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2006年11月21日
電子行政とPDF (2)
さて、この行政における申請の電子化の状況の表を眺めていまして、幾つか、気が付きました。
1.オンライン化率が高いのは物品の取り扱いに関する許可申請の類である。
手続きがオンラインで行われている比率が高いものを上位から10位を並べますと次のようになります。
省庁名 | 対象手続き | 年間平均申請件数 | オンライン利用件数 | 利用率 |
---|---|---|---|---|
財務省 | № 12 輸出申告 | 13,535,000 | 13,359,000 | 98.7% |
財務省 | № 11 輸入(納税)申告(輸入許可前引取り承認申請を含む。) | 31,721,000 | 30,898,000 | 97.4% |
農林水産省 | № 3 採補数量等の報告 | 231,000 | 215,000 | 93.1% |
財務省 | № 10 保税運送(包括)承認 | 767,000 | 700,000 | 91.3% |
財務省 | № 3 貨物の積卸しについての書類の呈示 | 1,819,000 | 1,597,000 | 87.8% |
農林水産省 | № 2 輸入植物等の検査の申請 | 335,000 | 285,000 | 85.1% |
厚生労働省 | № 1 食品等の輸入の届出 | 1,716,000 | 1,425,400 | 83.1% |
財務省 | № 6 外国貨物仮陸揚の届出 | 630,000 | 521,000 | 82.7% |
財務省 | № 14 積卸コンテナー一覧表の提出 | 203,000 | 151,000 | 74.4% |
農林水産省 | № 1 指定検疫物の輸入届出 | 206,000 | 151,000 | 73.3% |
これは、輸出入などの物品の取り扱いを行う企業(業者)と、役所との間でのオンライン化が進んでいることを示しているものと思います。
2.多くの国民に関係が深いと思われる、税務、保険・年金、自動車は、まったくオンライン化が進んでいない。
・財務省の国税電子申告・納税システム(e-Tax)のオンライン化率は0.2%
・厚生労働省電子申請・届出システム(No.2~No.4)のオンライン化率は0.0%
・厚生労働省 労働保険適用徴収・電子申請システムのオンライン化率は0.0%
・厚生労働省 労働保険適用徴収・電子申請システム、厚生労働省電子申請・届出システム(グループ申請)のオンライン化率は0.2%
・厚生労働省電子申請・届出システム(No.10~No.77)のオンライン化率は0.0%
・自動車保有関係手続のワンストップサービスシステムのオンライン化率は0.0%
と、まったく、目を覆いたくなるような惨敗といえるような数字です。この状態ではこれらの申請オンライン・サービスの利用率はどう考えても、2010年に50%達成は無理ではないかと思ってしまいます。
昨日、松下幸之助の「商売は真剣勝負」(PHP文庫)という本を読んでいましたら、最初に立てた目標を達成できない、”こと志に反する”のは、自ら省みて自己認識ができてないからだ、という一文がありました (pp.163 ~169) 。「税務、保険・年金、自動車」関係のオンライン申請のケースでは、目標自体に無理があるか、あるいは、本当に目標が重大ならば、やり方を抜本的に変更しないと目標を達成することができないんじゃないでしょうか。政府は業者に対しては権力を振りかざして強制・指導はできても、一般国民まで強制はできない、ということについて自己認識が足りないのではないでしょうか。