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2006年03月04日

Macromedia吸収後のアドビ、次のステップ

アドビのCEO Bruce Chizen のWharton School of Businessでのインタービューは一読の価値があります。

アドビは、2005年12月にMacromediaの買収を終えたわけですが、その大きな狙いは冷蔵庫、自動車からビデオゲーム、コンピュータ、携帯電話までのすべてのデバイスの画面にインターフェイスを提供することだと言っています。

これは、まさにMicrosoftの組み込み用Windows戦略とぶつかります。逆に、MicrosoftのWindows VistaはPresentation Foundation、XML Paper Specification、Office12のPDF生成などアドビの大きな収入源であるPDF分野を浸食しようとしています。

いままで、アドビとMicrosoftは、うまく分野を棲み分けて、あまり正面衝突はしてこなかったように思いますが、これからは両雄の激突必至となりそうです。

このインタービューでは、いまや、世界で5番目に大きなソフトウェア・メーカとなったアドビの次のステップについて語られています。

ポイントは:
(1)アドビはMacromediaの買収でフラッシュを手に入れ、これによってPDFとFlashを合わせて、あらゆるプラット・フォーム、あらゆるOSで対話的な表示機能を提供できるようになった。特に、携帯電話分野でFlashの採用実績が多いことに期待しているようだ。

(2)また、アニメーションからビデオまでの編集ソフトの技術も手に入れた。アドビのCreative Suite製品との連携を考えているようだ。DTPにビデオ編集まで一緒にして、制作者向け製品の充実をする。

(3)この3年程LiveCycle製品を中心に、企業向けのシステム製品市場(ワークフロー分野)に取り組んできた。難しかったが、ようやく利益がでるようになってきた。Macromedia買収で、企業向けの営業力も倍増できた。

(4)Acrobatは、6億から7億ドルのビジネスになっている。Microsoft Office 2007がPDFを出力できるようになることでPDF生成分野の収入が減るのは仕方ない。PDFはオープン・スタンダードになっていて、サードパーティ製品も既に一杯あることだし。アドビは、ここ5年ほど、Acrobatに対して、PDF作成以外の付加価値をつけることを行ってきた。なので、PDF作成が無償になってしまっても収入が減ることはない。またBreezeとAcrobatの合体を考えている。

これを読みますと、アドビはPDFとFlashを合併して、携帯電話、家電製品、自動車などの組み込み分野でOSメーカのようなプラットフォームを提供しようとしていることがわかります。しかし、ブラウザをやるつもりはないと言っていますので、あくまでリッチ・クライアント分野ということになります。

次に、マイクロソフトと戦う姿勢をかなり明確に発言しています。マイクロソフト側が、XPSなどでアドビの市場を浸食しようとしているわけですが、これをV1.0の試みと言い切り、アドビとMacromediaはもう10年以上の経験をもっているので、勝者はこちらだと自信の程を示しています。

確かに、PDF誕生後既に10年以上経って成功はしたと思いますが、PDFはあくまでアプリケーション。これに対してWindowsはOSです。アプリケーションをもってOSと競争するというのはおかしな図式ではあります。

投稿者 koba : 2006年03月04日 08:00

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