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2007年05月05日
PDFと署名(19) — 商業登記に基づく電子証明書は使えそう。しかし。
法務省の「商業登記に基づく電子認証制度」(電子認証制度)は、法人の登記情報に基づく、電子証明書を発行しています。この電子証明書は、次の人が対象となります。
「登記所に印鑑を提出している会社の代表者・支配人や商号使用者。また、会社以外の民法法人,独立行政法人,特殊法人,認可法人,協同組合,社会福祉法人,医療法人,宗教法人,学校法人,信用金庫,特定非営利活動法人などについても,登記所に印鑑を提出した代表者。」
電子認証制度の電子証明書には、公開鍵証明書 X.509 V3仕様の独自拡張部分を用いて、法人について、商号、本店、代表者名、代表者の資格、管轄登記所、会社法人番号が記録されています。従って、この電子証明書に対応する秘密鍵で署名した文書については法人を特定できます。
この電子証明書の発行申請は、各法人の管轄登記所ですが、東京法務局が電子認証登記所(CRCA)となります。電子証明書の検証は、署名された文書の受信者がだれでも行うことができますので、一般の企業の取引でも使うことができます。登記内容は商業登記法に基づいており、虚偽の登記は罰則が適用されますし、汎用性が高いものと思います。
しかし、問題が幾つかあります。
(1)手数料は3ヶ月単位で3ヶ月から最長で27ヶ月(2年と3ヶ月)。3ヶ月の場合で2,500円、1年7,900円、27ヶ月で16,900円となります。さらに、取得申請時に登記済みの印鑑証明も必要ですので、印鑑証明1通分の手数料がプラスされます。
(2)秘密鍵・公開鍵ペアを自分で行い、公開鍵をフロッピディスクに入れて提出しなければなりません。いまどきは、フロッピディスク・ドライブ装置を持っていないPCも多いのにね!
(3)フロッピへの記録方式が規定されています。このフロッピ作成等の処理を行うためのアプリケーション・ソフトウエアが必要です。
☞ 電子証明書の方式等に関する件(告示)
(4)この電子認証制度の電子証明書は、多くの電子入札システムで使えます。但し、例えば電子入札コアシステムでは、電子証明書の保存媒体としてはICカードしか使えませんので、コアシステムを採用した電子入札に使おうとすると、受け取った電子証明書を電子入札コアシステム用のICカードに移すことが必要です。
(5)電子認証登記所が発行した証明書を検証するときは、証明書失効リスト(CRL)ではなく、オンライン(OCSP)で状態を問い合わせる必要があります。従って、インターネットに接続していない端末から証明書有効性の検証はできません。
電子認証制度の電子証明書は、法人(代表者)の証明書としては、最も正統的であり、かつ汎用に使えるものです。この点、今後の普及を期待したいところです。しかし、普及させるには、手数料をもっと安くすること、期間を大幅に延長すること、手軽に使えるアプリケーションが増えることなどの諸条件が整うことが必要なように思います。
投稿者 koba : 2007年05月05日 08:00
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