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2008年03月26日

PDFによる情報保存の法的な有効性 (1)

先日、国土交通省の電子納品でのPDFの扱いに少し触れました。

2008年03月23日PDFのフォント埋め込み — 電子納品PDFでフォントを埋め込まないのはなぜ?

簡単に整理しますと、
1.「土木設計業務等の電子納品要領(案)」では、平成16年版には既にPDFによる電子納品をかなり幅広く認めているようだ。
2.「工事完成図書の電子納品要領(案)」では、平成20年版で、PDFによる電子納品を認めることになっている。

電子納品に関する要領・基準はこちらに一覧表があります。
国土交通省:CALS/EC電子納品に関する要領・基準

このページに掲載されている他の基準についても調べてみました。

A.一般・土木分野(続き)
3.CAD製図基準(案)  H16.6 特にPDFには触れていない。
4.デジタル写真管理情報基準(案) H18.1 特にPDFには触れていない。
5.測量成果電子納品要領(案) 国土地理院 H16.6 かなり広範にPDFを認めている。
  http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/download/denshinouhin/pdf/youryouv2.1.pdf
6.地質・土質調査成果電子納品要領(案) H16.6 電子柱状図など、PDFを標準としている。

B.電気
1.工事完成図書の電子納品要領(案) 電気通信設備編 H16.6 特にPDFには触れていない。
2.土木設計業務等の電子納品要領(案) 電気通信設備編 H16.6 土木設計と同じく、広範にPDFを認めている。
3.CAD製図基準(案) 電気通信設備編 H16.6  特にPDFには触れていない。

C.機械
1.工事完成図書の電子納品要領(案) 機械設備工事編 H18.3  かなり広範にPDFを認めている。
2・ 土木設計業務等の電子納品要領(案) 機械設備工事編 H18.3  かなり広範にPDFを認めている。
3. CAD製図基準(案) 機械設備工事編 H18.3 特にPDFには触れていない。
4. 電子納品要領(案) 機械設備工事編 施設機器コードH18.3 特にPDFには触れていない。

以上のように、基準によって、PDFを標準にしたり、オリジナルとPDFを認めたり、認めなかったりとかなり温度差があるようです。

なお、国土交通省の電子納品の基準をベースにして、都道府県などの地方自治体でも同様な基準を定めていて、PDFによる工事図書の納品はかなり幅広く実務的に採用されているようです。

なぜ、このようなことが気になったかと言いますと、実は、次のような例があるからです。

■財団法人 建築行政情報センターのWebページで、「改正建築基準法に係る質疑・応答」というQ&Aがあります。

確認・検査・適合性判定の運用等に関する質疑 
http://www.icba.or.jp/kaisei/doc/Q&A.pdf
(最終更新日 平成19年12月 30日)

この中に、次のような質問があります。
Q108 建築士設計事務所において保存すべき設計図書を、PDFファイルで保存することは可能でしょうか?

回答は次のようになっています。
原本性を担保するという観点から、PDFファイルについては、以下の2通りが想定されます。
①CADによって作成された設計図書(電子データ)をPDF印刷した場合、当該PDFファイルによる保存は認められません。
②紙面に打ち出された設計図書をスキャンした場合、当該PDFファイルによる保存は可能です。なお、マイクロフィルムによる保存は従来より認められているところです。

この質疑応答は、あまりにも短くて趣旨がはっきり分かりません。CADはだめだが、他のアプリケーションなら良いのかどうか?あるいは、ボーン・デジタルなPDFは全部だめなのかどうか?

こういうものを見ますと、どうも、PDFファイルが電子データの保存形式としてどの程度認められているのか、もう詳しく調べてみる必要がありそうです。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック