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2007年03月04日
日本語組版はグリッドベースで行うと言って良いのか?(7)
昨日は、Microsoft Wordのページ設定で、「文字数と行数を指定する」、「原稿用紙の設定にする」、という二通りの設定をして、文字を入力した結果を検討してみました。
その結果を見ながら、2007年02月27日日本語組版はグリッドベースで行うと言って良いのか?(5)を振り返って、CSS3の10.2 line-grid-modeの仕様に出ているサンプルの図と照らし合わせてみます。
そうしますと、Microsoft Wordの「文字数と行数を指定する」(標準の字送りOFF)は、すなわち、CSS3のallグリッド・モードと同じであり、「原稿用紙の設定にする」は、ideographグリッド・モードと同じになっていることが分かります。
このことからも、CSS3 Text Module W3C Candidate Recommendation 14 May 2003の10. Document gridの仕様は、Microsoft Wordのページ設定の仕様をベースに作られていると言って間違いない、つまり、CSS3(案)に規定されているグリッドの仕様は、ワードプロセッサの原稿清書用の機能をCSSに持ち込んだものである、といえます。
このMicrosoft Wordの機能は、従来であれば手書きで行っていた、論文集・作文集の原稿執筆などを、原稿用紙と鉛筆の世界からワードプロセッサを使って行うための機能と考えられます。つまり、ワードプロセッサを紙と鉛筆の代わりに使って原稿書きをするためのものです。そのための目的としては重宝されるものと思います。しかし、そこで出来上がった結果は、あくまで、清書されてプリントされた原稿であって、そのまま印刷物にするものではありません。
これに対して、JIS X4051「日本語文書の組版方法」は、表題の組版から自明なように印刷のためのものであり、適用範囲では、主に書籍に適用する、とあります。
XSL-FOの用途は、XMLドキュメントの組版をすることにありますので、適用範囲は、書籍あるいは操作説明書などの書籍に近い印刷物となります。従って、XSL-FOには、原稿清書用の機能は不必要と考えられます。
では、CSSには、原稿清書用の機能が必要なのでしょうか?これは、CSS3の適用される用途にも依存しますので、なんとも言えません。
ただ、CSS3 Text Module W3C Candidate Recommendation 14 May 2003を見ますと、"Giving a fixed advance width to ideograph grapheme clusters only. Other grapheme clusters are spaced normally. This is called "genko" in Japanese typography."(漢字かな類のみを固定ピッチとし、他の文字には通常のスペースを与える、これは、日本のtypographyでは"原稿"と呼ばれる)という文章があります。
ここでTypographyとはなんでしょうか?Wikipediaの説明は以下のようになっています。
Typography英語版
Typography is the art and techniques of type design, modifying type glyphs, and arranging type. Type glyphs (characters) are created and modified using a variety of illustration techniques. The arrangement of type is the selection of typefaces, point size, line length, leading (line spacing) and letter spacing.
Typography is performed by typesetters, compositors, typographers, graphic artists, art directors, and clerical workers. Until the Digital Age typography was a specialized occupation. Digitization opened up typography to new generations of visual designers and lay users.
日本語版
タイポグラフィ (英: Typography) とは、活字(あるいは一定の文字の形状を複製し反復使用して印刷するための媒体)を用い、それを適切に配列することで、印刷物における文字の体裁を整える技芸である。タイポグラフィの領域はその周縁においては、木版を用いて文字を印刷する整版、見出し用途のための木活字の使用、やはり木活字を使用する古活字版、さらにはレタリングやカリグラフィー、東アジアの書芸術と、技術的内容においても審美的様式においても、深く連関する。
この説明を見て、直ぐに分かることは、原稿執筆はTypographyにはあてはまらないということです。もし、CSS3が、原稿とはTypographyの一種であると理解して書かれているならば、まず、この理解の誤りを正す必要があります。
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