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2006年01月09日

PDFと文字(18) –Unicodeの漢字関連ブロック

Unicodeには今までに述べた統合漢字、互換漢字以外に、漢字に関連するブロックが、①漢文、②部首、③漢字を組み立てるためのコードの3つがあります。

これらについて次に簡単にまとめておきます。
①漢文 U+3190~U+319F
中国語の漢字の文章を日本語で読むための記号です。学校の漢文の授業などでならったものです。

②部首 U+2E80~U+2FD5
辞書の索引などで使う部首が規定されています。
・康煕部首(U+2F00~U+2FD5) 214種類の部首用文字
・CJK補助部首(U+2E800~U+2EF3) 115種類の部首の派生形、または簡体字用部首
これらの文字は部首であることを示すため専用で、統合漢字と同等のものとして扱うことはできません。

③漢字を組み立てるためのコード
統合漢字や互換漢字はひとつひとつの漢字を図形文字として識別して番号を与えていくという方式です。これに対して、漢字を別の漢字の部品として使って、新しい漢字を組み立てるという考え方が、1970年代から研究されてきたようです。

この方式には、いくつかの方法がありますが、その一つがIDS(Ideographic Description Sequence)という方法です。このIDSで用いる文字をIDC(Ideographic Description Characters)と言い、U+2FF0~U+2FFBに12文字が規定されています。

IDCは結合文字(他の文字とまとめてひとつの文字にする文字)ではなく、また、通常の図形文字の代替表現を提供するために用いるものではないとされています。Unicode準拠アプリケーションは、IDS方式の文字の並びを表示する際、一つの文字として表さなくてもかまいません。

IDCは、もともと中国の文字規格GBKでGB2312-80にないUnicodeの文字を追加するために盛り込まれたものです。そこで、Unicodeでは、IDSをまだ符号化されていない文字を既存の文字を組み合わせて表現するための方法と位置づけています。

【IDSの応用例】
IDSを、既存の漢字の構造を表すために使っている例もあります。

京都大学の人文科学研究所
守岡氏らは、文字に関する知識データベースの作成とその利用を開発するCHISEプロジェクトを行っています。CHISEプロジェクトの中で、このIDSを用いて漢字を表す構造情報データベースを開発中です。

■参考資料
1.CHISEプロジェクトについて
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/projects/chise/

2.CHISE / 漢字構造情報データベース
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/projects/chise/ids/

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック