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2008年03月23日

PDFのフォント埋め込み — 電子納品PDFでフォントを埋め込まないのはなぜ?

お客さんから、弊社の「アウトライナーを電子納品のPDFを作成するのに重宝している」というご連絡と幾つか、ご要望をいただきました。

昔、電子納品が始まる頃に、電子納品の仕様についていろいろ調べたことがありました。昔は、オリジナルのワープロ文書などを、そのまま納品するような仕様になっていた記憶があります。電子納品は、最初の頃は国土交通省の大型工事を対象でしたが、だんだん、地方自治体まで広がって、いまではかなり一般的になってきたようです。

それで、いつの間にか、報告書をPDFで納品するようになったようです。「土木設計業務等の電子納品要領(案) 平成16年6月国土交通省」を見ますと、

4.ファイル形式 (p.12)
・報告書ファイルのファイル形式はPDF 形式とする。

となっています。

でも、国土交通省のパブリック・コメント募集:
「土木設計業務等の電子納品要領(案)」、「工事完成図書の電子納品要領(案)」及び「デジタル写真管理情報基準(案)」の改定に関する意見募集について

の資料を見ますと、

「工事設計業務の電子納品」においては、PDF形式での納品が標準的になっているようですが、「工事完成図書」の方は、平成20年改訂案版でもPDFが標準になっていなくて、「受発注者協議により、オリジナルファイルから変換したPDF ファイルも納品可とする。」(p.25)になっています。

◎設計業務ではPDFが標準なのに、完成図書はPDFが標準じゃないのはなぜなんでしょうね?

ところで、「土木設計業務等の電子納品要領(案)<改定素案>」(平成20年3月国土交通省)の「5 報告書ファイルの作成」にPDF作成の注意事項があります。

---ここから---
• 用紙サイズは、A4 縦を基本とする。
• 印刷を前提とした解像度、圧縮の設定を行う。
• 不要なフォントの埋め込みは行わない。また、特殊なフォントは用いない。
---ここまで---

とあります。

◎このフォント埋め込みを非推奨にしている理由は理解できません。作成者と同じフォントが、受領者の環境にない場合、フォントが埋め込まれてないと文字化けする可能性があります。

例えば、ISOのPDF/Aの仕様でも長期保存用のPDFは、フォント埋め込みを必須としています。

異なる組織間でPDFを受け渡す際は、フォント埋め込みを標準とするべきだと思います。逆に、フォント埋め込みをしないことを推奨するには、PDFの作成・表示環境が時間と空間を越えて不変であるということが前提が必要です。しかし、この前提が簡単には保証されないことは少し考えれば分かると思います。

残念ながら、パブリック・コメントは、3月19日で終了してしまっていました。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック