.では、そのペアが、本当に所有者であると主張する人のものであることは、もちろん、数学的には証明できません。登録機関に本人であることの証拠を沿えて登録し、その登録に基づいて、公開鍵に証明書を付けます。
3.公開鍵と証明書のペアが、広く公開されるわけですが、そのペアリングを保証するために証明書の発行元が、その発行元の秘密鍵で署名します。この署名があることで、公開鍵と証明書の対応関係を切り離すことができなくなります。
4.公開鍵証明書が広く一般に使われるためには、公開鍵証明書は、標準形式で作成する必要があります。標準形式には幾つかあるようですが、一番普及していそうなのが、X.509公開鍵証明書仕様というものだそうです。
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2007年04月09日
「いきなりPDF Edit2」批評
「いきなりPDF Edit2」を折角購入したので、ちょっと使ってみました。ちょっと感想をまとめておきます。
このソフトは、ほとんどすべて、台湾のZEONが開発したもののようです。
ZEONのWebページ
○ZEONについて
ZEONは、1989年設立でOEM中心のビジネスを行っていたが、1993年からPDF関係のソフトの開発をはじめ、1995年に米国のSeyboldの展示会で初めてPDF Driverを展示したと自己紹介しています。PDFに目をつけてビジネスとして取り組んだのは、かなり早かったということになります。
製品の販売は、自社ブランドよりもむしろ、OEMによる販売を行っているようです。OEM先として、米国のNuance、日本のQualityなどが上がっています。ソースネクストの「いきなりPDF Edit2」は、Nuance製となっていますが、実際は、ZEON⇒Nuance⇒ソースネクストという経由ということです。
「いきなりPDF Edit2」をインストールするとDocuCom PDF Driverがインストールされますが、これは、ZEONのPDF Driverです。多分、Qualityから販売しているのと同じものなのでしょう。
さて、「PDF Edit2」は、PDFDriverを中心とするPDFの生成と既存PDFの編集ソフトをセットにしたものです。
(1)PDF DriverによるPDFの生成については、他に沢山ある類似ソフトと大きな違いはないように思います。
「いきなりPDF Edit2」のGUIにも「PDFの新規作成」というメニューがあります。このメニューには次のような機能が割り当てられています。
この中で、「空白PDFを作成」というのはなかなか面白そうなのですが、使ってみますと本当に空白のPDFを作るだけで他にはなにもできません。空白PDFに文字を書き込むことができると面白いと思いましたが、それはできないようです。
(2)既存PDFの編集については、次のことができるようです。
・PDFのページ単位の編集
・既存のPDFにいろいろな透かしを追加する
・既存PDFのコンテンツ(テキスト、図形オブジェクト)を削除、更新可能
・PDFの注釈の追加、削除
・電子署名の付与・検証、証明書管理
・フォームフィールドの作成など。
機能的にはかなりいろいろ揃っているようです。しかし、どうもこういうソフトは、Acrobatの2番煎じに過ぎず、Acrobatの限界を超えていないという意味での物足りなさを感じます。
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2007年04月08日
PDFの書き込みソフトとPDFの編集ソフトの違いは何?
『書けまっせ!!PDF2』は、PDFの編集ソフトではなく、Webなどで配布されているPDF用紙に記入するためのソフトです、と言ってPRしています。
そうしましたら、あるところで、『書けまっせ!!PDF2』と、『いきなりPDF Edit』のようなPDF編集ソフトの違いは何でしょうか?という質問をいただきました。そこで、使ってみながら、整理してみようと考えて、3月に出たばかりの『いきなりPDF Edit2』を買ってきました。
この二つのソフトは、似たようなものですが、実際に使い比べてみますと、まったく違うものであることが直ぐに分かります。
1.用紙の枠に揃えて文字を書くこと
『書けまっせ!!PDF2』では用紙の枠を自動認識したり、枠に合わせて文字を上下・左右に配置したり、文字の大きさを設定したり、などなど、用紙の枠に文字を書き込むための便利な機能がいろいろあります。
ところが、『いきなりPDF Edit2』では、既にPDF上にある文字列を選択して修正する、ということは簡単にできるのですが、用紙PDF上の空白の入力枠に合わせて、新たに文字を入力する、というのは簡単にはできないようです。私にはどうしても簡単なやり方がわかりませんでした。
実際に使ってみますと、どうも『いきなりPDF Edit2』というソフトは、官公庁のPDF申請書に文字を書く、というような用途はまったく想定されていないように思います。
そうなりますと、これは比較すること自体が無意味!となりますが、しかし、そういってしまうと、質問への回答になりません。続けます。
2.編集禁止セキィリティの掛かったPDF
官公庁などから配布されている用紙PDFには、なぜか、編集パスワードが付いていて変更禁止になっているものが多いようです。もともと官公庁が公開している申請書書式類は、著作権保護の対象外というのが常識です。ですから、官公庁の用紙PDFが編集禁止にされているのは、その意図が理解し難いところがありますが、実態としてはPDFのセキュリティ設定がなされているものがかなりの比率に上ると思います。
『書けまっせ!!PDF2』では、編集パスワードで変更・印刷を禁止したPDFについても、画面に表示した情報を使って、その上に文字を入力し、用紙PDFの画面表示内容と、新たに入力した文字を重ねて新しいPDFを作り出すことができます。『いきなりPDF Edit2』では、編集禁止のPDF上の文字を編集することはできません。
3.書き込むデータや書式設定を保存して何回も利用できるかどうか?
『書けまっせ!!PDF2』では差込印刷、データトレイで入力データを保存したり、入力用の書式を保存しておいて繰り返し使うなども可能です。このあたりも単なるPDF編集ソフトとは違うところです。
そんなことで、『書けまっせ!!PDF2』でできて、『いきなりPDF Edit2』ではできないことが多々あります。しかし、これは、ソフトの出来の良し悪しではなく、本質的に狙っている用途が違うものであるということに由来するものでしょう。つまり、そもそも、この二つのソフトを同等に比較することに無理があった、と言えます。
しかし、ソフトをまったく知らない人には、この二つのソフトの違いを説明しにくいのは確かでしょう。このあたりが、ソフトウエアを一般の人に理解していただくこと、PRの難しさとも言えます。
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2007年04月07日
問題集・教材のコンテンツ作成のXML化とXSL-FOによる誌面制作
株式会社ベネッセコーポレーション様による、高校生用大学情報誌面、大学入試の問題集、高校の定期テスト対策問題集などのXSL-FOによる制作のケーススタディが公開されました。
・「高校生用の大学情報誌面の組版」
・「複雑な体裁の問題集の組版」
・「大学入試問題を扱った教材誌面の組版」
ベネッセコーポレーション様は、かなり古くからXSL-FOによる教材制作に挑戦されていましたが、このケーススタディでもXSL-FOとしては、かなり高度なレイアウトを実現している部分が見られます。
例えば、「大学入試問題を扱った教材誌面の組版」では、縦書きで漢字にルビを振り、さらに傍線を引いた箇所が見られます。このあたり、かなり複雑なスタイルシート設定を行っているのではないかと推測します。
同社の事例につきましては、先日の、Page2007の「XMLパブリッシングと高度な日本語組版」のセッションでも発表がありました。
今回のケーススタディでは、同日の発表内容よりもかなり詳しく踏み込んだ内容が公開されています。この資料を参考にしていただき、他の会社でも同じような取り組みが活発に行われることを期待します。
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2007年04月06日
PDFと署名(5) — 電子証明書
昨日は、公開鍵暗号方式を電子署名に使えることを説明しました。キーポイントは、秘密鍵と公開鍵があって、秘密鍵で署名対象データに署名し、公開鍵で署名から署名対象データを復元することにあります(次の図)。
オリジナル文書が大きい場合は、署名・復元の計算時間が膨大になるためオリジナル文書そのものではなく、署名したい文書データから計算したハッシュ値というものを署名対象データとして用います。ここではその部分の説明を省略します。
さて、受け手であるBさんの手元には、署名対象データ、署名データ、公開鍵があります。署名データを復元して、入手した署名対象データと一致したからと言って、署名者がAさんであるとは言い切れません。別のCさんがAさんの名を騙って署名して、Cさんの公開鍵をAさんのものであると偽ってBさんに渡す、という事態が生じる可能性があるからです。
このために、公開鍵には電子証明書をつけます。上に述べましたように、秘密鍵-公開鍵のペアだけでは、署名者を本当に特定することはできません。ですので、電子署名による認証の本質的な役割は、電子証明書が担っているという方が適切なように思います。
電子証明書の仕組みは幾つかあるようですが、現在、公開鍵暗号基盤(PKI:Public Key Infrastructure)という仕組みが整いつつあります。これは要するに電子証明書を発行して、公開鍵の所有者を特定する社会的な仕組みです。
例えば、e-TaxのWebページには、電子証明書を入手できる機関の一覧が掲載されています。
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2007年04月05日
PDFと署名(4) — 公開鍵暗号方式を署名に使う
前回は、公開鍵暗号方式は、各通信相手毎に異なる「公開鍵」で、相手に渡したい機密データを暗号化し、受け取った相手は、「秘密鍵」でその暗号を解いて、元のデータに戻すという仕組みになっていること。このままでは、署名には使えないのではないかという疑問があることをお話しました。
もう少し調べてみましたところ、署名は、同じ暗号方式の順序を変えて、「秘密鍵」で署名をして、「公開鍵」で逆に署名されたデータを元に戻すのだそうです。
つまり、公開鍵暗号方式は暗号化の鍵を次の図の順序で使います。
これに対して、署名では暗号化の鍵を次の図の順序で使います。
「秘密鍵」は、その署名した人だけが持っているはずの鍵です。オリジナルデータを、その署名者固有の「秘密鍵」で暗号化したデータ(署名データ)は、署名者のみにしか作成することができません。
署名データを受け取った受信者が、その「秘密鍵」と対になる「公開鍵」で署名データの暗号を解いて、オリジナルデータに戻すことができることは、すなわち、その署名データは、「秘密鍵」の所有者によって作られたことを証明できるということになります。
また、署名データとオリジナルデータを受信した人が、署名データから暗号を解いて作り出したオリジナルデータのコピーと、受信した生のオリジナルデータを比較して、一致していれば受信したオリジナルデータが改竄されていないことも証明できます。
こうして、本来は情報の秘密を守るための暗号化方式を、送信者を認識する署名とデータの改竄有無の検証にも使うことができるということになります。
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2007年04月04日
「リッチテキストPDF3 D&D」のベクターのソフト・レビュー他
「リッチテキストPDF3 D&D」について、ベクターのソフト・レビューで紹介されました。
ベクター ソフト・レビュー
「リッチテキストPDF3 D&D」
本製品は、現在、ベクターでのみダウンロード販売中。今後、他のダウンロード販売サイトでの販売も拡大していく予定です。
なお、4月2日夜の時点でベクターのマスターを更新していますので、本製品を、既に、ベクターでお求めの方は、再ダウンロードして新しいマスターを入手されることをお勧めします。
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2007年04月03日
PDFと署名(3) — 公開鍵暗号方式
昨日は、「公開鍵暗号方式」というキーワードが出てきましたが、公開鍵暗号方式とは、どういうものでしょうか?
公開鍵暗号方式は、もう非常にポピュラーな言葉で、Webで検索しますと、簡単な説明は一杯あります。ちなみに、Wikipediaでは、次の説明があります。
これらを要約しますと公開鍵暗号化方式とは次のようなものです。
(1)公開鍵と秘密鍵というペアの鍵を使って暗号化した情報のやり取りを行う方式。
(2)これで機密情報通信を、次のように実現します。
a.機密情報を受信する人は、公開鍵と秘密鍵を生成するツールを使って、自分独自の公開鍵と秘密鍵を作ります。公開鍵は情報源となる相手に渡します。秘密鍵は他者に見せないように保持しておきます。
b.機密情報を送信する人(情報源となる人)は、送信したい相手の公開鍵を使って、送りたい機密情報を暗号化します。そして、暗号化された情報を送りたい相手に送信します。
c.機密情報を受信した人は、その情報を自分の秘密鍵を使って暗号解読します。
おおざっぱな仕組みは、次の図のように表すことができます。
この仕組みで、機密を保持した通信を行うには、次の条件が成り立つ必要があることは簡単に分かります。
(1)公開鍵と秘密鍵のペアは、送りたい相手毎に違っていなければなりません。そして、公開鍵で暗号化した情報は、それと対になる秘密鍵のみで解読ができること。
(2)さらに、公開鍵が情報を送りたい相手のものであることを一意的に保証する仕組みが必要です。送り手とは別の人の公開鍵で間違って暗号化してしまえば、送りたい相手以外に情報が漏れてしまうからです。
このあたりの詳しい説明は、もう少し専門的な解説に任せることにして、上の説明からしますと、公開鍵暗号化方式と電子署名とは、どうも違うもののように思います。
単純に考えて、電子署名では、情報を送信したい人が誰であるかを証明したいわけです。他人の公開鍵を使って署名したところで送信したい人が誰かを証明できるはずがありません。公開鍵は名前どおり、誰でも入手できるものだからです。
ところが、Webの説明をざっと読みますと、電子署名は公開鍵暗号方式を使っているという説明が多いようです。
昨日紹介しました、Wkikpdeiaの電子署名の説明の書き出しも、「電子署名を実現する仕組みとしては、公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名が有力である」とあって、一見、公開鍵暗号化方式を使うとそのまま、電子署名ができそうに思えてしまいます。しかし、このような説明はあまりに単純化しすぎではないのかな?という疑問を持ちました。
