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2008年05月19日

PDFによる情報保存の法的な有効性 (5)

建築士法では、第二十四条の三 帳簿の備付け等及び図書の保存で、「建築士事務所の開設者は、国土交通省令で定めるところにより、その建築士事務所の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
2  前項に定めるもののほか、建築士事務所の開設者は、国土交通省令で定めるところにより、その建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。」
と定めています。

・業務に関する帳簿とは、契約に関連する書類、業務の報酬、従事したものの氏名など。
・図書とは建築物の建築工事実施のために必要な図面及び仕様書

建築士法施行規則を見ますと、1項の帳簿については、「前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて法第二十四条の三第一項に規定する帳簿への記載に代えることができる。」とされています。

つまり、建築士の契約書や業務に関わる書類はPDFで保存することが認められています。保存期間は15年間です。

2項の図書については、「国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」の第三条を見ますと、次のようになっています。

e文書法「第三条第一項の主務省令で定める保存は、別表第一の上欄に掲げる法令の同表の下欄に掲げる規定に基づく書面の保存とする。」とあります。別表第一を見ますと第二十四条の三第二項は書面の保存とされています。

つまり、図書は書面で保存となっており、PDFでの保存は認められないという解釈になるのではないでしょうか。

こうしてみますと、
2008年03月26日 PDFによる情報保存の法的な有効性 (1)

で、財団法人 建築行政情報センターのWebページで、「改正建築基準法に係る質疑・応答」というQ&Aを紹介したのですが、「紙面に打ち出された設計図書をスキャンした場合、当該PDFファイルによる保存は可能です。」というのは、国土交通省の省令から見るとおかしいのではないでしょうか?

【参考】
建築士法
建築士法施行規則(国土交通省令)
国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック