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2012年03月28日

Antenna House PDF Driver V5.0がサポートするPDF/A とは?

今日はAntenna House PDF Driver V5.0がサポートするPDF/A について説明します。

Antenna House PDF Driver V5.0「瞬簡PDF 作成 5」「瞬簡PDF 編集 3.1」などに搭載されているPDFを作成する仮想プリンタドライバです。通常のPDFの他に、PDF/A仕様に準拠したPDFを作成することもできます。

PDF Driverの設定ダイアログの先頭、「一般」に、「PDFのバージョン」指定という項目があります。この選択肢の末尾に「PDF/A-1b:2005」 が用意されています。これを指定して、PDFを作成するとPDF/A-1b 準拠のPDFファイルが作成できます。

PDF/A(ISO 19005の同義語)は、国際標準化機構 ISO が制定した国際規格 ISO 19005に定められるPDFの形式の1つです。このファイル形式の第一の目的は、使用するツールにかかわらず、長期間に渡ってファイルの視覚的な外観を維持できること、第二の目的は、PDFの視覚的な外観ではなく、論理構造、意味といった情報を格納できるようにすることにあります。(PDF/Aにつきましては、PDF資料室にもまとめておりますので、参照ください)

この規格は複数パートから構成されており、現在パート1、パート2がそれぞれ、2005年、2011年に策定済み、パート3が策定作業中となっています。
パート1ではPDF/A-1、パート2ではPDF/A-2の規格を定めています。PDF/A-1は、PDF 1.4の仕様をベースとし、PDF 1.4の機能のうち、使ってはならない機能、指定しなくてはならない機能などを決めることで、上記目的に沿ったPDF 1.4の使用方法を定義するものです。

PDF/A-1には、2種類の準拠レベルが定義されます。
PDF/A-1a(レベルA:ISO 19005-1完全準拠)
PDF/A-1b(レベルB:ISO 19005-1一部準拠)
このレベルBは、前述のPDF/Aの第二の目的である論理構造などの表現を対象外とし、第一の目的(長期にわたって表示環境によらず見た目がかわらないことを保証)だけに限定したものとなります。見た目を保証するために必要とされる主な事項としては「カラーの再現性の保証」、「フォントの埋め込み」、があげられます。また、PDFの機能は広範にわたりますが、長期間の保存・外観の維持を阻害する可能性のある機能はPDF/Aでは使用禁止となっています。こちらの主な項目としては、「暗号化」、「ファイルの埋め込み(添付ファイル)」、「透明」の禁止があります。

PDF DriverはプリンタとしてOS(Windows)から印刷データを受け取りますが、受け取ったデータが、元文書上でどのような論理構造(見出しに相当するテキストである、あるいは表のセルである、というような情報)に該当するものかはわかりません。このため、PDF/A-1bだけの対応となっています。

では、PDF Driverの設定ダイアログから、上記の仕様との対応を見てみます。設定ダイアログを開くと、「一般」、「圧縮」、・・・と複数のタブがありますが、このうち「一般」、「フォント」、「セキュリティ」、「透かし」に、通常のPDFとPDF/A-1bでは動作(設定)が異なる箇所が存在します。

「一般」

ここで、「PDFのバージョン」に「PDF/A-1b:2005」を指定すると出力インテントのプロファイルが指定可能となります。これは前述の「カラーの再現性の保証」に関連します。ここで指定されたカラープロファイルがPDFファイル内に埋め込まれ、PDFファイル表示時に各種データのカラー値の解釈に使用され、出力時のカラーに可能な限り近い表示を行うために使用されます。

「フォント」

通常、このダイアログでは埋め込み対象とするフォントを指定しますが、PDF/A-1では、ファイル内で使用されているフォントが存在しない環境での表示時にも「見た目」を保証するため、使用するフォントを必ず埋め込む必要があります。このため、「PDF/A-1b」選択時、このダイアログは「使用されているすべてのフォントを埋め込む」が選択され、解除できないようにグレーアウトしています。

「セキュリティ」

PDF/A-1では暗号化は禁止されます。このため、このダイアログはグレーアウトし、パスワードの設定などが行えないようになっています。

「透かし」

PDF/A-1では透明は使用できません。通常、このダイアログには「透かし」データの「透明度」が指定できるようになっていますが、この制限により「PDF/A-1b:2005」選択時は、この指定が不可となります。

これダイアログで指定可能な内容を設定することで、PDF Driver にPDF/A-1b準拠のファイルを作成することができます。

明日は、PDF Driver では、現在未サポートですが、ISO 19005 仕様のパート2 PDF/A-2について説明します。

投稿者 taishii : 2012年03月28日 13:05

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