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2007年04月02日
PDFと署名(2) — PDFの署名機能と電子署名
現在、PDF Toolに電子署名機能を追加しようとして開発していることは、昨日、申し上げました。開発担当者がやっていることの報告を聞いたり、時間があるときにPDF Referenceを見たりしてますと、PDFの署名機能と、一般の電子署名といわれる機能は、かなり異なっているように思います。
で、かなり異なっているようだということはなんとなく分かりますが、厳密にどこが、どう異なっているかは説明できません。そんな具合で、どうも、隔靴掻痒の感があります。
これからPDF 電子署名機能を出すにあたり、これではちょっと頼りない。ということで、ブログを書くついでに、このあたりを、もう少し明確にするために自分で調べてみることにしました。実際、とこが異なっているかを理解するには、一般の署名機能もPDFの署名機能について少なくとも概略を理解する必要があります。そこで、まず、次のことを整理してみたいと思います。
(1)一般に電子署名とはどういうものか?
(2)PDFの電子署名とはどういうものか?
電子署名とは?
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「電子署名」の項を見てみます。
次のような説明があります。
「電子署名とは、電子的な文書に付与する徴象であり、紙文書での印やサインに相当する機能を意図したものである。」
電子署名は、パソコンなどで扱うデジタルデータに付与するもので、紙文書での押印やサインに相当するものというのは、なんとなく分かります。
「電子署名を実現する仕組みとしては、公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名が有力である。日本では電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)にて、RSA、DSA、ECDSA の3方式を指定している。いずれも公開鍵暗号方式に基づく方式である。」
ということで、この文章からは次のことが分かります。
・電子署名には、「公開鍵暗号方式」に基づくものと、「そうでないもの」がある。
・公開鍵暗号方式が有力。
・公開鍵暗号方式の中では、RSA、DSA、ECDSA の3種類が日本では法的に認められている。
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2007年04月01日
PDFと署名(1) — 「書けまっせ!!」に電子署名は必要?
「書けまっせ!!PDF」は、現在、V2ですが、もちろん、次のV3に向けて準備を進めています。
次のバージョンでは、PDFをもっと便利に使えるいろいろな機能を強化したいと考えています。その機能強化ポイントの一つとして、署名機能が一つの候補です。
日本で、申請書と来たら印鑑はつき物です。ですので、PDFの申請用紙に文字を簡単に記入できるようになったら次は押印機能の実装は自然な流れでしょう。
そこで、ちょっと悩んでいることです。
印影を画像にしてPDFに貼り付けるだけなら、操作性を問わなければ、今の「書けまっせ!!PDF2」でもできます。ただ、印影をPDFに貼り付けるのは簡単ですが、実際のところ、それで良いのでしょうか?
アンテナハウスでは、PDF Tool 用にPDF電子署名機能を開発しています。遠からず、システム部品としてのPDF Toolに、電子署名機能付きのバージョンをリリースできると思います。
企業用のシステムで、本格的な署名・認証まで行うということになりますと、こうした電子署名機能も必要なように思います。しかし、企業内の本格的なシステムならともかく、「書けまっせ!!PDF2」のような簡易なPDF筆記具に、電子署名機能が必要なのでしょうか?
紙の世界での認印というのは、ほとんどデジタルの世界では、画像を貼り付けたものと同等です。そこにいきなり、高度な電子署名の機能が本当に必要なのでしょうか?「書けまっせ!!PDF2」は、紙に文字を書く筆記具のようなソフトを目標にしていますので、認印を実装すれば、それで良いんじゃないか、という気もします。
どんなものでしょうか。
※今日はエイプリルフールです。
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