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2006年08月13日

PDFで隠したはずの個人情報丸見え — について

オーシャンブリッジの高山社長のブログを見てましたら、「PDFで「隠したはずの個人情報丸見え 千葉市教委のホームページ」(2006年08月01日)という記事が眼に留まりました。

PDFを外部に配布するにあたり、秘匿したい部分に、「墨塗り」をして消したつもりで配布したところが、実際は、PDFのコンテンツには、塗りつぶされたはずの本文が残っていて、情報が取り出せてしまったという問題です。

この問題は、8月1日の朝日新聞に掲載されたもので、もうブログの世界の格好の話題だったようです。遅れていてすみません。

岡村 久道 IT弁護士の眼 ホームページ「部分黒塗りPDFファイル」事件や、Okumura's Blog他のブログでも取り上げられています。

「千葉市教委HP「墨塗り」丸見え、会見で謝罪」記事によると、「ワープロソフトで会議録を作成した際、個人情報の部分を『蛍光ペン』という機能を使って墨塗りしたが、元の文書を消していなかった。確認不足で、技術的に未熟だった」としています。

PDFを後処理したのではなく、ワープロソフトの蛍光ペン機能を使ったとなっています。としますと、この問題はPDFを作るときの注意事項です。

技術的問題というよりも、啓蒙活動が必要な類の話題ということになります。

そういう点では、高木浩光@自宅の日記ブログの■ 公務員研修で体験させておくべき演習 「蛍光ペンで墨塗り」の巻を読むのが良いですね。

文字を見えなくする方法としては、(1)ワープロの蛍光ペンを使って文字と同じ色で塗りつぶす、(2)不透明な矩形等(ワードではシェイプ)を文字の上に配置する、(2)文字の色を背景の色と同じにするなど幾つか方法が考えられます。これらの方法では、文字情報そのものを消しているわけではありません。ただ、画面上で文字を見えなくしているだけです。PDFにすると、その文字情報もPDF内に出力されます。PDFに限らずワープロ文書を配布する場合も同じなので、注意しなければならない、ということ。

ちなみに、アンテナハウスでは、5年程前に、あるSI会社からの依頼で、PDFで情報公開するための「伏字フィルター」を開発したことがあります。

この「伏字フィルター」は、単に塗りつぶすのではなく、PDFコンテンツの該当文字自体を、別の文字に置換してしまう、というもの。公開したPDFの中から元の情報そのものは完全に削除してしまっています。ですので、消したはずの情報を取り出すのは不可能で、「あらら、見えてしまう」ということは起こり得ません。

実際のところ、PDFで「隠したはずの個人情報丸見え」というような問題が頻発するなら、本物の「伏字フィルター」を広く社会に提供することが必要かもしれない、と感じた次第です。しかし、千葉市教委のPDF黒塗りファイル事件のような問題は、ツールだけでは防止できそうもありませんね。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック